宇江佐真理のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレこの作品は宇江佐作品の異色タイムスリップものである。現代社会の若者が、江戸の天明時代に行ってしまうという設定。でもなんか、そんな小技使うのは勿体ない気がする。不作と飢饉の時代の百姓の苦悩を描くという、それだけでも宇江佐さんにしては異色の設定なんだから、そこだけに特化しても良かったんじゃないかと思う。
無理くり「豊かに見える現代社会への警鐘」みたいな説教臭さを前面に押し出さなくても良かったんじゃないか?いつもの市井人情ものを読めば、説教臭くなくそういう部分は共感できるわけだし、かえって伝えたいテーマが上滑りしてるような気がして残念。
ただもっともっと残念なのは、「今後の作品に期待」って言いた -
Posted by ブクログ
過去にタイムスリップする物語は多いけど,なぜか主人公が歴史音痴っていうのが定番.だけど本作はその点が違ったので新鮮でした.本を通していかに恵まれた境遇にいるのかを実感することも有意義だなと思う.最後は宇江佐さんらしい結末でほっこり&満足.
以下あらすじ(背表紙より)
平凡な25歳のサラリーマン、大森連はツーリングに出かけた先で道に迷い、滝の裏に落ちてしまう。目覚めると、そこはなんと天明6年の武蔵国中郡青畑村―!?時次郎とさな兄妹の許に身を寄せ、川の氾濫や重い年貢が招く貧困等、江戸の過酷な現実を目の当りにしていく連。天明の大飢饉のさなか、村の庄屋が殺害される事件が起こり、連は思い悩みながらも自ら -
Posted by ブクログ
ネタバレ蝦夷松前藩の移封(お国替え)から帰封までの19年間の、
浪人となった松前藩士の江戸での暮らしを書いた作品。
長崎での交易などは、比較的華やかに作品にされるかと
思うのですが、北国ものって、北国人の特性なのか
あまり主張満々で作品になかなか上ってこない印象。
そんな北国事情の歴史動向を下敷きにしながらも、
本作品は江戸の裏店暮らしでまっとうに生きようとする
下町の人らの関わり合いをえがいていて飽きません。
結末としては、多少の無常観が尾を引きますが、
終わりの数行の、現代にも通じる、
長く生きてつらい思いをのみこみながら前に進んだ後に
見える、ささやかともいえる暮らしややり取りに
息づいてい