宇江佐真理のレビュー一覧

  • 聞き屋与平 江戸夜咄草

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    与平のすごさは、「聞く」ところ。
    聞き屋なのだから当たり前のことなのだろうけれど、突っ込まずに話を「聞く」のって、案外難しい。
    人の話を聞く機会は多いけれど、
    「ここでも相槌うった方がいいのかな」
    「何かアドバイスとか求められているのかな」
    「ちゃんと話聞いてるってこと伝わってるかな」
    と頷きながら悩むし、時には
    「これいつまで聞かないといけないのかな…そろそろ飽きたぞ…」
    なんて思ってしまうこともある。
    与平自身、その難しさは自覚していて、それでも話を「聞く」。
    それって、多分人に色んな影響を与える言葉を発する人より、ずっとすごいことなのだと、私は思っている。

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    2015年05月12日
  • 卵のふわふわ 八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし

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    ネタバレ

    談話室でおすすめしていただいた一冊。
    宇江佐さんの作品は初めて読んだ。
    江戸時代を背景にした物語で食べ物が出てくる物語、ということで読んだが、「江戸の食」らしさがイマイチ感じられなかった。現代の食にあるよね?という感じ。
    でも物語としては私のまさしく私の好み。
    会話もテンポが良く人情深く、特にお舅さんの人柄が良い。不器用な男代表みたいな旦那さん、次第に心を開いていく様も女心をくすぐる。
    ただ、主人公ののぶが、、偏食すぎて好感がもてず・・こんな嫁が我が家にいたら相当腹が立つだろうな~と。
    しかし、最後まで読んでそんな偏食キャラも納得。参ったな~オチがここね。と。
    少し私の思った作品とは違ったが、

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    2015年03月20日
  • 月は誰のもの 髪結い伊三次捕物余話

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    最近は子供世代のお話が多くなっていて少し寂しかったけれど、今回はお文や伊三次の心情を描いてくれて嬉しかった。特にお文が実の父親に会えたお話に感激。また度々語られることのなかった十年のお話を是非書いていただきたいものです。

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    2015年02月24日
  • 斬られ権佐

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    ネタバレ

    権佐のキャラクターが魅力的だった。
    惚れた女を助けて、88か所の刀傷を負った時のセリフ、
    「縁もゆかりもあらァな。おれはよう、おれは、あさみ様におっこちきれたからよう」(P-46)
    (おっこちきれたは、流行していたセリフで”ぞっこん惚れた”という意味)
    死ぬ間際、娘に言ったセリフ、
    「お蘭、さっき、おれが言ったこと忘れんなよ」(P-290)
    かっこよかった。
    事件の謎解きも面白かった。
    兄の権佐の事が大好きな弟の、その後がかわいそうだったな。

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    2015年02月07日
  • 明日のことは知らず 髪結い伊三次捕物余話

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    なんつうか、居心地の良いこのシリーズ。

    登場人物たちの年の取り方が自然で、味わいを増していくのが良い。

    病気に負けず、末永く続けていただきたい。

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    2015年02月02日
  • 月は誰のもの 髪結い伊三次捕物余話

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    ネタバレ

    文庫まるごと書き下ろしという贅沢な1冊。
    『無頼派』と『純情派』(中二病的で恥ずかしくなるけど、当時彼らそれくらいなんだよね)の決着やら、お文の父親のこと、不破さんちの長男のやさぐれに巻き込まれた感がある芸者さんのその後など、気になっていたいろいろなことをこれでもかというほど、書いている。
    個人的には緑川さんちの御新造があのぎすぎすした家庭や男衆や奥さんをなごませてくれているエピソードがよかった。
    不破さんちの奥さんも1巻の頃と比べると大人になって、自分の人生をいいものだと受け止められる度量も出てきてよかった。
    伊三次の浮気未遂事件もいつもの宇江佐さんなら嫌な終わり方をしそうだけれど、ほろ苦い

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    2015年03月24日
  • 明日のことは知らず 髪結い伊三次捕物余話

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    ネタバレ

    あとがきにもあるように、作者は現在闘病中である。
    筆を折ることなく淡々と仕事をされているが、ほんの少しだけ作風が変わったように思える。
    たとえば、『やぶこうじ』。
    宇江佐さんの黄金パターンだと、理不尽にも浪人になってしまった主人公はさんざんひどい目にあったあげく、絶対奥方は姉のところに行くふりして浮気、もしくは身売りして、伊三次やお文の思いやりは裏切られ、最後は奥方を殺して町方にとらえられるんだろうなぁと思ったら、ものすごくハッピーエンドで目を疑った。
    宇江佐さんは高田さんと対照的に、世の中そんないいことばかりじゃござんせんぜ、とばかりにまずいものを胃薬なしに読者に飲み込ませる作風だ。
    それが

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    2015年01月17日
  • 斬られ権佐

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    江戸時代の町並み、空気感、人々の暮らしが温かく描かれています。

    ただ、引っ掛かった点がひとつ。
    権佐が娘に「母親のそばにずっといてやってくれ」と頼んだことで、娘の将来を縛ってしまったんじゃないかな。
    女性が自由に生き方を決められる時代ではなかっただろうけど、それでも、お蘭にはもっと違う道や夢があったかもしれない。お蘭の耳に残っている言葉は、彼女を束縛し続けたように思ってしまいました。

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    2015年01月09日
  • 通りゃんせ

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    25歳の平凡な青年が江戸時代の農村にタイムスリップするという、宇江佐作品の中では異色の長編時代小説。
    青年の視点で語られる贅沢と退廃に満ちた生活。一方で江戸時代での生活を礼讚する訳ではなく、特に飢饉を迎えて農民が鬼畜の如く変貌するさまは恐怖を覚える。このあたりのバランス加減が、宇江佐さんの巧さを感じる。
    気になっていた「さな」の出来事も、ラストで納得。普段、時代小説を読まない人にもお薦めできる作品である。

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    2014年12月16日
  • 余寒の雪

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    ネタバレ

    【本の内容】
    男髷を結い、女剣士として身を立てることを夢見る知佐。

    行く末を心配した両親が強引に子持ちの町方役人と祝言を挙げさせようとするが―。

    幼子とのぎこちない交流を通じ次第に大人の女へと成長する主人公を描いた表題作他、市井の人びとの姿を細やかに写し取る六篇。

    中山義秀文学賞受賞の傑作時代小説集。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    浅草や両国を舞台にした、江戸の人々のあたたかさを描いた人情話の短編集。

    精一杯に生きて、恋をして、人に対する思いやりを忘れない、人生に真摯に取り組む主人公たちの姿を想像するだけで幸せな気持ちに満たされる。

    主人公たちの職業も小間物屋、両替商、染物屋、

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    2014年11月26日
  • 月は誰のもの 髪結い伊三次捕物余話

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    件のシリーズ最新刊で10年間の空白ができたため、大好きなシリーズなのにちょっと違和感が生じていた。そんなファンの気持ちを汲んでいただいたのか、語られなかった10年の間の出来事を綴った書き下ろし作品。
    お文の父親の話、本所無頼派の顛末、そして伊三次の出来心など、心が温まったり人間関係の煩わしさを知ったり。ますますシリーズの深みが増す一冊である。
    それにしても、「月は誰のもの」と尋ねる伊与太のかわいいことこの上ない。

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    2014年11月17日
  • 月は誰のもの 髪結い伊三次捕物余話

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    人気シリーズも14弾目、シリーズ初の文庫書下ろし作品。
    お文の回想から始まり、過去の出来事と現在の事件が絡み合いながら、話が進む。作者自身も、シリーズを振り返りながら、書くことを楽しんでいるよう。ますます筆がさえる。

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    2016年06月16日
  • 月は誰のもの 髪結い伊三次捕物余話

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    短編集のような長編。カキオロシ。

    最新刊がどの時点の話か、よくわからなくなってきた。

    ま、それでも十分楽しめる。

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    2014年10月27日
  • 今日を刻む時計 髪結い伊三次捕物余話

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    前回からいきなり10年余りが過ぎた内容だった。
    今回も龍之進が中心になっていた。
    若者らしい悩みなんかも丁寧に書かれていた。

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    2014年10月18日
  • 今日を刻む時計 髪結い伊三次捕物余話

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    伊三次の物語も余話です
    伊三次・お文が一緒になるまでが作者の
    メインテーマだったのかな?
    自分の子供たちや、不破様の息子のエピソード
    が物語になっていきます

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    2014年10月11日
  • さんだらぼっち 髪結い伊三次捕物余話

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    【本の内容】
    芸者をやめたお文は、伊三次の長屋で念願の女房暮らしを始めるが、どこか気持ちが心許ない。

    そんな時、顔見知りの子供が犠牲になるむごい事件が起きて―。

    掏摸の直次郎は足を洗い、伊三次には弟子が出来る。

    そしてお文の中にも新しい命が。

    江戸の季節とともに人の生活も遷り変わる、人気捕物帖シリーズ第四弾。

    [ 目次 ]


    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度

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    2014年10月04日
  • 古手屋喜十 為事覚え

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    安心して読み進められるから宇江佐さんの作品は大好き。
    人情話なんだけど、それだけじゃないところが好き。
    今回は古着屋さんのご主人喜十さんが大活躍。
    ぶつぶつ言いながらもどんどん事件を裁いていくところも面白かった。

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    2014年08月16日
  • 心に吹く風 髪結い伊三次捕物余話

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    前回は不破家の不肖の長男の話でしたが、今回はその妹茜と伊三次一家の長男が中心。
    子供のころから気の強い我儘お嬢の茜。
    宇江佐さんの描く男勝りの御嬢さんって、結構リアルにやな女の子であることが多い。
    負けず嫌いでプライドが高く、自分を守るために周りを傷つけることを正当化するいわゆる自称サバ系というか、嫌われるタイプの女政治家。
    茜もそのタイプで、媚びるなんてまっぴら! 若い嫁にでれでれする兄上も下町育ちの自覚のない兄嫁もなんだか許せない! 批判するけど、いびりじゃないもん!
    いやはや子供のころから変わってない! てか成長してない! 不破さんちの子育てどちらも微妙に失敗してます!
    けれど、伊三次さ

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    2014年05月14日
  • 心に吹く風 髪結い伊三次捕物余話

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    髪結い伊三次シリーズも遂に十巻に到達。伊三次と文吉の恋の行方を心配していたのも今は昔。すっかり、その子供たちが物語の中心になるようになった。立派に成長していく姿が、とても微笑ましくて心強い。
    本作のあとがきで、作者である宇江佐真理さんの衝撃の告白があり、その意味でもこのシリーズの根底が変化するかもしれない。でも一番の願いは、いつまでも元気でこのシリーズを続けて欲しいということである。

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    2014年05月01日
  • 古手屋喜十 為事覚え

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    新シリーズ開幕か。

    古着屋(古手屋)の主人が、隠密廻りの同心のお手伝いをするのだが、いわゆる「小物」としてドッブリはまっているわけでなく、半ばイヤイヤながらやってるというこの距離感が絶妙。このへん、某髪結いさんシリーズとは趣を異にしているようで。

    体調に無理をせず、末永く続けていただきたいものです。

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    2014年03月12日