宇江佐真理のレビュー一覧
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与平のすごさは、「聞く」ところ。
聞き屋なのだから当たり前のことなのだろうけれど、突っ込まずに話を「聞く」のって、案外難しい。
人の話を聞く機会は多いけれど、
「ここでも相槌うった方がいいのかな」
「何かアドバイスとか求められているのかな」
「ちゃんと話聞いてるってこと伝わってるかな」
と頷きながら悩むし、時には
「これいつまで聞かないといけないのかな…そろそろ飽きたぞ…」
なんて思ってしまうこともある。
与平自身、その難しさは自覚していて、それでも話を「聞く」。
それって、多分人に色んな影響を与える言葉を発する人より、ずっとすごいことなのだと、私は思っている。 -
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ネタバレ談話室でおすすめしていただいた一冊。
宇江佐さんの作品は初めて読んだ。
江戸時代を背景にした物語で食べ物が出てくる物語、ということで読んだが、「江戸の食」らしさがイマイチ感じられなかった。現代の食にあるよね?という感じ。
でも物語としては私のまさしく私の好み。
会話もテンポが良く人情深く、特にお舅さんの人柄が良い。不器用な男代表みたいな旦那さん、次第に心を開いていく様も女心をくすぐる。
ただ、主人公ののぶが、、偏食すぎて好感がもてず・・こんな嫁が我が家にいたら相当腹が立つだろうな~と。
しかし、最後まで読んでそんな偏食キャラも納得。参ったな~オチがここね。と。
少し私の思った作品とは違ったが、 -
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ネタバレ文庫まるごと書き下ろしという贅沢な1冊。
『無頼派』と『純情派』(中二病的で恥ずかしくなるけど、当時彼らそれくらいなんだよね)の決着やら、お文の父親のこと、不破さんちの長男のやさぐれに巻き込まれた感がある芸者さんのその後など、気になっていたいろいろなことをこれでもかというほど、書いている。
個人的には緑川さんちの御新造があのぎすぎすした家庭や男衆や奥さんをなごませてくれているエピソードがよかった。
不破さんちの奥さんも1巻の頃と比べると大人になって、自分の人生をいいものだと受け止められる度量も出てきてよかった。
伊三次の浮気未遂事件もいつもの宇江佐さんなら嫌な終わり方をしそうだけれど、ほろ苦い -
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ネタバレあとがきにもあるように、作者は現在闘病中である。
筆を折ることなく淡々と仕事をされているが、ほんの少しだけ作風が変わったように思える。
たとえば、『やぶこうじ』。
宇江佐さんの黄金パターンだと、理不尽にも浪人になってしまった主人公はさんざんひどい目にあったあげく、絶対奥方は姉のところに行くふりして浮気、もしくは身売りして、伊三次やお文の思いやりは裏切られ、最後は奥方を殺して町方にとらえられるんだろうなぁと思ったら、ものすごくハッピーエンドで目を疑った。
宇江佐さんは高田さんと対照的に、世の中そんないいことばかりじゃござんせんぜ、とばかりにまずいものを胃薬なしに読者に飲み込ませる作風だ。
それが -
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ネタバレ【本の内容】
男髷を結い、女剣士として身を立てることを夢見る知佐。
行く末を心配した両親が強引に子持ちの町方役人と祝言を挙げさせようとするが―。
幼子とのぎこちない交流を通じ次第に大人の女へと成長する主人公を描いた表題作他、市井の人びとの姿を細やかに写し取る六篇。
中山義秀文学賞受賞の傑作時代小説集。
[ 目次 ]
[ POP ]
浅草や両国を舞台にした、江戸の人々のあたたかさを描いた人情話の短編集。
精一杯に生きて、恋をして、人に対する思いやりを忘れない、人生に真摯に取り組む主人公たちの姿を想像するだけで幸せな気持ちに満たされる。
主人公たちの職業も小間物屋、両替商、染物屋、 -
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【本の内容】
芸者をやめたお文は、伊三次の長屋で念願の女房暮らしを始めるが、どこか気持ちが心許ない。
そんな時、顔見知りの子供が犠牲になるむごい事件が起きて―。
掏摸の直次郎は足を洗い、伊三次には弟子が出来る。
そしてお文の中にも新しい命が。
江戸の季節とともに人の生活も遷り変わる、人気捕物帖シリーズ第四弾。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度 -
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前回は不破家の不肖の長男の話でしたが、今回はその妹茜と伊三次一家の長男が中心。
子供のころから気の強い我儘お嬢の茜。
宇江佐さんの描く男勝りの御嬢さんって、結構リアルにやな女の子であることが多い。
負けず嫌いでプライドが高く、自分を守るために周りを傷つけることを正当化するいわゆる自称サバ系というか、嫌われるタイプの女政治家。
茜もそのタイプで、媚びるなんてまっぴら! 若い嫁にでれでれする兄上も下町育ちの自覚のない兄嫁もなんだか許せない! 批判するけど、いびりじゃないもん!
いやはや子供のころから変わってない! てか成長してない! 不破さんちの子育てどちらも微妙に失敗してます!
けれど、伊三次さ