宇江佐真理のレビュー一覧
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久しぶりの髪結い伊佐次シリーズを堪能した。
推理小説の主人公が次々と事件を解決しながら、たいがい年をとらずにシリーズが何年も続くのに対し、時代小説シリーズの登場人物たちが、それぞれに年を重ねるのは、スッキリと納得できる。
この伊佐次シリーズは、いつのまにか10年も過ぎてしまった(笑)
今回の主役は、不破の息子龍之進で、伊佐次やお文は脇役に退いている。捕物も背後に退き、もっぱら登場人物たちの日常や結婚話が主題である。
著者自身の解説で、このシリーズに対する思いを書いているが、読者としても、これからも伊佐次シリーズを見守っていきたいし、応援したい。 -
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江戸時代のじんわり人情物語短編集。
『ため息はつかない』
子供の頃両親を亡くし、叔母に引き取られた豊吉だが、クセのある叔母を煙たく思っていた。
ある日豊吉に縁談の話が来る。
母と子の情が染みるが、豊吉の縁談相手がユーモラスで楽しい。
『裾継』
遊女屋の女将が主人公。
妻に駆け落ちされた男の後妻となったが、継子とうまくいかなくなった上、夫に浮気疑惑が持ち上がる。
『おはぐろとんぼ』
父の働く料理茶屋で幼い頃から厨房に親しみ、父の死後も女ながら料理人として働く主人公。
大阪からやってきた料理人を最初は煙たく思っていたが、だんだん親しくなっていく話。
割かしベタな恋愛話だけどこういうの好き。
『日向雪』
金に汚く、たかることしか考えていない兄を煙たく思っている主人公。
兄が金を必要とする理由を知り、そこから人を愛する尊さを学ぶ。
あまりに兄がクズすぎてイライラした。
愛だからっていいのかここまで、というイライラが募り、感動にいたらず。
『御厨河岸の向こう』
不思議な力を持つ弟と姉の半生。
ストーリーは一番平坦だったけど姉弟の関係性の描き方が優しくてよかった。
『隠善資正の娘』
かつて妻を殺害され娘が行方不明となった主人公が、
娘が生きていれば同じ年頃の、妻とよく似た女を見つける。
時代劇的大団円。
どれも50ページ程度なのでサラサラと進む。
展開やオチはベタでどんでん返しや驚く仕掛けはないものの、じんわりしみるいい話。 -
Posted by ブクログ
廻り髪結いの伊三次は、お文と所帯を持って数年。
伊与太は病気もしたが、すくすく育っている。
元深川芸者のお文は一度は芸者をやめたが、今は桃太郎という名で日本橋で芸者をやっている。
何かあってもお文がいれば安心と、若い芸者にも頼りにされていた。
正月には黒紋付きに裾模様のある着物で座敷に出る。
呉服問屋のお座敷で年増扱いされて気を悪くするが、じつは…?
伊三次は、町方同心の不破友之進の手伝いもしている。
伊与太と同じ年頃の幼い娘・茜は、大人しい伊与太と違って手が掛かるやんちゃ娘。
行方不明になって大騒動となるが…?
不破の長男・龍之進は元服して、父もいる北町奉行所の同心見習いとなった。
これは前作からで、若い世代の話の比重が多くなっています。
要所要所に出てくる大人達の言動が引き締め、お文の気っぷの良さは光っていますけどね。
見習い組には、6人の若者がいる。
同心の緑川の息子で気性の激しい鉈五郎。
大人びている春日多聞。
勤勉で、調べ物が得意な西尾左内。
元は商人で養子になった古川喜六。
ものぐさな橋口譲之進という面々。
左内の姉が実家に戻っており、労咳なので離婚話が持ち上がる。
大人の世界をかいま見る龍之進。
その頃、本所無頼派という顔を隠した暴れん坊6人が町で問題を起こしており、最初は人を驚かせるだけだったが、次第に深刻になってくる。
同じ年頃の旗本の次男三男がやっていることと目星を付けた見習い組は、我が手で召し捕りたいと探索を続けていた。
長男以外は、どこかに養子縁組が出来なければ一生、部屋住みの身。
これは養子先が決まった者は抜けていくということでもあった。
無頼派の一人が、辻斬りを行ったと龍之進らは目を付ける。
しかし、町方の出来ることには限界もあった。
勘当された若者を一度は捕らえたのだが…?
侍の社会の成り行きがリアル。
2009年8月文庫発行。 -
Posted by ブクログ
シリーズ6冊目。
お文と所帯を構えた髪結いの伊三次は、赤ちゃんの伊与太を育てつつ、とりあえず安定した生活をしています。
「妖刀」は、いわくつきの刀が盗まれた事件を探るため、問題の邸へ髪結いに出向く伊三次。
目の前で、凶事が…
伊三次が手伝いをしている定廻り同心の不破友之進の息子が元服することになり、少年の視点での話が多くなりました。
龍之助あらため龍之進として、同心見習いになったのです。
同じ年頃の仲間達六人と、まごまごしながら取り組む仕事の様子が面白い。
その頃、「本所無頼派」と呼ばれる六人組の若い男らが無茶をする事件が起きていて、彼らを自分たちでつかまえられないかと思うようになる。
高い所に登って雄叫びをあげるなどの人騒がせな行為だが、逃げ足が速く、おそらく相当な修練を積んでいる。まだ犯罪というほどでもないのだが。
旗本の次男三男が、行き場のない不満をぶつけているのではないかと。
不破の下の子で茜のやんちゃぶり。
女の子なのに、伊与太よりずっと手が掛かるんですね。
伊三次の手伝いをしている九兵衛が、本格的に髪結いをめざすことになります。
九兵衛と龍之進の微妙な張り合いもあったり。
伊与太が重い病気にかかり、皆が必死の看病。
当時は赤い物が効くというので、家は赤い物だらけに。
龍之進のほのかな初恋も初々しい。
表題作はそのエピソードから。
龍之進の将来が楽しみだというお文は、さすがに深川芸者だった目利き?
単行本は2005年3月発行。