宇江佐真理のレビュー一覧

  • アラミスと呼ばれた女

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    宇江佐先生のあとがきによると、戊辰戦争の頃、歴史には残っていないけど、男装した女性のフランス通詞がいたらしく、何が何でもこの話を書かずにはいられなかったらしい。その強い想いがあってか、通詞をしていた父親から英語と仏語を習い、自身も通詞になりたいという夢を持つようになったお柳の人生が見事に息づいていました。幕末の情勢も丁寧に綴ってあり判りやすい反面、2人が思いを寄せていく描写が少なく、榎本武揚の側の心情や家庭の事情が文脈やお柳の想像から読み解くしかないのが物足りなかった。

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    2016年06月25日
  • 雪まろげ―古手屋喜十 為事覚え―

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    ちょうど物語が盛り上がりを見せたところなのに・・・。

    未来永劫続篇が出ないのかと思うと、なんとも寂しい。

    天国で続篇執筆してくれないでしょうか、宇江佐センセ。
    アレコレ続きが気になる作品がありやす。
    あっちからメールかFAXかなんかで原稿ビャーっと送ったりなんかして。

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    2016年06月23日
  • 室の梅 おろく医者覚え帖

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    江戸時代でいう検死官と産婆さん夫婦の話。
    宇江佐さんの話は安定していて、読みやすく面白かった。
    謎解きと、人情が上手いこと絡んで良かった。

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    2016年06月16日
  • 擬宝珠のある橋 髪結い伊三次捕物余話

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    髪結い伊三次シリーズは、『竈河岸』が最後かと思っていたら、本作が出版された。直ちに購入したが、これが最後の最後かと、読んでしまうのが惜しい気持ちのまま、今になった(笑い)
    伊三次やお文他、登場人物たちにもう会えないかと思うと、愛おしい気持ちで一言一句を味わいながら読み終えた。
    「月は誰のもの」は、文庫本で既読だが、これもじっくり再読。
    文中、伊三次の述懐は、著者の思いでもあるだろう。「肝腎なことは苦難に直面しても焦らないこと、騒がないことである。徒に嘆き悲しむだけでは何も始まらないのだ。」
    著者の冥福を祈る。

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    2016年06月16日
  • ウエザ・リポート

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    函館在住の作家ということで気にはしていた。あえて江戸深川を舞台にした時代小説を書くということから、どんな人かと思ったが、日常の家庭生活臭いっぱいの、元気なおばちゃん作家である。軽妙なエッセイだ。作家の意外な内的世界、直木賞を取れなかったことを素直に悔しがったり、ざっくばらんな人柄がうかがえる。(逝去してしまったが、直木賞を取らせたかった。選考委員、見る目なかったぞ!!)

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    2016年05月03日
  • 糸車

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    著者得意の下町長屋モノと、とくに力を入れていた松前藩モノとのコラボ的な。

    このような作品世界に浸ることができなくなるのは、やはり寂しい。

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    2016年02月15日
  • 余寒の雪

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    あらすじ(背表紙より)
    男髷を結い、女剣士として身を立てることを夢見る知佐。行く末を心配した両親が強引に子持ちの町方役人と祝言を挙げさせようとするが―。幼子とのぎこちない交流を通じ次第に大人の女へと成長する主人公を描いた表題作他、市井の人びとの姿を細やかに写し取る六篇。中山義秀文学賞受賞の傑作時代小説集。

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    2015年10月13日
  • 明日のことは知らず 髪結い伊三次捕物余話

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    ネタバレ

    伊三次の弟子、九兵衛が中心なのか、
    梅床を飛び出しかけたり、
    嫁の話が来たり、
    伊三次の手柄で台箱をあつらえてもらったりと忙しい。

    娘のお吉が女髪結いになりたいと言ったり、
    懐かしい直次郎が登場したり、
    茜がお勤めを頑張っていて、
    伊与太も師匠の元に戻って絵師としての修業を続けていたりといろいろあったが、
    なにより、
    小者として伊三次がいろいろ活躍していて、良かった。
    やはり主人公は伊三次だから。

    龍之進の嫁きいが流産してしまったのは、可哀想だった。

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    2015年09月29日
  • 月は誰のもの 髪結い伊三次捕物余話

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    ネタバレ

    すっとばされた気がしていた大火事後の十年が
    描かれていた良かった。

    お文さんが実の父親と交流が出来たのも、
    本所無頼派の最後が知れたのも、
    龍之進と無頼派の一人が心を通わせていたのも、
    龍之進がふてくされていた時につ
    き合っていた芸者が幸せになっていたのも、
    伊三次の読みがあたって誘拐が解決したのも、
    良かった。

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    2015年09月28日
  • 通りゃんせ

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    終盤の落としどころは、まぁ仕方ないかという感じではあるけれど、途中は面白い。後半は連載だったから仕方ないだろうけどバタバタした感じ。スイスイページをめくれる。

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    2015年09月27日
  • 心に吹く風 髪結い伊三次捕物余話

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    ネタバレ

    絵師の師匠のところを飛び出してきた伊与太。

    龍之進に頼まれてお屋敷の中間と人相書きを引き受け、
    このまま小者の道を歩むのかと思いきや、
    龍之進の妹、茜が奉公するが決まり、
    絵師のところにもどる。
    茜との恋話はどうなるやら。

    龍之進の奥方、きいは奔放で良い感じ。

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    2015年09月26日
  • 今日を刻む時計 髪結い伊三次捕物余話

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    ネタバレ

    いきなり十年たったと言われても。
    伊三次とお文に娘もいて、
    伊与太は絵師の修行のために家に出て、
    龍之進は置屋でふてくされていると言われても。

    龍之進や伊与太の成長話を楽しみにしていたのに、
    少しがっかり。

    次々と龍之進の嫁候補が現れて、
    最終的にひょいっと結婚してしまうのは面白かった。

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    2015年09月26日
  • 我、言挙げす 髪結い伊三次捕物余話

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    ネタバレ

    見習から同心になれた龍之進、すっかり彼の成長物語になってしまった気がする。

    人生のもう一つの分かれ道に迷い込んだお文さんの話や、
    流産のあと女の子が生まれたのにうまく行かない弥八とおみつの話もあるが、
    やはり、姫を救い出し、その心を慰めた一日を忘れたくないと思う龍之進の話が心に響く。

    と思っていたら、最後の最後に日本橋の大火事で、
    伊佐次とお文の家も燃えてしまう。
    伊与太と台箱だけが無事に残る。
    どうなることやら。

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    2015年09月26日
  • 雨を見たか 髪結い伊三次捕物余話

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    ネタバレ

    見習同心の龍之進たちは、本所無頼派を追い詰めていく。
    その成長していく姿がすがすがしいし、
    捕り物要素が多くなっているのも楽しい。

    ただ、伊三次がたばかれた話が少し悔しい。

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    2015年09月25日
  • 君を乗せる舟 髪結い伊三次捕物余話

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    ネタバレ

    不破の息子、龍之介が元服し龍之進となり、奉行所に出仕しはじめる。
    成長する若者たちの姿が初々しいし、
    前髪を落とした姿の不細工合戦が面白かった。

    前作の「黒く塗れ」はちょっと、だが、「妖刀」ぐらいの不思議話は許せる。

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    2015年09月25日
  • 黒く塗れ 髪結い伊三次捕物余話

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    ネタバレ

    お坊さんが人殺しをする話、「蓮華往生」は衝撃的だった。

    龍之介の言葉がきっかけだったかどうかはわからないが、
    女師範代が結婚できて良かったのと、
    元スリの直次郎が早くも再登場して、
    しかもハッピーエンドになったのも良かった。

    あとは、
    ぎりぎりまでお座敷に出て、
    しかも逆子だったお文さんが無事出産出来て、
    本当に良かった。

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    2015年09月24日
  • さんだらぼっち 髪結い伊三次捕物余話

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    ネタバレ

    いろいろ事情はあったにしろ、
    やっぱり長屋住まいは長く続かなかったか、お文さん。
    しかし、またお座敷に出るようになるとは、驚いた。

    子どもや赤ん坊がらみの出来事は、嫌なものだ。
    子どもができたお文さん、流産してしまったおみつと
    仲直りできると良いのだが。

    惚れた女と一緒になるために、
    無理やり人指し指の先を切り落とした直次郎は
    伊三次の嘘で追い払われたが、
    良くも悪くもまた登場する気がする。

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    2015年09月19日
  • さらば深川 髪結い伊三次捕物余話

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    ネタバレ

    昨今、江戸物は流行りらしいが、
    江戸の町を舞台にしてはいるものの、
    あまりにも時代考証無視し過ぎの化け物ファンタジー系や
    人情噺というには薄っぺらいホームドラマ系が跋扈している。
    それゆえ、あくまでもリアリティのある江戸の暮らし、季節感、人物に酔えるこのシリーズには、
    種明かしのない幻術遣いはちょっとそぐわない気がして残念だった。

    とはいえ、
    文吉さんに黄前の良いところを見せたはずの伊勢屋が金を返せと言ってきたり、
    酸いも甘いも嚙み分ける増蔵親分が昔の女房のためにお役目も妻子も捨てようとしたり、
    死期の近い産みの親に手紙は出したものの、文吉は会いに行かなかったり、
    それぞれ大事なものを助ける

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    2015年09月17日
  • 紫紺のつばめ 髪結い伊三次捕物余話

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    ネタバレ

    2年以上前に読んだシリーズの続き。

    他の芸者と衣装を比べられてかっとなり、
    思わず援助の申し込みを受けてしまう文吉姐さん。
    まだまだ若いね。

    人殺しの疑いがかかった伊三次のために文吉が必死になり、
    最後にはよりを戻すあたりはありがちかもしれないが、
    伊三次が小物をやめる話になるとは思わなかった。

    しっとりとした大人の江戸物なのは相変わらずで良かった。

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    2015年09月16日
  • なでしこ御用帖

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    ネタバレ

    斬られ権左の孫が活躍する市井人情捕り物帳
    捕り物帳の体を成してはいるが、ミステリ要素はなく、宇江佐さん得意の人情話で、本作も江戸に生きる庶民たちの泣き笑いをしっかり味あわせてもらえる。

    マンネリっちゃマンネリ、でもこういう心がほっこりしたり、すっきりしたり、ちょいホロな話を時々読める機会があるってことはありがたいことで、なんかの時には宇江佐人情モンがあると思えるのは心のどこかが、安心できるものだ。

    なでしこちゃん、元気で美人で調子乗りで、こういう娘はいいなぁ。権左のラストが哀しかったから、孫の彼女らはずっとハッピーでいて欲しいと思う。

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    2015年06月13日