宇江佐真理のレビュー一覧
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所帯を持った伊三次とお文。
かっては深川芸者の文吉という名で売れっこだったお文は、今は桃太郎という名で時々お座敷に出ています。
妊娠を隠していましたが、そろそろ隠しきれなくなり…
これが最後という日に、やっかいな客に出くわします。
上司に因果を含められている様子でうつむいていた、格好も乱れた様子の侍。
絡む男という評判は立っていて、伊三次も知っていたのです。
お文の気丈さが光ります。
天啓寺はそれほど大きな寺ではないが、境内に金箔を施した大蓮華を備えていた。
極楽往生を願う人々に深く信心され、特にある老人が黄金の蓮華の上に座って死にたいと再三願い出て、それも結縁かと許した所、2時間後に息絶え -
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江戸に専門の検死医がいたかどうかは不明だそうだが、検死ばかりしている医者一家の三男坊とお産婆の妻の話である。彼女の作品の女性主人公はみな職業持ちで、内助の功を誇ってばかりではない。勝手に作り上げられた大和撫子の型にはまらない主人公たちを見ているのはいい気分だ。夫婦としてのバランスもとてもいい。武家や大店はいざ知らず、一般庶民はほとんど共働きだったというし、こちらが本当の江戸の生活かもしれない。獣の肉を食べると出るものが臭いと笑わせて始まる山くじらは寄生虫で終わる悲しい話だった。表題になっている室の梅も暗さやつらさを乗り越え明るく、常套でもいい終わり方だった。
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Posted by ブクログ
表題はなんとローリング・ストーンズのPaint it Blackからだとか。作家さんというのはいろんなところからアイデアを探し出すものね。独り者同士飄々と暮らしていた伊三次と文だけど、一緒になって、ややが出来てなぜか伊三次が一気に男前になった。文は赤ん坊に振り回されている気ままに生きてきた初心者母という意外だけど、やたらにできた母親になるより現実感があっていい。彼女の年まで一人で生きてきて、そうそう他人に合わせられるものでもなく、ましてやNoは受け付けない子供の世話は大変。
まだまだ続きそうなこのシリーズ、緑川や不破も子供の世代が顔を出してきていい感じ。あとね、カバーの絵がいいね。というか少女