宇江佐真理のレビュー一覧
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廻り髪結いの伊三次は、お文と所帯を持って数年。
伊与太は病気もしたが、すくすく育っている。
元深川芸者のお文は一度は芸者をやめたが、今は桃太郎という名で日本橋で芸者をやっている。
何かあってもお文がいれば安心と、若い芸者にも頼りにされていた。
正月には黒紋付きに裾模様のある着物で座敷に出る。
呉服問屋のお座敷で年増扱いされて気を悪くするが、じつは…?
伊三次は、町方同心の不破友之進の手伝いもしている。
伊与太と同じ年頃の幼い娘・茜は、大人しい伊与太と違って手が掛かるやんちゃ娘。
行方不明になって大騒動となるが…?
不破の長男・龍之進は元服して、父もいる北町奉行所の同心見習いとなった。
これは前作からで、若い世代の話の比重が多くなっています。
要所要所に出てくる大人達の言動が引き締め、お文の気っぷの良さは光っていますけどね。
見習い組には、6人の若者がいる。
同心の緑川の息子で気性の激しい鉈五郎。
大人びている春日多聞。
勤勉で、調べ物が得意な西尾左内。
元は商人で養子になった古川喜六。
ものぐさな橋口譲之進という面々。
左内の姉が実家に戻っており、労咳なので離婚話が持ち上がる。
大人の世界をかいま見る龍之進。
その頃、本所無頼派という顔を隠した暴れん坊6人が町で問題を起こしており、最初は人を驚かせるだけだったが、次第に深刻になってくる。
同じ年頃の旗本の次男三男がやっていることと目星を付けた見習い組は、我が手で召し捕りたいと探索を続けていた。
長男以外は、どこかに養子縁組が出来なければ一生、部屋住みの身。
これは養子先が決まった者は抜けていくということでもあった。
無頼派の一人が、辻斬りを行ったと龍之進らは目を付ける。
しかし、町方の出来ることには限界もあった。
勘当された若者を一度は捕らえたのだが…?
侍の社会の成り行きがリアル。
2009年8月文庫発行。 -
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シリーズ6冊目。
お文と所帯を構えた髪結いの伊三次は、赤ちゃんの伊与太を育てつつ、とりあえず安定した生活をしています。
「妖刀」は、いわくつきの刀が盗まれた事件を探るため、問題の邸へ髪結いに出向く伊三次。
目の前で、凶事が…
伊三次が手伝いをしている定廻り同心の不破友之進の息子が元服することになり、少年の視点での話が多くなりました。
龍之助あらため龍之進として、同心見習いになったのです。
同じ年頃の仲間達六人と、まごまごしながら取り組む仕事の様子が面白い。
その頃、「本所無頼派」と呼ばれる六人組の若い男らが無茶をする事件が起きていて、彼らを自分たちでつかまえられないかと思うようになる。
高い所に登って雄叫びをあげるなどの人騒がせな行為だが、逃げ足が速く、おそらく相当な修練を積んでいる。まだ犯罪というほどでもないのだが。
旗本の次男三男が、行き場のない不満をぶつけているのではないかと。
不破の下の子で茜のやんちゃぶり。
女の子なのに、伊与太よりずっと手が掛かるんですね。
伊三次の手伝いをしている九兵衛が、本格的に髪結いをめざすことになります。
九兵衛と龍之進の微妙な張り合いもあったり。
伊与太が重い病気にかかり、皆が必死の看病。
当時は赤い物が効くというので、家は赤い物だらけに。
龍之進のほのかな初恋も初々しい。
表題作はそのエピソードから。
龍之進の将来が楽しみだというお文は、さすがに深川芸者だった目利き?
単行本は2005年3月発行。 -
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頑固な夫婦が、別居して、仲直りをする、という現代でもありそうなことが、江戸時代を舞台に繰り広げられるお話。
主人公も、主人公の旦那も、はたから見るとまぁ頑固なんだけど、周りの登場人物のキャラクターが良くて、それほどギスギスせずに読み進められる。
とくに、舅のキャラが抜群に良い。読者アンケートとか取ったら、絶対主人公押さえて一位になりそうな気配(笑)
タイトルにもふわふわ卵とあるように、お舅さんがグルメで、色んな料理かが出てくる。卵料理好きの私にとっては、たまりませんでした。あとがきを書いた方がふわふわ卵を作ったと書いてあったので、私も試しに作ってみようかな。
読み終わると、心が暖かくなるので、オススメです。 -
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所帯を持った伊三次とお文。
かっては深川芸者の文吉という名で売れっこだったお文は、今は桃太郎という名で時々お座敷に出ています。
妊娠を隠していましたが、そろそろ隠しきれなくなり…
これが最後という日に、やっかいな客に出くわします。
上司に因果を含められている様子でうつむいていた、格好も乱れた様子の侍。
絡む男という評判は立っていて、伊三次も知っていたのです。
お文の気丈さが光ります。
天啓寺はそれほど大きな寺ではないが、境内に金箔を施した大蓮華を備えていた。
極楽往生を願う人々に深く信心され、特にある老人が黄金の蓮華の上に座って死にたいと再三願い出て、それも結縁かと許した所、2時間後に息絶えたという。
その評判から同じことを願う人が増えていった…
何人も必ず死ぬのは妙だと噂が立ち始める。
町奉行の永田備後守が、隠密廻り同心の緑川平八郎に探索を命じた。
本来なら寺社奉行の取り扱いなのだが、緑川の妻てやが実はこの寺に熱心に通っていたため、すぐに動くことになり、伊三次にも声がかかる。
緑川は、お文の深川芸者仲間の喜久壽と古い縁がある仲という男。
女房の寺通いはそのためと不破は言う。
父親の実感がすぐにはもてない伊三次。
北町奉行所の同心の不破友之進と息子の龍之介の様子を眺めたり。
お文のお腹に子が出来たことをすぐ不破には知らせず、深く考えてはいなかったのですが、他の人間が皆先に知っているのに気づいた不破は不機嫌に。
あらま。ちょっとお坊ちゃんな所があるのね。
名付け親になってくれと何気なく伊三次が言ったことで、機嫌を直したり。
関わる事件はかなり妙で、悪質ですが…
伊三次の家庭には無事に赤子が生まれ、お文には想像以上に大変な日々が続くうちに、伊三次にも父親の実感も出てくるのですね。