雫井脩介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
捜査の展開は悪くなかったけど、蓋を開けてみると犯行に至った背景が思いの外語られなかった。おそらく主人公である巻島の、過去との向き合い方を強く打ち出すためだったのかなと思う。ただそのせいで、途中の投書のやりとりや、無節操な裏番のキャスター、警察OBタレントの行動などなど、周辺人物が何を目的にしていたのかご想像にお任せのまま、宙ぶらりんで終わってしまった感がある。
なので想像するに、犯人といい昔の女を追いかける男といい、劇場型犯罪という大きな舞台装置に、ただ他人の気を引きたいという、人のもっている本性を投影させたかったのではないだろうか。
本当に必要なことだけを、寡黙に泥臭くやり続ける。巻島を通 -
Posted by ブクログ
4年振りで「犯人に告ぐ」の3作目。
前作の時も思ったのだが、本の中では最初の事件から1年も経っていないのに、描かれる環境やテクノロジーはIRやらAI、スマホなど本が書かれた時期にあわせてどんどん新しくなるのがとても変な具合。
もはや誰も巻島を“ヤングマン”なんて呼ばないし、西城秀樹も遠い昔…。
前作から続きvsリップマンの話だが、この巻ではリップマンこと淡野の行動がつぶさに描かれる。やや冗長とも思えたが、人となりや生い立ちはよく知れた。
住宅街での捕り物にあって老婦人が知ってて騙されていたというのには違和感があり、話の肝であったため、都合がよすぎるように思えたところ。
淡野の話に挟まれて、