雫井脩介のレビュー一覧
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「虚貌(下)」
クライマックスは川で。
序盤からテンポがどんどん上がっていき、ラストまで駆け抜けていく。クライマックスの川辺のシーンとショウさん追悼のための鮎釣りシーンがハイライトで、真犯人の心情と描写が秀逸。
二十一年前の美濃加茂事件の加害者の内、ヤク中の坂井田、暴力団の時山が殺され、現場から荒の指紋が見つかり、荒を本ボシとして動くモリさん・辻コンビ。しかし、荒と共に追っていた山田裕二と思しき死体が発見され、更にボスのショウさんにアクシデントが発生する。
一方で結局ヌード写真を了承した朱音は、同僚とも険悪になり、更にヌード写真を見て自分がどんな表情で撮られていたかを目の当たりにする。それをきっかけに自らの顔を醜いと思い込む様になる。更に朱音はヌードをきっかけに整形するよう社長に勧められる。
刑事小説路線も朱音の物語も一気に加速して、最終的には2つは同じところに行き着く。どちらともに重要な存在はモリさんだ。癌に侵され闘病中だった彼は、美濃加茂事件を完全に終わらせる為、命をかけて盟友シュウさん率いる現場に舞い戻る。そして見えてくるのは、驚くべき真実。
そんなモリさんは父の姿も見せる。現役時代のモリさんは、朱音の世話は亡き妻に任せっきりだった。その上に朱音の芸能界入りは反対だった為、彼女との関係修復から始まる(とは言ってもひどく悪い関係ではない)。そこから病にかかり、自らを見失い、そして湯本に依存する朱音を助けようとする。この時は、刑事ではなく父だった。
モリさんは、美濃加茂事件の重さ、シュウさんとの絆、そして娘の為に命をかけて真犯人を追うのだ。そして全てを終える。かっこよかった。 -
Posted by ブクログ
前作を読んだのはいつかと見ると、2007年9,10月となっており、結構強い印象が残っていたので、そんなに経つのかと意外に思った。
実際の時間はそれだけ経っているが、本の中では前作のバッドマン事件は半年前ということで、それが解決した後、植草は外され実質的に巻島が指揮する刑事特別捜査隊vs誘拐犯の闘いを描く。
最初の振り込め詐欺の導入がなかなか強烈だが、これはアバンタイトルみたいなもので、その後始まる誘拐事件が本筋。
振り込め詐欺でも指南役だった淡野から犯罪史上に類を見ない“誘拐ビジネス”を持ちかけられた知樹が選んだターゲットは、かつて就職内定を取り消された老舗洋菓子メーカー。
練られた計画はなかなかのもの。首尾通り進む計画だが、さてさてどう展開するか、下巻へ…。
ちょっと甘めだが、一旦、★は4個つけておく。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ雫井作品は、犯人に告ぐ、クローズドノートに続く3作目
犯人に告ぐ、は面白かったけど
読みにくい印象が強く、
クローズドノートは設定がツボだった印象
からの本作は、
さらりと読め、かつ映像を浮かべやすく面白かった。
ワンモアジャンプ(赤石路代)
リアルのフィギュアにはまる
ユーリオンアイス
などなんちゃってフィギュア好きを自称してきた私
ジャンプの種類もアクセルぐらいしか見分けられない
(努力はした)
程度のフィギュア好きだけど
私の知識量でも全然ついていけた。
この作品は
子供より大人が素敵。
キラキラとスポットライトを浴びるスケーターたちの裏で
美濤先生やお母さんたちが
必死になって考えている
大人の静かな戦いと愛を感じた
美濤先生が最後に言った言葉
「私が一番驚いたのはね、あなたのお母さんの成長です」
震えた。
テレビや漫画を見ていても、
スケーターとコーチの関係性を見ても
コーチと母親って見えない。
でも、この作品での美濤先生と梨津子の間には
小織と美濤先生と同じかそれ以上の言葉を必要としない
交流があった。
と感じた。
幾つになっても頑張れる
そんな勇気を与えてもらえた