雫井脩介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
至高のサスペンスだった。
最初こそ勲視点の物語として始まるが、中身は勲の妻である尋恵と、勲&尋恵夫婦の嫁にあたる雪見の2人の心理描写がメイン。
尋恵
寝たきりの義母(勲の母)の介護をしている
献身的に介護と家事をこなすも、当人からも勲からも感謝もされず、むしろ勲の姉(別居)からチクチクといびられる日々
しかし介護は自分の使命だと思っており、責任感も強い。吐き出す場もなく疲労が溜まる。
介護サービスも入浴のみしか使わせてもらえず、心労がたたる過程がめちゃくちゃリアルだし、やるせない気持ちの描写が読んでいて辛いくらい。
雪見
勲&尋恵夫婦の嫁
2歳のまどかを育てている
イヤイヤ期真っ盛りの大変な時期なのに、夫である俊郎は司法試験勉強のため育児にほぼノータッチ
実母が毒親
これ、夫や勲がもっと協力的なら雪見もストレス限界突破しなかったのにって思う。
夫は自分事しか考えてないから雪見に文句を言うだけ。同居してるのにまどかが勲に寄りつかないのは、明らかに孫への無関心だし、6人家族なのに孤独だなって思う。
尋恵と雪見の嫁姑の関係性が良いのが救い。
気を遣いすぎず、頼むことはお互い頼んで家を回している。
ただ、武内に対する反応は真逆なのでそこが唯一対立してしまっている。
人物の心理面も関係性もめちゃくちゃ深くて怖い。
裁判官としては優秀な勲でも、家庭ではほとんど喋らず、家のことは任せきり。大学の講義では饒舌なのに、家では「うむ…」しか言わないのかコイツって叱咤したくなる。
終盤でまた勲視点の章になるのだけど、時すでに遅しっていう絶望感がじわじわ。
武内に最初にロックオンされた尋恵、梶間家から孤立してしまった雪見、そのどちらにも、武内にとっては付け入る隙がありすぎる存在。
この隙を作ったことに、勲には十分責任があるよなと思い、最後まで同情できなかった。
もう一つモヤるのは、もし武内が2年前に有罪だったら、お隣に引越してくることはなかったわけだけど、梶間家の闇も顕在化されなかったんだろうな…と。
尋恵が介護疲れで完全に倒れちゃってたかもしれない。そしたら雪見は味方がいなくなって益々孤立…という未来が見えてしまう。
武内いてもいなくても地獄か?
怖すぎ。
戸建て購入して引越して1週間の私には刺激が強すぎた。
ありがたいことに、幸い隣人はみんな良い人。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最後までハラハラした。深く心を打つミステリー小説でした。
行方不明の高校生の息子が殺人事件に関わっているようだ。被害者、もしくは加害者として。
彼の帰りを待つ父、母、そして娘は、何を感じているのか。
父親は「善良な息子が犯罪者になるはずはない。だから被害者側だろう」と考える。
一方で母親は「被害者=コロされた、ということだ。犯罪者でもいいから生きていてほしい。だから息子は犯罪者側と信じたい」と考える。
この意見の衝突が大きな葛藤を生む。
私は最初、犯罪者側だろう、と思って読みすすめていた。
そのほうが真相が明らかになった後、物語の風呂敷が広げやすいだろうし。被害者側だと信じる父親目線でスタートしたから、実は加害者だったほうが驚きがあると思うし。
でも……妹さんが受験について両親におねだりをしたあたりから推測が揺らいだ。被害者だったほうが、やるせない終わりになるのでは? と。
しかしあのタイミングでの葬式参加。ということは逆に……?
どちらに転ぶかは書かないので、お読みになる方はぜひ推測を立てながら進めてほしいです。
結末を予測する楽しみ方もできるけれど、登場人物の感情の追い方がとにかく丁寧で、どの場面もリアルで、胸に刺さる。
社会的な望み、愛情に基づく望み、どちらも理解できるから辛い。
ラストで分かる息子くんの望みも、……。
考えさせられる話だった。 -
Posted by ブクログ
少し前に読み終わっていました
ずっと読み続けているシリーズです
物語は前作のラストから続いています
今回は政治がかなり絡んだ内容となっていました
読み応え抜群です
リアルでありながらもフィクションならではの展開であり、後半に行くほど面白くなっていきました
終盤では主要な登場人物の成長も感じられて良かったです
実際にこういうことが裏で行われていても不思議ではないなぁ、と思わせる説得力があります
この先も本シリーズはまだ続いていくと思うのですが、次作はどのような展開になるのか全く読めません
起承転結もしっかりしておりオチも毎回とても良いです
お気に入りのシリーズものです