すっごく面白かった!移動の電車やバスで夢中で1日で読んでしまった!特に、ラストの章が良い!
この作品、何も知らずに読んだ方が面白いのでは?と思います。
老舗の陶磁器店のシーンから始まるこのお話、何の前情報もなく読み始めたので、何が起こるのだろう?この題名はどういう意味?なんて軽く思いながら読み進め
...続きを読む、止まらなくなりました。
まさに、家族につわる「疑心暗鬼の闇」が描かれています。
自分がもう、歳をとっているので、嫁と姑、どちらの立場も気持ちも分かるのです。分かるんだけど・・・ああ〜、それを言っちゃあ良くないよとか、逆に、ああ〜そこでちゃんと伝えれば、とかそんなこと思いながら。
私自身は、小学生時代から通知表に「おしゃべりが多いです」と書かれたくらいで(笑)思ったことは口に出してしまう性格です。人生、それで損したと思ったことも数知れずですが、歳をとってくると、まあ、得だったことも多いのかな?とも思ってます。ネットでお遊びの性格診断とかすると『超社交的』とでる。(大笑)でも、人間関係でそれがどう働くかは、相性だと思うのです。
このお話では、真相は何だったのか?という意味では、ラストである程度分かります。でも、ラストの章が深いと思うのは・・・・
結局人は、自分の心の中しか覗けないから、どんな言葉を聞いてもそれを信じられない限り、救われない、ということ。そして、悲しいこと、辛いことは、誰しもたくさんあるけれど、誰かに対しての不信感を強く持ってしまうと、それはある種の「呪い」なのだな、と強く思ったのでした。そう、だから、自分にとって辛いことは、上手にスルーしていく、というのも大事なんだなあとつくづく思ったのでした。
風くんの歌にあるとおり、
「憎み合いの果てに
何が生まれるの
わたし わたしが先に忘れよう」
なのです。
やっぱり雫井脩介さん、良いなあ。傑作だと思います!