雫井脩介のレビュー一覧
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子を持つ親なら一度は思うだろう。
子どもが何か変な事件に巻き込まれないように…そして「加害者にも被害者にもならないように』と。
この小説に登場する両親も、家族が平和であることを願っていたが、ある日事件が起こる。息子が帰ってこない…そして殺人事件の参考人として警察が息子の行方を捜査している。
息子が何らか事件に巻き込まれたことは間違いない。しかし、加害者なのか?被害者なのか?
加害者の場合、まだ息子は生きている。被害者なのか…その場合はたぶん息子は死んでいる。
どちらか選べと言われたら…揺れ動く親の気持ちが痛いほど伝わってくる。
息子は優しい子だ。人を傷つけるなんて絶対無い。しかし、何故帰 -
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■サマリー
・家族が犯罪者か、被害者の可能性になった
としたらどちらを望むのか。
・生きていてほしい、一方で、死んでいても
ほしい。究極の問いかけ。
・思春期の子を持つ親と家族の揺れ動く気持ち。
■所感
ある日、自分の家族が、身内が、犯罪者かもしれない。もしくは、被害者かもしれないとなれば、残された家族はどちらを望むのか。
生きていてほしいと思うのが家族である。
しかし、生きているということは犯罪者。
被害者への賠償、世間からの容赦ない避難を残された家族は受けなくてはいけない。
家族の人生もまた失われていくのは耐え難いものがあると思う。
一方で、死んでいるということは被害者であるという -
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リーダビリティという言葉を久しぶりに思い出した。初めてこの言葉を聞いたのはやはり雫井さんの「火の粉」だっただろうか?病院での事件をめぐって、さほど過剰に大げさな出来事があるわけでもないのに読み進めるのをやめられない。日常の些細なエピソードと事件の真相を追及する地味な活動だけでこんなにも惹き付けられる小説を書く雫井さんはやはりすごい。
実際に状況証拠だけで無実の人がここまで犯人に仕立てられるものかどうかはわからないが、過去から現在に至るまで、きっといくつかの事件でこういったことはあったのかもしれない。
最後に語られる暴露話が蛇足に感じられるほど、完成度の高い裁判劇でした。 -
Posted by ブクログ
小兵が大関を倒すような展開は爽快感もあり後半は一気に読んだ。
しかし、やりきれない。
登場人物がそれぞれ苦しい。
どう見ても犯人ではない容疑者を上司の命令で厳しく追及しなければいけない若手検事、
知人の娘を殺され、その犯人は捕まらずその無念を抱えたまま過ごさなければならない、上司、
過去に罪を犯したものの、身に覚えがない事件について犯人と決めつけられ、厳しい追及を受ける容疑者、
誰もが、冷酷な面や優しい面、哀れな面が垣間見え、わかりやすい感情で登場人物を追うことができない。
1つの決定で多くの人のその後の人生が変わる裁判。歯車が狂うのは簡単で、取り返しはつかない。
若手検事も、上