雫井脩介のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
リーダビリティという言葉を久しぶりに思い出した。初めてこの言葉を聞いたのはやはり雫井さんの「火の粉」だっただろうか?病院での事件をめぐって、さほど過剰に大げさな出来事があるわけでもないのに読み進めるのをやめられない。日常の些細なエピソードと事件の真相を追及する地味な活動だけでこんなにも惹き付けられる小説を書く雫井さんはやはりすごい。
実際に状況証拠だけで無実の人がここまで犯人に仕立てられるものかどうかはわからないが、過去から現在に至るまで、きっといくつかの事件でこういったことはあったのかもしれない。
最後に語られる暴露話が蛇足に感じられるほど、完成度の高い裁判劇でした。 -
Posted by ブクログ
小兵が大関を倒すような展開は爽快感もあり後半は一気に読んだ。
しかし、やりきれない。
登場人物がそれぞれ苦しい。
どう見ても犯人ではない容疑者を上司の命令で厳しく追及しなければいけない若手検事、
知人の娘を殺され、その犯人は捕まらずその無念を抱えたまま過ごさなければならない、上司、
過去に罪を犯したものの、身に覚えがない事件について犯人と決めつけられ、厳しい追及を受ける容疑者、
誰もが、冷酷な面や優しい面、哀れな面が垣間見え、わかりやすい感情で登場人物を追うことができない。
1つの決定で多くの人のその後の人生が変わる裁判。歯車が狂うのは簡単で、取り返しはつかない。
若手検事も、上 -
Posted by ブクログ
ネタバレ子どもとアイススケートに行き、フィギュアスケートやらせるのも良いかも、と調べているうちに出会った本。
メインは小織の中学〜高校までのスケート人生の話だけれど、最後にこれは母親の物語でもあったのだと気づき、ボロボロ泣けた。
はじめはフィギュアを習い事の一つとしてしか考えていなかった梨津子だが、みなみ先生からの発破もありバリバリのサポートママに変貌してゆく。やがて子ども以上に入れ込むようになり、時折すれ違いも起こる。
それでもフィギュアを通して紡がれた親子関係はかけがえのないもので、それこそがタイトルの銀色の絆なのだろう。
どこまで上へ行けたか、はさほど問題ではなく、その過程にこそ意味があ -
Posted by ブクログ
99.9%有罪の刑事裁判に立ち向かう弁護士を主人公にした、リーガルミステリー。
担当になる弁護士伊豆原柊平と、事件の時入院していた小南紗奈と彼女の姉由惟そして彼女たちの母親で犯人と目された野々花を中心に、物語は展開する。
伊豆原は友人の弁護士枡田が国選で担当する点滴殺傷事件に関わることになる。入院患者の母親が犯人として逮捕され、否認していたが、過酷な取り調べにより犯行を認めてしまう。
裁判になり一転否認の立場をとるが、果たして無罪を勝ち取ることができるのか。彼女は本当に犯行を犯していないのか。ならば真犯人は誰か。
スリリングな展開に目を奪われ、小説世界に没入してしまう。
題名の「霧をはらう」は