雫井脩介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
■サマリー
・家族が犯罪者か、被害者の可能性になった
としたらどちらを望むのか。
・生きていてほしい、一方で、死んでいても
ほしい。究極の問いかけ。
・思春期の子を持つ親と家族の揺れ動く気持ち。
■所感
ある日、自分の家族が、身内が、犯罪者かもしれない。もしくは、被害者かもしれないとなれば、残された家族はどちらを望むのか。
生きていてほしいと思うのが家族である。
しかし、生きているということは犯罪者。
被害者への賠償、世間からの容赦ない避難を残された家族は受けなくてはいけない。
家族の人生もまた失われていくのは耐え難いものがあると思う。
一方で、死んでいるということは被害者であるということ。
大切な家族がある日突然いなくなるという悲しみに耐えることが出来るのか。
どちらに進んでも幸せなことはなく、辛い日々しか待っていない。
つまり、本書には明るい未来がないということになる。
でも、被害者である母親は最後に「私は規士(息子)に救われました」と言う。
加害者である場合、生きていると分かった瞬間は安堵するが、その後に待ち受けている地獄のような日々を考えた場合、息子が自分の命と引換えに家族を救ってくれたと思うしか、残された家族は救われないのだろうと感じた。
■本書からの心に残った部分を引用
・人間は自分の価値観と他者の価値観の両輪で
生きている。
・私は規士を加害者の一人だと思い込もうと
してましたけど、その時も本当は苦しかったん
です。真っ暗闇の水の中で、とにかくこっちに
岸があるんだという根拠のない思いだけも
あって、延々と泳いでいるような気持ちでした。
本当に苦しくて仕方なかった、もしあの子が
加害者だったとしたら、生きていたと分かった
瞬間だけは安堵したかもしれません。
でも、それからまた苦しい日々がやってきて、
それに押しつぶされただろうと思います。 貸 -
Posted by ブクログ
小兵が大関を倒すような展開は爽快感もあり後半は一気に読んだ。
しかし、やりきれない。
登場人物がそれぞれ苦しい。
どう見ても犯人ではない容疑者を上司の命令で厳しく追及しなければいけない若手検事、
知人の娘を殺され、その犯人は捕まらずその無念を抱えたまま過ごさなければならない、上司、
過去に罪を犯したものの、身に覚えがない事件について犯人と決めつけられ、厳しい追及を受ける容疑者、
誰もが、冷酷な面や優しい面、哀れな面が垣間見え、わかりやすい感情で登場人物を追うことができない。
1つの決定で多くの人のその後の人生が変わる裁判。歯車が狂うのは簡単で、取り返しはつかない。
若手検事も、上司の検事も、そうするしかなかったといえる決断をしている。
でもこの先も本当にそれでよかったのだろうか、と自らに問い続けるのだろう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ子どもとアイススケートに行き、フィギュアスケートやらせるのも良いかも、と調べているうちに出会った本。
メインは小織の中学〜高校までのスケート人生の話だけれど、最後にこれは母親の物語でもあったのだと気づき、ボロボロ泣けた。
はじめはフィギュアを習い事の一つとしてしか考えていなかった梨津子だが、みなみ先生からの発破もありバリバリのサポートママに変貌してゆく。やがて子ども以上に入れ込むようになり、時折すれ違いも起こる。
それでもフィギュアを通して紡がれた親子関係はかけがえのないもので、それこそがタイトルの銀色の絆なのだろう。
どこまで上へ行けたか、はさほど問題ではなく、その過程にこそ意味があるのだと実感させられた。 -
Posted by ブクログ
99.9%有罪の刑事裁判に立ち向かう弁護士を主人公にした、リーガルミステリー。
担当になる弁護士伊豆原柊平と、事件の時入院していた小南紗奈と彼女の姉由惟そして彼女たちの母親で犯人と目された野々花を中心に、物語は展開する。
伊豆原は友人の弁護士枡田が国選で担当する点滴殺傷事件に関わることになる。入院患者の母親が犯人として逮捕され、否認していたが、過酷な取り調べにより犯行を認めてしまう。
裁判になり一転否認の立場をとるが、果たして無罪を勝ち取ることができるのか。彼女は本当に犯行を犯していないのか。ならば真犯人は誰か。
スリリングな展開に目を奪われ、小説世界に没入してしまう。
題名の「霧をはらう」は、伊豆原のこんな言葉から。
「刑事裁判ってのは、国という大きな存在が個人を裁くんだ。それだけなら一方的な戦いだよ。裁判員や裁判官にしても、その人のことを知らないわけだから、どうしても疑心暗鬼になる。霧の中で不気味なシルエットを見るようなものだ。人を襲う獣なのかもしれないという目で見てる。だからまとわりついている霧を払って、その人を一人の人間として見てもらうようにする必要がある。弁護士がそれをやる。霧を払った結果、その人が無実の人間であるなら、もちろん言うことはない」