雫井脩介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ姑姉妹の底意地の悪さに辟易しながら読んだ。嫁のそよこは最初こそ怪しみもしたが、気の合わない嫁が最初から気に食わなくて事件をきっかけにイビりだした姑と、その姑にひたすらいらん話を吹き込む姑姉にうんざりしていたので、DNA鑑定の結果には快哉を叫んだ。大体DV夫、姑にとっては息子にあたるが、それを多少口が悪いとか、わがままなところはあるがとか、欠点からあからさまに目をそらし、しっかり問題視していないあたり、姑が息子可愛さに公平で客観的な目を持てていないのは明らかであり、どれだけ嫁が怪しいと言い募ろうが、そもそも理屈もおかしいし肩を持つことは出来なかった。舅にも度々窘められていたが、よく熟年離婚にならなかったなと思ったくらいである。また孫に突き落とされて不満を露わにしていたが、あんな風に目の前で母親がイジメられていたら幼子なんて後先考えずに行動を起こしてしまうだろうよと、冷ややかな感想しか抱けなかった。本来なら底の見えない嫁の不審さからサスペンス展開なのかも知れないが、姑が理不尽すぎてメタ的にそよこはほぼ白だろうと思っていたので、因果応報だなあとサスペンス味は感じなかった。だがこの因果応報も良いのか悪いのか、悪く言えば疫病神、マイルドに言えば不幸体質なそよこにはかえって疑惑を深める形にもなって気の毒でもあった。
振り返ってみるとそよこは本当によく頑張ったなあと思う。アルバイト経験しかない無職のシンママが安定した生活の為に必死に頑張っていた訳で。考え方とか感情の発露の仕方は多少人と違うところはあっただろうけれども、疑われたりイビられたりして傷つかない訳じゃない。穿った目で見なけりゃ出来た嫁で良い関係が築けたろうに。命まで救ってもらいながら最後まで不信感を拭えず態度を改めることのできない姑のような人間がいることがホラーだなと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ上巻では最上と沖野は検察官としてすれ違っていくが、下巻では沖野は検察を辞めて弁護側の協力者として最上に対峙する。
上巻で描かれた最上の過去と罪を、下巻で沖野がなぞって明るみにしていく。
そして全てが解明されて最上は逮捕され、松倉は釈放される。
冤罪を防いだ沖野たち弁護側だが、その会見で根津の事件も自分ではないと言い放つ。
ここからラストまでの15ページが胸にどんと重しになってなかなか消化できません。
逮捕された最上はしかし穏やかで、
事件を解決したはずの沖野は咆哮する。
対比が辛すぎる…。
もちろん最上のしたことは法律違反だし職業倫理にも反するし褒められたことではないのだろうが、
かと言って完全悪かと言われるとそうも言い切れないと感じる(あくまで物語として!)
人間は、正義の対義語は悪、と単純に割り切れないことのほうが多いよね。
最上は自分の正義を貫いたけど、沖野はそれをまだ探しているから苦しんでいるんだなと思った。 -
Posted by ブクログ
犯人に告ぐ、という挑戦的なフレーズで犯人を心理的に追い詰める。そんなシリーズものも第4作となり、これまでに解決されていなかったことが終わりを迎えるという期待感から本書を読み進めた。前回「リップマン」という、決して捕まることのないクレバーな犯罪の実行役がミスを冒すことで、組織の黒幕である「ワイズマン」の指図で死に至った。死体が見つからないことから、「リップマン」の生死が不明のなか、主人公の巻島捜査官は、TVを通した公開捜査を継続する。捜査の手の内が漏洩していることに気がつき、そこに、「ワイズマン」配下で警察内部に潜んでいる「ポリスマン」という存在に気がつく。「ポリスマン」は誰なのか、捜査は「ワイズマン」に辿り着くのか、その答えを早く知りたくて読み急ぐ。政治の世界を題材にしながら、「ポリスマン」、さらには「ワイズマン」との対決へと終盤の追い込みは、期待に応えるものがあり、爽やかな読後感で終える。