雫井脩介のレビュー一覧
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蒲田で起こった老夫婦刺殺事件の容疑者のひとりの名前を見て、検事の最上は強く記憶を刺激された。最上が学生時代にお世話になった寮の管理人の娘が殺された事件で重要参考人となりながらも、逮捕されることのなかった男だったからだ。この男は裁かれなければならない、と怒りを燃やして行動する最上に、彼に憧れていた若き検事は違和感を覚え、徐々に強固だった『正義』という足場は揺らいでいく――。
試されているのではないか、と読んでいる途中、ふとそんなことを考えてしまいました。読者である私たちは、検察側の〈罪〉を知っているからこそ、〈冤罪〉の可能性に強くよりかかることができるわけですが、それを知らない状況で、松倉 -
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子どもが辛い思いをするから読んでいて辛い…
未成年の姉妹が犯罪者の親を持つとこうまで生きにくい世の中になってしまうのか、と。
しかももしかしたら親は冤罪かもしれないなんて、子どもとしては現実をどう捉えたらいいかわからなくなるよね…
主人公の頑なな態度にイライラしながらも、こうしないと生き延びられないほど追い詰められている精神状態を心配してしまう。
助けようとしてくれている大人もいるのだから早くその手を取ってほしい…
下巻では良い方向へ展開してほしい(;_;)
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小児病棟で起きた点滴殺傷事件。4人の子供の点滴 -
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愛するわが子は加害者なのか、被害者なのか、、、。
面白かった、とは安易に言えない
もしもと自分に置き換えてもとても答えは出せない大変辛い読書体験でした。
それぞれの望みに胸が締め付けられた。
生きていて欲しいと願うことは
息子を信じていないことに繋がる。
罪を犯してるはずは無いと信じることは
もう息子がこの世にいないということ。
それなら私はどちらを望むだろう。
警察もマスコミも近親者も状況次第で態度を変えるところに怒りを覚えたけど、最後のジャーナリストの言葉に少しハッとするところがあった。
彼らにもジャーナリストとしての矜恃の様なものがあるのかも、と。
それでも、現実社会でもありがちな思 -
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ネタバレ教育大に通いマンドリン部の香恵が住んでいた部屋である日前の住人が忘れて行ったノードやグリーティングカードなどがエプロン型の布の状差しに入ったままで見つけたが、気持ちが悪いとそのまま放置しておいた。
仲良しの葉菜ちゃんはアメリカへ留学し、香恵はアルバイト先の文具ビルで、万年筆の売り場の担当に成り、そこにやって来るイラストレーターの石飛さんと出会う。彼は葉菜ちゃんとお別れの日にアパートに帰っている時香恵の部屋を見上げていた男性だった。
葉菜ちゃんの付き合っていた彼がなぜか香恵にアタックを始めるので戸惑う香恵。
ある日見つけたノートを思い出し、そのページを開いて香恵は読み始める。どうやらそれは若い女 -
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面白かった。
下巻は由唯が職場で惨めな思いをしたり、実際に裁判が始まって野々花の前で証人が決めつけで非難の言葉を浴びせるなど
読んでいて苦しい場面が多かったし、一緒になってイライラしたり悲しくなったりして落ち着かなかった。
後半から一気に展開が変わりスピード感があったので最後はノンストップで読み続けた。
伊豆原弁護士は正義感が強い。まっすぐで優しく、頭も良い。圧倒的に正しいので気持ちよく読めた。
強くあたられても人に裏切られても、「気持ちがわかるような気がした」みたいな描写がほぼ必ずあって、いつでも冷静で真面目な性格なんだと好感が持てた!