雫井脩介のレビュー一覧

  • 望み
    2024.03.18
    いちばん類型的で自分では「人情派」だと思っている建設会社の社長の振る舞いが印象に残る。
    当事者でもないのにわかったような顔をして、最後には土下座せんばかりだったとのこと。そのときのムードに流されて自分は正義の側に立っていると考えている浅薄さが印象に残る。
    当事者以外の人々のふる...続きを読む
  • 互換性の王子
    飲料メーカーシガビオの二世成功は要領良く生きてきた。ところがある日目覚めてみると地下室に監禁されていた。コアラの表紙でまさかのホラーと思いきや、半年後に難なく解放されてみると後はお仕事小説まっしぐら。
    何となく憎めない成功、虐げられて育った腹違いの兄実行、そして黒幕と目される父親、それぞれの思いとラ...続きを読む
  • 犯人に告ぐ 下
    ついに犯人を捕まえた。それもスマートにではなく、泥くさいローラー作戦で。犯人の犯したミスを見逃さずに最後の大博打で見事に成し遂げた。ワシ事件から6年雌伏の時は終わり、再び表舞台に見事に返り咲けてよかった
    孫が拐われた時はどうなるかと思いましたが、無事で良かったけど、このエピソードは蛇足かな
    それにし...続きを読む
  • 犯人に告ぐ2 (下) 闇の蜃気楼
    巻島の出番はすくなかったけど、しっかり事件は解決。
    その大事なきっかけがやはり小川絡みというのはもはやお決まりの流れ笑
    最終的に犯人の勝ちが全くないのはさすが。
    今回は淡野は逃げ切れたけど今後また絡んでくるのかな。次回作も楽しみです。
  • 栄光一途
    存在は知っていたものの、スポーツものということでイマイチそそられなかった雫井氏のデビュー作。
    序盤で既に今まで舐めていたことを実感する面白い展開でした。日本柔道界とかドーピングといったテーマより、ミステリーとしての展開の巧みさと名脇役の深紅の存在が良かったです。
    唯一、シンジの正体に少し余計な要素を...続きを読む
  • 犯人に告ぐ 下
    最終的に事件については結構あっさり解決するが
    その後の話でこの物語の主軸は犯人探しではなく、その背後にある被害者や犯人を追う刑事達の心の話なんだと感じた。
    巻島が何度も健治くんの名前を呼んでしまったり、最後に涙ながらに謝罪するところにグッときた。
  • クロコダイル・ティアーズ
    限りなくあやしい想代子。
    しかし直接何をするわけでもなくただ周りが勝手に壊れていく。
    体内に入った毒が体をだんだん蝕んでいくように年月をかけて一つの共同体を侵蝕していって最終的に自分の居場所を確立してしまう。
    でも結局想代子という人物が本当に悪人なのかどうかはわからない。
    まさに静謐のサスペンス。
  • 互換性の王子
    ストーリーは何一つ目新しくないものの面白かった。飲料メーカーの社運を賭けた新プロジェクト、ライバル会社の妨害、次期社長は誰かの後継者争い。題材としてはかなりの池井戸風味だ。だが池井戸節と異なる点は恋愛話にも比重を置いているところ。恋愛模様もどうなる?と興味津々だったが、恋の結末には大きく不満。そっち...続きを読む
  • 互換性の王子
    お仕事エンタメ本として面白く読みました。
    異母兄弟の確執や、恋バナ、他社からの嫌がらせ含め、内容てんこ盛りでしたが、ドラマ化されるイメージが湧くほどで一気読みでした。
  • 火の粉
    間違いなく傑作。
    職業に対する誇りとか倫理みたいなものを抱える男性は一定数いると思うが裁判官ともなればそれは大きな責任感、
    ともすれば重圧だと思う。
    そんな男が無罪判決を下した元被告の男が、
    隣人として越してきた。そして…。という話。
    この時代に男女でわけるのもうんぬん。という風潮もあるが、歴然とあ...続きを読む
  • 互換性の王子
    雫井作品としては異色な部類か。準大手健康飲料メーカーを舞台にした異母兄弟の2代目争いエンタメ小説。冒頭の監禁シーンから雫井作品らしいミステリー小説になるのかと思ったら案に相違したお仕事小説だった。ライバル企業との確執や恋模様を織り交ぜ、世襲の資質を描く。まあ普通に面白い。
  • 犯人に告ぐ2 (上) 闇の蜃気楼
    さすがのひとことですね。
    犯人の兄弟に感情移入して読んでしまうので、捕まるな、っと思って読んでしまう。
  • 互換性の王子
    ミステリ的な要素が強いかと思ったが、そんなことはなかった。
    乳酸菌飲料の会社でのお仕事小説+恋愛あり…といった感じで面白かった。
  • 望み
    自分の子供は犯人なのか、被害者なのか?
    究極で恐ろしい状況における、家族の心情の描き方が生々しくて引き込まれます。
    ただ、この状況は辛い……。。
  • 互換性の王子
    著者は「犯人に告ぐ」シリーズで強烈なインパクトがあり、今回もミステリーかと思ったところ、意に反して、堂々たる経済小説だった。
    この種の小説が大好きな私にとって、新しい境地を切り開いた本作品は著者のエポックメイキングの作品になると信じている。
    次作もワクワクさせる経済小説に取り組んでいただきたい。
  • 犯人に告ぐ 上
    連続児童殺害事件に対して今までにない「劇場型捜査」が始まる。メルギブソンの「身代金」を思い出した。臨場感があって、展開も早いのでハマりやすかった。
  • 火の粉
    これも前に読んだ本。読み始めたら最後まで止まらない。バームクーヘンが流行ったのはこの本を読んだあとだったっけ?
  • クロコダイル・ティアーズ
    白夜行的な雰囲気のもと、特定の登場人物の真贋を探って行くこととなる。
    「本当はどっちなの?」となかなかページをくる手が止まらない。読み終わって振り返るとそこまで大きな印象を残したわけではなかったが、エンターテイメントとしては楽しめた。
  • 霧をはらう
    雫井さんの文章は本当に綺麗で、読みやすい!

    ストーリー展開も無理なく、現実的、なのにページをめくる手が止まらない。。
    味があり、心に染みる素敵な作品でした。
  • クロコダイル・ティアーズ
    舞台は美濃焼の老舗「土岐屋吉平」
    店主貞彦の跡継ぎ息子が殺害された。犯人は息子の妻想代子の元交際相手だった。
    判決の時「想代子に唆されて殺害した」と発言した事から「吉平」家族に不穏な空気が立ち込める。

    孫の血縁に係る後継ぎ問題、吉平ビルを含む地域の再開発問題、家宝の陶器損壊事件。事あるごとに貞彦の...続きを読む