京極夏彦のレビュー一覧

  • 鉄鼠の檻(4)【電子百鬼夜行】

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    再読。昔読んだ時は当時の自分では難しいと感じる話ばかりでそこらへんは殆どスルーして起こった事柄だけを捉えていたように思う。今読んでも難しい箇所のすべてが分かったわけではないのだろうが、それでも昔読んだ時より登場人物たちへの理解は深まったような気がする。起こった事は単純なのにここまで事件が複雑化したのはやはりあそこは異界だったんだろう。

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    2020年07月10日
  • 塗仏の宴 宴の始末(3)【電子百鬼夜行】

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    文句無しの☆5。
    京極堂の煩悶とそれをいつも通りの不遜な態度で手を差しのべる榎木津、あの場面は百鬼夜行シリーズのなかでも3本指に入る名場面だと思う。ちょっと、涙でてくる。
    心理的なトリックを使う本ではまま取り上げられる題材ではあるけれど、「本当に今の時分は自分の中の意思で行動しているのか?過去の記憶は真実の記憶なのか?」という作中の問いかけは、大人になるにつれて結構重い意味を成すようになってきている気がする。
    そして、記憶にある限りはじめて作中のカレンダーと読中のカレンダーが一致するというどうでもいいことなのに興奮してしまう出来事が起こった。

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    2020年06月20日
  • 塗仏の宴 宴の始末(2)【電子百鬼夜行】

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    終盤に入り、少しずつ色々な事象が表面に浮き上がってきているけれど、それらはまだまだつながらない。もう、関口くんが心配でしょうがない。そして誰を信じれば良いのかわからないむずむず感もたまらない。

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    2020年06月16日
  • 虚実妖怪百物語 序/破/急

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    メタメタ面白かった。妖怪オールスター感謝祭です。読み進めるとどんどん自分も莫迦になるような巫山戯ているのか真面目なのか、虚なのか実なのか、とてもエンターテインメントでロマンが詰まった作品でした。ラストが最高です。
    手首が痛くても読む価値があります。

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    2020年06月15日
  • 続巷説百物語

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    再読。内容はぼんやりとは覚えていた。前作「巷説百物語」に続く今作であるが、このシリーズはどの話も人の心を揺さ振るのが上手い。特に最後の話である「老人火」はそれでしか幕を引けなかった二人の天狗の遣る瀬無さ、そして又市と百介の最後は感情移入できるものでもないのに思わず感情移入してしまう。きっとここで百介の中のなにかは終わってしまったのだと私は強くそう思っている。

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    2020年06月12日
  • 塗仏の宴 宴の始末(1)【電子百鬼夜行】

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    少しずつ断片が繋がりはじめてきた。

    これまで、多くの京極作品を読んできたけど今更ながら気がつかされ、戦慄だなと感じた一節。「彼の手に掛かれば人一人不幸にするくらいは赤子の手を捻るより簡単なことだろう。そうすると唯一の救いは、彼が悪人ではないと云う一点に尽きることになるのではないか。」「彼」というのは、勿論中禅寺秋彦、京極堂のことなんだけれど、確かに読んでいて引き込まれて難なく納得させられてる自分を振り返ると手を捻られてるな、と。

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    2020年06月10日
  • 塗仏の宴 宴の支度(3)【電子百鬼夜行】

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    読みすすめるにつれて、とまらなくなる。
    同じ本を読んでも、今の年齢と過去に読んだ頃の年齢では感じるものも響くものも違うんだって改めて気づく。
    だいたい、人の心って案外簡単に操られてしまうんだなって。「自分の意思」がどこまでが本当の自分の意思なのかわからなくなるって凄い怖いよね?って、いうかそれにさえ気がつけないことがもっと怖い。

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    2020年06月07日
  • 塗仏の宴 宴の支度(2)【電子百鬼夜行】

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    最近発刊された「天狗」や「河童」、「鬼」で敦子が主人公だったこともあり、少し今までとは違った目線で読み進められて新鮮だった。物語がジリジリと動きはじめて面白くなってきた。

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    2020年06月03日
  • ヒトごろし

    購入済み

    ずっと読みたかった作品

    史実で展開は知っている筈なのに夢中で読んでしまいました。作中の歳三の核心をついた台詞にハッとさせられます。只管にかっこよかったです。

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    2020年05月01日
  • 今昔百鬼拾遺 鬼 【電子百鬼夜行】

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    昭和の辻切り事件。七人目の被害者の女学生の友人の話を聞く中禅寺敦子。被害者の彼女はとても怖がっていたという。
    久し振りの百鬼夜行シリーズようやく読みました。いやあ面白い!
    ほぼ会話劇で展開される辻切り事件の真相。ラストシーンの胸のすく啖呵。いやあ面白い。

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    2020年04月22日
  • 文庫版 書楼弔堂 炎昼

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    書を弔う、とは言いますが、始終ヒトに対する愛とあわれみに溢れている小説ですね。
    文章に京極夏彦さんの繊細さと慈しみと優しさが感じられました。

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    2020年04月17日
  • 絡新婦の理(3)【電子百鬼夜行】

    ネタバレ 購入済み

    桜の季節はコレ。

    桜が早く咲き、散り際です。(東京では)この季節に読まなきゃ、いつ読むの?という事で何度も何度も読んでおりますが、今回は電子版で購入しました。桜が好きな方には申し訳ないのですが、桜が禍々しく感じられる京極氏の傑作です。特に益田君が探偵に弟子入りする記念すべき巻ですね。苦手なんて言わないで是非!読んで欲しい春の一冊。コロナ禍で暇してる方には読みごたえ十二分です。

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    2020年03月30日
  • 西巷説百物語

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    シリーズ最終巻

    舞台は大阪
    主人公は又市の仲間である林蔵

    鮮やかな仕掛けと心理戦で人間の底に踏み込んでいく

    このシリーズ、蘊蓄が少なくて読みやすいから好き

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    2020年03月30日
  • 前巷説百物語

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    小股潜りの又市が御行となるまでのお話

    まだ若く、青臭いところのある又市が魅力的
    悩み、悔やみ、そして裏の世界で生きてゆく決心をする。

    「窮鼠」は、「続」に出てきたあの話に繋がるのだなぁと納得

    分厚いですが後半は一気読み
    テンポの良い会話は、落語のようです(笑)

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    2020年03月08日
  • 文庫版 書楼弔堂 炎昼

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    何の知識もなくとも書けそうな本が溢れる今、こんなにも丁寧に書き上げられた本を読むと嬉しくなるのです。しかも単行本をそのまま文庫化するのではなく、文庫は文庫で見開きにちゃんと字が収まっている。この京極さんの凝りようが嬉しくてたまらない。

    本好きで、想像できたなら必ず足を踏み入れたくなる弔堂。訪れる実在の人物たちは本当にこうだったかもしれません。人が死なねばならぬ義などない。生きてこそ。

    澤村伊智さんが敬意を表している京極さん。『ししりばの家』を読んだあとこれを読んだら、幽霊いないよと言いたくなってしまう(笑)。

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    2020年02月13日
  • 続巷説百物語

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    シリーズ第2弾

    今回は、又市一味の過去も少し触れられ
    妖怪を騙った仕込みも、藩全体を巻き込んだいちだんと凝った壮大な話になってゆく。
    狂気の藩主の話は鳥肌もの。

    今回で百介と、又市たちの話はどうやら終わり??
    もっとこのメンバーの話を読みたかったかも。。。

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    2020年02月02日
  • 前巷説百物語

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    やることなすこと青臭く、仕掛けも稚い若き日の又市が、いかに御行になりにしか。悩み多き又市を中心に、様々な人々が巻き込まれ、妖怪たちが事件に意味を与える。

    我々の世代では江戸社会の構造を「士農工商」と習い、今の子供たちは「武士-百姓/町人」の二層構造で習っているそうだが、この本はその構造の外側の人びと、更には「外側の人びと」という枠にも入れない人びとにスポットを当てた物語。調べれば調べるほど、江戸東京の文化・芸能において被差別民が担った役割は大きい。

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    2020年01月28日
  • 魍魎の匣(3)【電子百鬼夜行】

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    再読。私が百鬼夜行シリーズの中でも一番に好きな作品がこの「魍魎の匣」である。上・中・下と分冊されている本作だが上・下では複数の事件が絡みに絡みどう収拾するのかと最初に読んだ時は思っていたわけだがそれは下で見事に納まり全ての事件に幕が下ろされる、各々に傷を残しながら。その幕の下ろし方が私はとても好きでたまらない。この事件で最終的に幸せを掴んだ者は雨宮ただ一人だったのだろうが、彼のいった彼岸が私はとても気になって仕方がないがそれも魍魎のせいなのだろうか。

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    2020年01月18日
  • 嗤う伊右衛門

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    伊右衛門とお岩の悲恋を中心に、様々な登場人物の心情や秘密が交錯する。
    ホラーというにはあまりに論理的だが、ミステリーというにはあまりに幻想的。
    江戸下町文化の奥深さにも気付かせてくれたし、実りのある読書だった。

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    2019年12月29日
  • 文庫版 書楼弔堂 炎昼

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    身近で大切な命の危機を感じたいま、ご主人の言葉はいつも以上に重い。
    人間の弱さを救い上げてくれるご主人の言葉は、こちら側の人間さえも救ってくれる。ご主人のように言葉を解釈できて、発することができたらいいのに、と思う。

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    2019年12月12日