京極夏彦のレビュー一覧

  • 文庫版 妖怪の理 妖怪の檻

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    そもそも、妖怪とは何か?
    という問いがベースにあり、つらつら云々と解説されていく。
    非常にわかりやすいし為になる。
    妖怪ファンの方是非どうぞ。

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    2023年08月29日
  • 文庫版 地獄の楽しみ方

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    言葉徹底講座とあるが、これは凄い。 言葉とは何か?言葉の限界とは? 徹頭徹尾真理を突き続けている。 頷かざるを得ない。 特に前半の拈華微笑のところは必ず賛否(否の意見のが多いでしょう)あれども、言葉と意の限界に関して、言葉のプロがズバッと切り込むので小難しい単語の並ぶ仏教の入門書(特に禅系)より遥かに分かりやすいと思う。 百の言葉よりたった一つの目の前の現物。 言葉の限界を突き付けられます。 どうあれ、概念、言葉、思い、よりも目の前のもの、五感の領域のものの方が圧倒的に重いし、それこそがリアルですよね。

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    2023年08月28日
  • 文庫版 ルー=ガルー 忌避すべき狼

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    単行本でかなり昔に読んだが、内容失念により再読。
    京極氏のSFシリーズって、なんだか新鮮だなぁ…と
    当時と全く同じことを思いながら。

    【執筆にあたり、近未来社会の設定を一般公募することによって、幅広いアイデアを物語に盛り込んだ、京極氏の新しい試みを取り入れている…とのこと】

    世界観がとても怖かったのだけど、一部分あり得ない話じゃないのかも…と感じた。
    分厚い本だが、その分深くたっぷりと楽しめる。
    読後に本を見たら、ボロボロになってしまっていたけれど、本棚にきちんと保管しておこう。

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    2023年10月29日
  • 今昔百鬼拾遺 月 【電子百鬼夜行】

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    面白かった。続編も書いて欲しい…
    エモーショナルに叱りつける呉さんの痛快さがお約束化されている。敦子の情報整理→解きほぐしにそのお説教が加わって、それで京極堂の「憑き物落とし」に近い効果になる。

    「河童」「天狗」はお馴染みのキャラクターが小出しに登場する楽しさもあり、地理院地図で夷隅川や高尾山の地形図を見ながら読み進めると旅気分で楽しかったりした。

    『絡新婦の理』ではフェミニズムもテーマのひとつだったが、その中心にある人物が「これを語っている人が犯人かもしれないと読者が疑いつつ読ませる」構成でもあったため、どう受け止めれば良いものか悩んだりもした。本作は自らを「属性」で語られることの違和感

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    2023年08月25日
  • 文庫版 書楼弔堂 破曉

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    ネタバレ

    夏なので、京極先生でも読むかな~ということで。
    自宅書棚の京極堂シリーズを読み直すのも、
    かなり分厚い為に気安く手を出せず、
    未読だった弔堂シリーズに手をつけた。
    いい表紙だなぁ…これが弔堂の入り口なんだね。
    異質な存在感も匂いも感じるし、その戸を開けて入りたくなる。

    舞台は明治20年代の半ば、東京の外れ。
    明治といえば文明開化。四民平等。
    今の私たちの生活に欠かせないアレコレが生まれたのもこの時代。
    郵便局、鉄道、銀行…。
    ただ、西洋の文化が流れ込み、精力的に新しい時代の波に乗るものも居れば、置いていかれるものも居る。
    例えば、武家の者。
    そんな高遠が、ナビゲーターのように読者を誘ってく

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    2023年08月17日
  • 書楼弔堂 待宵

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    大好きなシリーズです。歴史は、詳しくないですが、なんとな〜く、そういう時代をイメージしながら、調べもって読むのもいいなぁ〜と思える1冊です
    読むと、やっぱり自分の1冊を、見つけたくなります

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    2023年07月27日
  • 巷説百物語

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    ネタバレ

    巷説百物語シリーズの始まり、やはり御大は面白い…。

    『妖怪の宴 妖怪の匣』とかで顕著なんだけど、御大は妖怪の存在自体を信じてはいない。いない側の立ち位置なんだけど、いないのに巷説で語られてきたことにむしろ強く興味を持っている(もちろん、神秘否定というわけではなく、道理が成り立たないからいないとしているに過ぎないのが御大の面白い部分なんだけど)。
    つまり妖怪が成り立つ理屈というか、何故そんなものが受け入れられたのか?ということに主題がある。

    だから本書は一貫して”妖怪の実在を肯定していない”。けれど、妖怪の仕業とした方が収まりが良いように構成されている。芝右衛門狸なんて特にそうだし、柳女は加

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    2023年06月22日
  • 文庫版 書楼弔堂 破曉

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    自分にも、自分の1冊があるのかなぁ〜、と、思いをはせてしまいます
    歴史と絡めたところも、面白く、自分も、その時代にいて、その場に参加しているような、そんな気持ちにさせてくれる1冊です
    無駄な物はないのだな〜と、しみじみ思います

    良い本です

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    2023年06月18日
  • 死ねばいいのに

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    死んだ女のことを聞いてまわる無礼な男。
    その男と話しているうちに、自らの矛盾や身勝手さを突き詰められ、しまいには「死ねばいいのに」と言われる。その言葉を言われた当の本人は、自分自身で気づかなかった本音や感情に気づいてしまう。
    無礼な男、ワタライケンヤが聞いてまわる人たちは、身勝手な人たちだ。ただ、その人たちが持つ身勝手さは、読者である自分自身も持っているものであり、だからこそワタライケンヤの放つ「死ねばいいのに」という言葉が、まるで自分自身に言われているかのように刺さってくる。
    しかし、その時に、改めて自分自身を客観的に見ることができ、自分の背負う余計なものに気づくこともできるかもしれない。

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    2023年05月31日
  • 文庫版 書楼弔堂 炎昼

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    今作は塔子さんが主軸。当時の女性の置かれた役割や家父長制についての煩悶は、未だ共感できてしまうもの。塔子さんの悩みと、弔堂の選書が照らしてくれる進んでいく道には涙してしまった。
    松岡國男さんの辛さも、時代を超えるもの。死とは、そして死者はどこへ行くのか。それを考えることはどう生きるかにつながる。國男さんが立派に生を全うできたことにも涙した。

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    2023年05月07日
  • 魍魎の匣(1)【電子百鬼夜行】

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    凄まじき情報量、非常に楽しめる。
    中途に挟まれる話も良い。あの隙間を埋めたくなる奇妙な感覚に妙に共感。

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    2023年05月06日
  • 中禅寺先生物怪講義録 先生が謎を解いてしまうから。(7)

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    今回は榎さんお休みで、木場修が活躍(^^)♪これ読むと、京極堂シリーズの新作が読みたくなって仕方がなかったんだけど、最近はこれで満足している自分がいる(^o^;)栞菜ちゃんの財布は見つかったのかしら?おまけマンガも楽しい♪

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    2023年04月23日
  • 書楼弔堂 待宵

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    自分にとって人生の指針となるただ一冊の本を売ってくれる書店。だがその本屋は街に馴染みすぎて皆面前で通り過ぎてしまう。
    歴史の偉人たちが弔堂で本と出会い…の流れが面白い。竹久夢二の話が私は好き。
    私が弔堂を訪れたら一体どんな本を勧められるだろうか。

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    2023年04月12日
  • 書楼弔堂 待宵

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    ネタバレ

    徳富蘇峰、岡本綺堂、宮武外骨、竹久夢二、寺田寅彦そして斎藤一。各章に実在の人物が登場するので、読みつつ「これは誰?」と推測するのが楽しい。残念ながらここに出会うまでは竹久と斎藤しか知らぬ浅学で、世間では知られた御歴々にて有難き引き合わせ。明治のジャーナリスト、小説家に俳人たち。ほぉ、彼ら文筆家を操觚者と称するのですか。宮武だけは本の買い手ならず売り手でという捻りあり。日本の急速な西欧化、近代化とともに戦争の傷。作中で反戦を貫きながら、歴史の節で彷徨う彼らに理を与える。語り手弥蔵と利吉の掛け合いがまた愉快。

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    2023年04月09日
  • 遠巷説百物語

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    ネタバレ

    待ってました大好きなシリーズ
    読む前から読み終わってしまうのが惜しくて
    自分を焦らしていたのですが、我慢ができなくなりついに読んでしまいました。

    このシリーズは、身分の外の人たちが
    どうにもならない困ったことを怪異に見せかけて丸くおさめてしまうお話です。
    殺さずに悪を成敗する、必殺仕事人のような
    情に厚く優しいお話。
    最初のお話から遠野の迷家というパワーワード登場に、そうそうこんな世界観だった。と懐かしい気持ちになりました。

    今回のキーマンの祥五郎さんが
    また百介さんとは違った人の良さが滲み出てました。
    娶ったのではなく、添うたのである。
    という一文が祥五郎さんの人柄を表していてとても好き

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    2023年04月02日
  • 書楼弔堂 待宵

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    その時代の著名人物が
    その時代の町を歩き
    その時代の事件に出遭い
    その時代の風に吹かれる


    この懐かしい感じは
    そうだ!
    「坊ちゃんの時代」(関川夏生・谷口ジロー)を
    読んでいた時だ
    と 確か「弔堂シリーズ」1,2の時も思ったのでした

    今回は、
    個人的に「探書拾伍(第五章)」の
    宮武外骨さんの章が大贔屓であります

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    2023年03月30日
  • 虚談

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    ネタバレ

    京極夏彦御大の本は結構読んでるけど、その中でも相当に読みやすい部類に入ると思う。

    全体的に「虚」「嘘」が中心となっており、各話を読んでも何が真実なのか逆にわからなくなってしまう。

    この世は概して「嘘」と「本当」に分けられる。
    しかし過去もルーツも、今見ている世界も夢も…「嘘」になってしまうなら一体何が「本当」なんだろうか?

    「虚構」にならない恐怖だけが残る味わい深い京極ホラー。やはりこれはクセになる。

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    2023年03月19日
  • 文庫版 書楼弔堂 破曉

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    京極夏彦さんは京極堂シリーズ(は途中まで)、今昔百鬼拾遺のシリーズなどを読んできましたが、この書楼弔堂シリーズも前から読んでみたかったんです。

    江戸の町の書楼弔堂の亭主は「ただ一冊、大切な本を見つけられればその方の仕合わせ」と云っている本屋です。
    しほるという小童がひとりいます。

    高遠という弔堂の常連客が主人公で、探書 壱から探書 陸までの六話に渡って現れる客に弔堂の主人がその客に合った一冊の本を薦める話です。


    以下ネタバレありますので、これから読まれる方はお気をつけください。



    高遠の連れてくる客は臨終間際の絵師、月岡芳年。書生時代の泉鏡花。哲學館を創設し、後に妖怪博士と呼ばれた

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    2023年02月18日
  • 鉄鼠の檻(1)

    ネタバレ 購入済み

    京極ワールド

    ジャパニーズホラー。
    日本独特の怖さ。
    令和の感覚からすると古めの宿。
    黒電話。
    雪の中、足跡もなく座る僧侶。
    それは序章に過ぎなかった――
     
    恐ろしくも美しい上質なホラーの幕開けだ。
    独特の世界を漫画で。

    #怖い

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    2023年02月11日
  • 文庫版 書楼弔堂 破曉

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    面白かったー!
    明治20年代の東京。異様な本屋、書楼弔堂には無数の本が集められおり、己の一冊を求めて迷える人々が訪れる。
    そこの主人は迷いを晴らし、その人のための本を紹介する。
    まるで京極先生の説教を間近で聞いているような贅沢な気分になる本だった。

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    2023年01月31日