京極夏彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
京極夏彦さんは京極堂シリーズ(は途中まで)、今昔百鬼拾遺のシリーズなどを読んできましたが、この書楼弔堂シリーズも前から読んでみたかったんです。
江戸の町の書楼弔堂の亭主は「ただ一冊、大切な本を見つけられればその方の仕合わせ」と云っている本屋です。
しほるという小童がひとりいます。
高遠という弔堂の常連客が主人公で、探書 壱から探書 陸までの六話に渡って現れる客に弔堂の主人がその客に合った一冊の本を薦める話です。
以下ネタバレありますので、これから読まれる方はお気をつけください。
高遠の連れてくる客は臨終間際の絵師、月岡芳年。書生時代の泉鏡花。哲學館を創設し、後に妖怪博士と呼ばれた井上圓了。ジョン万次郎の連れで勝海舟に「名を捨てて生きろ」と云われた男、岡田以蔵。児童文学者となった巌谷小波。そして登場人物ではありませんが夏目金之助や尾崎紅葉、福沢諭吉などの名前も出てきます。
エンタメ度は他の作品より低いと思いますが、近代文学の好きな方は楽しめる作品なのではないでしょうか。
時代を超えた格調の高いビブリオミステリーで、私にはちょっと難易度が高い作品でした。 -
購入済み
京極堂スピンオフ
正直期待せずに読み始めたらおもしろくて全配信分購入して読んでしまった
時代背景、おせっかい、謎解き、絶妙なテンポで進んでいくので笑ってドキドキして読めた -
Posted by ブクログ
京極夏彦の名作ミステリー『魍魎の匣』、分冊文庫版の下巻。
「加奈子殺人未遂事件」、「加奈子失踪事件」、「連続バラバラ事件」―――同時進行で発生する不可解な事件たち。そして防ぐことの出来なかった新たな犠牲。「京極堂」こと中禅寺朗彦は、これ以上の犠牲者を出すことを阻止するため、事件の幕引きをするため、"魍魎"に惑わされた人々の心に憑いたモノをふるい落とすため、その腰を上げる―――。
ついに明かされるおぞましい事件の全貌。"魍魎"に惑わされた人々の、偶然の繋がりによって引き起こされた一連の事件。それは、「偶偶そう云う状況が訪れて」しまった悲劇―――前作に引き続き、素晴らしい作品であった。
(余談だが、2008年にInnocent Greyから発売された18禁ADVゲーム『殻ノ少女』、発売当時から本作『魍魎の匣』との類似性を指摘されていたのだが、予想以上にそのまんまだった。あまりにもそのまんまだったので、読みながら頭の中で映像化していると、全部『殻ノ少女』のキャラクターで再生されてしまっていた。) -
Posted by ブクログ
この怖い表紙の本を電車で読んでたのはテロだったかもしれない。
でもね。この本、見返しの方が怖いんですよ。夜中にふと開いてギョッとしました。
「もくちゃん」あたりから、この不条理で、不愉快で、気味が悪いのにどこか懐かしいような世界の虜になってしまった。
少しの違和感が怪異になり、どんどん増殖していって、最後には酷く粘性のある湯にどっぷり浸かったように、登場人物が異常な世界で身動きが出来なくなっているこの感じ、クセになる。
それにしても厭な怪のこのディティールの細かさよ。
中庭の池にたまに湧くぺらっぺらな「半紙を人の型に切り抜いたようなもの」や、誰もいないのに鏡の中に映る「くねくねと蠢」く中年の女や、縁の下で地べたに腹這いになった「真っ赤な女の人」にほんとに遭ったことあるのかい、京極先生。
「もくちゃん」「シリミズさん」「杜鵑乃湯」が特に好き。 -
Posted by ブクログ
文句なしの満点。
この作品も再読だったがあまり記憶になく、改めて楽しめた。
今までは、この百鬼夜行シリーズの中では鉄鼠の檻が一番好きだったが大人になり改めて理解した今、この陰摩羅鬼の瑕がとても心をつかむ作品だということに気付かされる。
社会性を身につけることは、社会で生きていれば当たり前で京極堂の言うとおりに意識することなど皆無だが、閉ざされた世界で生きる人にとっては当たり前ではないことに周りも気がつけない。これが今回の最もな悲劇となるわけだが最後の、京極堂の憑き物落としのなかで発せられた「間違っているのではなく、違っているのです」
この言葉がとても優しく、更に真実を的確に伝える言葉で涙が止まらなかった。 -
Posted by ブクログ
「巷説百物語シリーズ」、今回はすべて仕掛けられる側の視点で物語られる。それにしても京極氏のスタイリッシュぶりよ。全作品五つの節から構成される。壱で視点人物が登場し、何やら妖しげな状況に置かれているが、まだ読み手には良く分からない。それが弐、参と進むにつれて事件が明らかにされつつ、肆で反転(ネタバレになるので詳しく書けない)、結末にいたり、後で仕掛の種明かしがされるという同一形式。そして文章のすばらしさにうっとりさせられる。そして殆どの作品、視点人物が悪なのだけれど、それぞれなりの事情を抱えており、なんとも哀しかったりする。そして最終話。又市が、林蔵が、(これまでのシリーズ作でほのめかされてきた)上方から江戸へ落ちることになった過去仕掛の顛末が明かされ、十六年後の決着。泣ける。西のオールスター登場(+ゲスト出演)という感じも嬉しい。やはり京極凄いわ。
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Posted by ブクログ
「嘘でした」と急に言われても、一体どこから嘘なのか、わからなくなるときがある。この本は、そんな嘘の範囲の曖昧さを巧妙に描いた、短編集である。
あまりに嘘が多過ぎてしまうと、いったい全体この本の内容は、読む価値があるのかしら、と思ってしまうが、そこで読む手を止めることなく進んでいただきたい。
嘘である、前提をもとに、ではどこからどこまでは本当の話なのか、と考えながら読むことをお勧めする。
とはいえ、この作品はフィクションだから、全て嘘といえば嘘なのだが…。
京極夏彦氏の本を初めて読んだが、なかなかに難しい表現があって面白い。日本語の表現力の可能性を再び、三度感じさせる。 -
Posted by ブクログ
初めて読んだ京極夏彦先生の作品。
表紙の「弔堂」はドールハウス⁉︎ 凄い。
六話収録。
この物語は’奇’ではあるが’怪’ではない。
明治二十年代の東京。「燈台みたいな変梃な」(p21)書舗を訪れる種々の客たち。
この客たちというのが普通の客ではないのだが、その正体は各話とも初めは伏せられており、その正体が明かされるまでのワクワク感が堪らない。
また、真名が伏せられている間の会話等に所々ヒントとなるような情報が散りばめられており、客が誰かを推理することも決して不可能ではない…というよりも詳しい人ならばすぐにピンと来るのかもしれないが。
どの話も好きだが、〈探書肆 贖罪〉が特に良い。「鯨を捕ったり金を採ったり」(p288)した中濱という男…こちらはまだわかりやすい。ではもう一人の男は誰?…え⁉︎
これはたまげました。
これらは勿論、京極先生による創作ではあるのだが、実際ほんとうにこんな出来事があったのではないだろうかと思わせられる凄味がある。
まるで夢幻のような小説。
1刷
2022.3.21