京極夏彦のレビュー一覧
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妖怪とは何か。がわかる本。
この本の魅力は、達磨先生による京極節妖怪解説もさることながら、豆腐小僧をはじめ、妖怪たちがコミカルで、愛らしいところである。
また、現代から見た語りがテンポよく洒落ていて、筆者の言の葉を操る力を改めて感じる。阿呆加減を表現する言葉が、こんなにたくさんあるとは思わなかった(笑)。
そして、当然のように、この厚さにも関わらず、頁をまたぐ文章は存在しない。
理屈のある妖怪たちに出会うたびに、豆腐も持っているだけで何の意味もない豆腐小僧の概念について、様々な妄想を膨らませる。
最後の見せ場では、豆腐小僧を応援する自分がいた。
狸、狐の妖怪について、格式の -
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御行の又市でなく、靄船の林蔵が仕掛ける七つの話からなる、巷説百物語。
今のところシリーズ最後のこの一冊だけは、特に理由もないまま、随分長く手に取りませんでした。
ただ、手にとってみれば、一編一編あっという間に読んでしまうくらい、それぞれのお話とも1行目からすーっと物語の中に引きずり込まれていく。
分厚さも何のそのグイグイと読ませられてしまう京極節、久々に堪能しました。
お馴染みのシリーズかとは思いますが、簡単に紹介しますと、市井の人の届かぬ思い、果たせぬ願い、叶わぬ望みを、様々な「仕掛け」をもって叶えることを生業とする悪党どもの物語です。
京極さんは、ご自身なりの「必殺」シリーズをイメージ -
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巷説シリーズを読み返している流れで覘き小平次を読みました。この作品については、今回が初読みでした。
巷説シリーズの長編2作目、になるのでしょうか。又市は影くらいしか出ませんが、治平さんはがっつり登場しました。
やっぱり治平さんはいい人だなぁと思いました。
本編ですが、登場人物の気持ちがどうしてもわからない、そんな感想でした。小平次とお塚、この2人はどんな関係なのだろう・・・でも依存関係であることは伝わってきました。
<以下引用>
コトは語って初めてモノになる。語らなくちゃ何もねェんだ。嘘でも法螺でも吹きゃ吹いただけモノになるんだ。
この言葉好きだなと思いました。色んなことを思 -
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やっぱり楽しいですね。巷説シリーズの続編です。
又市さんがかっこいいですね。
百鬼夜行シリーズの榎さんも人気がありますが、きっと又さんも相当人気があるんだろうなと思います。
今回のお話は短編ですが、それぞれのお話が繋がっていました。
それにしてもひどい。ひどすぎる。で、ちょっと考えてみました。
の大好きなことをやめろ、してはいけない、でも大好きで仕方ない。そんな場合、自分はその欲望を抑えることができるだろうか。自分ならそれは本を読むこと。きっと我慢できなくて、ばれなければ、なんとかしてその欲求を叶えようとする。
人殺しはちょっと違うとは思うけど、そう考えると少し怖いです。 -
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ネタバレ大坂を舞台に展開する「恨み晴らします」稼業をいとなむ ”一文字屋” の西の一派を描いた作品。
お武家でもなく百姓でもなく、増してや里の者でもないと自らを半端者と呼ぶ者たち。彼・彼女たちの活躍が多少荒っぽい古めかしい大坂弁で語られる。まるで浄瑠璃芝居のように。
今回は靄船の林蔵(もやぶねのりんぞう)が影に日向に活躍する。この林蔵という男、一見して優男。つるりとした顔にきれいな目鼻立ち。しかも言葉が巧みで人を操るのが上手い。
もはや詐欺師と言っても良いくらい。
とうてい鼻持ちならず厭な奴かと思って読んでいると(悪党一味だと思って読んでいると)意外な林蔵の正体が見えてくる。
登場人物全員が悪党