京極夏彦のレビュー一覧

  • 文庫版 豆腐小僧双六道中ふりだし

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    妖怪とは何か。がわかる本。

    この本の魅力は、達磨先生による京極節妖怪解説もさることながら、豆腐小僧をはじめ、妖怪たちがコミカルで、愛らしいところである。

    また、現代から見た語りがテンポよく洒落ていて、筆者の言の葉を操る力を改めて感じる。阿呆加減を表現する言葉が、こんなにたくさんあるとは思わなかった(笑)。
    そして、当然のように、この厚さにも関わらず、頁をまたぐ文章は存在しない。

    理屈のある妖怪たちに出会うたびに、豆腐も持っているだけで何の意味もない豆腐小僧の概念について、様々な妄想を膨らませる。
    最後の見せ場では、豆腐小僧を応援する自分がいた。

    狸、狐の妖怪について、格式の

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    2018年05月29日
  • 嗤う伊右衛門

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    おばけ、妖怪は怖いだけではいけない。。

    語り、歌舞伎等でおもしろくするためには、岩を哀しく、恨みを深くしなければならず、伊右衛門を悪く、より悲惨にしなければならなかった。。でもこの作品は違う。

    気丈な岩と、優しい伊右衛門。。
    しかし、すれ違いによる悲劇。。仇討。
    恋愛小説である。

    実在したという伊右衛門、岩も、こんな人たちだったらいいなぁと想う。

    顔が爛れていることが、二人の間で大きな障害になっていないところが、すごく好きだ。


    恨めしや

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    2018年05月29日
  • 後巷説百物語

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    『続』の方が話としては面白いのですが、こちらにはまさかの仕掛けが施されています。

    京極夏彦の作品全ての、契機になっている作品で、これを読まないと髄まで愉しむ事が出来ないのです。
    本編自体も、必殺仕事人的面白さは健在で単体で読んでも十二分に楽しめますが。

    このシリーズ程、続編が読みたいものはない。

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    2018年01月24日
  • 西巷説百物語

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    御行の又市でなく、靄船の林蔵が仕掛ける七つの話からなる、巷説百物語。

    今のところシリーズ最後のこの一冊だけは、特に理由もないまま、随分長く手に取りませんでした。
    ただ、手にとってみれば、一編一編あっという間に読んでしまうくらい、それぞれのお話とも1行目からすーっと物語の中に引きずり込まれていく。
    分厚さも何のそのグイグイと読ませられてしまう京極節、久々に堪能しました。

    お馴染みのシリーズかとは思いますが、簡単に紹介しますと、市井の人の届かぬ思い、果たせぬ願い、叶わぬ望みを、様々な「仕掛け」をもって叶えることを生業とする悪党どもの物語です。
    京極さんは、ご自身なりの「必殺」シリーズをイメージ

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    2017年10月15日
  • 覘き小平次

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     巷説シリーズを読み返している流れで覘き小平次を読みました。この作品については、今回が初読みでした。
     巷説シリーズの長編2作目、になるのでしょうか。又市は影くらいしか出ませんが、治平さんはがっつり登場しました。
     やっぱり治平さんはいい人だなぁと思いました。
     本編ですが、登場人物の気持ちがどうしてもわからない、そんな感想でした。小平次とお塚、この2人はどんな関係なのだろう・・・でも依存関係であることは伝わってきました。

     <以下引用>
     コトは語って初めてモノになる。語らなくちゃ何もねェんだ。嘘でも法螺でも吹きゃ吹いただけモノになるんだ。

     この言葉好きだなと思いました。色んなことを思

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    2017年09月18日
  • 続巷説百物語

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     やっぱり楽しいですね。巷説シリーズの続編です。
     又市さんがかっこいいですね。
     百鬼夜行シリーズの榎さんも人気がありますが、きっと又さんも相当人気があるんだろうなと思います。
     今回のお話は短編ですが、それぞれのお話が繋がっていました。
     それにしてもひどい。ひどすぎる。で、ちょっと考えてみました。
     の大好きなことをやめろ、してはいけない、でも大好きで仕方ない。そんな場合、自分はその欲望を抑えることができるだろうか。自分ならそれは本を読むこと。きっと我慢できなくて、ばれなければ、なんとかしてその欲求を叶えようとする。
     人殺しはちょっと違うとは思うけど、そう考えると少し怖いです。

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    2017年09月18日
  • 百鬼夜行 陰(全)【電子百鬼夜行】

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     やっぱり面白いなぁと思いました。
     気温差のせいか風邪をひいてしまったので、土日はずっと眠っていよう、ベットでおとなしく小説読もうと思ってまた手に取った本でした。
     百鬼夜行シリーズを順番に再読していたので、状況がよくわかりました。百鬼夜行シリーズで関わった人物(主に犯人)から見た目線、想いが描かれています。明るい話ではないですが、世界観がやっぱりとても好きです。
     逆にこのシリーズを読んだことがない人がこの本を読んだときどんな感想を持つのかなと気になりました。
     早く陽を読みたいですが、雨→陰摩羅鬼→風→邪魅まで読み返してから読むぞ!

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    2017年09月18日
  • 嗤う伊右衛門

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    病により美しい顔をを失った岩と、その婿養子として迎えられた伊右衛門。
    悪しき意思により2人の中は裂かれ、伊右衛門は心に深い傷を負う。
    岩と伊右衛門の異なる性質の強さに、感動してしまった。

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    2017年06月20日
  • 姑獲鳥の夏(3)

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    なぜ京極堂は関口の過ちというか過去やってしまったことを知っているのだろうか
    知らないけれど、関口の反応から察したのかな?
    悲劇的な考えのすれ違い・・
    話し合いをしていれば防げた悲劇なのかな?とは思ったけど多分無理なんだろうな・・・

    体外受精がホムンクルス作りだなんて体外受精の知識を持っている現代人とっては笑い話だけど
    そうでない時代の人達にとっては錬金術のようなものだったんだなあ・・としみじみ思った

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    2021年12月30日
  • 続巷説百物語

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    巷説シリーズ第二弾。
    連作短中編集の体裁を取っているこの、必殺仕事人シリーズ。
    中でも【続】は核となっており、各話に散りばめられた悲しみ憎しみが、最終話に収斂されていく様は本当に秀逸。

    百物語、というからにはまだまだ続いていくんだろうか。
    是非とも100話、描き切って欲しいです。

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    2017年04月24日
  • 後巷説百物語

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    ネタバレ

    大好きになったシリーズ。切なすぎる最後だったけど、きっと山岡百介さんは幸せな生涯だったと思う。小夜ちゃんの口調がおぎんさんに似ていたからきっと、、って思って読み進めたらやっぱり。「道を通せば角が立つ。倫を外せば深みに嵌る」又市さんの存在が百介さんにどれだけ大きな存在となってるのか苦しくなるくらいの想いがつまっていた百物語の最後でした。

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    2017年03月02日
  • 続巷説百物語

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    巷説百物語の続編。 巷説百物語と時系列が絡み合っているので、又市、百介一行の動きを整理しながら読むと前後関係が面白い。 今回も仕掛けとして化け物をこの世に生み出し、人の無念を丸く収める鮮やかさに圧倒される。 最後の仕掛けである老人火は、残念なことに全然わからなかった。誰の立場にも立てないまま読み終えてしまい、残念である。けれども悲しい幕引きだったという印象は残っている。 いつか分かる日が来ると信じたい。しかし分かってしまうことが怖い気持ちもある。

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    2017年01月30日
  • 後巷説百物語

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    江戸で妖怪が受け入れられていた時代から、近代化を押し進め妖怪は古いと言われるようになった明治での巷説百物語。 八十を超えた百介が又市たちと関わった不思議な出来事を懐かしく思いながら語っていく話。 百介からの視点なので、百介が又市一行をどのように捉え、感じていたかが分かる。越えられない一線の向こう側で生きる又市たちに憧れを持っているのが切に分かった。 最後の「風の神」は長い仕掛けの幕閉じであり、涙がほろりと零れそうになる。

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    2017年01月30日
  • 狂骨の夢(1)【電子百鬼夜行】

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    神道における神は良くも悪くも並外れた者。必ずしも優れた資質があるわけではない。(例:祟り神)

    京極堂の神に関する説明に納得。横並び意識の強さから“祀る”という行為が生まれたように思える。

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    2016年12月02日
  • 百鬼夜行 陰(全)【電子百鬼夜行】

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    ネタバレ

    京極夏彦は「京極堂」シリーズ一本、という方は
    それなりにいらっしゃるのでは、と思います。
    私も割と最近までそうだったのですが。

    これ、「京極堂」シリーズのスピンオフみたいな位置づけでかつ、一応シリーズもののようです。短編集です。「百器徒然袋−雨」「今昔続百鬼−雲」「百器徒然袋−風」と続くようです。

    この文体が落ち着くし、榎さんは好き勝手にやりたい放題だしで楽し〜い〜 ^^/

    最後の一遍が関口モノだったので、関口ファンとしては、ラッキー。「姑獲鳥の夏」前夜って感じの時制で、ちょっと懐かしかった。

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    2016年11月04日
  • 絡新婦の理(3)

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    ネタバレ

    いろいろと事件の真相は明らかになるも、その動機(なぜ絞殺魔になったのか、なぜ目潰し魔になったのか、蜘蛛の正体とは、など)については謎のまま。
    かなりスピードアップしてるけど、気にならないくらい楽しめる。(可能ならもっとじっくり連載してほしいけど…)
    次巻で完結ということで、ついに京極堂による憑物落とし開始。原作のあのラストはとても印象的なので、漫画でどのように描かれるかがとても楽しみ。
    3月が待ち遠しい…!

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    2016年10月23日
  • 魍魎の匣 1巻

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    角川祭りで半額だったのでこの機会にと購入。
    こちらはアニメも観たし百鬼夜行シリーズとしては有名なお話なので比較的記憶に残っていた。
    すべてのシリーズに言えることだけど、京極さんの作品は無駄がない。すべてが伏線で、すべてが必要な情報。だというのにすごい情報量。
    小説だと読み応えがありすぎるが、漫画だと比較的読みやすくで好き。

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    2016年10月05日
  • 姑獲鳥の夏(1)

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    角川祭りで半額だったのでこの機会にと購入。
    いつかは、いつかはと気になっていた作品だけにまとめ買い、かつ一気読み。
    原作はすでに読破済みだが情報量の多い作品なので大まかなストーリー以外全然記憶になかった。
    やっぱり百鬼夜行シリーズは面白い。個性的なキャラで誤魔化すのではなく、ストーリー自体も非常に濃厚で、小説の方も読み直したくなる。

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    2016年10月05日
  • 続巷説百物語

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    言葉だけで、人間を操れることの恐ろしさと解っているのに引き込まれるもどかしさ。長いお話なのに飽きさせない。

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    2016年09月25日
  • 西巷説百物語

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    ネタバレ

    大坂を舞台に展開する「恨み晴らします」稼業をいとなむ ”一文字屋” の西の一派を描いた作品。

    お武家でもなく百姓でもなく、増してや里の者でもないと自らを半端者と呼ぶ者たち。彼・彼女たちの活躍が多少荒っぽい古めかしい大坂弁で語られる。まるで浄瑠璃芝居のように。

    今回は靄船の林蔵(もやぶねのりんぞう)が影に日向に活躍する。この林蔵という男、一見して優男。つるりとした顔にきれいな目鼻立ち。しかも言葉が巧みで人を操るのが上手い。
    もはや詐欺師と言っても良いくらい。
    とうてい鼻持ちならず厭な奴かと思って読んでいると(悪党一味だと思って読んでいると)意外な林蔵の正体が見えてくる。

    登場人物全員が悪党

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    2016年09月18日