内田樹のレビュー一覧
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邪悪なもの=震災、コピーキャット犯罪、暴力とか。それまでの自分の知識やスキルじゃ立ち向かえないものに遭遇した時にどのような考え方をすれば生存率が上がるか。大雑把にいえばそういう知恵が詰め込まれている本。
「呪いのナラティブ」は本当にそうだよ。他人の足を引っ張って相対的に自分の地位を上げようという、そういうことが自分の幸福の指数にカウントされているような世の中は本当にいやだなあと感じていました。
「内向きで何か問題でも?」の章もそうだよなぁと。
別に悪くないっていうかむしろそのほうがいいし。
ひとつこの本で一番印象に残った文章を書いておく。
「妥協」において他者と「妥協」しているのは、「存 -
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著者の本は、これまでにも何冊か読み、ときおり
ブログなども追っていた…新刊を見たくて、書店へゆくと
ビニルがかかっていて、特定秘密保護法に関する
号外冊子がついてる! 単行本では珍しいこと!
本書は、2011年から2013年にかけての政治関連の
論説を編集したもの…内容は多岐にわたり、
「ほぉ!」と思ったところに付箋を入れていたら、
数十枚に及んでしまった…まさに…目からうろこの一冊。
たとえば、2012年8月の消費増税法案に関して
次のように語る…要旨がわかるように抜粋すると…
―法人税を下げ、賃金を下げ、公害規制を緩和し、
原発を稼働させ、インフラを整備すべしというのが
当今の「 -
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へえ〜、マルクスを誤解(=誤理解)していたなぁ、と思うことと、何かを分析し理解しようとすることそのものの意味を誤解(=理解不足)していたなぁ、というのが感想。
一番驚いたのは、共産主義社会という理想像があり、そこを目指すのが革命ではない、という指摘。
確かに、マルクスは「空想的社会主義」とは異なる「科学的社会主義」と言っていたんだった。
「つまり共産主義は、理想の国(ユートピア)の手前勝手な設計図から生まれるものではなく、資本主義がもつ問題をひとつひとつ解決していったその先に、結果として形をさだめるものとなる」(p.179)
著者の一人が内田樹氏なので、正統なマルクス研究者は眉をひそめるか -
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かつて盲信的なハードロック少年だった私にとって、アメリカの原初的なイメージは「ハードロック王国」です。
私がハマったのはモトリー・クルー、ガンズアンドローゼズ、メタリカ、ハードロックではないですがレニー・クラヴィッツほかいろいろ。
日本人が逆立ちしたってかなわないハードロック王国。
もちろん、軍事力も経済力も超一流。こんなことは自明過ぎて、誰も言わないほどに強大な国、アメリカ。特に冷戦終結後は、史上に冠絶する超大国として世界に君臨しました。
「しました」と過去形で書いたのは、近年の凋落ぶりが著しいからですね。
自動車の都・デトロイトの財政破綻に象徴されるように自動車産業の衰退は著しいですし、財 -
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ネタバレ【私の本棚】p22
小説を読むというのは(哲学でも同じかもしれないけれど)、別の時代の、別の国の、年齢も性別も宗教も言語も美意識も価値観も違う、別の人間の内側に入り込んで、その人の身体と意識を通じて、未知の世界を経験することだと私は思っている。
私の場合はとくに「未知の人の身体を通じて」世界を経験することに深い愉悦を感じる。
【ジュンク堂と沈黙交易】p81
インターネットでお買い物というのは「沈黙交易」の今日的な甦りであるという仮説。
【非人情三人男】p96
「苦しんだり、怒ったり、騒いだり、泣いたりは人の世につきものだ。余も三十年の間それをし通して、飽々した。余が欲するのはそんな世間的の -
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本書で著者が何度も言及している、政治の責務は「国民全員を食わせること」であるという国民経済という考え方はシンプルでわかりやすい。これは今の政治に置き去りにされている考え方だ。
(以下引用)
議会制民主主義というのは、さまざまな政党政治勢力がそれぞれ異なる主義主張を訴え合い、それをすりあわせて「落としどころ」に収めるという調整システムのことである。「落としどころ」というのは、言い換えると、全員が同じように不満であるソリューション(結論)のことである。誰も満足しない解を得るためにながながと議論する政体、それが民主制である、(P.48)
行政官に対しては「税金を無駄使いしている」という批判はあり