阿川弘之のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
十年以上前に読んだ本で、ふと思い出して読み返して、また泣いた。学徒出陣で特攻隊に組み込まれた人の日記という形式で終戦までの日々が語られ、時々彼の友人たちの手紙が挟まる。淡々とした語り口の中で、しだいに軍隊に染まっていくさま、思想がごく自然に変わっていくさまを見るのがつらい。死を目前にして、読んでるこちらが泣きたくなるほど美しく景色が描写されるようになるのがつらい。友の死を当たり前のように受け入れるしかない、生と死が限りなく近く、逝くのが先か後かの違いでしかない空間がつらい。死ぬために訓練する狂気の空間が、実際にあったことだという事実が恐ろしい。
もう読むまいと思うくらい全体的に暗くつらい本なの -
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Posted by ブクログ
作者がこれまで書いてきた、提督や軍艦に関する著書からこぼれ落ちたお話、取材したけれど載せなかった、あるいは遺族の方から提供していただいたお話などをとりどりに綴ったエッセイ集。
悲惨なことは書かれていないので、安心して読まれたし。
・軍隊でもユーモアは大事
・敵性語の学習を禁止するより、相手国の人間の物の見方を知れ
・軍隊の中には軍人でない視点でものを見る人間が必要
・陸軍はキライ(笑)
・・・と言ったような内容が、それこそユーモアたっぷりにかかれている。
「右傾ではありません」と言うことは言っておかなくてはならないけれど、日本は戦争を封印しすぎた。
日本人は、なんでも水に流して、無かったこと -
Posted by ブクログ
阿川弘之、デビュー作。
「雲の墓標」の衝撃と感動に、こちらへとさかのぼって読んだ。
3月から読み始めて、今!
・・・途中、何度も中断したのに、よく投げなかったものよ・・・
それもこれも、筆力、テーマの力。
学徒動員され、内地での暗号解読業を経て、中国へ・・・
そして終戦。
故郷広島の悲劇。
阿川氏は主人公と同じく、広島で聞き書きを重ねたのだろう。
当事者故にわかることも多々ある。
ちょうど広島サミットにあわせ、読み終わった形。
今すぐの結果はでないだろうが・・・
ただの「貸座敷」で終わらないサミットであってほしい、と
読後、説に願う。
ただし、小説は、解説の猪木直樹氏がいうように、
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東郷平八郎や山本五十六のような著名な戦功をあげた人物ではないにも関わらず、本書は色々なところで推薦されており、30年以上も読み継がれています。その理由を知りたかったのですが、確かに今の世にも通じる内容が多いのだなと感じました。
本を読み進めていくと、井上成美という人物像について、以下の点が浮かんできます。
・希望的観測を嫌って事実を重視し、合理性を重んじる人だった。
・冷静な観察眼や大局観を持っていた。
・組織に対しても迎合しなかった。
・故に、周りから疎まれていった。
真の理解者は米内光政など限られた人のみだったようですが、少数でも深い理解者とともに仕事ができることは幸せなのかもしれない -
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真珠湾奇襲前の宣戦布告が外務省の手落ちで事後となってしまった点は、戦争の大義を巡る世論戦争上、如何にも勿体無い。
山本五十六の、好戦的な幹部へ自重を求める文章(敵国の首都を制圧する計画が立てれないような戦争はすべきではない、それだけの覚悟もなく軽々と威勢の良いことを言うな、との主旨)の一部が切り取られて公表され、『山本はワシントン制圧を目指す超好戦的な軍人だ』という誤った人物像がアメリカ側で持たれてしまったことも、広報部の思慮が足りず、結果論かもしれないが、これまた如何にも勿体無い。
戦後処理を山本五十六に期待する声もあったようだが(石橋湛山)、軍政面は、米内光政がいたからまだよかったのか -
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「阿川弘之」が「井上成美」を描いた伝記『井上成美』を読みました。
『国を思うて何が悪い ~一自由主義者の憤慨録~』、『山本五十六〈上〉〈下〉』に続き、「阿川弘之」追悼読書です。
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一億総玉砕だけは避けねばならぬ。
孤高にして清貧。
日米開戦を強硬に反対した、最後の海軍大将の反骨心溢れる生涯。
昭和五十年暮、最後の元海軍大将が逝った。
帝国海軍きっての知性といわれた「井上成美」である。
彼は、終始無謀な対米戦争に批判的で、兵学校校長時代は英語教育廃止論をしりぞけ、敗戦前夜は一億玉砕を避けるべく終戦工作に身命を賭し、戦後は近所の子供たちに英語を -
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「阿川弘之」を代表する作品のひとつ『雲の墓標』を読みました。
「阿川弘之」の著作はエッセイの『エレガントな象 ―続々 葭の髄から』以来なので、約1年半振りですね。
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青年たちは何を想い散ったのか。
史上最悪の戦術の犠牲となった特攻兵の清廉な魂を描く。
昭和文学の金字塔。
太平洋戦争末期、南方諸島の日本軍が次々に玉砕し、本土決戦が叫ばれていた頃、海軍予備学生たちは特攻隊員として、空や海の果てに消えていった……。
一特攻学徒兵「吉野次郎」の日記の形をとり、大空に散った彼ら若人たちの、生への執着と死の恐怖に身をもだえる真実の姿を描く。
観念的イデオ -
Posted by ブクログ
面白かった。
本書のように純文学系の作家が、筆休め?なのか、本気なのかはわからないが、本業の創作から離れてのびのびと「好きなもの」を語る。こういう本は本当に楽しい。
言わずと知れた『阿房列車』も、他の随筆も大好きだが、実は、百閒先生の小説作品などはわずかしか読んでいないのに対して、阿川さんは、まず他の小説作品をそれなりに読んできたので、新鮮味が強い。
鉄道ではないけど、(そう言っていいのかわからないが、)福永武彦さん・奥泉光さんのものする推理小説も同じ方向性と言えないだろうか。どちらも大好きなのだが。
阿川さんの本書は、百閒先生と比較すると、執筆当時の海外の鉄道事情にも触れていたりする点と、ど