雲の墓標

雲の墓標

小説・文芸
605円 (税込)

3pt

太平洋戦争末期、南方諸島の日本軍が次々に玉砕し、本土決戦が叫ばれていた頃、海軍予備学生たちは特攻隊員として、空や海の果てに消えていった……。一特攻学徒兵吉野次郎の日記の形をとり、大空に散った彼ら若人たちの、生への執着と死の恐怖に身をもだえる真実の姿を描く。観念的イデオロギー的な従来の戦争小説にはのぞむことのできなかったリアリティを持つ問題作。

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  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    新潮社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    新潮文庫
  • タイトル
    :
    雲の墓標
  • タイトルID
    :
    368127
  • 電子版発売日
    :
    2016年04月01日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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雲の墓標 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    久々に真面目な人格を呼び出して書こうと思う。
    本作を英訳して某T大統領に送り付けたら彼はどう思うだろうか。「これだからイエローモンキーは!我が国に勝てると思ったのが大間違いDA!!アメリカの科学力はぁ!!世界一ィイイイイ!!」とでも言うだろうか(真面目な人格はどうした)

    奇しくも、私がこれを読み終えた数日後にT氏はイランに向けて空爆を行った。これはイランへの報復である。やられたら、やり返す、倍返しだ!!の精神か。
    虐げられた銀行家はむしろこれで良い。かっこいい。だが、一国の大統領がこれをやり続けるから戦争がなくならない。綺麗事なのは百も承知で言わせてもらうが、お前ら全員、急降下爆弾腕立て伏せな!!!(私にはできないハードな腕立て伏せ)
    もちろん過激派な国民による、やられっぱなしでは許せない等の声もあるだろう。でもそう思っていない国民も多い事が分かっている筈。だからこそ今になって『銀河英雄伝説』を見てアメリカ国民の方々が戦々恐々としているのでは無いのか。
    とにかく言いたい事は1つだけ。お前ら全員(以下同文)

    さて、本書についてです。
    おびのりさんの本棚から私も拝読。
    本来はこんな綺麗な表紙ではなく、それこそ『海軍割烹書』みたいな色褪せた無骨な単行本で読みました。
    でも気付いたらこっちで登録していた。
    あまりにも、あまりにもさ…辛すぎて、せめて美しい空で登録したいじゃないの…(ダメージ大きめ)

    元は京大で教授や仲間と文学を研究していた吉野という青年。彼の海軍入隊から特攻隊として出撃するまでの思いを綴った日記、という設定で阿川さんが書かれたフィクションです。
    とはいえ、阿川さんが実際に入隊された時の経験を元に書かれているので、臨場感しかない。
    初めは捨てざるを得なかった文学の研究に対する未練なども綴っていた彼が、どんどん軍隊の精神を叩き込まれて代わりに国の為に死ぬ覚悟を決めなければならない、と苦悩するようになる。
    彼と対極に、同じ京大の友人である藤倉はこんな負け戦の為に死ぬのは御免なので、どんな手を使ってでも生き延びると語る。

    それぞれがどうなったかは…気になる方にはお読み頂くとして、吉野が遂に実戦へ出るという時には既に本土戦がもう目の前までやって来ていて、燃料も飛行機も足りていなかった。
    ここまで来ると、我々はもうすぐ戦争が終わる事を知っているので、もう少し耐えろ吉野!!と言いたくなるけれど、そんなギリギリでも日本はとんでもない作戦を続行する。
    皆さんご存知、特攻隊です。

    元特攻隊員の方々の遺書は家族や恋人、友人の身を案じたものが多く、美しい祖国日本を守るという誇りすら感じられました。
    でも本当なのだろうか、と疑う私もいました。
    10代後半から20代の若者が死の間際に思う事が本当にこれなのだろうかと。藤倉の言っている事が本音なのではないだろうかと。
    本書を読んで、私はどういう遺書を残すのだろうかと真剣に考えてみました。
    妄想の中の私は次の特攻隊の出撃の1番目に任命されていました。
    限られた時間の中で遺書を残さなければならない。

    何を書く…?

    驚きました。
    私の遺書はたったひと言「ありがとう」でした。
    それからやっぱり皆の健康と幸せを願っていた。
    嘘じゃなかった。

    もちろん妄想の話なので、実際はどうなるか分かりませんが、少なくとも「ありがとう」だけは伝えたい。
    でも、こんな遺書を書かせてはいけないとやっぱり思うのです。
    前にも書きましたが、いつか戦わねばならない時が来てしまうかもと考える時があります。台湾でも徴兵制度の拡大や避難訓練が行われています。
    もう他人事ではない。

    おびのりさんも書かれていましたが、吉野が夢の中で家にある読んだ事のない本を読む場面は辛すぎて天を仰ぎました(久々の得意技だけど、ダメージが当社比1.5倍だった)

    学んで考える事しか出来ないけれど、いつかこの知識が反戦に繋がる事を信じてこれからも戦争について調べて行こうと思います。

    ちなみに妄想の中の私はブク友様方にも遺書を残しておりました。
    隠してあるシマシマ本をどうにかして闇に滅して下さいとか、ストーカー出来なくなるのが辛いとか、今後は猫を私だと思ってポテチあげてくださいとか、映画を観る度にあらすじを天に向かって話して下さいとか、二番弟子はいつも背後にいるのでたまには見つけて下さいとか、星の近くに行くので、お星様1つを思い出しますとか、呑みすぎて肝臓が悲鳴を上げたら草場の陰からお知らせしますとか、狙った女性にたまに私が憑依してるかもしれませんとか、私の墓石を作って伯方の塩ぶちまけて下さいとか、お盆には肩に乗りに行きますので優しくして下さいとか、神戸を弱虫ペダルする時には、私も並走してますのでたまには微笑みかけて下さいとか、ゴーリーをたまに墓前に備えに来て音読して下さいとか、一度だけお子様のおしりフリフリダンスを天に向かって見せて欲しいですとか、地震の際に本棚が倒れずに止まったら私ですので貴船神社に貼り付けて下さいとか、良ければ短歌をしたためて墓に刻み込んで下さいとか、私も古墳に入りたかったので小さなハニワでも置いて下さいとか、ツタバに行ってみたかったので、時々ツタバで私の名を呟いて下さいとか…(長い上に要求が多い)

    色々あるのですが…

    やっぱり「ありがとうございました」でした。

    0
    2026年09月18日

    Posted by ブクログ

    阿川弘之氏が、ご自身の海軍体験を踏まえ、特攻隊員・吉野次郎の日記という形で創作した小説です。

    おそらく初めて読んだのは二十歳頃。本棚に残っている新潮文庫の発行年を見て、そんなことを思い出しました。いつかまた読もうと、そのまま残していた一冊です。

    若い頃、この小説をどう受け止めたのかは覚えていません。ただ、日記は昭和18年12月12日に始まり、昭和20年7月9日の遺書で終わります。

    文学の道に進みたかった二十五歳の青年の生涯を、同じくらいの年齢で読んだ私は、おそらく衝撃を受けたのでしょう。そして今回、ようやく再読して、あらためて 当時の青年達のこの静かな精神の強さに心を打たれました。

    海軍予備学生、この日記の特攻隊員は 文学が専攻でした。自身が一度も読むことなく置いてきた本を 生き霊となってか 確かに読む場面は
    締め付けられるような気持ちです。
    これは小説ではありますが 当時の日記は検閲もあったでしょうから 創作として 一層の青年達のリアルな気持ちを読ませてくれます。

    本は傷んでおり 当時の文庫の文字の小ささも年々つらくなりました。今回の再読で 役目は終了です。いつかオーディブル版が出たら、もう一度耳で味わいたい作品です。





    みんみん yukimisake さんへ
    (って 他に誰も読んでくれなかったんだよね)
    「彩雲の城」の彗星が登場します。
    実際の戦闘の場面とかではなく 彼らの心象を追うので あのシリーズとは違いますけど
    着想かって感じではありますよ。


    0
    2026年08月03日

    Posted by ブクログ

    2015.10記。

    個人的追悼:小説家阿川弘之氏 (長いです)

    小説家の阿川弘之氏がなくなった。とくに若い頃熱心に読んだ敬愛する作家のひとり。

    阿川氏は自ら若き士官として務めた旧日本海軍への深い愛情を文学の下敷きにしていた。故に、戦後の文壇からは長く「反動」のレッテルを貼られ、大江健三郎に代表される「良心的」な作家と不当な形で比較されてきた。しかし一冊でも読めば、彼の作品が痛切なまでの反戦文学であることは容易に読み取れる。

    海軍善玉、陸軍悪玉論は阿川氏が確立した史観であり(与那覇潤「中国化する日本」より)、最新の昭和史研究では見直しが進んでいるが、そのことと文学としての価値とはもちろん(無関係とは言えないにせよ)別個の問題だ。

    「井上成美」「山本五十六」といった伝記文学、あるいは「暗い波濤」「春の城」といった戦争物の傑作群の中でもとりわけ印象深いのは「雲の墓標」。学徒動員されて特攻隊員として散っていく青年の姿をきりっとした文体で描く。士官学校でのカンニングシーンなどのたくまざるユーモアや、組織の理不尽さ、何より主人公の死を暗示させながら一切の具体的な描写がないラストシーンは強く心に残っている。

    それにつけても考えるのは、戦争で亡くなった英霊に、「申し訳ない」と思うのか、「感謝」と思うのか、の違いだ。とくに若い世代が英霊、という言葉を使う場合、「英霊に感謝」という視点が大半だ(小林よしのりの「戦争論」が嚆矢だろう)。

    それを決して否定したいわけではない一方、阿川氏も含めた戦争を実体験している表現者の作品に感じるのは、「自分だけ生き残って申し訳ない」という気持ちだ。この世代の人が「すぐ横で死んでいった同僚に感謝」なんて言っているのは見たことがない。

    0
    2020年07月18日

    Posted by ブクログ

     何というか、描写が凄いの一言


     藤倉悲しい。
     この作品の中で、誰に一番感情移入をしたかと問われれば、
     自分は間違いなく藤倉と答える。

     藤倉が一番現代人っぽい感受性を持っており、でも、昇華の仕方は矢張り軍人らしさはあったかな
     甘い物食べたがってた吉野がどんどん変わっていくのが、緩やかに教育に浸っていった感じで恐ろしいけれど、悲しかった。
     教育の賜物と言うより、そうしないと生きていけなかったのやもしれない。
     そう考えると、当時の世論的なものがいかに今と違う事なんだろう

     最後の方の殺伐とした雰囲気の日記が、もう、ね。。。。
     でも、日記を書く帳面も鉛筆もあったンだ。
     特攻隊は死が近いから、意外と美味いモンを食べれてたンだね。
     みかんとかいちごとか。
     まぁ、輸送する術がないから其処で消費してたって感じだったけれども。
     餓島とかにも届いてほしかったよねぇ……。うぅ。鼠輸送とかアホばかりなんだと。

     吉野。最後のほうの殺気立ってる吉野。
     吉野兄も悲しかった。
     骨が見つかっていない人が多い事多い事。
     今も、海や島の何処かに眠っているンだよね。

     そんな方々に今の自分が生きている世界の土台を作ってもらったンだって思うと、
     大事にしていかなきゃな、って思う。

    0
    2009年10月31日

    Posted by ブクログ

    生き方を4通りに分けた時、その目指したものがねじれるように四人に収まってしまった。
    予備学生として従軍した阿川先生自身が、「死」に向かい順応していく、して行くように見せかけて懊悩するのその心理。彼らと年齢が近い分、今の自分に置き換えた時、非常時というくくりを取り外してしまえば、「人間はこんな風に変わっていくのだ」と振り返るような想いがしました。特攻攻撃の多くは学徒兵であったことは有名です。彼らの気持ちの部分に触れると、にがくて苦しくて、でもすごく側にあるような、そんな気持ちになります。

    0
    2009年10月09日

    Posted by ブクログ

    学徒動員され、特攻隊員の心情を日記形式で綴った小説です。
    入隊当初は大学での万葉集の研究に名残を残し、戦争という波に飲まれていく主人公。徐々に死というものに対する考えも変化していく。 かなり前に読んだので内容もうすらうすらになりましたが今でも間違いなく自分の中で1番の戦争文学です。

    0
    2009年10月04日

    Posted by ブクログ

    おびのりさんの本棚から

    作者の阿川弘之さんはわいも大好きな阿川佐和子さんのお父さま
    太平洋戦争中は海軍に所属し、終戦後は志賀直哉に師事した作家さんです

    本作は氏の海軍従軍経験をもとに特攻隊員となった若者の日記というかたちで綴った戦記ということになります

    読み終えて思ったこと

    「雲が墓標になんかなるかいな!」です

    雲なんて常にかたちを変え、留まらず流れて行き、いつか消えていくもの
    なんなら一番墓標になり得ないものじゃないかと
    そう思うのです

    でも

    「だからこそ」なのかもしれない

    だからこそ、吉野次郎青年は自らの想いを雲に託したのかもしれません

    自らの身も心も、跡形もなく消えて無くなる

    だけどその代わりに、若者たちが意味もなく命を散らす「戦争」も消えて無くなればいい
    そんな願いも、もしかしたら込められていたのかもしれない
    そんな風に思わずにいられない物語でした

    0
    2026年08月10日

    Posted by ブクログ

    十年以上前に読んだ本で、ふと思い出して読み返して、また泣いた。学徒出陣で特攻隊に組み込まれた人の日記という形式で終戦までの日々が語られ、時々彼の友人たちの手紙が挟まる。淡々とした語り口の中で、しだいに軍隊に染まっていくさま、思想がごく自然に変わっていくさまを見るのがつらい。死を目前にして、読んでるこちらが泣きたくなるほど美しく景色が描写されるようになるのがつらい。友の死を当たり前のように受け入れるしかない、生と死が限りなく近く、逝くのが先か後かの違いでしかない空間がつらい。死ぬために訓練する狂気の空間が、実際にあったことだという事実が恐ろしい。
    もう読むまいと思うくらい全体的に暗くつらい本なのに、戦争の気配がするたび、私はきっとまた読み返したくなるのだろうと思う。

    0
    2024年04月24日

    Posted by ブクログ

    「阿川弘之」を代表する作品のひとつ『雲の墓標』を読みました。

    「阿川弘之」の著作はエッセイの『エレガントな象 ―続々 葭の髄から』以来なので、約1年半振りですね。

    -----story-------------
    青年たちは何を想い散ったのか。
    史上最悪の戦術の犠牲となった特攻兵の清廉な魂を描く。
    昭和文学の金字塔。

    太平洋戦争末期、南方諸島の日本軍が次々に玉砕し、本土決戦が叫ばれていた頃、海軍予備学生たちは特攻隊員として、空や海の果てに消えていった……。
    一特攻学徒兵「吉野次郎」の日記の形をとり、大空に散った彼ら若人たちの、生への執着と死の恐怖に身をもだえる真実の姿を描く。
    観念的イデオロギー的な従来の戦争小説にはのぞむことのできなかったリアリティを持つ問題作。
    -----------------------

    海軍予備学生で特攻隊員の「吉野次郎」が、応召されてから特攻隊員として出撃するまで… 入隊直後の戸惑いから、徐々に海軍の雰囲気に馴染み、洗脳され、特攻隊のひとりとして出撃するまでの日記及び手紙と、同期だが、常に軍隊の考え方に疑問を持ち、反戦的な考え方を貫いた「藤倉」の手紙で構成されています。

    ドラマティックな展開はなく淡々とした筆致の作品なのですが、それが逆にリアル感を醸し出していて、作品の中に引き込まれて行く感じがしましたね。


    貴重な両親との面会シーンにじ~んとなったり、

    辛い軍隊生活で些細なことを幸せに感じるシーンをしんみりしたり、

    特攻隊員の発表で、自分の名前が呼ばれなかったことにほっとしたり、

    自分が、もし同じ立場で応召されたら、「吉野」のように考え、行動したんだろうなぁ… と感じながら読み進めた感じです。


    雪が徐々に降り積もるように、静かにじんわりと、そして少しずつだけど確実に感動が込み上げてくる作品でした。
    さすが戦争文学の傑作と呼ばれる作品だけありますね。


    戦争のことを知ることは大切だと思います。
    今の時代に生きていることを幸せだと思わなきゃいけないですねぇ。

    でも… 読んでいると感情移入し過ぎてしまい、気持ちが沈みがちになっちゃいましたね。

    0
    2022年06月18日

    Posted by ブクログ

    目的化した死が、あらゆる不安をはらいのける
    サルトルは、自由が人間を縛りつけるのだと言った
    だが徒競走ならば、自由もへったくれもない
    きれいさっぱり清められた一本道を、おのが死めがけて突っ走る
    そのように自らを律して特攻の日を迎えようとする若者たちの手記
    というテイで書かれた小説
    その、スマートとすら呼べるすがすがしさは
    ひょっとしたら同調圧力に負けたおのれをごまかす
    自己欺瞞でしかないのかもしれない
    いや、しかし実のところそれは、要領よく生き延びたとして
    おのれに恥じないでいられるような人間でありたくはない、がゆえに
    自らの意志でつかみとった気高さ、潔癖さであると
    ・・・生き延びてしまった者が
    そのように納得してしまうことこそ欺瞞であろう

    0
    2016年08月24日

雲の墓標 の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    新潮社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    新潮文庫
  • タイトル
    :
    雲の墓標
  • タイトルID
    :
    368127
  • 電子版発売日
    :
    2016年04月01日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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