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戦後初の山陽特急「かもめ」試乗記、夜行急行「銀河」にせ車掌報告記、駅弁と食堂車、汽車アルバムなど、内田百間を敬愛する著者が昭和三十三年に刊行した鉄道エッセイ集。宮脇俊三氏が編集した、ファン待望の名作。
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Posted by ブクログ
内田百閒-著者-宮脇俊三と鉄道についての偉大な作家3人が同じ時に日本に生きていたのが奇跡のようだ。特に宮脇氏が中央公論で著者の作品を編集していたなんて夢のよう。当時、鉄道が飛行機やバスよりも安くて便利な公共交通機関だったことも夢のよう。国鉄の黄金時代だったのだ。鉄道ファンとしては東京-大坂間を8時間...続きを読むで行けたことは幸福である。現在は新大阪まで最短で2時間20分……なんとも味気ない。航空機と新幹線の台頭で、寝台特急は軒並み廃止となり、贅沢な鉄道旅行は夢となってしまった。
海軍ものに手を出さず、本書や「南蛮阿房列車」に耽溺する読者というのは、阿川氏ではなく宮脇俊三氏のファンと相場が決まっています。まあ、かく言う自分もその通りなのですが。 鉄道紀行の大家と言えば、初代が内田百閒、跡を継いだのは阿川弘之、そして三代目は宮脇俊三。「こういう場合、二代目は大したことがない」...続きを読むなどと仰ったのは阿川氏ご本人ですが、いやいやとんでもない!終戦直後から高度成長期に片足を突っ込みかけた頃の鉄道が、いや日本社会の姿が生き生きと描きだされています。 新幹線も高速バス(いや、それ以前に東名自体が存在しない)も無い時代のエッセイ、今となってはなんとも時代がかっていますが、特急機関士の働きぶりなどは現代に通じる要素が多々あって大変興味深かったです。 そう言えば子供の頃って、地元の商店街でも盛んにスピーカーから宣伝放送が流れていましたよねえ。「かばんのマルジョー」、いつ頃から耳にしなくなったのだろう。
新幹線もない。高速道路もない。航空便はあるけれど、まだ高根の花。 解説には、懐かしい時代と書かれているが、自分には想像のできない時代。 未来を予測した著者は、50年後の現代をどのように感じているのか。残念ながら著者による文庫版のあとがきはない。 北杜夫が亡くなった時も、阿川佐和子がコメント...続きを読むを出すのみで本人はもう表にでるつもりはないのか。 アナウンスの騒音→ずいぶん静かになったのでは。車内の美化→列車の高速化、乗車時間の減少、飲食の不要(駅弁かけが身にも車内美化がうたわれていたが、相当の問題だったのだ。これもよくなったが、車内マナーという意味では別種の問題が・・・。道の埃→これは圧倒的に良くなったのでは。 その他の思い出。百科事典?でもあれは月光か。もっとあと。
面白かった。 本書のように純文学系の作家が、筆休め?なのか、本気なのかはわからないが、本業の創作から離れてのびのびと「好きなもの」を語る。こういう本は本当に楽しい。 言わずと知れた『阿房列車』も、他の随筆も大好きだが、実は、百閒先生の小説作品などはわずかしか読んでいないのに対して、阿川さんは、まず他...続きを読むの小説作品をそれなりに読んできたので、新鮮味が強い。 鉄道ではないけど、(そう言っていいのかわからないが、)福永武彦さん・奥泉光さんのものする推理小説も同じ方向性と言えないだろうか。どちらも大好きなのだが。 阿川さんの本書は、百閒先生と比較すると、執筆当時の海外の鉄道事情にも触れていたりする点と、どちらかというと鉄道の運行や車体そのものへの興味から描かれているが、『阿房列車』はもっと紀行文的側面もあると思う。何れにしても、根っからの鉄道マニアというわけではないところが良いと思う。でも普通の人よりも興味は強いのだ。その程度に親近感。そして、阿川さんも百閒先生も、教養と文学的素養のある人たちだが、変なこだわり、頑固さがあって、本書にもそれは垣間見えた。 他の方のレビューにあった、宮脇俊三さん、獅子文六もぜひ読んでみたい。
大分前に購入し、そのままにしていた本です。ようやく読み終わりました。 なんだか時代を感じさせる本だなあとしみじみ思いました。阿川氏も宮脇氏も百閒先生が生きている時に電車に乗って先生の本を読んでいたんだなあと思うと不思議な感じがします。そんな百閒先生も私が生まれる前に亡くなられ、宮脇氏ももう彼岸の方...続きを読むとなりました。 鉄道今昔ではないですが東京・大阪間を6時間で走るのが悲願だった時代かあ。今なら大体3時間かからないですよねえ。そして今後リニアが導入されると2時間だとか?いやはや時代は変わりました。後何年もしないうちにまた時代は変わって鉄道の常識も変化していくのでしょう。でも旅はやっぱり鉄道が良いですよね。(罪悪感なくお酒が飲めるから)
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