阿川弘之のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
久々に真面目な人格を呼び出して書こうと思う。
本作を英訳して某T大統領に送り付けたら彼はどう思うだろうか。「これだからイエローモンキーは!我が国に勝てると思ったのが大間違いDA!!アメリカの科学力はぁ!!世界一ィイイイイ!!」とでも言うだろうか(真面目な人格はどうした)
奇しくも、私がこれを読み終えた数日後にT氏はイランに向けて空爆を行った。これはイランへの報復である。やられたら、やり返す、倍返しだ!!の精神か。
虐げられた銀行家はむしろこれで良い。かっこいい。だが、一国の大統領がこれをやり続けるから戦争がなくならない。綺麗事なのは百も承知で言わせてもらうが、お前ら全員、急降下爆弾腕立て伏せな!!!(私にはできないハードな腕立て伏せ)
もちろん過激派な国民による、やられっぱなしでは許せない等の声もあるだろう。でもそう思っていない国民も多い事が分かっている筈。だからこそ今になって『銀河英雄伝説』を見てアメリカ国民の方々が戦々恐々としているのでは無いのか。
とにかく言いたい事は1つだけ。お前ら全員(以下同文)
さて、本書についてです。
おびのりさんの本棚から私も拝読。
本来はこんな綺麗な表紙ではなく、それこそ『海軍割烹書』みたいな色褪せた無骨な単行本で読みました。
でも気付いたらこっちで登録していた。
あまりにも、あまりにもさ…辛すぎて、せめて美しい空で登録したいじゃないの…(ダメージ大きめ)
元は京大で教授や仲間と文学を研究していた吉野という青年。彼の海軍入隊から特攻隊として出撃するまでの思いを綴った日記、という設定で阿川さんが書かれたフィクションです。
とはいえ、阿川さんが実際に入隊された時の経験を元に書かれているので、臨場感しかない。
初めは捨てざるを得なかった文学の研究に対する未練なども綴っていた彼が、どんどん軍隊の精神を叩き込まれて代わりに国の為に死ぬ覚悟を決めなければならない、と苦悩するようになる。
彼と対極に、同じ京大の友人である藤倉はこんな負け戦の為に死ぬのは御免なので、どんな手を使ってでも生き延びると語る。
それぞれがどうなったかは…気になる方にはお読み頂くとして、吉野が遂に実戦へ出るという時には既に本土戦がもう目の前までやって来ていて、燃料も飛行機も足りていなかった。
ここまで来ると、我々はもうすぐ戦争が終わる事を知っているので、もう少し耐えろ吉野!!と言いたくなるけれど、そんなギリギリでも日本はとんでもない作戦を続行する。
皆さんご存知、特攻隊です。
元特攻隊員の方々の遺書は家族や恋人、友人の身を案じたものが多く、美しい祖国日本を守るという誇りすら感じられました。
でも本当なのだろうか、と疑う私もいました。
10代後半から20代の若者が死の間際に思う事が本当にこれなのだろうかと。藤倉の言っている事が本音なのではないだろうかと。
本書を読んで、私はどういう遺書を残すのだろうかと真剣に考えてみました。
妄想の中の私は次の特攻隊の出撃の1番目に任命されていました。
限られた時間の中で遺書を残さなければならない。
何を書く…?
驚きました。
私の遺書はたったひと言「ありがとう」でした。
それからやっぱり皆の健康と幸せを願っていた。
嘘じゃなかった。
もちろん妄想の話なので、実際はどうなるか分かりませんが、少なくとも「ありがとう」だけは伝えたい。
でも、こんな遺書を書かせてはいけないとやっぱり思うのです。
前にも書きましたが、いつか戦わねばならない時が来てしまうかもと考える時があります。台湾でも徴兵制度の拡大や避難訓練が行われています。
もう他人事ではない。
おびのりさんも書かれていましたが、吉野が夢の中で家にある読んだ事のない本を読む場面は辛すぎて天を仰ぎました(久々の得意技だけど、ダメージが当社比1.5倍だった)
学んで考える事しか出来ないけれど、いつかこの知識が反戦に繋がる事を信じてこれからも戦争について調べて行こうと思います。
ちなみに妄想の中の私はブク友様方にも遺書を残しておりました。
隠してあるシマシマ本をどうにかして闇に滅して下さいとか、ストーカー出来なくなるのが辛いとか、今後は猫を私だと思ってポテチあげてくださいとか、映画を観る度にあらすじを天に向かって話して下さいとか、二番弟子はいつも背後にいるのでたまには見つけて下さいとか、星の近くに行くので、お星様1つを思い出しますとか、呑みすぎて肝臓が悲鳴を上げたら草場の陰からお知らせしますとか、狙った女性にたまに私が憑依してるかもしれませんとか、私の墓石を作って伯方の塩ぶちまけて下さいとか、お盆には肩に乗りに行きますので優しくして下さいとか、神戸を弱虫ペダルする時には、私も並走してますのでたまには微笑みかけて下さいとか、ゴーリーをたまに墓前に備えに来て音読して下さいとか、一度だけお子様のおしりフリフリダンスを天に向かって見せて欲しいですとか、地震の際に本棚が倒れずに止まったら私ですので貴船神社に貼り付けて下さいとか、良ければ短歌をしたためて墓に刻み込んで下さいとか、私も古墳に入りたかったので小さなハニワでも置いて下さいとか、ツタバに行ってみたかったので、時々ツタバで私の名を呟いて下さいとか…(長い上に要求が多い)
色々あるのですが…
やっぱり「ありがとうございました」でした。 -
Posted by ブクログ
阿川弘之氏が、ご自身の海軍体験を踏まえ、特攻隊員・吉野次郎の日記という形で創作した小説です。
おそらく初めて読んだのは二十歳頃。本棚に残っている新潮文庫の発行年を見て、そんなことを思い出しました。いつかまた読もうと、そのまま残していた一冊です。
若い頃、この小説をどう受け止めたのかは覚えていません。ただ、日記は昭和18年12月12日に始まり、昭和20年7月9日の遺書で終わります。
文学の道に進みたかった二十五歳の青年の生涯を、同じくらいの年齢で読んだ私は、おそらく衝撃を受けたのでしょう。そして今回、ようやく再読して、あらためて 当時の青年達のこの静かな精神の強さに心を打たれました。
海軍予備学生、この日記の特攻隊員は 文学が専攻でした。自身が一度も読むことなく置いてきた本を 生き霊となってか 確かに読む場面は
締め付けられるような気持ちです。
これは小説ではありますが 当時の日記は検閲もあったでしょうから 創作として 一層の青年達のリアルな気持ちを読ませてくれます。
本は傷んでおり 当時の文庫の文字の小ささも年々つらくなりました。今回の再読で 役目は終了です。いつかオーディブル版が出たら、もう一度耳で味わいたい作品です。
みんみん yukimisake さんへ
(って 他に誰も読んでくれなかったんだよね)
「彩雲の城」の彗星が登場します。
実際の戦闘の場面とかではなく 彼らの心象を追うので あのシリーズとは違いますけど
着想かって感じではありますよ。
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Posted by ブクログ
山本五十六は名言集から好きになった人やけど
こうして小説というか追悼記のようなモノを読むのは初めて。
こういう子供が真っ直ぐ大人になった様な人は好きやなぁ^ ^
仕事は目一杯、遊びも目一杯。
命懸けというか全身全霊を賭して何でもやっちゃうから何処か達観したオーラがあったんやろな。
愚将とか凡将とかいう本もあるみたいだが…
この狂気の時代に正論を言うと謂れもない誹謗中傷や足を引っ張る輩は大勢いた事は想像に易い。
戦争に関しては、最後の章で匿名の元中将の語りが全てではないかと思う。
武力や装備以前にそれを動かす燃料も技術も人もいない国力の国が戦争なんかやっちゃいけない。
また、仮想敵国・仮想戦闘準備も疎かに、儀式的に自己満足でやってたんじゃ負けは必定。
準備の大切さ、それを率いる将の考え方がいかに大事かと言うことを改めて学ばされる。
作者は阿川佐和子のお父さん -
Posted by ブクログ
500ページ越えの小説だったけれど、話の展開が早く、平易な読みやすい文章で書かれているので、1日目に200ページ、2日目に300ページも引き込まれるように読み進んだ。
たあいもない、ほんのり恋愛、昭和中期の時代背景も織り交ぜた日常のお話ではあるけれど、なぜか読んでいて楽しい本。
つぶれた出版社を、退職金も不渡りでもらえないまま失職した男女二人が、昔、仕事で一緒に食べたカレーライスを記憶の隅に置きながら、カレー屋を始めるまでのストーリー。 最後は店を応援してくれる暖かい人の心に包まれて、希望のあるハッピーエンド、彼のプロポーズで終わる話。
こういう楽しい本をいつも傍らにおいて、マイペースで読書を楽しみたいと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ・人間を神様にしては行けない。神様は批判できない。
・考える、頭を使う。アングルを変えて物事を考察する力を養う。自身も読む手を休めてじっくり考えこんでいた。
・「念のため長官に相談して」などとは言わず、自分の役職としての判断を示し、責任は自分で持つ。
・英語教育における直読直解主義。英英辞典を用いる。
・一般教育・教養の重要性。すぐに役立つ知識に偏重しない。
・委員会とは要するに責任を回避するための組織。責任の所在は分散して誰が本当の責任をとるのかはっきりしなくなる。
・迷うことがあっても根本のところをよく考えて下への迎合は避ける。 -
Posted by ブクログ
太平洋戦争に、井上成美、山本五十六と反対し続きた海軍の米内光政。
米内光政とはどのような人物なのか、なぜ内閣は短命で終わったのか。
なぜ昭和天皇に気に入られたのか。
あの有名な畑俊六の極当国際軍事裁判での米内光政。
この本を読み終わった時には、彼をもっと知りたいと思えるようになる。
彼の内閣が短命で終わらなかったら、、、と考えると戦争は終わっていたのではないかと考えます。
表面上、日本は軍部全員が全員戦争賛成をして敗戦したように見えるが、最後の最後まで殺されるかも分からない時に反対し続けた米内光政。
彼から学べることは沢山ありました。
とても面白かったです。
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Posted by ブクログ
ネタバレ乗り物好きな阿川弘之氏の、旅のお話集。
紀行文にとどまらず、戦後の日本の交通に関する興味深いレポートも満載。
一章ごとに写真が載っていて、「手前にいるのが著者」などとキャプションが添えられている。
誰が撮ったのかな?編集者でしょうか?奥様でしょうか?
ユーモアあふれる語り口で、昔懐かしくもあり、大変勉強にもなった。
『一級国道を往く』
日本の道路はひどい!
1958年10月、一級国道を使っての東北の自動車旅に、筆者夫妻と編集者カクさん、運転手スケさんの4人でトライ。
あまりの悲惨さに、実体験が書かれているだけなのに、声を出して笑ってしまった。
『機関士三代』
松井さんちの長男3代の国鉄職員のリレー手記という形をとっている。
日本が鉄道にどれだけ力を注いでいたか(だから道路がひどいのだ)、時間通りに運行される鉄道交通の陰に、乗務員のどれだけの苦労があるかを知る。
3代の認識が時代と共に変わっているのも実感。
『スチュワーデスの話』
正確なところはぼかしてあるが、多分、戦後の日本航空第1期のスチュワーデス(当時はこう呼んだ)の話を聞くという形。
そういえば、振袖姿が売りだった。
『おせっかいの戒め』
突然の豪雨が毎日のように襲った時期・・・
自分だけ安穏に車に乗っているのが悪いような気がして、雨宿りの人、ずぶ濡れの人に、つい「乗りませんか」と声をかけてしまう。
しかし、今で言う、モヤモヤした気分になることばかりだった。
『ホノルルまで』
(1955年らしい)
阿川氏夫妻は、アメリカ留学のため、太平洋の定期航路のアメリカ客船でハワイを目指した。
船内では西洋のマナーで振る舞わなくてはいけない。
慣れぬレディーファーストを演じ、疲れる阿川氏。
狭い船室の中だけ「日本帝国」だ。
人間観察が面白い。
『アメリカ大陸を自動車で横断する』
(1956年頃。アメリカでライセンスを取ったらしい)
州ごとに交通ルールが微妙に異なり、お巡りさんに捕まりそうになる。
『ゴア紀行』
一緒に東北自動車の旅をした編集のカクさんから、今度は海外でルポを書きましょうと言われ。
行きは鉄鋼関連企業の商社マンと共にチャーター便で。
帰りは鉄鉱石運搬用のボロ船で、24日かけてゴアから帰国した。
何もすることがなく、ノイローゼになりかける。
『二十二年目の東北道』
一級国道の自動車旅から22年、メンバーを2代目スケさんに入れ替えて、さあどんな変化を遂げたのか、また東北の旅に出た。
全て舗装済みの快適な道路、解説の関川夏央氏も書かれている通り、紀行文は困難な旅であるほど読者の共感を呼びやすい・・・あまり笑うところもない旅であった。
一つだけ、長距離トラックのベテランドライバーのセリフが面白かったので、ネタバレになるけれど載せてしまう。
「昔は道悪ぐて走(はす)れなかった。今は渋滞で走れねえ。走(はす)れねえのは今も昔も変わらねえ」 -
Posted by ブクログ
ずっと読みたかった阿川さんの本作をようやく読めた。
確かに、他の作品とはやや毛色が異なる。もともと阿川さんは女性よりも男性に好まれる作家ではないかと思っていたが、もし女性が本作を読んだらどんな感想を持つだろう・・と思った。
冒頭から妻への暴力の場面で始まる。主人公は女性は家長である男性に従うべきであり、余計な教養を身につけるべきではない、と考える男で、一見、何と前時代的な小説だろう、と思える。しかしこの男性の思想の内容自体が問題ではないのではないか。この人物はいわば内弁慶的な性向があり、そのことを自覚してもいる。
もちろん、主人公が多くの同期が死んでいく中、たまたま生き残ったという感覚をもち、二十代にしてすでに余生を生きるような気持ちで、屈託を抱えていることと、だからと言って家庭内での暴力を正当化することとは別だと思う。全く理由にもなっていない。ただ、あとがきや「春の城」の結末部分にも確かあったと思うが、家父長制的な習慣も、挙国一致的な体制も、戦前はあれだけ当たり前に、もしくは称揚さえされていながら、敗戦後は手のひらを返したように価値観が逆転し、「民主的」になっている世情に反発したいという心情も理解はできる。自身の頑固さとか偏屈さを外では出せないので、「ウチ」ではそれが出てきてしまう。そこまでわかっていながら、抑制ができないから、それでも妻になる女性とうまくやっていけるのか、結婚以前からですらすでに主人公は思い惑っている。
自分自身のことに寄せて考えてみても、私自身妻にもっとこうして欲しいとか気を遣って欲しいとか、直接に言い争うことさえしないが、しょっちゅう周囲に愚痴っていないか。
現代では、夫婦が互いに気を遣って、常に気を揉んで、先回りして思いやることが理想とされていはしないか。そのこと自体は全く正しいが、ただ本作に描かれているように、誰しもが自分の思う理想像を相手に抱いているのであってみれば、それを普段から口に出して相手に求めるか、押し殺して妥協点を探り探り生きていくかの違いでしかないのでは、とも思える。思うに、男女間夫婦間で表現されているが、この主人公は、他者に対して抑制したり妥協したりということがもともとできないのだろう。
この男性は暴力的な言動の後に後悔することもあるし、子どもができればだんだんと可愛いと思う感情も表現されている。苛烈な性格の男を描いているはずだが、決定的に家庭が崩壊しているとか、読み進めるのが辛くなるといったことも、不思議となかった。どこか淡々としているし、語り口に裏表がない。こういった点は、そもそも阿川さんの他の小説にも見受けられると思う。
最後の方に登場した2人の作家は、的外れかもしれないが吉行淳之介と安岡章太郎ではないか?とも思った。この2人が阿川さんのことを理解するとは思えない(?)・・他の2人も、もちろん好きな作家だが、もっと観念的だし、もっと耽美的と言っていいのかなと思う。阿川さんの文章が親しみやすく感じるとしたら、それは、阿川さん個人の実際の人生の延長に全て作品があるような気がするからで、そこからあまり外へ出ていかないのが魅力であるし、一方もしかしたら欠点とも言えるのではないか。 -
Posted by ブクログ
◇いろいろな面で、非常に勉強になりました。
最も印象的だったのは、
「真の指導者とは何か」を教えてくれる
教科書のように感じました。
今まで読んだリーダーシップの本で、
聞いたことこともないスタイルなのですが、
(つまり、何も言わない。
しかし、内なる信念はハッキリしていて、
最後の最後には、指導力を発揮する)
これぞ、理想のリーダー像なのではないか。
批判ばかりしている自分を大いに反省させられ、
願わくば、かくありたい、と思わせられました。
◇米内とは、偉大な人らしいが、何をしたのか、
かねてから知りたいと思っていたのですが、
本書を読んで、かなり見通しがよくなりました。
あわせて、なぜ無謀な太平洋戦争に突入していったのか
何が起こっていたのか、大戦中に登場する人物像等
様々なことが、よく見えてきました。
◇戦争中、名が残るのは、派手なことをした人であって、
華々しいけれど、評価に値するとは必ずしも限らない。
しなかった人の方は、一般からはわかりにくいので、
真に偉大でも、名は残りにくい、
ということがわかりました。
あの時代にあって、冷静にものごとを見つめ
命を張って、戦争に突入するのを止めようとしていた人が
こんなにいたとは知らなかった、と新鮮であり
そんなことも知らなかったのかと、恥ずかしくなりました。
◇井上成美との、コントラストも、とっても面白かったです。
「米内中将は、二・二六のような変事でもなけれは
慈眼衆生を観るといった感じの、したしみ深い長官だが、
(井上)参謀長はご本人が論理学の教科書みたいな人で
目つきは鋭いし、日常接するのが怖かった」
◇その井上が米内をどう評価していたか、
というところから、本書は始まります。
井上が、
「日本の海軍には、一等大将と二等大将とがあった」
と言っていたのは、有名な話だとのこと。
果たして、誰が一等大将に合格かと言えば、
山本五十六でさえ、条件付きで一等大将とは、
何と厳しい評価なのかと驚きました。
「大将の位がえらいなんて思っているような大将は全員落第なのだが、
この容赦なしの井上成美が、同時代の提督の中で、
無条件で一等大将と認めていたのが米内光政であった」
と言われると、米内とはどんな人物なのか、
一気に引き込まれました。
ちなみに、井上の教え子の某氏によると
「山本五十六さんほか数人が二等大将か、辛うじての一等大将。
あとは東郷元帥を含めて全部三等大将だったのではないでしょうか」
とのことだそうです。。。 -
Posted by ブクログ
最も印象深い二つの対照的な場面
8月10日の御前会議前
米内光政「多数決で結論を出してはいけません。きわどい多数決で決定が下されると、必ず陸軍が騒ぎ出します。その騒ぎは死にもの狂いだから、どんな大事にならぬとも限りません。決を採らずにそれぞれの意見を述べさせ、その上で聖断を仰、御聖断を以て会議の結論とするのが上策だと思います。」
ポツダム宣言受諾通告後
大西瀧治郎「たしかに戦勢は不利です。われわれの努力が足りませんでした。申し訳ないことです。われわれが責任を負わなくてはなりません。しかし、あと二千万人の日本人を特攻で殺す覚悟なら、決して負けはしません。もう一度だけやらして下さい。もう一度智恵を出させて下さい。どうか、今しばらく戦争を継続させていただきたいと、陛下にお願いして下さい。」 -
Posted by ブクログ
やはりこう言った史実を追いながら進む人物像を描いた作品は、読むのがしんどいですね。最初の百ページ読むのに一週間以上かかった。山本五十六とは…名前だけは知っていても、彼の骨柄や来歴、功績なんか全然知らなかったので阿川弘之先生の海軍提督三部作の代表作を選択出来たのは僥倖でした。大東亜戦争が始まる前の日本の政界と軍部の立場や主張、それに陸海軍の軋轢など史実に基づいた詳細な記述は非常に面白かったです。何故、日独伊三国同盟が締結されたのか?その時、それが正しい選択であったのか否か?その辺の経緯が分かって、眼から鱗が落ちる思いでした。それに山本五十六提督がどんな人物で、何をどう考えていたのかよく分かりました。上巻ではまだ戦争が始まる前が舞台ですので、開戦後の下巻も楽しみです。
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Posted by ブクログ
上下巻とも、非常に客観的な内容で山本元帥を描き上げた良い著書である。
戦死の原因、アメリカは暗号を解読してたのか、戦死後の各人の動きにかなりの紙面を割いているが、恐らく当時は関心が高かったのだろう。
勝てる見込みのない中、真珠湾攻撃という奇策を用い戦果を上げ、東南アジア側でも連戦連勝、山本元帥は神の如き人間となる。
しかし、ミッドウェイで大敗北を喫したのち、アメリカの圧倒的な国力、戦力の前に敗北を積み重ね、とうとう最前線で指揮をとっていた山本元帥は戦死する。
国葬の後、姉が遺骨を引き取り、山本が信頼した、米内、井上の神格化はするな、という言葉で幕を閉じる。
そして、山本元帥無しでは戦争を終結させられないと考えていた軍人、知識人は激しく落胆したという。
ミッドウェイの時点で、連戦連勝の驕りもあり、アメリカが一部暗号を解読して情報戦で圧倒的有利だったこともあり、山本元帥をしても大きな流れを変えられなかったのだろう。
しかし、もし山本元帥が戦死してなかったら、戦争の終結地点は変わったかもしれない。
戦争には勝てないと分かっており、圧倒的な国民支持を持っているからこそ、和睦の道筋が立てられる人材だった。
優秀な指揮官ではなかったかもしれないが、日本の中で最も大局観を持った人間であり、アメリカにも畏怖される存在であったのは間違いない。
最後に私が座右の銘にしている山本元帥の言葉を引用して終わりとする。
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」