阿川弘之のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「急ぎの用はゆっくりと」、「静かに時を過ごすことを習え」といった「大人の見識」を身につけることを勧めた本。
著者は日本人が軽率な者を勇敢と見なしたり、些細なことに対して大げさに騒いだりする傾向を持っていることを「軽躁」であると指摘し、それに対して「静謐」を重んじよ、と主張する。そして、この「静謐」という語は『今昔物語』に出てくる「和魂(やまとだましい)」に通ずる。
これは戦時中に武士の心意気として盛んに喧伝された「大和魂」とは異なり、「日本人なら本来持っているべき思慮分別」と定義される。
その他は日本海軍やイギリス海軍に関する記述が多い。両者ともユーモアのセンスを重んじたとか -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
軽躁なるものを勇豪とみるなかれ、かつて戦国の名将はそう戒めた。
国を誤る指導者の愚があり、滅亡の淵から救い出した見識もあった。
英国流の智恵とユーモア、フレキシビリティを何より重んじた海軍の想い出…、歴史の中へ喪われゆく日本人の美徳と倫理をあらためて問うとともに、作家生活六十年の見聞を温め、いかなる時代にも持すべき人間の叡智を語る。
[ 目次 ]
第1章 日本人の見識
第2章 英国人の見識
第3章 東洋の叡智、西洋の叡智
第4章 海軍の伝統
第5章 天皇の見識
第6章 ノブレス・オブリージュ
第7章 三つのインターナショナリズム
第8章 孔子の見識
[ POP ]
[ お -
Posted by ブクログ
古き良き日本人の精神と、それが失われた現代への批判。戦争・海軍・英国から見られる「大人の精神性」について。差別的な言動にも逆にユーモアで返し、それを当事者も含め皆が笑ってしまえる英国のユーモア精神は羨ましいところ。重箱の隅をつついて責めるような日本では見られません。こういう器の大きいところは見習ってほしいものです。著者の英国好きがかなり窺えます。
論語についても少し書かれていて興味を持ちました。筆者が子供に伝えようとした様に、一日一つ読んでみようかなという気になりました。少々内容に偏りはありますが、自分の姿を振り返るのに時々読み返したい。