阿川弘之のレビュー一覧

  • 井上成美
    ・人間を神様にしては行けない。神様は批判できない。
    ・考える、頭を使う。アングルを変えて物事を考察する力を養う。自身も読む手を休めてじっくり考えこんでいた。
    ・「念のため長官に相談して」などとは言わず、自分の役職としての判断を示し、責任は自分で持つ。
    ・英語教育における直読直解主義。英英辞典を用いる...続きを読む
  • 山本五十六(下)

    誰よりも英米との戦争に反対しながら、自らその火蓋を切らざるを得なかった提督の一生の話。
    航空機の登場によるゲームチェンジ(大艦巨砲主義の終焉)、軍縮条約は日本にも利があること(彼我の国力・工業力の圧倒的な差から、無制限建艦競争に陥れば日本に勝ち目はないこと)を説き優れた大局観を持ちながらも、個々の...続きを読む
  • 米内光政
    終戦時の海軍大臣。いわゆる秀才タイプではないものの、識見と確固たる信念を持ち、胆力を持つリーダー。本土決戦派を抑えて終戦工作という困難を成し遂げた。
    他方で、持ち前の面倒くさがりか無口からか、海軍内の主張・理念を部内に周知徹底させず結果として海軍として一枚岩の形にすることを怠ったことは悔やまれる。
    ...続きを読む
  • カレーライスの唄
    2024.02.24
    阿川弘之先生がこういう「優しい」小説を書かれていたことを初めて知った。
    読みやすく温かい気持ちにさせられるし、戦争と正義と平和と、いろんなことをさりげなく考えさせてもくれる。
  • 米内光政
    太平洋戦争に、井上成美、山本五十六と反対し続きた海軍の米内光政。

    米内光政とはどのような人物なのか、なぜ内閣は短命で終わったのか。

    なぜ昭和天皇に気に入られたのか。

    あの有名な畑俊六の極当国際軍事裁判での米内光政。

    この本を読み終わった時には、彼をもっと知りたいと思えるようになる。

    彼の内...続きを読む
  • 空旅・船旅・汽車の旅
    乗り物好きな阿川弘之氏の、旅のお話集。
    紀行文にとどまらず、戦後の日本の交通に関する興味深いレポートも満載。
    一章ごとに写真が載っていて、「手前にいるのが著者」などとキャプションが添えられている。
    誰が撮ったのかな?編集者でしょうか?奥様でしょうか?
    ユーモアあふれる語り口で、昔懐かしくもあり、大変...続きを読む
  • 舷燈
    ずっと読みたかった阿川さんの本作をようやく読めた。
    確かに、他の作品とはやや毛色が異なる。もともと阿川さんは女性よりも男性に好まれる作家ではないかと思っていたが、もし女性が本作を読んだらどんな感想を持つだろう・・と思った。

    冒頭から妻への暴力の場面で始まる。主人公は女性は家長である男性に従うべきで...続きを読む
  • 山本五十六(下)
    だんだん負けて行き、最後の海軍甲事件に至る。
    山本五十六でも至らないところが多々あり、それでもなんとか頑張っている姿がなんとも言えない。若い頃に読んだときはそうは思わなかったが、今はそう思う。
  • 米内光政
    日本に必要な人物。少しでもこの方の声に耳を傾け、国民の生活を考えられる人がいれば良かったのに。今の日本も、国民のことを第1に考えて政をしてる方が現れることを祈りたい。

    桜の会を弾劾するために、税金の高給取りが子供に見せられない野次を飛ばし、記憶に無い、私の管轄では無いと何十時間も平行線の無駄な時間...続きを読む
  • 米内光政
    ◇いろいろな面で、非常に勉強になりました。

    最も印象的だったのは、
    「真の指導者とは何か」を教えてくれる
    教科書のように感じました。

    今まで読んだリーダーシップの本で、
    聞いたことこともないスタイルなのですが、
    (つまり、何も言わない。
    しかし、内なる信念はハッキリしていて、
    最後の最後には、指...続きを読む
  • 米内光政
    最も印象深い二つの対照的な場面

    8月10日の御前会議前
    米内光政「多数決で結論を出してはいけません。きわどい多数決で決定が下されると、必ず陸軍が騒ぎ出します。その騒ぎは死にもの狂いだから、どんな大事にならぬとも限りません。決を採らずにそれぞれの意見を述べさせ、その上で聖断を仰、御聖断を以て会議の結...続きを読む
  • 山本五十六(上)
    やはりこう言った史実を追いながら進む人物像を描いた作品は、読むのがしんどいですね。最初の百ページ読むのに一週間以上かかった。山本五十六とは…名前だけは知っていても、彼の骨柄や来歴、功績なんか全然知らなかったので阿川弘之先生の海軍提督三部作の代表作を選択出来たのは僥倖でした。大東亜戦争が始まる前の日本...続きを読む
  • 山本五十六(下)
    上下巻とも、非常に客観的な内容で山本元帥を描き上げた良い著書である。

    戦死の原因、アメリカは暗号を解読してたのか、戦死後の各人の動きにかなりの紙面を割いているが、恐らく当時は関心が高かったのだろう。

    勝てる見込みのない中、真珠湾攻撃という奇策を用い戦果を上げ、東南アジア側でも連戦連勝、山本元帥は...続きを読む
  • 山本五十六(上)
    稀代の海軍元帥、山本五十六。

    これからは航空機の時代と先を読み、航空本部長時代には飛躍的とも言える技術推進。海軍次官時代にはアメリカとの戦争を避けるために三国同盟に命がけで反対。しかし、中央に残ろうとするも命の危険を避けるため連合艦隊司令長官へ。そして三国同盟が締結される。

    戦争やむなしの中、周...続きを読む
  • 井上成美
    ほんとに正しいことを言ったのに、したのに、時代に押し流されてしまった人。空軍力の増強をいち早く取り入れようとしたのもこの人。
    戦後はもっとまっすぐに日本のために尽くしてくれた方が良かったかもしれない。ストイックすぎたひと。
  • 雲の墓標
    2015.10記。

    個人的追悼:小説家阿川弘之氏 (長いです)

    小説家の阿川弘之氏がなくなった。とくに若い頃熱心に読んだ敬愛する作家のひとり。

    阿川氏は自ら若き士官として務めた旧日本海軍への深い愛情を文学の下敷きにしていた。故に、戦後の文壇からは長く「反動」のレッテルを貼られ、大江健三郎に代表...続きを読む
  • 井上成美
    先日読んだ『失敗の本質』の中で艦隊思想が主流の日本海軍の中で一部に航空強化論があったことが語られており、興味を持った。井上大将の徹底した合理的思考は常人からは敬遠されがち。だが、その本性は冷徹漢ではなく、むしろ”人をつくる”ことに心血を注いだ人生である。こういう人が懐刀に止まらず、サクッとトップに立...続きを読む
  • 井上成美
    とてつもない作品。
    少数派であることの難しさ、
    そして自分を貫くことに関する難しさを
    いやというほど感じる作品です。

    彼は多くの人が戦争推進という体をとる中
    反対の立場を崩しませんでした。
    そう、敵国が持つ技術の差を
    いやというほど知っていたから。

    しかしながら、多数派が
    はびこるということはど...続きを読む
  • 大人の見識
    逆のものさし講で、清水克衛さんから教えて戴いた本です。3年前に亡くなられた阿川弘之さん、陸軍が嫌いで海軍に入隊しています。確かに海軍は自由度が高いと言うか卑屈なイメージはありません。そんな海軍やイギリス、昭和天皇などをベースに、大人の見識を説いています。理屈っぽいお爺さんのイメージがありますが、見識...続きを読む
  • 大人の見識
    編集が決めた書名と著者のコンセプトが多少違うが、それでも英国のジェントルマンシップと武士道、そしてその流れを汲むネイビイズムの話は十分に楽しめたし納得のいくものだった。昭和天皇の見識を知り驚くとともに、天皇崇拝を唱えながらも、天皇の意思に反し、戦争へ突き進んだ軍部の姿に憤りを感じた。儒教については是...続きを読む