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会社倒産で職を失った六助と千鶴子。他人に使われるのはもう懲り懲り。そこで思いついたのが、美味しいカレーライスの店。若い二人は、開業の夢を実現できるのやら? そして恋の行方は? 邪魔する奴もいれば、助けてくれる人もいる。夢と希望のスパイスがたっぷり詰まった、極上エンタメ小説! 食通で知られた、文豪・阿川弘之が腕を振るった傑作!
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Posted by ブクログ
500ページ越えの小説だったけれど、話の展開が早く、平易な読みやすい文章で書かれているので、1日目に200ページ、2日目に300ページも引き込まれるように読み進んだ。 たあいもない、ほんのり恋愛、昭和中期の時代背景も織り交ぜた日常のお話ではあるけれど、なぜか読んでいて楽しい本。 つぶれた出版社を、...続きを読む退職金も不渡りでもらえないまま失職した男女二人が、昔、仕事で一緒に食べたカレーライスを記憶の隅に置きながら、カレー屋を始めるまでのストーリー。 最後は店を応援してくれる暖かい人の心に包まれて、希望のあるハッピーエンド、彼のプロポーズで終わる話。 こういう楽しい本をいつも傍らにおいて、マイペースで読書を楽しみたいと思った。
2024.02.24 阿川弘之先生がこういう「優しい」小説を書かれていたことを初めて知った。 読みやすく温かい気持ちにさせられるし、戦争と正義と平和と、いろんなことをさりげなく考えさせてもくれる。
おもしろい。 率直にそう思った。 この本を手に取ったのは、帯に書かれていた「読み終わっちゃうのがもったいない」という言葉に魅かれたからだが、読み進むにつれて残り少なくなっていく未読ページを見て、まさにそう思った。 舞台は昭和40年代。戦後も終わり、○○成長といわれる日本経済の急進期だ。 出版社に努...続きを読むめる主人公の六助は短気な一本気質で、あまり口は達者ではない。納得ができないことがあると、かぁっとなってついつい手を出してしまうような不器用な青年だ。 情熱をもって仕事に臨むが、勤務先の出版社はもう倒産寸前で、まわりの同僚は仕事もせずに一日中将棋ばかり打っている。六助が頼み込んで出版までこぎつけたベテラン作家の長編小説は売れ行き好調だったが、その原稿料も支払えないようなありさまだ。 そしてついに勤務先が倒産。職を失った六助は下宿代もまともに払えず、故郷の広島に帰ることになる。 一方、かつての同僚の千鶴子はいつも前向きで、物おじしない性格だ。父親が社長業をしていて実家が裕福なこともあり、職を失った後も友人とスキー旅行に行くようなお気楽な生活をしている。六助とは対照的な人物だ。 この二人が同じ目標を持ち、夢を実現させるサクセスストーリーであり、実はラブストーリーでもある。 作中で重要なアイテムとして使われているのが株だ。 二人の仲が疎遠になると株は値下がりし、気持ちが高まるのに合わせて株も値上がりする。 読んでいる方も、この株につられて気持ちが上がったり下がったりしてしまう。 50年も前の作品なのに、六助と一緒に時代を生きているような臨場感がある。 この作品を読んで、つまらない日常も、おもしろい日常も、何も起こらない日常も、愛おしく感じられるようになった。 読後は幸せな気持ちになること間違いない。
8/27くらいから読み始めて今日読み終わった。 最初はあんまり面白さを感じられなかったけど、後半になるにつれて、徐々に面白くなり、毎日ちょっとずつ読み進めた。特に時代的な現代との感覚のズレや話し方のくせ、文章の特徴が面白かった。
美味しかった、じゃない、おもしろかった。 語り口が良い感じにユーモラスで、するすると読み始めるうちにどんどん展開が進み、最後は語り口も口を閉ざして、まあるくおしゃれに落ち着き、はい、ごちそうさまでした、という著者の気配すら感じる。 カレー食べにいこーっと!
20160919 時代が自分に丁度良い。今ならもっと本当に面倒な悪役が出て話がグロくなると思う。人間の善意が普通にあった時代。そんなに昔の話ではない。これからどうなるかわからないがこの本の時代の日本人に向かって貰いたい。
登場人物が心優しい人達ばかりなので、気持ちよく読めた。 平和への願いといった作者の主張も鼻につくことなく すんなり物語に溶け込んでいた。 原稿をとりに中央線で荻窪まで。 淡路町から丸ノ内線で池袋、西武線で板橋まで。 寿司を食べにタクシーで青山から銀座、とか。 そういう描写が楽しい。 ありきたりの感想...続きを読むになってしまうが、 カレーライスが食べたい。
タイトルを見てなんか美味しそうなお話だなーと思って手に取りました。カレーライスって匂いだけじゃなくて文字にしても食欲をそそりますね。 ただ作品の中身はカレーがメインというわけではなく、カレーライスが出てくるのは大分後になってからです。ちょっとラブコメな感じで、辛いというより甘い。でも甘ったるいかとい...続きを読むうとそうでもなく、バーモントカレー中辛といった感じかな。 われ鍋にとじ蓋の例として挙げられるような六さんと千鶴子カップル。お嬢さん育ちでちょっぴり気の強い千鶴子は、六さんをひっぱりつつも下がるところは下がって縁の下の力持ちに回ろうとする。六さんもすぐ癇癪を起こすくせに二の足を踏んで前に進めずどこか要領も悪いけど、決めるところは決めるし自分の信念は貫こうとする。きっと二人はいい夫婦になると思います。 なので後半駆け足すぎたのが残念なところ。夫婦になってからの二人と「ありがとう」も見てみたかったな。二人の周りを固める脇役もいい味出してました。
面白く読めました。カレーライフと似たような感じかと思いましたが、開店後はあっさりとうまくいってちょっと物足りない気もしました。戦犯についての話は雰囲気と合わず重苦しい内容でしたが、戦争文学としても、青春文学としても興味深く読めました。
ちくま文庫のコーナーで最近平積みになっている。1960年代からの日本の感じが描写よく書かれている。ストーリー展開もシンプルで、こういう感じで進むんだろうなぁという期待を裏切らない。それゆえ、物足りないと思う読者もいるかもしれないが、たまにはこんなわかりやすいものもいいと思った。
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