阿川弘之のレビュー一覧

  • お早く御乗車ねがいます

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    面白かった。
    本書のように純文学系の作家が、筆休め?なのか、本気なのかはわからないが、本業の創作から離れてのびのびと「好きなもの」を語る。こういう本は本当に楽しい。
    言わずと知れた『阿房列車』も、他の随筆も大好きだが、実は、百閒先生の小説作品などはわずかしか読んでいないのに対して、阿川さんは、まず他の小説作品をそれなりに読んできたので、新鮮味が強い。
    鉄道ではないけど、(そう言っていいのかわからないが、)福永武彦さん・奥泉光さんのものする推理小説も同じ方向性と言えないだろうか。どちらも大好きなのだが。
    阿川さんの本書は、百閒先生と比較すると、執筆当時の海外の鉄道事情にも触れていたりする点と、ど

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    2020年10月19日
  • ぽんこつ

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    小学生のある時期に夏休みや冬休みをまるまる過ごしていた親戚の家にあったので、よく読んだ。ほとんど覚えていて、やはり子供のころの読書は重要。(もっと教養ある本を読んでおけばよかった?!)
    内容はまぁ他愛のないユーモア小説なのだが、文章の調子がよく読ませる。阿川弘之ってなんか男尊女卑感があるんだけど、いま読んでみると女性主人公のはつらつとしたところが意外、かも。背景に書き込まれた昔の日本の描写もけっこう貴重。

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    2020年05月27日
  • 米内光政

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     今年は米内光政(1880-1948)生誕140年といふことです。この人は「第37代内閣総理大臣」といふよりも、「最後の海軍大臣」としての方が存在感があつたやうです。
     本書はその米内光政を、やはり海軍出身の阿川弘之が執筆した評伝小説であります。
     元来米内光政といふ人は、兵学校でも平凡な成績で、さう優秀とも目されず目立たぬ経歴だつたやうです。何かと「俺が俺が」の軍人の中では異色の存在と申せませう。そのせいか、若い時分の記録はあやふやで、詳らかではないみたい。盛岡出身ですが郷里でのエピソードは少なく、本書でもイキナリ春日艦長(海軍大佐)としての登場であります。

     部下に対しても必要最低限の事

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    2020年05月25日
  • 山本五十六(上)

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    聖人ではなく人間味があり、痛快と言えば痛快。
    あの時代はこのレベルの人物でも流れを変えられなかったというのが、基底としては悲しく、課題を突きつけられる

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    2020年03月30日
  • カレーライスの唄

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    美味しかった、じゃない、おもしろかった。
    語り口が良い感じにユーモラスで、するすると読み始めるうちにどんどん展開が進み、最後は語り口も口を閉ざして、まあるくおしゃれに落ち着き、はい、ごちそうさまでした、という著者の気配すら感じる。

    カレー食べにいこーっと!

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    2019年09月14日
  • 米内光政

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    綿密な記録類の読み込みと取材に基づいた記録文学。本土決戦を避け、終戦へ導くことに全霊を傾けた最後の海軍大臣の伝記。

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    2019年03月03日
  • 山本五十六(上)

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    連合艦隊司令長官としてブーゲンビル島の空に散った山本五十六提督伝。我々の世代からすると既に歴史上の人物ではあるが、執筆当時は同時代性の中綿密な取材や記録にあたっておられたことがうかがえる。これが執筆された当時山本未亡人に告訴されたという。貴重な記録文学であると思う。

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    2019年02月12日
  • 山本五十六(上)

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    昭和史(ここでは終戦まで)というものは、どうしても後ろめたさが先行してしまうもので、もちろん学校で習ったり、テレビや映画を通じて受動的に知ることはありますが、自分からよく知ろうとは思いませんでした。したがって、戦国や幕末、明治を舞台にした小説はこれまで数多く読んできましたが、昭和史、つまり太平洋戦争を扱った小説というものは、本書が初めて。では、なぜ本書なのかと問われると、「山本五十六」という名前は、そんな受動的な自分にとってもよくよく聞こえてくる人名でして、例えば「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」という有名な言葉も、実はこの言葉を通じて山本五十六という名前を

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    2019年02月02日
  • 米内光政

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    2012.1記。

    太平洋戦争前夜の海軍大臣にして首相の地位にあった米内光政の伝記的小説。その人となりを周囲の人の証言をもとに描き出すことが本書の狙いであるが、史実に忠実であろうとすると同時に、著者は主人公に強い共感を抱いていることを隠しておらず、そのことがかえって読後感を心に残るものにしている。

    米内光政は必ずしも同期の秀才ではなかったらしい。実際、参謀だの米国大使館だのを同期が歴任する中、佐世保あたりで芸者にもてまくってたりする。しかし、時代とともにドイツと連合して対ソ戦に備えるべきと主張する陸軍と、ドイツと組めば対米戦争不可避と絶対反対の米内ら一部海軍との対立が先鋭化、政治もこう着して

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    2019年01月13日
  • 米内光政

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    豪快な性格ながらも、極限状態では緻密な判断を下せる能力。これが米内が持つ人を惹きつける力だったのか?著者が言うように、陸軍のトップも米内のようなカリスマ性を持っていれば果たして・・・

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    2018年09月17日
  • 山本五十六(上)

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    海軍予備学生だった著者が、資料を駆使して書きあげた『山本五十六』『米内光政』『井上成美』からなる「海軍提督三部作」の第1弾です。上巻では、ロンドン軍縮会議での活躍が中心に描かれており、陸軍との摩擦や、海軍内の「艦隊派」の突き上げに苦慮しながらも、冷徹な目で日本の行く末を見据えていた山本の考えに迫ろうとしています。

    日本海軍の歩みをたどることが本書の眼目ではなく、むしろ山本の人間像を活写することに著者の力が注がれているように感じます。ちなみに下巻の「解説」を執筆している村松剛は、山本の私生活にまで立ち入ることで、彼の人間像に迫ろうとした本書の叙述を「反英雄(アンチ・ヒーロー)的な方法をもって、

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    2018年03月27日
  • 日本海軍に捧ぐ(PHP文庫)

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    作家、阿川弘之氏の海軍エッセイ、作品集。
    在りし日の海軍への郷愁の念それ自体はそれとして、江田島の教育参考館の在り方や、海軍の罪の部分についても思いが綴られているのが良い。海兵出ではない阿川氏ではあるが、フレキシブルで、リベラルな批判的精神を持ち合わせ、ユーモアのある文章も書けて、まさに海軍士官のモットーを体現したようなお人のようである。
    収録されたものの中では、キスカの話が好き。
    優秀だが当たらない海洋気象士官の奮闘がよい。

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    2018年01月14日
  • 米内光政

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    海軍大将米内光政について、名前は知っていても具体的に何をした人かは無知であったため手に取った。三国同盟や米英との戦争に終始反対し、戦争を終結に導いたといった実績が有名なところだろうか。綿密な取材に基づく私生活全般についても詳しい本。

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    2016年12月20日
  • カレーライスの唄

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    ネタバレ

    書かれたのは今から55年くらい前…
    戦後の好景気に沸く時代の物語である。

    勤めていた弱小出版社が倒産してしまい、遅配分の給料ももらえず、退職金も空手形でごまかされて、すっかり宮仕えに嫌気がさした六助は、今風に言えば「起業」をしようと思い立つ。
    やはり、元同僚である千鶴子が賛同して協力を申し出て…
    二人がカレー屋の亭主と女将さんに納まるまでの、カレーなんですが、甘酸っぱい青春物語です。

    出てくる単語が「オールドミス」とか(今ならエイハラで訴えられます)、ハイビスカスを「ふよう(芙蓉)のような花(言われてみれば似てる!)とか…品物も、なつかしきブーブークッションが出てきたりとか…
    うわ~、昭和

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    2016年10月02日
  • カレーライスの唄

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    20160919 時代が自分に丁度良い。今ならもっと本当に面倒な悪役が出て話がグロくなると思う。人間の善意が普通にあった時代。そんなに昔の話ではない。これからどうなるかわからないがこの本の時代の日本人に向かって貰いたい。

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    2016年09月19日
  • 山本五十六(上)

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    2016.8.30
    山本五十六の人物像に迫るもの。決して、五十六礼賛では無く、戦争回避に全力を尽くすべきだったとも指摘している。
    五十六のエピソードをもとに、ひととなりが分かる面白い作品。

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    2016年09月02日
  • 雲の墓標

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    目的化した死が、あらゆる不安をはらいのける
    サルトルは、自由が人間を縛りつけるのだと言った
    だが徒競走ならば、自由もへったくれもない
    きれいさっぱり清められた一本道を、おのが死めがけて突っ走る
    そのように自らを律して特攻の日を迎えようとする若者たちの手記
    というテイで書かれた小説
    その、スマートとすら呼べるすがすがしさは
    ひょっとしたら同調圧力に負けたおのれをごまかす
    自己欺瞞でしかないのかもしれない
    いや、しかし実のところそれは、要領よく生き延びたとして
    おのれに恥じないでいられるような人間でありたくはない、がゆえに
    自らの意志でつかみとった気高さ、潔癖さであると
    ・・・生き延びてしまった者

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    2016年08月24日
  • カレーライスの唄

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    登場人物が心優しい人達ばかりなので、気持ちよく読めた。
    平和への願いといった作者の主張も鼻につくことなく
    すんなり物語に溶け込んでいた。
    原稿をとりに中央線で荻窪まで。
    淡路町から丸ノ内線で池袋、西武線で板橋まで。
    寿司を食べにタクシーで青山から銀座、とか。
    そういう描写が楽しい。
    ありきたりの感想になってしまうが、
    カレーライスが食べたい。

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    2016年06月14日
  • カレーライスの唄

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    タイトルを見てなんか美味しそうなお話だなーと思って手に取りました。カレーライスって匂いだけじゃなくて文字にしても食欲をそそりますね。
    ただ作品の中身はカレーがメインというわけではなく、カレーライスが出てくるのは大分後になってからです。ちょっとラブコメな感じで、辛いというより甘い。でも甘ったるいかというとそうでもなく、バーモントカレー中辛といった感じかな。
    われ鍋にとじ蓋の例として挙げられるような六さんと千鶴子カップル。お嬢さん育ちでちょっぴり気の強い千鶴子は、六さんをひっぱりつつも下がるところは下がって縁の下の力持ちに回ろうとする。六さんもすぐ癇癪を起こすくせに二の足を踏んで前に進めずどこか要

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    2016年06月13日
  • 井上成美

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     井上提督は、国家を戦争の道に陥れた、いわば国賊を憚ることなく厳しく批判していた。東京裁判でA級戦犯とされた何人もそのなかに含まれている。東京裁判は、戦勝国による一方的な判決という見方は完全に否定できないが、あながち間違っているとも言えない。

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    2016年02月10日