阿川弘之のレビュー一覧

  • 雲の墓標

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    戦争に肯定的な軍人は、戦時中でも案外少なかったのではないかと思う。日本人特有の空気に支配されていたのだ。

    戦時中にこれほど、自分に素直に書いた日記が実際にあったのだろうか?

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    2015年10月22日
  • 雲の墓標

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    読み終えたあと虚脱感を感じた。特攻隊として散っていった主人公の思いについて、日記形式に書かれている。主人公の気持ちを考えるも、なんと言うか、リアリティが感じられない。いや、これは想像力が無いだけなんだろうけど。同時代人はどう思うのだろうか。身につまされる思いがするのだろうか。
    近頃の子供たちは、小さな科学者、小さな国家主義者として、こまちゃくれた育て方をされているものが多いようである。大人が子供の世界を造ってやることは、やめなければいけない。…自分たちは死んでも、子供たちの上には、ひろびろとした豊かな祝福された次の時代が来なければならぬ。

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    2015年09月08日
  • 国を思うて何が悪い~一自由主義者の憤慨録 新装版~

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    流石 自由主義者だけのことはある
    礼儀もへったくれもない、思いつくまま言いたい放題だ。
    もっとも読者にとっては痛快である。親父の憤慨短編随筆
    異論のある輩が、酒を飲みながら読む本ではない。
    喧嘩を売っているのである。
    「黙れこの野郎!、屁理屈言うな!」となって暴れそうだ。
    しかし、僕は面白いと思って読んだ。
    もっともな言いたい放題だからだ。
    東京帝大卒、海軍出身、昔気質の頑固親父だけれど、涙もろく感激屋、憎めない。2015年8月3日(満94歳没)
    老いぼれ爺だけれど、もう少し生きていて欲しかった。

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    2015年08月13日
  • 山本五十六(下)

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    日米開戦時の海軍連合艦隊総司令官だった山本五十六の伝記。対象と程よい距離感で淡々と描かれており、かなり良質な伝記文学となっている。山本五十六の人間くささがよく伝わってきた。ただ、山本五十六自身にはそれほど惹きこまれることはなかった。どちらかというと、はっきり物を言い、考えが一貫している井上成美に好感を持った。海軍の上層部には山本や米内や井上のような戦争に消極的な人たちが少なくなかったのに、結局、日米開戦にまで至った経緯をたどると、個人の力ではなかなか抗うことのできない時代の空気ともいうべきものの恐ろしさを感じた。本筋からは外れるが、人相見の水野義人のエピソードが興味深かった。

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    2015年04月07日
  • 山本五十六(上)

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    日米開戦時の海軍連合艦隊総司令官だった山本五十六の伝記。対象と程よい距離感で淡々と描かれており、かなり良質な伝記文学となっている。山本五十六の人間くささがよく伝わってきた。ただ、山本五十六自身にはそれほど惹きこまれることはなかった。どちらかというと、はっきり物を言い、考えが一貫している井上成美に好感を持った。海軍の上層部には山本や米内や井上のような戦争に消極的な人たちが少なくなかったのに、結局、日米開戦にまで至った経緯をたどると、個人の力ではなかなか抗うことのできない時代の空気ともいうべきものの恐ろしさを感じた。本筋からは外れるが、人相見の水野義人のエピソードが興味深かった。

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    2015年04月07日
  • 論語知らずの論語読み

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    これなんかも,『論語読みの論語知らず』より有名になるかも~鉄道を始めとする乗り物好き。短編小説を見せて志賀直哉の門下の一員となる。中学時代に論語を知るが,昭和51年夕刊フジに随筆を書くことになり,テーマとしてふと思いついた論語を選ぶ。上野毛の隠居(吉行淳之介)や町田の大家さん(遠藤周作),本屋の赤門堂(三浦朱門),松原万峯楼の若旦那(北杜夫)を登場させ,ああでもない・こうでもないと喋らせる。論語の指南役の二信亭田句馬(中国文学者・駒田信二)が登場してきて,小人とはオカマの事かも知れないと言わせる。鬼のおくびは,中央公論の編集長・宮脇俊之らしいが,よく知らない。その他,佐藤愛子や倉本聰なんかが出

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    2015年03月09日
  • 山本五十六(上)

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    歴史小説というものを初めて読んだ。現実にあったこと、実在した人物だらけで(当たり前だが)、時代も時代だけに、さぞかし重く暗いことを覚悟して臨んだが、そうならなかったのはこの主人公の人柄か、作者の捉え方文章力か人柄か。山本五十六という偉人に対してはもちろんだが、ここまで調べて書き挙げた作者に対して尊敬の念を抱かずにはいられない。いつの時代にも偉人は存在するんだ。

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    2014年11月28日
  • 山本五十六(下)

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    下巻は山本五十六の真珠湾攻撃から敵機の襲撃を受けて戦死するまでを詳しく語っている。
    戦争に反対していた男を、無理やり真珠湾攻撃のための指揮官に当てたり、戦死する可能性が高いにもかかわらず戦地へ赴かせたり・・・。アメリカの現状を克明に伝えた人の話を聞かないで山本五十六を戦死させた日本は、本当に人の話を聞かない無知な国だったと感じました。専門家が、外交をしてきた人が話すことにどうして耳を傾けなかったのか、戦後、日本が一番最初に思ったことでしょう。
    戦死したことで「神的」のようになった山本五十六である。しかし「神的」というよりは「人間の暖かさを持った人物」という非常に身近に感じることができる人だと感

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    2014年09月14日
  • 山本五十六(上)

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    山本五十六という一人の海軍の人に焦点を当て、日本の戦時中の海軍の様子を詳細に語っています。
    「真珠湾攻撃」=「山本五十六」ということぐらいしか知らない知識。日本史でも名前が出るか出ないかくらいの人物。それなのに、この「山本五十六」は日本の戦史の中で非常に重要な人物だと思いました。
    アメリカやイギリスとの外交を通して「戦争反対」ということをずっと言い続けた一人。この当時からアメリカの工業力は日本と比べたら桁違いだった。どれだけアメリカを敵に回したら危ないことになるのかを言い続けたにも関わらず、日本は戦争へと突入していく。上巻はこのあたりまでが描かれています。
    本当に学校では教えてもらえない日本の

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    2014年09月14日
  • 井上成美

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    ネタバレ

    阿川弘之の海軍提督3部作を二十数年ぶりに読み返しました~
    最初に読んだ時には、なりたいのは米内光政、面白いのは山本五十六、でも一番自分に似ているのは井上成美だと思ってちょっとな~って感じでしたが、昔とは違い、この歳になるとそれもありだという気がしています。

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    2014年05月28日
  • 米内光政

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    積読状態だった阿川弘之の海軍提督3部作を連休中に読もうと思っていたのですが、恐らく井上成美は読み終わらなそうです・・・^^; この3名の中ではやはり米内光政が一番良いですね。

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    2014年05月05日
  • 雲の墓標

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    ネタバレ

    時間が経つにつれ、変化していく心情。
    生きたい、生き残りたい、そして「死んでやるのだ」という心の動きの狭間で、どちらにしても痛みが残る悲しさ。

    読み進めて、藤倉のくだりで鳥肌が立った。嘘だ、と言いたかった。彼の苦悩は現代の、戦後教育を受けた私たちにも分かるはずだ。

    最後の方は喪失感が途方もなく大きくて、言葉にならない。どうやって生きていくのか、私には分からない。

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    2014年02月24日
  • 春の城

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    ネタバレ

    青春小説といえば、青春小説。

    途中までは。

    原爆以降の描写が痛い。
    死が彼を避けていったような気持がした。
    そして「運命が軽く扱われる」のは、戦前も戦後もさして変わらないんじゃないかと思った。

    終戦以降、日本人が水に流して忘れてしまった苦悩が浮かび上がる。
    きっと、もう誰にも思い出してもらえないだろう、この矛盾は。

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    2013年11月12日
  • 米内光政

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    中国への対応など看過している短所こそあれ、阿川の描いた米内光政は魅力的な人物だった。読み物としては大いに楽しむことができた。歴史上の人物には様々な評価があるのが常で、ネットでもその種の情報が氾濫しているから、せっかく面白く読んでいるところを、そうした有象無象の意見に邪魔されそうになって嫌だった。
    要するに阿川が、どのような人物をしてスマートな人となしたか、その点が大事であって、実際の米内がどうであったかは極端に言うと問題でない。

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    2013年10月14日
  • 米内光政

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    『永遠の0』を読み終え、日本海軍物を読むことに。
    阿川弘之の海軍提督三部作。

    日本海軍が太平洋戦争開戦に否定的だったことは知られていることであるが、米内光政は海軍大臣、首相まで務め、その中心人物でもあった。
    若い時の海外経験も豊かで世の中の潮流を冷静に且つ客観的に観ていた。そして根っからの平和主義者であったのだろう。
    口数が少なく派手さはないが、東北人(盛岡)にある芯の強さを持ち合わせる。様々なエピソード等を交えて、米内光政の人物像を描き出し、一味違ったリーダーシップ、カリスマの形を感じる。

    海軍の組織に対する考え方、仕組みは、現在の官僚社会、企業社会に引き継がれているところもあり、それも

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    2013年08月24日
  • 雲の墓標

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    平和な時代の僕達から見れば悲惨な話だが、当の本人は淡々とそれを受け入れている。
    以前読んだレマルクの西武戦線異常なしを思い出した。

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    2013年06月20日
  • 大人の見識

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    温故知新・・・古キヲ温ネテ新シキヲ知ル。
    『温とは、肉をとろ火でたきつめて、スープをつくること。歴史に習熟し、そこから煮つめたスープのような知恵を獲得する。その知恵で以てア新シキヲ知ル』

    書き出しより、東条英機から、海軍の話題が中心であり、アレレと思うところもありつつ、イギリスにおけるユーモアの必要性、朱子学、論語の解釈等は知っておきたいと思うに至る。自分が絶対的に学が不足していることを再認識し、特に歴史とその背景について最低限の理解をしたいと思う。
    きっかけとなる本ではないかと思う。もう少し背景を勉強してから再読したい。

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    2013年05月31日
  • 山本五十六(上)

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    日本海軍・山本五十六の史伝。
    ばくち好きでひょうきんな彼の一面が見て取れる。
    山本五十六は無謀な戦争には反対だった。
    日独伊の三国同盟にも真っ向から反対した。
    彼のような現実的な物の見方をできる人物がもっといれば
    悲劇は避けられたかもしれないと思う。
    僕はまだまだ先の大戦に関する知識が足りない。

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    2013年05月30日
  • 山本五十六(下)

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    ここんとこの寝る前に読む本だった「山本五十六」
    ようやく読み終わった。
    阿川弘之の海軍提督三部作の中では一作目にあたるわけですが、「米内」と「井上」を先によんだので、これにておしまいっ。
    山本は有名すぎて、その生涯も最期もおおまかに知ってるので、あんまり読む気がわかなかったんですが、読んでみるとやはり面白いな。
    ギャンブル好きで女性好きな人間山本五十六がよく描けてたんじゃないでしょうか。

    この三部作、イケイケどんどんの声が増えてきた昨今、再び見直されていいと思うのよね。
    私は「井上成美」が好きやね。

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    2013年04月07日
  • 山本五十六(下)

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    下巻は真珠湾攻撃以降だが、山本の当初の見通し通り開戦後1年半が経過したあたりから戦局に翳りが見え始める・・・・こうなると(対英米戦争に誰よりも反対していただけあって)「やっぱりな」という諦めにも似た思いが出始め次第に死に場所を求めていたのでは・・・と思ってしまいます。勝てない戦でのトップの苦悩が垣間見えるような気がしました。

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    2013年04月02日