阿川弘之のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
読み終えたあと虚脱感を感じた。特攻隊として散っていった主人公の思いについて、日記形式に書かれている。主人公の気持ちを考えるも、なんと言うか、リアリティが感じられない。いや、これは想像力が無いだけなんだろうけど。同時代人はどう思うのだろうか。身につまされる思いがするのだろうか。
近頃の子供たちは、小さな科学者、小さな国家主義者として、こまちゃくれた育て方をされているものが多いようである。大人が子供の世界を造ってやることは、やめなければいけない。…自分たちは死んでも、子供たちの上には、ひろびろとした豊かな祝福された次の時代が来なければならぬ。 -
Posted by ブクログ
日米開戦時の海軍連合艦隊総司令官だった山本五十六の伝記。対象と程よい距離感で淡々と描かれており、かなり良質な伝記文学となっている。山本五十六の人間くささがよく伝わってきた。ただ、山本五十六自身にはそれほど惹きこまれることはなかった。どちらかというと、はっきり物を言い、考えが一貫している井上成美に好感を持った。海軍の上層部には山本や米内や井上のような戦争に消極的な人たちが少なくなかったのに、結局、日米開戦にまで至った経緯をたどると、個人の力ではなかなか抗うことのできない時代の空気ともいうべきものの恐ろしさを感じた。本筋からは外れるが、人相見の水野義人のエピソードが興味深かった。
-
Posted by ブクログ
日米開戦時の海軍連合艦隊総司令官だった山本五十六の伝記。対象と程よい距離感で淡々と描かれており、かなり良質な伝記文学となっている。山本五十六の人間くささがよく伝わってきた。ただ、山本五十六自身にはそれほど惹きこまれることはなかった。どちらかというと、はっきり物を言い、考えが一貫している井上成美に好感を持った。海軍の上層部には山本や米内や井上のような戦争に消極的な人たちが少なくなかったのに、結局、日米開戦にまで至った経緯をたどると、個人の力ではなかなか抗うことのできない時代の空気ともいうべきものの恐ろしさを感じた。本筋からは外れるが、人相見の水野義人のエピソードが興味深かった。
-
Posted by ブクログ
これなんかも,『論語読みの論語知らず』より有名になるかも~鉄道を始めとする乗り物好き。短編小説を見せて志賀直哉の門下の一員となる。中学時代に論語を知るが,昭和51年夕刊フジに随筆を書くことになり,テーマとしてふと思いついた論語を選ぶ。上野毛の隠居(吉行淳之介)や町田の大家さん(遠藤周作),本屋の赤門堂(三浦朱門),松原万峯楼の若旦那(北杜夫)を登場させ,ああでもない・こうでもないと喋らせる。論語の指南役の二信亭田句馬(中国文学者・駒田信二)が登場してきて,小人とはオカマの事かも知れないと言わせる。鬼のおくびは,中央公論の編集長・宮脇俊之らしいが,よく知らない。その他,佐藤愛子や倉本聰なんかが出
-
Posted by ブクログ
下巻は山本五十六の真珠湾攻撃から敵機の襲撃を受けて戦死するまでを詳しく語っている。
戦争に反対していた男を、無理やり真珠湾攻撃のための指揮官に当てたり、戦死する可能性が高いにもかかわらず戦地へ赴かせたり・・・。アメリカの現状を克明に伝えた人の話を聞かないで山本五十六を戦死させた日本は、本当に人の話を聞かない無知な国だったと感じました。専門家が、外交をしてきた人が話すことにどうして耳を傾けなかったのか、戦後、日本が一番最初に思ったことでしょう。
戦死したことで「神的」のようになった山本五十六である。しかし「神的」というよりは「人間の暖かさを持った人物」という非常に身近に感じることができる人だと感 -
Posted by ブクログ
山本五十六という一人の海軍の人に焦点を当て、日本の戦時中の海軍の様子を詳細に語っています。
「真珠湾攻撃」=「山本五十六」ということぐらいしか知らない知識。日本史でも名前が出るか出ないかくらいの人物。それなのに、この「山本五十六」は日本の戦史の中で非常に重要な人物だと思いました。
アメリカやイギリスとの外交を通して「戦争反対」ということをずっと言い続けた一人。この当時からアメリカの工業力は日本と比べたら桁違いだった。どれだけアメリカを敵に回したら危ないことになるのかを言い続けたにも関わらず、日本は戦争へと突入していく。上巻はこのあたりまでが描かれています。
本当に学校では教えてもらえない日本の -
Posted by ブクログ
『永遠の0』を読み終え、日本海軍物を読むことに。
阿川弘之の海軍提督三部作。
日本海軍が太平洋戦争開戦に否定的だったことは知られていることであるが、米内光政は海軍大臣、首相まで務め、その中心人物でもあった。
若い時の海外経験も豊かで世の中の潮流を冷静に且つ客観的に観ていた。そして根っからの平和主義者であったのだろう。
口数が少なく派手さはないが、東北人(盛岡)にある芯の強さを持ち合わせる。様々なエピソード等を交えて、米内光政の人物像を描き出し、一味違ったリーダーシップ、カリスマの形を感じる。
海軍の組織に対する考え方、仕組みは、現在の官僚社会、企業社会に引き継がれているところもあり、それも