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Posted by ブクログ
1941年の対米英開戦直前のタイミングから日本敗戦まで、主人公の耕二が大学生から学徒出陣で予備学生となり、中尉として中国・漢口の通信隊で暗号解読担当として活動した後、復員して広島に戻るまでの時間が描かれる。第4章では広島に残っていた耕二の恩師や両親、耕二に思いを寄せていた女性の視点から8月6日の広島の惨状が書き込まれていく。小説の最後には1948年の「平和祭」の記述もある。その意味では、最初期の「原爆文学」の一つとも言える。
個人的に興味深かったのは、耕二が海軍軍令部の諜報セクションで重慶政権の暗号解読を担当していた、という設定(これは阿川自身の経験に依拠している)。その後耕二は、前線に近い漢口に送られ、重慶の司令部が使っていた暗号システムを解読することに成功するが、そのときは漢口はすでに空爆され、軍事的には何の意味も持たなかったというオチが付け加わる。
戦時下の日常生活についての記述も気になった。耕二は友人と連れだって崔承姫の公演に出かけ、「理事生」として雇用されている女性タイピストたちとの恋愛話に花を咲かせる。1945年3月の東京空襲のあと、東京から上海経由で漢口に転任してきた人物も登場してきて、ちょうど堀田善衞が上海に赴いたタイミングと同じであることに思い至る。
Posted by ブクログ
阿川弘之、デビュー作。
「雲の墓標」の衝撃と感動に、こちらへとさかのぼって読んだ。
3月から読み始めて、今!
・・・途中、何度も中断したのに、よく投げなかったものよ・・・
それもこれも、筆力、テーマの力。
学徒動員され、内地での暗号解読業を経て、中国へ・・・
そして終戦。
故郷広島の悲劇。
阿川氏は主人公と同じく、広島で聞き書きを重ねたのだろう。
当事者故にわかることも多々ある。
ちょうど広島サミットにあわせ、読み終わった形。
今すぐの結果はでないだろうが・・・
ただの「貸座敷」で終わらないサミットであってほしい、と
読後、説に願う。
ただし、小説は、解説の猪木直樹氏がいうように、
青春小説。原爆小説ではない。
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