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学徒出陣、基地での激務と空襲、マリアナ沖大海戦、父や恩師、そして恋人を奪った広島の原爆の惨状……。第二次大戦に遭遇した一人の青年の友情と恋愛、師弟愛と肉親愛とを、入念な筆で情趣ゆたかに描いた著者の処女長篇。激動の時代と生きながらなお、溌剌たる若い生命の感受性、健康で素直な生活感情と故国への愛、掛替えなき青春という時の、一つの姿を浮彫りにする。読売文学賞受賞。
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Posted by ブクログ
2016.11.9 阿川弘之の自伝的小説。戦争の中、予備学生の心の葛藤が精緻に描写されており、とても面白い。広島の原爆、智恵子の死はとても胸が痛んだ。 春の城にこめられた意味。それでも日本は復興するという思いからか。
筆致がとても丁寧で、作者の作品に対する思いが伝わってきました。 特に、原爆の投下事、投下後の広島の悲惨な惨状の描写はとてもリアルで苦しくなりました。 智恵子の死はとても悲しかったです。 なぜ、罪もない人々が、何の理由で苦しんで死ななければならないのか。 しみじみとしました。
阿川弘之、デビュー作。 「雲の墓標」の衝撃と感動に、こちらへとさかのぼって読んだ。 3月から読み始めて、今! ・・・途中、何度も中断したのに、よく投げなかったものよ・・・ それもこれも、筆力、テーマの力。 学徒動員され、内地での暗号解読業を経て、中国へ・・・ そして終戦。 故郷広島の悲劇。 阿川...続きを読む氏は主人公と同じく、広島で聞き書きを重ねたのだろう。 当事者故にわかることも多々ある。 ちょうど広島サミットにあわせ、読み終わった形。 今すぐの結果はでないだろうが・・・ ただの「貸座敷」で終わらないサミットであってほしい、と 読後、説に願う。 ただし、小説は、解説の猪木直樹氏がいうように、 青春小説。原爆小説ではない。
まず、書き出しが素晴らしい。思わずその川の水中を覘いてみたくなる。 また、後半の主人公耕二を慕う智恵子が原爆で息をひきとる場面では、いつもならもっと感情がこみ上げてくるのだが、作者はあえて二人の関係をすこし突き放したように設定することで、感傷的になるのを避けたように想った。それにしても、原爆投下後の...続きを読む広島市の惨状を描写する筆致は凄い!
Kodama's review 阿川弘之という方の小説は初めて読ませてもらいました。この作品は昭和27年7月に刊行されたものです。内容は第2次世界大戦に遭遇した青年を描いたものです。様々な思いや葛藤が当時の人たちにはあったということが、とてもよく表現されていると思います。 (06.12.2...続きを読む0) お勧め度 ★★★★☆
「戦争小説を読むんだ!」との強い覚悟でページを進めていたけれど、後方部隊配属の学徒出身兵が主人公で、全編を通して激しい戦闘描写はなく、大学で青春を謳歌していた学生が戦争に駆り出された体験談が淡々と描写されていた。 それでも、原爆の段になると、過激な描写はないものの、その無慈悲な兵器の恐ろしさに身が震...続きを読むえた。 避けえない戦いもあるだろうけど、殺戮で決着をつける戦争は極限まで避けなければならない。 それを戦って、又は耐え抜いてこられた先人に感謝したい。
自伝小説なのだろう。生き生きとした若者の感性が随所にみられる。原爆の描写は細かく凄惨。12.11.3
戦前~戦後に青春を生きた主人公や、取り巻く人々の話。 戦争物はあまり得意ではないのと、全体的に薄暗い印象が拭えず、読むのに少し苦労した。でも描かれている登場人物達の若さと、時代に喰われざるを得なかったエネルギー(こう書くと妙に年より臭く感じられてしまうけど)がしっかりと伝わってくる。主人公と近い年代...続きを読むだからこそ、その人生に同情と、同じく憧れのようなものを覚えた。
青春小説といえば、青春小説。 途中までは。 原爆以降の描写が痛い。 死が彼を避けていったような気持がした。 そして「運命が軽く扱われる」のは、戦前も戦後もさして変わらないんじゃないかと思った。 終戦以降、日本人が水に流して忘れてしまった苦悩が浮かび上がる。 きっと、もう誰にも思い出してもらえな...続きを読むいだろう、この矛盾は。
この書の題名は杜甫の「春望」から取ったらしい。開戦から終戦の時代の学生・軍令部で働く主人公・耕二や友人、そして先輩の妹・智恵子が戦争に巻き込まれ、悲劇が次々生まれる。原爆が落ちた広島の描写があまりにもリアルで凄絶!そして東京空襲で焼け野原になった首都。このような時代の中で、軍令部勤務の男女の恋が進行...続きを読むし、耕二・智恵子の芦屋・夙川周辺のデートなどが微笑ましく、悲しい。著者の自伝小説に近く、青春を奪われた多くの人生に思いを馳せさせられる。
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