阿川弘之のレビュー一覧

  • 春の城

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    ネタバレ

    青春小説といえば、青春小説。

    途中までは。

    原爆以降の描写が痛い。
    死が彼を避けていったような気持がした。
    そして「運命が軽く扱われる」のは、戦前も戦後もさして変わらないんじゃないかと思った。

    終戦以降、日本人が水に流して忘れてしまった苦悩が浮かび上がる。
    きっと、もう誰にも思い出してもらえないだろう、この矛盾は。

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    2013年11月12日
  • 米内光政

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    中国への対応など看過している短所こそあれ、阿川の描いた米内光政は魅力的な人物だった。読み物としては大いに楽しむことができた。歴史上の人物には様々な評価があるのが常で、ネットでもその種の情報が氾濫しているから、せっかく面白く読んでいるところを、そうした有象無象の意見に邪魔されそうになって嫌だった。
    要するに阿川が、どのような人物をしてスマートな人となしたか、その点が大事であって、実際の米内がどうであったかは極端に言うと問題でない。

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    2013年10月14日
  • 米内光政

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    『永遠の0』を読み終え、日本海軍物を読むことに。
    阿川弘之の海軍提督三部作。

    日本海軍が太平洋戦争開戦に否定的だったことは知られていることであるが、米内光政は海軍大臣、首相まで務め、その中心人物でもあった。
    若い時の海外経験も豊かで世の中の潮流を冷静に且つ客観的に観ていた。そして根っからの平和主義者であったのだろう。
    口数が少なく派手さはないが、東北人(盛岡)にある芯の強さを持ち合わせる。様々なエピソード等を交えて、米内光政の人物像を描き出し、一味違ったリーダーシップ、カリスマの形を感じる。

    海軍の組織に対する考え方、仕組みは、現在の官僚社会、企業社会に引き継がれているところもあり、それも意識しつつ読み進めることも興味深い。


    以下引用~
    ・ちょっと奇妙な事実だが、盧溝橋事件の処理にあたった陸軍大臣(杉山)は、中央の要職ばかり歩いてきて、中華民国在勤の経験がなかった。それに反して海軍大臣(米内)は、第一遣外艦隊司令官第三艦隊司令長官として、揚子江方面に通算三年近く勤務し、辛亥革命後の中国を良く知っていた。
    『君、揚子江の水は一本の棒ぐいでは食いとめられやせんよ』
    ・米内のメモには、「独伊は何故日本に好意を寄せんとするか、好意というよりは寧ろ日本を乗じ易き国としてこれを接近し、己が味方に引き入れんとするにあらざるか、最も冷静に考慮せざるべからず」
    という記述もある。彼はヒットラーの「わが闘争」を読んでいた。
    ・『To live in hearts we leave behind, Is not to die,』
    (あとに残る者の心の中に生きることが出来れば死はない)
    ・米内はこの風潮(前海軍大臣が天皇に真実を伝えない)を是正し、井上次官と組んで、燃料問題も海戦の結果も、ありのままを天皇のお耳に入れるように心掛けた。
    ・武見太郎『しかし、科学技術を振興していけば、日本は立ち直って新しい国に生まれ変わることが出来ると思いますがね』
    物理屋でもある武見が反論すると、
    『国民思想は科学技術よりも大事だよ』(米内)

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    2013年08月24日
  • 雲の墓標

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    平和な時代の僕達から見れば悲惨な話だが、当の本人は淡々とそれを受け入れている。
    以前読んだレマルクの西武戦線異常なしを思い出した。

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    2013年06月20日
  • 大人の見識

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    温故知新・・・古キヲ温ネテ新シキヲ知ル。
    『温とは、肉をとろ火でたきつめて、スープをつくること。歴史に習熟し、そこから煮つめたスープのような知恵を獲得する。その知恵で以てア新シキヲ知ル』

    書き出しより、東条英機から、海軍の話題が中心であり、アレレと思うところもありつつ、イギリスにおけるユーモアの必要性、朱子学、論語の解釈等は知っておきたいと思うに至る。自分が絶対的に学が不足していることを再認識し、特に歴史とその背景について最低限の理解をしたいと思う。
    きっかけとなる本ではないかと思う。もう少し背景を勉強してから再読したい。

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    2013年05月31日
  • 山本五十六(上)

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    日本海軍・山本五十六の史伝。
    ばくち好きでひょうきんな彼の一面が見て取れる。
    山本五十六は無謀な戦争には反対だった。
    日独伊の三国同盟にも真っ向から反対した。
    彼のような現実的な物の見方をできる人物がもっといれば
    悲劇は避けられたかもしれないと思う。
    僕はまだまだ先の大戦に関する知識が足りない。

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    2013年05月30日
  • 山本五十六(下)

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    ここんとこの寝る前に読む本だった「山本五十六」
    ようやく読み終わった。
    阿川弘之の海軍提督三部作の中では一作目にあたるわけですが、「米内」と「井上」を先によんだので、これにておしまいっ。
    山本は有名すぎて、その生涯も最期もおおまかに知ってるので、あんまり読む気がわかなかったんですが、読んでみるとやはり面白いな。
    ギャンブル好きで女性好きな人間山本五十六がよく描けてたんじゃないでしょうか。

    この三部作、イケイケどんどんの声が増えてきた昨今、再び見直されていいと思うのよね。
    私は「井上成美」が好きやね。

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    2013年04月07日
  • 山本五十六(下)

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    下巻は真珠湾攻撃以降だが、山本の当初の見通し通り開戦後1年半が経過したあたりから戦局に翳りが見え始める・・・・こうなると(対英米戦争に誰よりも反対していただけあって)「やっぱりな」という諦めにも似た思いが出始め次第に死に場所を求めていたのでは・・・と思ってしまいます。勝てない戦でのトップの苦悩が垣間見えるような気がしました。

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    2013年04月02日
  • 山本五十六(上)

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    山本五十六ってもっとお堅い人かと思ってました・・・
    普段は茶目っ気があり人間臭いが、仕事は自分の信念に基づいて徹底的にやる・・・公私のバランス感覚が絶妙!と思いました。上巻は開戦前までなので、下巻で五十六像がどのように描かれているか楽しみです。

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    2013年03月07日
  • 山本五十六(下)

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    二度目。
    人としてとても魅力の有る軍人だ。が、名将とはよべない。軍政に徹すべきだったと愚考する。
    阿川さんは、大好きなんだろうな。

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    2013年06月28日
  • 日本海軍、錨揚ゲ!

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    「カヨカ、カコシラ」=「本艦艦長から貴艦長へ、艦長並びに航海士来艦されたし」

    「ム」=「迎えの内火艇送れ」

    1目標、2方向、3高度、4距離、5動静、6視認度

    両舷前進原速

    「大和」ですら伝声管を撤去できなかった、伝声管から浸水

    「聯合艦隊解散の辞」

    スマートで目先が利いて几帳面、負けじ魂これぞ船乗り

    どこかで読んだ話もちらほら入っていますが、そこは、まぁ、ね。お二人の楽しそうに語り合う姿が見えるようです。それと、装丁のシンプルさがいいですね。桜に錨。

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    2012年11月02日
  • 井上成美

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    海軍の反戦大将

    読んでて思ったのは、強化版 御手洗くん

    ゴリゴリの合理主義者でよくあの時代に暗殺されなかったなと思う
    日本人特有のその場の空気を大切にするのが嫌いで、なし崩し的に事が進むくらいなら、孤高を選んででも意見する

    兵法家としての才能はからっきしりだけど、三国同盟時期と江田島校長時代の功績は本当に凄い

    特に日本には絶対必要なタイプの人間だと思う

    三提督に触れる機会を与えてくれた阿川さんに感謝です

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    2012年08月30日
  • 雲の墓標

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    淡々としていますが、変に脚色していない分すんなり入ってきました。
    時折、ほのぼのした場面になったり、クスリと笑わせてくれる場面もあるので
    それがまた終盤で切なさを増幅させます。

    中高生に読んでもらい!と思う作品ですが
    専門的な用語に解説がありませんので(日記形式なので仕方がないのですが)
    いくらか戦争の知識がないと難しいのかなと感じました。

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    2012年08月16日
  • 米内光政

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    最後まで戦争に反対し、終戦処理を行った海軍大将。井上さんが認める数少ない一等大将の一人。

    正直読んでて、米内さんの寡黙な性格に惹かれなかった。艦隊派の面々のようなカリスマ性があればなと思う。
    だけど、当時の「バスに乗り遅れるな」に象徴される状況のなか、自らの命の危険を省みず、はっきりと反対し続けたことには尊敬せずにはいられない。

    原爆が落とされたときの天祐発言は軍人として如何なものかと思うが、対米英戦の反対、独伊同盟反対の根幹にある、目の前にある様々な物事を積極的に収集し、冷静な立場で判断を下すところは見習いたい。

    米内さんを愚将だったと評する人もいるから引き続き調べていきたい。

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    2012年05月14日
  • 山本五十六(下)

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    山本戦死後の記載が半藤のものと比べ、充実していた。開戦の日の述志より、
    名を惜しみ、己を潔くせむ私心ありてはこの大任は成し遂げ得まじ。
    リーダーたるもの、自分の名を惜しむ気持ちがちょっとでも出たらいけない、批判はいつでも結果論である。草鹿の言葉でつないでいる。

    全体を通じ、著者の客観的であろうというスタンスが伝わってくる内容だった。引用書簡なども多い。ただ、家族から名誉毀損の訴訟を抱えるなど、事実をありのままに記載しようとすることによる弊害も生じ得るのは、近現代の人物の伝記作品ならではの宿命であろうか。

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    2012年05月06日
  • 雲の墓標

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    文庫本の解説で安岡章太郎氏が「おそらく大半の人が、この小説を泣かずに読みとおすことは出来ないだろう。」と書いているのだが、私はまったく涙は出なかった。といってこの作品に不満かといえばそうではない。死に赴くなかでの主人公たちの心の葛藤や友情、両親や師への思慕など共感できる場面は多々あった。だが、そこを一歩離れて、彼らの直面している戦争の愚かしさを少なからず知ってしまった(想像の閾を出ないが)後では、ぼんやりとした憤りしか感じなかった。私が泣くのは、得体の知れない感動(美や偉大さが存する)によるときである。

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    2012年04月24日
  • 山本五十六(上)

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    仕事上のトラブルから、友人に勧められ手を取ってみた。山本五十六という人間術、仕事術の面白さが伝わってくる本。自分も我慢しなれけばいけないと、身につまされる。
    息抜きをしながら読める。後半も楽しみ。

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    2012年03月28日
  • 春の城

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    まず、書き出しが素晴らしい。思わずその川の水中を覘いてみたくなる。 また、後半の主人公耕二を慕う智恵子が原爆で息をひきとる場面では、いつもならもっと感情がこみ上げてくるのだが、作者はあえて二人の関係をすこし突き放したように設定することで、感傷的になるのを避けたように想った。それにしても、原爆投下後の広島市の惨状を描写する筆致は凄い!

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    2012年03月02日
  • 井上成美

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    海軍大将、井上成美の生涯。軍人としてより官僚、教育者として影響を与えた。単に功績を美化するだけでなく欠点を連ね、人間井上成美を小説に仕上げている。可能な時期に緻密な取材を終え、貴重な作品を残してくれた著者に感謝する。12.1.28

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    2012年01月28日
  • 米内光政

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    平生は寡黙にして、なにを考えているのか分からない印象が、いったん抜き差しならない状況になると、己の命を賭けても正しい道を貫き通す凄さがあった。陸軍や右翼の壮士からいつ命を奪われるかも分からない時でも、悠揚としていられたその姿に不思議な魅力が感じられた。無私無欲の人であったのだ。

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    2012年01月22日