【感想・ネタバレ】井上成美のレビュー

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ネタバレ

・人間を神様にしては行けない。神様は批判できない。
・考える、頭を使う。アングルを変えて物事を考察する力を養う。自身も読む手を休めてじっくり考えこんでいた。
・「念のため長官に相談して」などとは言わず、自分の役職としての判断を示し、責任は自分で持つ。
・英語教育における直読直解主義。英英辞典を用いる
・一般教育・教養の重要性。すぐに役立つ知識に偏重しない。
・委員会とは要するに責任を回避するための組織。責任の所在は分散して誰が本当の責任をとるのかはっきりしなくなる。
・迷うことがあっても根本のところをよく考えて下への迎合は避ける。

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2024年03月24日

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ほんとに正しいことを言ったのに、したのに、時代に押し流されてしまった人。空軍力の増強をいち早く取り入れようとしたのもこの人。
戦後はもっとまっすぐに日本のために尽くしてくれた方が良かったかもしれない。ストイックすぎたひと。

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2019年04月21日

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先日読んだ『失敗の本質』の中で艦隊思想が主流の日本海軍の中で一部に航空強化論があったことが語られており、興味を持った。井上大将の徹底した合理的思考は常人からは敬遠されがち。だが、その本性は冷徹漢ではなく、むしろ”人をつくる”ことに心血を注いだ人生である。こういう人が懐刀に止まらず、サクッとトップに立ち、時代に合うグランドデザインを描くと組織は強いのだろう。戦争物の本は今まであまり読んでいないので読みづらいが自分が広がる感じがしてそこも良い経験だった。面白かった。

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2018年10月14日

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ネタバレ

とてつもない作品。
少数派であることの難しさ、
そして自分を貫くことに関する難しさを
いやというほど感じる作品です。

彼は多くの人が戦争推進という体をとる中
反対の立場を崩しませんでした。
そう、敵国が持つ技術の差を
いやというほど知っていたから。

しかしながら、多数派が
はびこるということはどういうことかは
想像がつくことでしょう。
実質上の左遷という形をとられることになります。

彼はどこか遊びのない人に想われることがあり
とっつきづらさがありました。
それは彼自身が意見を貫く=みだりに好意に乗らない
というスタイルでいたからでしょう。
そう、中立でいることも難しいことなのです。

スケールの大きい作品ですが
読みづらさはなかったです。

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2018年09月05日

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2016.10.22
海軍のよさを体現した人だったのではないか?
江田島での教育方針、戦後を見据えてのことだったことには感服した。
戦はへただった。
山本、米内もそれぞれに良さと悪さがあり、井上もそう。それを、丁寧に書き上げている筆者のすごさにいけい。それを互いに補っていた。

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2016年10月22日

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阿川弘之著の海軍提督三部作完結編。
井上成美は、「山本五十六」、「米内光政」と共に日独伊三国同盟に反対し、米国との対戦に終始反対していた。また、開戦当時より日本の敗戦を予告し、敗戦前夜は終戦工作にも奔走する。

この三人の中でも井上は参謀タイプで合理的な判断を重視し、孤立を怖れずに自ら強い信念を貫く
当時、世の中が陸軍を中心にファッショ的になる中でも信念を貫くことは生命の危険にも晒されることでもあり、その気骨ある姿に敬意を抱く。

当然のことながら、井上の言動に対して海軍内でも大いに批判があったわけだが、それを凌駕するだけの合理的な判断力、これはきっと留学等を経験する中で幅広い知見を得ていたのだろう、卓越した知力(考え抜く力)を有していた。

また海軍兵学校長も務め、戦後は地域の子供達へ英語教育を施すなど教育者としての顔もみせる。
著者は、人間として「堅物」、「付き合い難い」、とネガティブな人物像も記しているが、それ故、井上の真の姿(人間性)、実像を描くことに成功しているのではないか。

戦後は、英語の授業料を拒むなど、私生活でも清貧を貫く。まさに侍精神、武士道を残っていた時代なのかもしれない。

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2013年09月15日

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11/9-11/25
こういう軍人がもっといたら、
馬鹿な戦争をしなくてすんだのに。

阿川氏の作品をもっと読んでみよう。

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2009年12月19日

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井上成美大将がいてよかったと思った。
すごく感動しました。
こういう先見性のある人1人1人のおかげで日本はよりひどいことにならずにすんだんだとおもった。

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2009年10月04日

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阿川弘之による「最後の海軍大将」井上成美の伝記。

戦前、戦中にその合理的かつ冷徹な目で対米戦争に勝利の可能性がないことを見いだし、戦争に一直線だった当時の日本の流れに抗って何を犠牲にしても戦争は避けるべきだという姿勢を貫いた海軍左派軍人の一人井上成美。戦後は軍人としての責任をとり神奈川の片田舎に隠棲し英語教師として余生を送った。山本五十六、米内光政とともに必死に軍ではなく国?国民を第一に考えて行動することはあの時代にあってはものすごく勇気のいることだったと思う。その急進的な姿勢から敵を作ることも多かったようだが、それくらい極端にやらないとひっくりかえせないと踏んでいたのだろうか?

印象に残っているのは海軍兵学校校長時代のエピソード。英語は敵性言語であるとして日本中の学校が英語教育を廃止する中、「海軍士官は国際的に通用する人物でなければならず、英語が国際語である以上敵性言語だろうがなんだろうが学ぶべきだ」という明快な論理のもと戦中唯一英語教育を守り通したことは戦後の海軍兵学校卒業生の活躍につながっていると考えて問題ないであろう。

再読予定なので読んだらまた書き直します。

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2009年10月04日

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山本五十六、米内光政、井上成美。

ともに帝国海軍大将、三国同盟反対派、米英戦争反対派。

井上成美はこの中で一番知られていないが、もっとも戦後に影響を与えたと言っても過言ではないと感じた。

満洲事変から太平洋戦争に至るまで、海軍が陸軍の横暴を抑えられれば日本の運命ももっと良くなっていたと思わざるおえない。

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2023年05月28日

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東郷平八郎や山本五十六のような著名な戦功をあげた人物ではないにも関わらず、本書は色々なところで推薦されており、30年以上も読み継がれています。その理由を知りたかったのですが、確かに今の世にも通じる内容が多いのだなと感じました。

本を読み進めていくと、井上成美という人物像について、以下の点が浮かんできます。
・希望的観測を嫌って事実を重視し、合理性を重んじる人だった。
・冷静な観察眼や大局観を持っていた。
・組織に対しても迎合しなかった。
・故に、周りから疎まれていった。

真の理解者は米内光政など限られた人のみだったようですが、少数でも深い理解者とともに仕事ができることは幸せなのかもしれない、とも思ったりします。周りから見ると少し偏屈な人物だったようですが、自らの任務と職責に対する態度、および、自らのスタッフへの接し方は見習いたいところが多いです。

また、本書は「組織力学」「教育論」に関する示唆も多く含んでいます。700ページを超えますが、一人の軍人の伝記といったカテゴリーを超えて、多くの人に読んでほしい一冊です。

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2023年04月30日

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「阿川弘之」が「井上成美」を描いた伝記『井上成美』を読みました。

『国を思うて何が悪い ~一自由主義者の憤慨録~』、『山本五十六〈上〉〈下〉』に続き、「阿川弘之」追悼読書です。


-----story-------------
一億総玉砕だけは避けねばならぬ。
孤高にして清貧。
日米開戦を強硬に反対した、最後の海軍大将の反骨心溢れる生涯。

昭和五十年暮、最後の元海軍大将が逝った。
帝国海軍きっての知性といわれた「井上成美」である。
彼は、終始無謀な対米戦争に批判的で、兵学校校長時代は英語教育廃止論をしりぞけ、敗戦前夜は一億玉砕を避けるべく終戦工作に身命を賭し、戦後は近所の子供たちに英語を教えながら清貧の生活を貫いた。
「山本五十六」「米内光政」に続く、著者のライフワーク海軍提督三部作完結編。
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海軍提督三部作の完結篇、、、

「井上成美」のことは、あまり知らなかったのですが、『山本五十六〈上〉〈下〉』を読んで、その冷静でストイックな生き方が気になったので、本書を読んでみました。


大局的な見地で物事を考え、客観的かつ冷静な判断力を持ち、曲がったことが大嫌いで、妥協することなく自分の考えを貫き、相手が誰であっても自分の主張を明確に… そして、歯に衣着せずに、そのまま伝える姿勢には憧れを感じますね、、、

自分に不足している部分だからかなぁ。


「山本五十六」が「近衛文麿首相」に対米戦の見込みを聞かれ、

「ぜひともやれと言われるなら、最初の一年や一年半は思う存分暴れてご覧に入れます」

と宣言したことに対して、

「山本さんは何故あの時あんなことを言ったのか。
 軍事に素人で優柔不断の近衛公があれを聞けば、とにかく一年半は持つらしいと曖昧な気持ちになるのは決まり切っていた。
 『海軍は対米戦争やれません。やれば必ず負けます、それで聯合艦隊司令長官の資格がないといわれるなら私は辞めます』
 と、何故はっきり言い切らなかったか」

と明確に批判する等、親密な関係にあった人物であっても、はっきり言っちゃうんですからね。


あまりにも頑固で、潔癖症で、そして、論理的に説明できないことは受け入れない、、、

特に金銭面に関する潔癖性については異常なまで拘り、戦後は長井に隠遁し清貧な暮らしを営むことになりますが… 教育への拘りは捨てきれず、私塾を開いて近所の子ども達に英語を教えていたようです。

江田島の海軍兵学校時代の言動も考えると、軍人や政治家よりも教育者の方が向いていたんじゃないかと思いますね。


友人や親戚だと、付き合いが難しい存在でしょうが、、、

恩師として知り合うのが理想な人物なのかもしれませんね。



「井上成美」の言葉、、、

「私の見通しこそ正しかった。
 私の意見、立案に耳傾けていてくれたら、こんな惨澹たる敗戦には立ち至らずにすんだのに」

この人が、もっと日本のトップに近い位置にいたら、日本の歴史は大きく変わったと思います。

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2022年08月28日

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最後の海軍大将となっていたが、実は本人はこれを断固拒否していたとは。一貫して米英との戦争と日独伊三国同盟に反対を唱え、戦艦での海戦を時代遅れとし、いち早く飛行機での空戦が主体となることを主張した先見の明。戦後の日本の復興にも大きく関わって欲しかったかも

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2021年08月24日

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 井上提督は、国家を戦争の道に陥れた、いわば国賊を憚ることなく厳しく批判していた。東京裁判でA級戦犯とされた何人もそのなかに含まれている。東京裁判は、戦勝国による一方的な判決という見方は完全に否定できないが、あながち間違っているとも言えない。

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2016年02月10日

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ただしい、を貫き通すことと、善し悪しとは、また違うんだろうなあ

山本五十六、米内光政と来てようやく!!
読み終えました。

春夏秋とかかりましたね。今年の収穫というか、じっくりと、取り組んだ海軍三部作です。

で、いきなり

晩年、東郷元帥をどう思ふかと人に問はれて
と旧仮名遣いになりびっくり。
前2冊を新しいバージョンで買ったのか、と驚いてしまいましたがそうでもない模様。

読み物的面白さ、それはつまり人物としての面白さで言いますと前二作の山本五十六、米内光政の方が魅力的です。米内さんが一番人としては大きいのかな、と感じさせられました。

とにかく、曲がったことが大嫌いなんですね。正しい。本当に正論だし、正義です。
ただしい、を貫き通すことと、善し悪しとは、また違うんだろうなあと読んでいく端々から感じられます。

そういった人もいるのが、組織。
その人と人との相性をもって、何倍にも力を増すことだってあるし、足を引っ張り合って成果を出せないどころか破滅に導かれる組織すらある。

海軍という組織の中ではこのような人が必要だったのだと、3冊読み終えるとわかります。
それゆえ、これを最初に読んでしまった方には、ぜひぜひ山本五十六と米内光政もお読みいただきたいですね。

信念を持ち、組織で、日本で自分がどう生きていこうか。そんなことを思ったりもしました。

考え、行動するためにも、歴史を、先人たちを知っていきたいと思います。

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2015年11月12日

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ネタバレ

阿川弘之の海軍提督3部作を二十数年ぶりに読み返しました~
最初に読んだ時には、なりたいのは米内光政、面白いのは山本五十六、でも一番自分に似ているのは井上成美だと思ってちょっとな~って感じでしたが、昔とは違い、この歳になるとそれもありだという気がしています。

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2014年05月28日

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海軍の反戦大将

読んでて思ったのは、強化版 御手洗くん

ゴリゴリの合理主義者でよくあの時代に暗殺されなかったなと思う
日本人特有のその場の空気を大切にするのが嫌いで、なし崩し的に事が進むくらいなら、孤高を選んででも意見する

兵法家としての才能はからっきしりだけど、三国同盟時期と江田島校長時代の功績は本当に凄い

特に日本には絶対必要なタイプの人間だと思う

三提督に触れる機会を与えてくれた阿川さんに感謝です

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2012年08月30日

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海軍大将、井上成美の生涯。軍人としてより官僚、教育者として影響を与えた。単に功績を美化するだけでなく欠点を連ね、人間井上成美を小説に仕上げている。可能な時期に緻密な取材を終え、貴重な作品を残してくれた著者に感謝する。12.1.28

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2012年01月28日

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人はここまで己の信念を貫きとおすことができるものであろうか。私利私欲を捨て、清貧のままその生涯を閉じた。戦前は米英との戦いに対して断じて否を唱え続き、戦後は多くの戦死者を出した責任と慙愧の念を胸に抱いて多くを語らず、若者の教育に一身を捧げた。 文中、ヘーゲルの「歴史を書くことは凡夫には出来ないけれど、歴史を作ることなら馬鹿にでも気違いにでも出来る」に強い印象を持ったのだが、井上成美自身ならこの言葉を近衛文麿や陸軍首脳に叫びたかったであろうと思う。

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2011年12月11日

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このところ第二次世界大戦についてしっかり知らなければと結構その手の本を読んでる。海軍側の視点としてはよくわかる本。

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2010年12月26日

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当時戦争に反対していた人はかなりいたと思うがここまで徹底して反対していた人は少なかったのではないか。
第二次大戦前のヨーロッパにおいて侵略の犠牲になった国と中立を全うした国の条件を整理しての「侵略国が攻撃のために支払う損害が、その獲得し得る利益よりも大きいと思わせるに足る抵抗力を一国が保持する時は中立の維持が可能でである」という箇所は、まとめてみると当たり前だがなるほどと思って考えさせられた。

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2020年10月01日

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再読。

日本海軍の左派軍人、最後の大将井上成美のはなし。

信念的なごりごりの合理主義者で、理性による合理的判断をないがしろにして空気を読むくらいなら、むしろ孤立するのが信条らしい。まわりの「堅いこと言わないで、空気よんでよー」みたいな、なし崩しでモノゴトを進めようとする雰囲気をことごとく拒否し、ゴリ押しでもしようものなら井上さんはすぐ「だったら海軍やめます」と言い出します。すると、まわりが「まあまあ」と引き留める。ダチョウ倶楽部みたいなお決まり芸の様相を呈しています。

これが職務上の倫理だけだったらまだわかるのですが、私生活まで教条主義的な清貧さで、なんだか、凄まじいです。

「負けるとわかっていても戦わねばならない時がある」とはよく言われることですが、井上さんにしてみれば「はぁ?DQNが自己満してんじゃねえよ!」って感じでしょう。

いいキャラクターです。

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2012年05月16日

Posted by ブクログ

一種の無常観があるね。
この本のたんたんと秘めた思い・万感を胸に
忠実に描こうとする姿は。。

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2011年08月29日

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