あらすじ
昭和五十年暮、最後の元海軍大将が逝った。帝国海軍きっての知性といわれた井上成美である。彼は、終始無謀な対米戦争に批判的で、兵学校校長時代は英語教育廃止論をしりぞけ、敗戦前夜は一億玉砕を避けるべく終戦工作に身命を賭し、戦後は近所の子供たちに英語を教えながら清貧の生活を貫いた。「山本五十六」「米内光政」に続く、著者のライフワーク海軍提督三部作完結編。 ※新潮文庫版に掲載の写真は、電子版には収録しておりません。
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Posted by ブクログ
・人間を神様にしては行けない。神様は批判できない。
・考える、頭を使う。アングルを変えて物事を考察する力を養う。自身も読む手を休めてじっくり考えこんでいた。
・「念のため長官に相談して」などとは言わず、自分の役職としての判断を示し、責任は自分で持つ。
・英語教育における直読直解主義。英英辞典を用いる。
・一般教育・教養の重要性。すぐに役立つ知識に偏重しない。
・委員会とは要するに責任を回避するための組織。責任の所在は分散して誰が本当の責任をとるのかはっきりしなくなる。
・迷うことがあっても根本のところをよく考えて下への迎合は避ける。
Posted by ブクログ
とてつもない作品。
少数派であることの難しさ、
そして自分を貫くことに関する難しさを
いやというほど感じる作品です。
彼は多くの人が戦争推進という体をとる中
反対の立場を崩しませんでした。
そう、敵国が持つ技術の差を
いやというほど知っていたから。
しかしながら、多数派が
はびこるということはどういうことかは
想像がつくことでしょう。
実質上の左遷という形をとられることになります。
彼はどこか遊びのない人に想われることがあり
とっつきづらさがありました。
それは彼自身が意見を貫く=みだりに好意に乗らない
というスタイルでいたからでしょう。
そう、中立でいることも難しいことなのです。
スケールの大きい作品ですが
読みづらさはなかったです。