小野不由美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
長編シリーズものだし、2週間ぐらいで上下巻読めたら良いかな〜と思っていたのもつかの間、気づけば2日で上下巻を読破していました。
上巻で何度も心折られ、読み進めるのを諦めそうになったのが嘘みたいに、小気味よいテンポで話が進む。
上巻で主人公も私も同じように抱えていた疑問がスルスルと紐解かれていくのがとても心地よく、あっという間に読み終えてしまいました。
上巻では何も分からないまま異世界に放り込まれた陽子と一緒に途方に暮れ、下巻では陽子がこの世界を知っていくのと一緒に、読み手である私も少しずつ十二国の世界を理解していく。上下巻を通して、主人公と一緒にこの世界に馴染んでいくような読書体験だったように思います。
「ネズミが出るまで諦めないで」と書かれた感想を信じて良かった。
他人を信じることができなくなっていた陽子に、ごく当たり前のように善意を差し出してくれる楽俊があまりにも素敵で、彼のセリフに何度も泣かされました。
上巻であんなにウジウジメソメソしていた主人公が、少しずつ自分で考え、自分で選び、どんどん格好よくなっていく姿もとても良かったです。
「聞いたことのない単語を覚えることが困難」「文字情報から情景を思い浮かべることができない」という自分の特性上、ファンタジーはすごく苦手だったのですが、そんなことはどうでもいいと思えるほど、物語が素晴らしかったです。
上巻を読んでいる間は、このシリーズをこの先も読めるのかと不安に思っていたはずなのに、読み終えた頃には、もっとこの世界を知りたいと思っていました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前作の『営繕かるかや怪異譚』が面白かったので、 続けて読み始めたのが本作『営繕かるかや怪異譚 その弐』だ。 前作と同じく中編集という位置付けで、全六篇が収められている。今回も各エピソードは全て独立した物語になっていて、営繕を生業にしており怪異を解決する役目の尾端(おばな)と彼を紹介する隈田(くまだ)のみが共通の登場人物となっている。
全体としての感想を書く前に、まずは簡単に各編のあらすじを紹介しておこう。
芙蓉忌・・・両親と弟が亡くなった後、貴樹はかつて花街だったという古い町並みにある実家に戻ってきた。書斎として定めた部屋の書棚に立てかけられた鏡をずらしてみると、柱と壁に深い隙間があり、その先には芸妓のような女性が三味線を抱えて座っているのが見えた。最初は不思議に思っていた貴樹はやがてその女を見ずにはいられなくなるのだった・・・。
関守・・・佐代が生まれた家の町の一郭に神社があった。その神社の脇には背戸があり、夕暮れになると暗くて怖い細道が、まるで『通りゃんせ』の歌のようでひどく怖く感じていた。あるとき佐代は時間を忘れて遊びすぎた上に忘れ物を取るために遅くなり、夜が近づく中で背戸に向かうと、鬼が立っているのを見る。神社の中に入って鬼から逃げようとした彼女は、肩を掴まれてしまうのだった・・・。
まつとし聞かば・・・離婚して実家に帰ってきた俊宏と息子は、母親が飼っていた三毛猫の小春と暮らしていた。しかし小春は半月前に家を出て、そのまま交通事故にあって死んでしまう。小春の死を息子の航に告げることができないまま日々が過ぎていくのだが、あるとき航が「小春がいると思うんだ」という。理由を聞くと、航は「寝ている間に、布団に来た」ともいい、確かに布団には僅かな汚れと激しい異臭が残っていたのだった・・・。
魂やどりて・・・古い民家をリフォームして住むことに憧れをもっていた育は、築50年以上の長屋に住み、暇を見つけては手を加えてきた。そんなある夜、彼女は家の中で女性が呼ぶ声が聞こえてくる。何かを責めるような強い語調に驚いた彼女は隣の家の女性に文句を言いに行くが、そんな騒ぎは一切起こしていないと拒絶さらえるのだった・・・
水の声・・・はるなが恋人のひろやに結婚を切り出すと「僕には結婚する資格がないんだ」「たぶん僕はもうじき死んでしまうから」という理由で断られてしまう。納得のいかない彼女に、ひろやは少しずつ理由を語り出す。小学校五年生夏休み、ひろやは広い川の大きな堰の先にあるブロックで遊ぶ幼馴染のリュウちゃんを見殺しにしたも同然だった。そしてそれから1年が経ち、ひろやは生臭い水の匂いを感じるようになるのだった・・・
まさくに・・・いつきは祖母の家に引っ越してきてから、両親の不仲から逃れるために押し入れに寝場所を作った。ある日いつものように横になっていると、天井に屋根裏へ通じる隙間を見つけた。上がってみると、そこは誰かが作った屋根裏部屋だった。そして同時に、いつきは部屋の暗がりの中にその脇にゆらりと揺れる影――項垂れた人の黒い影を見つけるのだった・・・
第一弾の「営繕かるかや怪異譚」では、主役格の尾端は理由がわからないなりにも怪異を収めるという、ミステリーにおける探偵の役を担っていた。怪異それ自体のメカニズムはわかっていなくても、その怪異が人間に影響を与える機序を理解して、尾端は適切な手を打って災厄を回避することが出来るという意味において、彼は世界に対してなんらかの作用を加えることができる人間だったと言える。
しかしこの第二弾においては、尾端の役割はもはや探偵ではなく、よく言ってワトソン、もっと言えば解説者の位置にまで引っ込んでしまっている。彼が直接的に解決に向けて行動を起こすのは、亡くなった猫の霊と意識不明の祖母の霊が混ざった存在が登場する「まつとし聞かば」だけで、その物語も怪異の解消は祖母の回復といった外的な理由だった。
それ以外の物語、例えば「まさくに」や「関守」では、怪異の解説自体は行なっているが何かのアクションを起こすということはしないし、「魂やどりて」や「芙蓉忌」では、解決に向けて何かを示唆するのみにとどまっておる。そもそも「魂やどりて」では、明確に尾端が登場することすらないのだ。
唯一彼が積極的に怪異を解説し、かつ現実的な対応をとるのが、本作では最もミステリー色が強い「水の声」であるのは、物語の構造が探偵役を必要としたというのが大きいだろう。本作では怪異は語られるものであって、収められるものではないのだ。
じゃあ本作は前作と比べて面白くないのか・・?と言われると、答えは明確にNoで、前作と比べると、本作は明らかにレベルが上がっているのがわかる。語られる各編の怪異はより怖くなっているし、情景描写もより叙情的になっている。前作ではのっぺりとした水彩画だったのが、本作では凹凸のついた油絵になったという感じだろうか。
しかも何よりも本作が怖いのは、前作ではある意味怪異が”超自然的なもの”でしかなかったのが、本作ではその背景に人間の業のようなものが見え隠れするということだ。一番怖いと多くの人が感じるであろう「水の声」は子殺しの話だし、「魂やどりて」は傲慢な人間の無遠慮な行動がモノに込められた魂の怒りを買ったという話だ。ハッピーエンドに終わるような、「関守」や「まつとし聞かば」の話はなんらかの霊的な存在を描き、怪談話は人間が原因である・・というのが本作の構造となっている。
怪談の書き手としての小野不由美の真骨頂は、人間の醜さを超自然的な状況の中で明確に抉り出すというところにあると思っているのだが、本作と前作を読み比べると、まさにその能力が進化しているのが良くわかる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今回も良い仕事ですね~。
一番ツボったのが「魂やどりて」だ。
怖いというより思わず笑っちゃう。確かに外国語に聞こえる。ネイティブは何言ってるかマジわからんし。
この話は道具を取り巻く二つのタイプの人物が登場する。
古道具とはなんぞや、リフォームとはなんぞやと問う内容でもある。
大切に使い込まれてきた物を大事に暮らしに生かす真穂。
自分の発想が一番で、まだ使える道具であっても必要とあらば壊したり切ったり貼ったり出来る育。
知識が無い事は、ある意味無敵だ。固定観念がない分、発想次第で「ぴったりだ」と思えば躊躇しない。仏壇だって調味料入れに使う。
そんな扱いを受けたら売った「どうぐ屋」さんも気分悪いよね。
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購入済み
原作をだいぶ前に読んでおり、マンガになっているのを見て即購入した。原作で理解しきれていなかったところが丁寧に描かれていてよかった。原作に合わせて2巻3巻と続いていってほしかった。
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Posted by ブクログ
引き込まれて一気読みした。面白い。
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十七歳、少年たちをつなぐ運命とは。ラストまで一気読みの本格ホラー
運命の春が来る──。従兄弟同士の直樹と隆は、まもなく十七歳の誕生日を迎えようとしていた。毎年同様、隆の住む花の里の家を訪れた直樹と典子兄妹。そこは木蓮や馬酔木や海棠や空木などに埋もれた野草の里。桃源郷のような場所にも関わらず、心優しい隆の目は昏く、なぜか母親の美紀子に対して冷淡な態度をとってしまう。母子に一体何があったのか――。「あの女が、迎えに来る…」毎夜部屋を訪れるなにものかの気配に苛立つ隆。息子の目の中に恐れていた兆しを見つけて絶望する美紀子に異変が。直樹と隆──二人の少年を繋ぐ悲劇の幕が上がる!! -
Posted by ブクログ
ホラー小説の名手、小野不由美によるショートショートの超短編怪談集。
1つ1つの怪談は長くても4ページ以内に読み終わる短い怪談が99編入っている。
本当に凄いと思わせるのは、わずか2ページしかないのに背筋がぞわっとする怖さを感じさせること。
また巻末で稲川淳二が言っているように、その怖さも殺人鬼が追いかけてくるようなわかりやすい怖さではなく、言葉で表現しにくいジトッとした不気味さであるため、ああー!怖いのを読んでしまった!
と快ささえ感じさせる表現力に舌を巻く。
また、個人的にはそこまで後を引く怖さではなく、夜中にトイレに行けなくなるほどではないのもいい点。
ちょっと気分的にホラーが読みたい。という時に気軽に手に取れるオススメ本である。