【感想・ネタバレ】営繕かるかや怪異譚 その弐のレビュー

あらすじ

両親と弟が鬼籍に入り、かつて花街だったという古い町並みにある町屋の実家に戻ってきた貴樹。貴樹が書斎として定めた部屋はかつて弟が使っていた部屋だった。何気なく、書棚に立てかけられた鏡をずらしてみると、柱と壁に深い隙間があった。そしてその向こうに芸妓のような三味線を抱えて座るはかなげな着物姿の人影が見えた。その女と弟の死には関係があるかもしれないと探すうちに、貴樹がその女を見ずにはいられなくなり――。(「芙蓉忌」より)他、「関守」「まつとし聞かば」「魂やどりて」「水の声」「まさくに」の全6篇を収録。2019年、第10回 山田風太郎賞最終候補作。解説・織守きょうや

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

感情タグはまだありません

Posted by ブクログ

掛け離れたものではなく、どこか身近なホラー
悲しくもなるしほっこりもするし、なんとも言えない心地がします

0
2026年05月06日

Posted by ブクログ

3話目「待つとし聞かば」
外飼いの飼い猫を題材にした怖さもあり悲しさもあるお話だった。
最後には尾端さんが助けてくれる、そう思っていてもどの話も不安になってしまう、読み手の心情をうまく恐怖へ誘う良い文章だと思った。

0
2026年01月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「まつとし聞かば」が特に好き。気持ち悪さが絶妙にいい。動物の霊って人間の霊とは違う魅力がある。
「まさくに」はかなり怖めだったが、怪異の正体と真相が優しさに溢れていて、結末だけでいうと一番好きかも。

0
2026年06月21日

Posted by ブクログ

尾端さんが登場したときの安心感といったら…
ホラーは苦手ですが、このシリーズは楽しめます!
今回のお気に入りは「関守」
その参も来年の夏頃に読みたいです。

0
2025年11月04日

Posted by ブクログ

小野不由美主上の独特な表現や世界観のリズムが心地いい。怖いけど。
登場人物も皆、自分のような、知り合いのような人達ばかりで入り込みやすい。
それでも特に…まつとし聞かば。亡くなった小さな家族、どんな姿になっても帰って来て欲しい。ペットセマタリー的なことを考えてしまう人、オススメ。

0
2025年10月24日

Posted by ブクログ

続刊も変わらず本当に面白かった
関守にあった、数年ぶりに故郷へ帰り古く懐かしい町並みを歩いていると突然現れる見慣れない形をした新しい建物。元は何があったのかまったく思い出せない、懐かしいはずなのに見たことのない何かが混ざるちぐはくさや違和感。そういった誰もが抱くであろう感情を掬い上げるのが本当に上手。情景が綺麗に浮かび上がるなぁ

0
2025年10月09日

Posted by ブクログ

6つの短編を収録。『関守』は怖い童謡の代表としては今さら感のある通りゃんせをあえて取り上げて見事成功。『魂やどりて』、『水の声』はミステリーとしても一級品。ホラー、ミステリーでありながら癒しのある読後感が堪らない!

0
2025年09月29日

Posted by ブクログ

昔の人は長年の知恵から怪異を避ける方法を知っていました。

しかし、現代ではそれらのシステムが顧みられなくなり、異変に対処できないのです。

どのお話も面白いのですが、特に『魂やどりて』という、着物にまつわる怪異が印象に残りました。

DIY好きのおおざっぱな女性が、古い家具や着物をぞんざいに扱ってしまう。そのせいで周りに嫌われ、ついには幽霊にまで罵られることに…。

特に昔の着物は手間暇をかけて縫うものでしたから、自分の作品をぞんざいに扱われたら、私でも化けてでるかもしれません。

0
2025年09月10日

Posted by ブクログ

コミカライズ版を読んで続きが気になり、原作を手に取りました。
日本のホラーらしい、じっとりとした怖さがありながらも、どこか静かな雰囲気が漂っています。
営繕屋の尾端が、依頼された怪異に対して過剰に怯えることなく、淡々と受け止めて解決していく姿が印象的でした。
ホラーなのに楽しく読める一冊。思わず何度も読み返したくなる短編集でした。

0
2025年09月02日

Posted by ブクログ

弐は読んでなかったんだな…参が出たのでまず弐を読んでからと思って購入。

相変わらずこわぁ…だった。これぞ日本の怪談!って感じ。旧い家にまつわる話なので自然とそうなるか。派手さはなく静かにヒタヒタと、でも疑いようもなく「そう」である(怪異である)。例えば閉めてた「はず」の襖が開いてるとか1人の時に気づくけど、え?嘘でしょ?勘違いだよね?で済まそうとするじゃない。そっから確信に変わるまで、なかなか他人には話せない、その段階がめちゃめちゃに怖い、孤独で。

子供の頃のおかしな記憶、大人になって理解するのはあるあるだと思うのだが、現実的にあり得ないから夢(あるいは捏造の記憶)だと思ってたのにリアルなんかい!ていうのも怖かった。

心のスキマ(喪黒福造か?笑)が怪異を見せる。と思っているんだけど今回は、違うものを自分の怪異としてみていたパターンもあって、面白いなぁと思った。これは心が見せたものか?それとも?ていう体ではなく、怪異があることを前提として、犯人をミスリードするような仕組みになっているの。これゴーストハントでもよく出てきた結末だったよね、原因を突き止めて怪異を止めた…かに見えたがラスボスは別にいた、みたいな。

それと、魂やどりて、についての織守きょうやさんの解説がよかった。「読者は怪異が起こる前から主人公の言動に不穏なものを感じている(意訳)」確かに!悪気はないのかもだけど自分1番で考える人で、およそ自責の念とか罪悪感とかなさそう…怪異に出会うこともなさそうなタイプ…って思っていたのに、容赦なかった笑 まぁそういう人でも、誰かに執着した時点でキッカケさえあれば怪異を呼びこむのかなぁ。などと。

それと家の人が首を吊った樹を家の柱にするあたり昔の人変なところデリカシーに欠けません?笑 まぁいろんなことがおおらかで、大雑把で、いい意味で適当だったのだろうとは思うけど。

0
2025年08月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

前巻よりも更に怖さが増していました…。

営繕で解決するという安心感もありますね。

次のシリーズもすぐ読みます!!

0
2025年07月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

前作の『営繕かるかや怪異譚』が面白かったので、 続けて読み始めたのが本作『営繕かるかや怪異譚 その弐』だ。 前作と同じく中編集という位置付けで、全六篇が収められている。今回も各エピソードは全て独立した物語になっていて、営繕を生業にしており怪異を解決する役目の尾端(おばな)と彼を紹介する隈田(くまだ)のみが共通の登場人物となっている。
全体としての感想を書く前に、まずは簡単に各編のあらすじを紹介しておこう。

芙蓉忌・・・両親と弟が亡くなった後、貴樹はかつて花街だったという古い町並みにある実家に戻ってきた。書斎として定めた部屋の書棚に立てかけられた鏡をずらしてみると、柱と壁に深い隙間があり、その先には芸妓のような女性が三味線を抱えて座っているのが見えた。最初は不思議に思っていた貴樹はやがてその女を見ずにはいられなくなるのだった・・・。

関守・・・佐代が生まれた家の町の一郭に神社があった。その神社の脇には背戸があり、夕暮れになると暗くて怖い細道が、まるで『通りゃんせ』の歌のようでひどく怖く感じていた。あるとき佐代は時間を忘れて遊びすぎた上に忘れ物を取るために遅くなり、夜が近づく中で背戸に向かうと、鬼が立っているのを見る。神社の中に入って鬼から逃げようとした彼女は、肩を掴まれてしまうのだった・・・。

まつとし聞かば・・・離婚して実家に帰ってきた俊宏と息子は、母親が飼っていた三毛猫の小春と暮らしていた。しかし小春は半月前に家を出て、そのまま交通事故にあって死んでしまう。小春の死を息子の航に告げることができないまま日々が過ぎていくのだが、あるとき航が「小春がいると思うんだ」という。理由を聞くと、航は「寝ている間に、布団に来た」ともいい、確かに布団には僅かな汚れと激しい異臭が残っていたのだった・・・。

魂やどりて・・・古い民家をリフォームして住むことに憧れをもっていた育は、築50年以上の長屋に住み、暇を見つけては手を加えてきた。そんなある夜、彼女は家の中で女性が呼ぶ声が聞こえてくる。何かを責めるような強い語調に驚いた彼女は隣の家の女性に文句を言いに行くが、そんな騒ぎは一切起こしていないと拒絶さらえるのだった・・・

水の声・・・はるなが恋人のひろやに結婚を切り出すと「僕には結婚する資格がないんだ」「たぶん僕はもうじき死んでしまうから」という理由で断られてしまう。納得のいかない彼女に、ひろやは少しずつ理由を語り出す。小学校五年生夏休み、ひろやは広い川の大きな堰の先にあるブロックで遊ぶ幼馴染のリュウちゃんを見殺しにしたも同然だった。そしてそれから1年が経ち、ひろやは生臭い水の匂いを感じるようになるのだった・・・

まさくに・・・いつきは祖母の家に引っ越してきてから、両親の不仲から逃れるために押し入れに寝場所を作った。ある日いつものように横になっていると、天井に屋根裏へ通じる隙間を見つけた。上がってみると、そこは誰かが作った屋根裏部屋だった。そして同時に、いつきは部屋の暗がりの中にその脇にゆらりと揺れる影――項垂れた人の黒い影を見つけるのだった・・・


第一弾の「営繕かるかや怪異譚」では、主役格の尾端は理由がわからないなりにも怪異を収めるという、ミステリーにおける探偵の役を担っていた。怪異それ自体のメカニズムはわかっていなくても、その怪異が人間に影響を与える機序を理解して、尾端は適切な手を打って災厄を回避することが出来るという意味において、彼は世界に対してなんらかの作用を加えることができる人間だったと言える。

しかしこの第二弾においては、尾端の役割はもはや探偵ではなく、よく言ってワトソン、もっと言えば解説者の位置にまで引っ込んでしまっている。彼が直接的に解決に向けて行動を起こすのは、亡くなった猫の霊と意識不明の祖母の霊が混ざった存在が登場する「まつとし聞かば」だけで、その物語も怪異の解消は祖母の回復といった外的な理由だった。

それ以外の物語、例えば「まさくに」や「関守」では、怪異の解説自体は行なっているが何かのアクションを起こすということはしないし、「魂やどりて」や「芙蓉忌」では、解決に向けて何かを示唆するのみにとどまっておる。そもそも「魂やどりて」では、明確に尾端が登場することすらないのだ。
唯一彼が積極的に怪異を解説し、かつ現実的な対応をとるのが、本作では最もミステリー色が強い「水の声」であるのは、物語の構造が探偵役を必要としたというのが大きいだろう。本作では怪異は語られるものであって、収められるものではないのだ。

じゃあ本作は前作と比べて面白くないのか・・?と言われると、答えは明確にNoで、前作と比べると、本作は明らかにレベルが上がっているのがわかる。語られる各編の怪異はより怖くなっているし、情景描写もより叙情的になっている。前作ではのっぺりとした水彩画だったのが、本作では凹凸のついた油絵になったという感じだろうか。

しかも何よりも本作が怖いのは、前作ではある意味怪異が”超自然的なもの”でしかなかったのが、本作ではその背景に人間の業のようなものが見え隠れするということだ。一番怖いと多くの人が感じるであろう「水の声」は子殺しの話だし、「魂やどりて」は傲慢な人間の無遠慮な行動がモノに込められた魂の怒りを買ったという話だ。ハッピーエンドに終わるような、「関守」や「まつとし聞かば」の話はなんらかの霊的な存在を描き、怪談話は人間が原因である・・というのが本作の構造となっている。

怪談の書き手としての小野不由美の真骨頂は、人間の醜さを超自然的な状況の中で明確に抉り出すというところにあると思っているのだが、本作と前作を読み比べると、まさにその能力が進化しているのが良くわかる。

0
2024年12月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今回も良い仕事ですね~。
一番ツボったのが「魂やどりて」だ。
怖いというより思わず笑っちゃう。確かに外国語に聞こえる。ネイティブは何言ってるかマジわからんし。
この話は道具を取り巻く二つのタイプの人物が登場する。
古道具とはなんぞや、リフォームとはなんぞやと問う内容でもある。
大切に使い込まれてきた物を大事に暮らしに生かす真穂。
自分の発想が一番で、まだ使える道具であっても必要とあらば壊したり切ったり貼ったり出来る育。

知識が無い事は、ある意味無敵だ。固定観念がない分、発想次第で「ぴったりだ」と思えば躊躇しない。仏壇だって調味料入れに使う。
そんな扱いを受けたら売った「どうぐ屋」さんも気分悪いよね。







0
2024年11月08日

Posted by ブクログ

シリーズ第2弾

短編集6つ

「芙蓉忌」
何か境遇が同じ感じなんで、気持ち悪い。
うちも学生時代にアパートから、ボロな2階建ての長屋に住んでたから…
花街とか、そんなんはなかったけど。
格子戸あって、鬼のような急な階段で、壁がヤバくて、そのまま隣が見えるような…
オーバーラップするから、いや〜!
確かに、そのボロ長屋の時、金縛りとか変な事起こってたし( ; ; )

「関守」
通りゃんせの歌は怖いでしょ!
普通に…

「まつとし聞かば」
飼い猫が事故で死んで、おばあちゃんも入院。
夜中に、死んだ猫が来てる…しかも、何か凶暴に…
今なら、凶暴になってようと会いたい気もする(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)

「魂やどりて」
ものにも、名前があって、それに見合った一生がある。
それを無下にするって事は、それを否定する事になるのか…
否定されれば、拒否される、怨まれるか…
言霊ではないかもしれんけど、それに見合ったように使ってあげんとあかんねんな。

「水の声」
子供の頃、故意ではないにしても、見殺しにしたようになった友達が鏡に映る。しかも、段々と近づいて来る。
恐怖以外何者でもないけど、実は…
営繕 尾端さんの冷静さが光る!

「まさくに」
おばあちゃんの家に住んで、秘密基地的な屋根裏で見た怪異。
片目ないし、内臓も、足も…
ギャー!なんやけど、実は。
やっぱり、人は(幽霊やけど)、姿形やないって事か。

今回も霊感ゼロの営繕さんが活躍するけど、前作よりも控えめで、寄り添ってくれてる感じが良い。
ただのアドバイスで終わる事があっても、当事者からしたら、感謝!感謝!やな。

怪異をやっつけるのではなく、折り合いを付ける。怪異もこの地球上で起こり得る普通の事象と考えると、これの方が良いのかもね。

結構、こういうの好き!

珍しく、一編毎に、感想書いてみました〜!(^_^)v

0
2024年09月24日

Posted by ブクログ

第1作目からパワーアップしていて読んでいる最中なのに続きが読みたくて堪らない。一話終わっても休む間もなく次を読みたくなる…でも読み終えてしまうのももったいない。ずっと読んでいたい。

端正で丁寧な文体はそのままに、より深く、より豊かな世界を見せてくれる小野不由美さんすごい…

怖いのとは少し違う。
“人の手を経てきた”家や物の積み重なった歴史なのか情なのか哀しさなのか。
さすが宮部みゆきさんがおすすめする作品だなぁ。

そしてこの文体はすごい。情景が浮かぶ。いつも想像ができなくて読み飛ばしたりなんとなくで読み進めていたけれど、こんなわかりやすく描けるなんて。

小野不由美さん、ほかを読んだことがなく、すごくもったいないことをしてるのでは…? 読まなくては。

0
2024年05月20日

Posted by ブクログ

かなり以前に読んだんだけど、この間「参」を読んだので、「弐」を読み返してみた。
 感情を荒立てるでもなく、特別なお祓いをするでもなく、ただ淡々と建具や設えを直すことで困りごとも解決していく尾端。帯にコミカライズされた尾端さんの絵がついていたけど、イメージはカバー絵の方が近いかな。蟲師描いてる漫画家さんの装丁なのね。
 話の中でも、怪異を消すのでなく、怪異と折り合いをつけていく話が好きです。1巻目の1話目や、今回の「待つとしきかば」のように。
「芙蓉忌」両親と弟が死んで、無人になった実家に主人公は帰ってくる。その古い家の二階の部屋の壁の隙間から見える女に魅入られてしまう話。なかなかに怖い幽霊話。
「関守」通りゃんせの童謡に合わせた、子供の頃の怖い体験。役小角(えんのおづぬ)初めて聞きました。終わり方がよかった。
「待つとしきかば」死んでしまった猫のことを息子に言えないでいると、息子のもとに死んだ猫とは思えない何かがやって来る。途中ほんとに怖いんだけど、これも終わり方がね、素敵なの。
「魂やどりて」古い家を気に入るように作り変える中で、知らず知らず思いのこもった物をぞんざいにあつかってしまい、怪異に取り憑かれる。津軽こぎんも初めて聞いた。ただ、綺麗なだけじゃなくて、歴史的な厚みがあるのね。
「水の声」子どもの頃の同級生の溺死に責任を感じている彼氏が、たびたびその子の幽霊を見る。この幽霊描写が怖いんです。そして、その話を聞いた尾端さんが出してきた答えが、あ、そうきたかと。
「まさくに」古い田舎の屋敷の怖い話。天井裏に出てくる幽霊がかなり恐ろしい。その上だんだん恐ろしさが増してくる。小学生の樹に合わせて、一緒にドキドキビクビクしました。この話に出てくるおばあちゃんがなかなかに素適。こんな人になりたいな。

0
2025年07月27日

Posted by ブクログ

【短評】
情緒的な筆致で怪異を描いた小野不由美によるホラー短編集の第二弾。
ホラーと言えば厭な気持ちになるのが常だが、本作で語られる六つの「怪異譚」は時に幽美で、時に静謐で、そして時に暖かい。今や遠い記憶の彼方にしか存在しない旧来の町並みに浸りながら、ただひとり静かに読み耽るのが心地良かった。

作は極端に完成度の高い一作(『檻の外』)が強く印象に残ったが、今作は全体的に秀作揃いで、各話異なる味があり、飽きることが無かった。怪異と相対する人間の内面が緻密に描写されており、種々の怪異と「波長が合う」に足る説得力があったように感じる。単純な「恐怖感」であれば、他作品に軍配が上がるかも知れないが、得も言われぬ読後感は本シリーズ唯一無二のものだと思う。

比喩が巧い。田園にひっそりと佇むアパートを吹き抜ける風を『緑の風』と表現するのには舌を巻いた。情感を引き立てる素敵な言葉に溢れており「嗚呼、綺麗な文章を読んだなぁ」と嘆息する。各話の冒頭と結びの文もきりっと効いており、物語の予感と余韻を素敵に演出している。小説が上手いのよ、この人は。

①芙蓉忌 ★★★★★
壁の隙間から垣間見える芸姑。三味線を爪弾き、髪を梳かし、涙に袖を濡らす。
幽玄な雰囲気が大変に好みだった。「お、これまでと違う趣向だ」と即座に感づく。
個人的には一番怖かった。目が、あの目が凄く印象に残っている。差し出された紐の怖さと美しさったらない。「魔に魅入られる」をあの短さで表現できるのは見事の一言。結びも大変好みである。偶にはこういうテイストも良い。

②関守 ★★★★☆
「通りゃんせ」って怖い。神隠しや異界めいた解釈を挟むと途端に怪談だ。横断歩道のアレが厭という気持ちも良く分かる。子供の頃に立ち返り、何故か怖かったあの帰り道を思い出した。得も言われぬ恐怖と少々のノスタルジィが実に唆る。オチが凄く好きな作品。「怪異」と「良いお話」が共存する展開って大好物だ。

③まつとし聞かば ★★★☆☆
人間ドラマとしては一番好きかな。子供に「死」を伝えられないお父さんのお話。
怪異が結構謎な存在だったのが少々気になった。荒ぶっておられる。それにしても子猫は可哀想である。

④魂やどりて ★★★☆☆
ある種の教訓話。まぁ、そりゃあ懲らしめられるわな。主人公が抱える歪みが良く描けていたと思うが、構成としては日本昔ばなし的なアレである。

⑤水の声 ★★★☆☆
ほんのりミステリィな味付け。弘也の独白が真に迫っていて非常に読み応えがあった。繰り返しになってしまうが、罪の意識をあの短さで纏めることが出来る技巧に感銘を受けた。ミステリィとしては割と古めの型であり、真相にドカンとびっくりする類の話ではないため、するりと終わってしまったのが少々残念だった。

⑥まさくに ★★★☆☆
因果関係が明示されているという意味において、ミステリィとしてはこっちのほうが好み。「成程」となった。頑張ってんな、まさくに。最後の展開が非常に好みで、ちょっと微笑ましい感じが大変に良い。小さくなんのか、まさくに。

突出した作品は無かったが、平均点が高い印象。一方で、個人的には好みの作品が前半に集中していた感があり、もう一作品くらい嗜好のど真ん中を射抜いて欲しかった気もする。
今後とも、緩やかに読み進めていきたいシリーズである。

0
2026年02月26日

Posted by ブクログ

営繕かるかや怪異譚シリーズ弐。6つの話で構成されており、特に「水の声」がお気に入りです。ジャンルはホラーであるが、作品全体の雰囲気が落ち着いていてしっとりと落ち着くような気分にさせてくれます。また文章の紡ぐ流れが好みで、もっと語彙力を鍛えなければと思わせられました。

0
2026年02月20日

Posted by ブクログ

町屋の日常に入り込んでくる恐怖や怪異を営繕屋の尾端が何気なく解決してくれる短編集。

「残穢」が恐ろし過ぎてほっこり怖いのが読みたくなったのだけれど、こちらもやっぱり怖かった。

「芙蓉忌」とても綺麗な恐怖世界でした。絶対に覗いちゃいけない。
「まさくに」出てくるモノはものすごく恐ろしいけれど、やさしい気持ちになれるお話でした。

尾端さんみたいな人が居てくれたら安心して暮らせそう。

0
2025年09月11日

Posted by ブクログ

今回は、死に関わるお話が多かった。営繕屋が現れ、死者の声を聴き修繕する展開には毎回安心する。前作よりも、怖さを感じる話が多かったなあ…「関守」と「まつと聞しかば」のお話が印象に残った。

0
2025年06月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

死へと誘う芸子の霊に魅了される男やリフォームのために物を粗末に扱う女など曲が強い人が出てきたな。
古道具屋さんの心境を考えると居た堪れない気持ちになる。

正邦さんは家の窮地を伝えるために凄まじい姿に自ら変化したのか、家がそういう状態だからあの姿に強制的になったのかどっちだろうね。
正邦さん、小さくなっちゃうかもねの言葉凄く好き

0
2025年03月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

前巻と同じく今回も非常に面白かった
相変わらず視点が尾端中心ではなく、お客さんや怪異に触れてしまった人という所が面白い
芙蓉忌
これ、普通なら主軸が隣の料亭の女将さんなんだろうけど、そうではなく引っ越してきた隣の青年と言うのが
家族全員恐らく彼女に引っ張られてしまったんだろうけど、塞いだだけでは全く解決しておらず貴樹は囚われたままで終わる…
ホラーとか怪談とか確かにモブとまでは言わないけど、きっと間接的に被害にあってる人沢山いるんだろうなぁと改めて思った
ここで終るので、貴樹がその後どうなったか分からない
死んでしまったのか、なんとか尾端に助けてもらえるのか…

関守
通りゃんせ、この歌昔から確かに色々言われておりますが、これは良かった話
行きはよいよい帰りは怖い
余談ですが最近音のなる信号機少なくなった気がする

まつとし聞かば
人の生死、確かにどうやって受け入れていったんだろうと考えさせられる話でした
かわいそうだから、と後回しにして隠し続けても結局はその方が子供にとって良くない、でも俊弘の気持ちもわからなくはない
ただ、子供だって理解できる。
小春ちゃん、やっと受け入れてもらえて、尾端の作った神社からの木の扉をくぐるたびに元の姿に戻れたのかな
おばあちゃんも体調良くなって、きっと小春ちゃんが良い方向に守ってくれそうなお話でした

魂やどりて
これは…………ちょっとこういうリフォームというか、リメイクというか、まぁ流行ったしこう言うの好きな人いるよな…と
主人公の育、ちょっと嫌な感じと言うか、リメイクする癖に大切にしないというか、モノについてあまり考えてない人で、人のせいにすぐするし怪異にあってもまぁそうだよね、としか
でも尾端はちゃんと受け入れつつアドバイスをして、育の気持ちも少し代わって良くなっていくのかな
再利用は良い事かも知れないけど、やり方や元のものに対する気持ちも大事にしないといけないなぁと思った

水の声
いや、怖いわ普通に
なんだよ隣の人、やばすぎるだろ
居ないすきに人の家に侵入して勝手に埋めるとか
別に父が倒れて体調不良になってしまった事は、ササやんと関係ないのかあるのかそこは分からないけど、リュウちゃんの事件とは関係なくそれは弘也がただずっと心に引っかかっていただけなのかな

まさくに
正邦さんがいい人すぎる
ほんと、そんなになってまで、家を守り続けるなんて
そしておばあちゃんと樹くんがちゃんと、尾端を通して正邦さんからのメッセージを受け取れた事
しかし樹くんの母の不満はそのままか、それはもう分からない

2までしか出ていないけど、また続きが読みたい
これ位の不思議な怪異は非常に読みやすい


0
2025年03月03日

Posted by ブクログ

どの話も人物、状況などは全く異なるが、全体的に統一感があって読みやすい。通勤電車で1日1話ずつ読むのが楽しかった。

0
2024年09月05日

Posted by ブクログ

日常の中にぽっかりと開いた不思議や怪異、それを見た時不思議や怪異もこちらを見ているのだ。
第二巻だが日常のほんのわずかな隙間に怪異や異変を紛れ込ませるのが上手く、また話の展開にも唸った。
怖い、だけでなく人と人との縁や悲しみ、喜びが宿っている。そのくせサクッと読めるのだから実に良い一冊である。

0
2024年06月27日

Posted by ブクログ

 全6話収録の「営繕かるかやシリーズ」第2弾。
 前作同様、建物や家具にまつわる奇怪な現象とどのように向き合っていくのかを描いた作品集。
 排除するのか、それとも状況を踏まえた上で折り合いをつけて暮らすのか。この作品は怪異と共に、それに向き合う人間模様も描いており、むしろそちらのほうが今を生きる意味では大切なのかもしれない。

0
2026年01月18日

Posted by ブクログ

シリーズ2作目の短編集。日本家屋の独特の雰囲気が怖さを増す上質なホラー6編。ずっとゾワゾワ怖くて没頭して読めた。営繕屋の尾端が出てきたら安心して力が抜ける。

0
2025年10月01日

Posted by ブクログ

シリーズ第二弾。
はい、おもしろ〜い♪
★3の上。

・芙蓉忌
  隣家の女

・関守
  通りゃんせ

・まつとし聞かば
  猫

・魂やどりて
  リフォーム

・水の声
  溺死した子ども

・まさくに
  天井裏

初っ端の「芙蓉忌」は意外だった。
不穏のままで終わる。
え〜。こういうタイプに鞍替えしたんですか小野さん。嫌だな〜。
って思ってたらこれだけだったのでホッとした。
残りの五編は落ちがつく。


「まつとし聞かば」なんて、読み終わってからいろいろ調べちゃったよ。タイトル回収してないからね、これ。

元ネタは百人一首。
在原行平(ありはらのゆきひら)

上の句。
【立ちわかれ いなばの山の 峰に生(お)ふる】

下の句。
【まつとし聞かば 今帰り来(こ)む】

別れを名残惜しむ歌のようです。

(あなたとお別れして、因幡の国に行きますが、その地にある因幡の山の峰に生える松のように、あなたが待っていると聞いたなら今すぐにでも帰って来ましょう)

松と待つをかけてるんでしょうね。

なぜかこの歌。現代は家出した猫ちゃんに帰還を促すおまじないとして使われているようです。
使い方はそれぞれ微妙に違いますが、この句を貼っておくと帰って来るとか。

おもしろいですね〜。
作者さん博識。
そして、わらにすがってでももう一度愛猫と再会したいという飼い主さんの心情。沁み入ります。
残念ながらこの歌もまじないも本文には出てこないんですが。

博識と言えば「魂やどりて」も。
【ごぎん刺し】
作中の女性じゃないけど、聞いたこともなかった〜。
でも、こういうの良いよね。
子供の頃からひと刺しひと刺し。
嫁入り道具だからきっといろんなことを考えながら縫うんだろうな。
粗末には扱えませんね。
着物の一生。
含蓄です。
日本だけじゃなく、中央アジアとかでもこういう手間ひまかける縫い物って多い気がする。


続巻のその参も早く読みたい。

0
2025年01月05日

Posted by ブクログ

シリーズ2冊目です
1冊目のほうが尾端さんの登場時間が長かったように思っていたのですが、2冊目は1話ごとに最後の方の締めに出てくるというパターンみたいです
このシリーズの雰囲気がいいですね

0
2024年10月26日

Posted by ブクログ

小野不由美らしいホラーだが、1巻よりもやや一般的な内容になったのが少し残念かな。
でも読み続けたい。

0
2024年08月30日

Posted by ブクログ

続巻。
一作目はおうちの”障り”を直接尾端さんが直す展開が多かったけども、今作の主人公は当事者ばかりではない。それもあって尾端さんの存在感は控えめですが、やはり彼の登場にはほっと胸を撫で下ろしてしまうのでした。ゾゾゾ度は前作の方が上かな?

前作の感想に「解決しない一編があってもよいのでは」なんて書いていたら、そうなってしまったのが「芙蓉忌」。
明らかに”近付いてはいけないモノ”に惹かれてしまう貴樹。全体を通して美しく儚いのだけどあまりに恐ろしく、これが最後の話として収録されなくてよかったと思ってしまいました^^;

もう一つ、ある意味で印象に残ったのが「魂やどりて」です。
歴史あるもの、人の手によって作られたものにそこまでの愛着がない私ですら引いてしまったのだから、育の言動に嫌悪感を覚えた方も多いのでは……。
あらゆるものが簡単に手に入るようになった現代ですが、誰かのためあるいは何かのために、心を込めて作られたものに思いを馳せるのもよいなと、そんな事を考えていました。
物にすら魂が宿る。理屈では説明できないそんな感覚が息づく国に生きていること、それがなんだか誇らしいです。

三作目も要チェックですが、どうやらコミカライズ化もされているとか。マンガになると怖すぎるかな〜と不安もありますが、気になりますね……!

0
2024年08月09日

「小説」ランキング