山田正紀のレビュー一覧
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青少年を育成する方針として、国内の名作小説を国ぐるみで都合のいい『解釈』に誘導する機関、メディア管理庁(通称、メディ管)というものが存在している、なんだかディストピアな世界観の日本が物語舞台。その中でも特に推奨されている作家が宮沢賢治で、彼が死ぬ直前まで推敲を重ねた第四次稿が存在するのだが、その四次稿をメディ管は非公認としていた。国家の判断に抵抗していた大学の講師で、賢治研究を行っていた母は連行され、その後、息を引き取った。16歳のぼくは、母の散骨のため、賢治ゆかりの豊沢川に遺骨を撒きに行く。
まるで〈異界〉のような過去で、絡み合う現実と物語、不思議な世界がひっくりかえる真相、謎に向かい合 -
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「三億キロ彼方の小惑星で化石人骨が発見された!」
帯を読んだだけで、面白そうだと思った。
クセのある登場人物達が、この謎に挑むSFミステリ。
1974年に「神狩り」でデビューし、その後、日本SF大賞、本格ミステリ大賞、日本推理作家協会賞等を受賞し、様々な分野で多数のシリーズ作を持つ著者のSF作品を久しぶりに読んだ。
いやぁ~面白かった!
後半、タイトルの意味を知って、ギターを弾きまくっていた頃を思いだした。「タイトルは、そこから来ているのか」と、ニヤっとしてしまった。
ラストも良い。著者の作品は、数十年前から読んでいるが、こんな爽やかなラストシーンは珍しい。 -
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山田正紀『山田正紀・超絶ミステリコレクション#4 囮捜査官 北見志穂3 荒川嬰児誘拐』徳間文庫。
幻冬舎文庫の既刊5巻全て既読なのだが、今回、徳間文庫の新レーベルからは5巻のうち4巻の復刊に加え、5巻のリブート作をシーズン2としてシリーズ化して刊行されるとのことで、再読してみることにした。5巻のリブート作品はどんな内容になるのか非常に楽しみだ。
生まれついての被害者体質という警視庁科学捜査研究所特別被害者部の囮捜査官・北見志穂を主人公にしたミステリー・シリーズ。
最初から真犯人の予想はついているのだが、それ以上にストーリーの構成とトリックが緻密であるがために多重人格の北見志穂が犯人ではな -
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山田正紀『山田正紀・超絶ミステリコレクション#3 囮捜査官 北見志穂2 首都高バラバラ死体』徳間文庫。
幻冬舎文庫の既刊5巻全て既読なのだが、今回、徳間文庫の新レーベルからは5巻のうち4巻の復刊に加え、5巻のリブート作をシーズン2としてシリーズ化して刊行されるとのことで、再読してみることにした。果たして、リブート作品はどんな内容になるのか。
生まれついての被害者体質という警視庁科学捜査研究所特別被害者部の囮捜査官・北見志穂を主人公にしたミステリー・シリーズ。
間違いなく、前作よりさらにハードになり、リーダビリティが増している。今回も北見志穂が危険な囮捜査と持ち前の推理力で奇怪な殺人事件の -
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むかーしに読んだのですが、新装改訂版でしかも新作も出るようなので再読。時代的な古さは随所に感じるものの、面白さは今の時代に読んでも全く遜色ありません。むしろ時代が古いのを忘れていて、「そうか、携帯電話もDNA鑑定もない時代だったか」と気づいたり。そして久しぶりすぎて、終盤になるまで犯人が誰だったかも失念しておりました。新鮮な驚きに感謝(苦笑)。
囮捜査を請け負う北見志穂。「生まれつきの被害者体質」ということでやたらと性犯罪者に目を付けられる彼女ですが。むしろそのような犯罪者に立ち向かうためにこの職業を選んだという強さが頼もしいです。警察内部でも徐々に認められ味方が増えていきそうなあたりにも安心 -
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山田正紀『山田正紀・超絶ミステリコレクション#2 山手線連続通り魔 囮捜査官 北見志穂1』徳間文庫。
幻冬舎文庫の既刊5巻全て既読なのだが、今回、徳間文庫の新レーベルからは5巻のうち4巻の復刊に加え、5巻のリブート作をシーズン2としてシリーズ化して刊行されるとのことで、再読してみることにした。
四半世紀前に刊行された作品である。現在なら監視カメラやスマートフォンなどのデジタル機器により犯行を抑止すると共に犯人を絞り込めるのだが、当時はそう簡単には行かないのだ。
また、女性を軽んじ、囮捜査を異端視する警察組織の中で主人公の北見志穂はなかなか思う通りの捜査が出来ないでいた。そんな状況の中、北 -
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レビューを拝見して、知った本です。ありがとうございます。
こういう小説を、ディストピア小説と呼ぶのは、他の方のレビューで初めて知りました。
SF世界になんとか入りこむことはできたのですが、正直、意味がよくわからなかったです。面白くなかったわけではありません。
16歳の主人公のぼくの母親は、宮澤賢治の研究者で、メディ研に、追われています。
「死んだら遺骨を花巻の豊沢川に撒いてほしい」と言い残して亡くなります。
ぼくは、花巻へと向かいますが、途中でタイムスリップして銀河鉄道に乗っていて、髪の毛が黄色いことから「ジョバンニ」と呼ばれます。
ぼくはその日が昭和8年9月19日火曜日で、9月21日の賢 -
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中年の男性を主人公にした、犯罪アクション短編4本。
美術評論家が、贋作作家の作品を取り返してほしいという依頼のため、鉄道を襲う計画を立てるが、前日になって邪魔が入ってしまう…。
すべての作品で、ひねったストーリー展開に、どんでん返しに次ぐどんでん返しで、飽きさせない。それぞれ美術品の強奪、爆弾の処理、ハイジャック、金庫からの現金強奪など、不可能を可能にできないからの落としどころが考えられているのは良い。また、出てくるキャラクターも、強烈ながら濃すぎず、鼻につくことはない。
さらに、美術に爆弾、映画・映像など、専門知識をこれでもかと盛り込んでいるうえ、それぞれがうまく生かされているのは素晴