山田正紀のレビュー一覧
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シリーズ第1弾の『人喰いの時代』とは趣きの違うSFチックなミステリー連作短編集。奇妙な民間探偵・呪師霊太郎の時間の概念を超越した活躍を描いた四話を収録。帯の『本来書かれるはずのなかった幻の小説、奇跡の刊行!!』の惹句に惹かれ、シリーズ第1弾の『人喰いの時代』と共に購入。帯の惹句に偽り無し。
『神獣の時代』。民間探偵の呪師霊太郎は猫の耕介と共に吐裸羅島へと渡る。霊太郎の目的はギャンブラーの五十嵐という男に会うことなのだが…一筋縄ではいかないミステリーの開幕。
『零戦の時代』。50年もの時を経て描かれる呪師霊太郎の推理。震えるような結末と巧みな伏線、予想のつかない展開。もはや見事と言うしかない -
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本格推理連作短編集。最近、シリーズ第2弾の『屍人の時代』が刊行されたのを機会に併せて読んでみようと思った。
昭和初期を舞台に、呪師霊太郎と椹秀助の二人の若者が六つの不可思議な殺人事件に挑む。物語の語り手は椹秀助。事件は解決するが、意識的に犯人は捕縛しないという前代未聞の不思議な探偵・呪師霊太郎。本格推理というよりも様々な人びとの人生を描くヒューマンドラマの色合いが強い。
『人喰い船』。最初の事件。東京から樺太に向かう船上で発見された変死体の謎に呪師霊太郎と椹秀助が挑む。まずは小手調べか。
『人喰いバス』。山中を走るバスから消えた五人の乗客と残された一人の乗客。この連作短編の方向性が少し見 -
購入済み
何だこれは?
この著者の本をはじめて読んだのだが。これは一体何なのでしょうか?はじめて読むタイプの読みもので、少々面食らいました。面白かったのですが、読み終わってポカーンとしてしまいました。
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Posted by ブクログ
ネタバレレストランでフルコースを食したときのような満足感が残る。全てが緻密に計算されつくした厳格さが感じられる。
警察・検察との関係を神曲をモチーフにしてストーリー展開させていく筆力の素晴らしさには形容する適当な言葉が思いつかない。
主人公の佐伯は、メンタル面でダメージを受けて休職していた検察の立場から現代の問題点を突きつけている。警察の立場から考えれば反論もあるだろうし、警察も悪役的描かれ方をしていてフェアではないと言えるが、本作が描かれた当時から問題が解決していないのであれば日本民族の本質に関連しているのかもしれない。
人の死は日本人へと還っていくという死生観と神曲の比較。全ての犯罪者は神によって -
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文句なしに面白かった
3部作らしいけれどこれだけでも楽しめる。
でも、1作も読んでなかったことが悔やまれるほど。
能の隅田川の続編として描かれた能の出来の良さといい
解釈の大胆さといいなかなか好きです。
また、どこまでが真実でどこまでが虚構なのか。
文章のつくり方もどこまでが真実でどこまでが虚構なのか。
いろいろな演出が非常に野心的で引き込まれます。
ラストはあまり明るい終わり方ではないですが納得のいく終わり方で、再び再読したらまた違った味わいで読める作品。
多分懸命な読者の方は仕掛けには引っかからないのでしょうけれども、わかっててもあえて騙されるという心地よさが良かったです。 -
Posted by ブクログ
「どんな時代になろうと、罪のない子供たちが戦乱、貧困のために『人柱』に処される事実に変わりはない、というペシミスティックな歴史観が働いているのだろうと思います。それが室町時代であろうが、昭和の御代であろうが、あるいはまだ見ぬ未来であろうが、その時代なりの要請に応じて、いつだって子供たちは犠牲に処せられるのです。非常に殺される、無情に捨てられるーそれが未来永劫、人間にかせられた罪業であり、原罪でもあって、どんなに時代が変わろうと、ついにその悲劇が尽きることはない。」
面白い。第一部から読み直したいな。それにしても、どうにもならない歴史とは言え、こんな終わり方はないよな…。 -
Posted by ブクログ
「二十世紀の大都会ではおよそ人から、「自分」というものが剥奪されてしまう。もうこの時代には唯一無二の「自分」などというものはどこにも存在しない。写真であなたの「複製」が無数に作られる。あなたはここにいるのにあなたの声は電話ではるか遠方まで届いてしまう。ここにいたはずのあなたは電車に乗ってあっという間に遠方に運ばれる。本当のあなたはどこにいるのだろう。本当の自分はどこにいるのか。そもそも本当の自分などというものが存在するのだろうか。それは虚妄にすぎないのではないか。二十世紀のメトロポリスにおいてあなたがあなたである必要がどこにあるのか。そこにいるあなたはすでにあなた自身にとっても見知らぬあなたで