山田正紀のレビュー一覧

  • 神狩り

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    言語構造から<神>の存在を探り当てるとは!SFの設定にしても、なかなかないアプローチで斬新。この作品だけでは未完というしかないが、続編が出ているようなので期待。

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    2017年04月09日
  • 屍人の時代

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    シリーズ第1弾の『人喰いの時代』とは趣きの違うSFチックなミステリー連作短編集。奇妙な民間探偵・呪師霊太郎の時間の概念を超越した活躍を描いた四話を収録。帯の『本来書かれるはずのなかった幻の小説、奇跡の刊行!!』の惹句に惹かれ、シリーズ第1弾の『人喰いの時代』と共に購入。帯の惹句に偽り無し。

    『神獣の時代』。民間探偵の呪師霊太郎は猫の耕介と共に吐裸羅島へと渡る。霊太郎の目的はギャンブラーの五十嵐という男に会うことなのだが…一筋縄ではいかないミステリーの開幕。

    『零戦の時代』。50年もの時を経て描かれる呪師霊太郎の推理。震えるような結末と巧みな伏線、予想のつかない展開。もはや見事と言うしかない

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    2016年11月12日
  • 人喰いの時代

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    本格推理連作短編集。最近、シリーズ第2弾の『屍人の時代』が刊行されたのを機会に併せて読んでみようと思った。

    昭和初期を舞台に、呪師霊太郎と椹秀助の二人の若者が六つの不可思議な殺人事件に挑む。物語の語り手は椹秀助。事件は解決するが、意識的に犯人は捕縛しないという前代未聞の不思議な探偵・呪師霊太郎。本格推理というよりも様々な人びとの人生を描くヒューマンドラマの色合いが強い。

    『人喰い船』。最初の事件。東京から樺太に向かう船上で発見された変死体の謎に呪師霊太郎と椹秀助が挑む。まずは小手調べか。

    『人喰いバス』。山中を走るバスから消えた五人の乗客と残された一人の乗客。この連作短編の方向性が少し見

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    2016年11月10日
  • 人喰いの時代

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    山田正紀の本格ミステリ・デビュー作なのだそうですが、めちゃめちゃ面白いです!

    意図的に古臭い探偵小説の体裁で始まる連作短編集。事件の解決は法によって裁かれることはなく、何故そうしたのか人間心理に興味があるだけ、という魅力的な設定。短編では描ききれないのでは?是非長編も読んでみたい。

    女囮捜査官のときも凄いと思いましたが、メタフィクションなど、仕掛け満載。
    山田作品は、後々まで印象に残るシーンだったり、イメージが多いような気がします。それが崑崙遊撃隊とか宝石泥棒や最後の敵、女囮捜査官だったりするのですが、なぜなのでしょう。不思議な作家。

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    2016年10月30日
  • 人喰いの時代

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    内容や文体から、相当昔の作品のような雰囲気があるけれど、それほど古い作品ではない。旧作ではあるけれど。
    「連作の最後の章に待つ大仕掛けにあなたは必ず驚愕する」というコピーに期待したけれど、驚愕とまではいかなかった。もしかすると、仕掛けをきちんと理解できていないのかもしれない。本格好きの方にはお勧めだと思う。

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    2015年05月05日
  • 神狩り

    購入済み

    何だこれは?

    この著者の本をはじめて読んだのだが。これは一体何なのでしょうか?はじめて読むタイプの読みもので、少々面食らいました。面白かったのですが、読み終わってポカーンとしてしまいました。

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    2014年12月24日
  • 神曲法廷

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    ネタバレ

    レストランでフルコースを食したときのような満足感が残る。全てが緻密に計算されつくした厳格さが感じられる。
    警察・検察との関係を神曲をモチーフにしてストーリー展開させていく筆力の素晴らしさには形容する適当な言葉が思いつかない。
    主人公の佐伯は、メンタル面でダメージを受けて休職していた検察の立場から現代の問題点を突きつけている。警察の立場から考えれば反論もあるだろうし、警察も悪役的描かれ方をしていてフェアではないと言えるが、本作が描かれた当時から問題が解決していないのであれば日本民族の本質に関連しているのかもしれない。
    人の死は日本人へと還っていくという死生観と神曲の比較。全ての犯罪者は神によって

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    2013年04月06日
  • 神狩り

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    まさにSF。とても好みな展開。なんだか小松左京、あるいは伊藤計劃をおもいだしながら読んだ。これが四十年近く前に書かれたとはね…すごいなあ

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    2013年02月27日
  • ファイナル・オペラ

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    文句なしに面白かった

    3部作らしいけれどこれだけでも楽しめる。
    でも、1作も読んでなかったことが悔やまれるほど。

    能の隅田川の続編として描かれた能の出来の良さといい
    解釈の大胆さといいなかなか好きです。

    また、どこまでが真実でどこまでが虚構なのか。
    文章のつくり方もどこまでが真実でどこまでが虚構なのか。
    いろいろな演出が非常に野心的で引き込まれます。

    ラストはあまり明るい終わり方ではないですが納得のいく終わり方で、再び再読したらまた違った味わいで読める作品。

    多分懸命な読者の方は仕掛けには引っかからないのでしょうけれども、わかっててもあえて騙されるという心地よさが良かったです。

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    2012年12月19日
  • ファイナル・オペラ

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    「どんな時代になろうと、罪のない子供たちが戦乱、貧困のために『人柱』に処される事実に変わりはない、というペシミスティックな歴史観が働いているのだろうと思います。それが室町時代であろうが、昭和の御代であろうが、あるいはまだ見ぬ未来であろうが、その時代なりの要請に応じて、いつだって子供たちは犠牲に処せられるのです。非常に殺される、無情に捨てられるーそれが未来永劫、人間にかせられた罪業であり、原罪でもあって、どんなに時代が変わろうと、ついにその悲劇が尽きることはない。」
    面白い。第一部から読み直したいな。それにしても、どうにもならない歴史とは言え、こんな終わり方はないよな…。

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    2012年10月30日
  • マヂック・オペラ 二・二六殺人事件

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    「二十世紀の大都会ではおよそ人から、「自分」というものが剥奪されてしまう。もうこの時代には唯一無二の「自分」などというものはどこにも存在しない。写真であなたの「複製」が無数に作られる。あなたはここにいるのにあなたの声は電話ではるか遠方まで届いてしまう。ここにいたはずのあなたは電車に乗ってあっという間に遠方に運ばれる。本当のあなたはどこにいるのだろう。本当の自分はどこにいるのか。そもそも本当の自分などというものが存在するのだろうか。それは虚妄にすぎないのではないか。二十世紀のメトロポリスにおいてあなたがあなたである必要がどこにあるのか。そこにいるあなたはすでにあなた自身にとっても見知らぬあなたで

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    2012年10月26日
  • 神狩り

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    ネタバレ

     山田正紀の衝撃のデビュー作。関係代名詞が13個以上という<神>の言語のアイデアも面白いが、とにかく手に汗握るサスペンスで、そのエンターテイメント性の高さの方が僕は好き。なによりも<神を追う>行為自体がなにかいけないことのように思えてくる、禁断の世界に触れ続けている感じがわくわくする。快作にして名作!

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    2011年11月19日
  • 吉原螢珠天神

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    『銀魂』のみつば編見るたびに、「絶対関係者に『辛うござる』を知っている人がいる」って思う。

    「辛うござる」は大傑作です。

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    2010年10月09日
  • 少女と武者人形

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    私が持っているのは文春文庫版。
    出版芸術社の「夢の中へ」(ふしぎ文学館)にも、全作品が収録されています。

    今読むと、少々甘いかなとも思うし、基本的にオチがないから、
    物足りない人もいるとは思う。

    収録作の中で、『友達はどこにいる』は傑作。
    これ一作だけでも読む価値あり。
    哀しい話なんだけど、共感してしまう。

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    2010年10月09日
  • マヂック・オペラ 二・二六殺人事件

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    これは良いカオスwwwww昭和史、とりわけににろく事件周辺のことに興味のある人は読んで損ないと思います。乱舞する引用文、炸裂するトンデモ妄想。これぞ探偵小説の醍醐味!表紙からして稀有なカオスの気配が感じ取れると思います。久々に素敵なエンターテイメント作品に出会えた感です。

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    2009年10月04日
  • サイコトパス

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    山田正紀は個人的に当たり外れが少ない作家なんですが、その中でもコレはかなりの大当たり!クセのあるキャラクターに読んでいて何が何やら…のストーリー展開、入れ子構造になっている作中作と現実が錯綜する所なんかも「ミステリオペラ」的でハマるハマる(笑)先生ご本人も自信作って言ってる通りの名作 ☆…ただしダマサキファンにとっては、と言う意味でね(汗笑)ミステリと思って読むと終わった後に消化不良を起こすので、その辺りは心して欲しいな、と。

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    2009年10月04日
  • 超・博物誌

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    コレも大好きな作品!遠い宇宙の老生物学者が書くSFチックな博物誌…の体裁をとりながらも、ほんのりと切なくて読んで楽しい短編連作です

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    2009年10月04日
  • 人喰いの時代

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    短編連作の形を取った、影の山田正紀のターニングポイント的作品。SFだけじゃなくて良質なミステリも書ける作者の懐の広さが素晴らしいです(笑

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    2009年10月04日
  • 神曲法廷

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    講談社ミステリに山田正紀が登場!しかも面白い!…と、当時のミステリファンを唸らせた作品です。ワタシがダマサキファンになった思い出の一冊(笑

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    2009年10月04日
  • マヂック・オペラ 二・二六殺人事件

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    映像の中にはドッペルゲンガー。そこは「猫町」の世界。「現実の世界ではなくつて、幻燈の幕に映つた、影絵の町」、「一寸したバランスを失つても、家全体が崩壊して、硝子が粉々に砕けてしまふ」。二・二六事件とN坂殺人事件が奇妙に重なっていく。

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    2010年03月28日