あらすじ
昭和二十年東京。八王子の神社の神主を務める明比家に伝わる秘能。それは、衆人環視の状況下で如何にして母親が子殺しの人買いに復讐したかを観客が推理する、世界最古の探偵小説というべきものだった。内容に呼応するように、上演中、演者が何者かに殺される。身近な悲劇と終戦目前の歴史的悲劇に人はどう立ち向かうのか。若き日の"検閲図書館"黙忌一郎が導く驚愕の真相!
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Posted by ブクログ
文句なしに面白かった
3部作らしいけれどこれだけでも楽しめる。
でも、1作も読んでなかったことが悔やまれるほど。
能の隅田川の続編として描かれた能の出来の良さといい
解釈の大胆さといいなかなか好きです。
また、どこまでが真実でどこまでが虚構なのか。
文章のつくり方もどこまでが真実でどこまでが虚構なのか。
いろいろな演出が非常に野心的で引き込まれます。
ラストはあまり明るい終わり方ではないですが納得のいく終わり方で、再び再読したらまた違った味わいで読める作品。
多分懸命な読者の方は仕掛けには引っかからないのでしょうけれども、わかっててもあえて騙されるという心地よさが良かったです。
Posted by ブクログ
「どんな時代になろうと、罪のない子供たちが戦乱、貧困のために『人柱』に処される事実に変わりはない、というペシミスティックな歴史観が働いているのだろうと思います。それが室町時代であろうが、昭和の御代であろうが、あるいはまだ見ぬ未来であろうが、その時代なりの要請に応じて、いつだって子供たちは犠牲に処せられるのです。非常に殺される、無情に捨てられるーそれが未来永劫、人間にかせられた罪業であり、原罪でもあって、どんなに時代が変わろうと、ついにその悲劇が尽きることはない。」
面白い。第一部から読み直したいな。それにしても、どうにもならない歴史とは言え、こんな終わり方はないよな…。
Posted by ブクログ
やっと読み終わった。
このオペラシリーズ、前2作も読んでいるのに、なぜか印象薄いんです。
難しい、知らない世界、ってこともあるんでしょうが。スイマセン。
これも幻想的ですね。
読んでる間は楽しめたので、☆は甘めの四つということで。