あらすじ
29人の死傷者を出した、神宮ドーム火災事件。その公判直前に東京地裁の密室で、担当弁護士と判事が殺害された。やがてドームに被告の死体が……。これは司法への挑戦か!? 「正義は果されねばならない」という神の声を聴いた検事・佐伯は、事件を追う。謎は失踪した異端の建築家が造るドームにあった!? ダンテの「神曲」が底に流れる、壮麗な新本格推理巨編。「真の探偵は神である」ーー神に選ばれた検事が追う、神宮ドームに隠された連続殺人の謎とは?
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Posted by ブクログ
レストランでフルコースを食したときのような満足感が残る。全てが緻密に計算されつくした厳格さが感じられる。
警察・検察との関係を神曲をモチーフにしてストーリー展開させていく筆力の素晴らしさには形容する適当な言葉が思いつかない。
主人公の佐伯は、メンタル面でダメージを受けて休職していた検察の立場から現代の問題点を突きつけている。警察の立場から考えれば反論もあるだろうし、警察も悪役的描かれ方をしていてフェアではないと言えるが、本作が描かれた当時から問題が解決していないのであれば日本民族の本質に関連しているのかもしれない。
人の死は日本人へと還っていくという死生観と神曲の比較。全ての犯罪者は神によって裁かれていく。それは至ってナチュラルな思想なのかもしれない。
Posted by ブクログ
個々の謎は派手で魅力的ですし、独特の世界観と雰囲気も良いです。伏線の張り方や、回収も見事でした。少々読み難いですが、ミステリー要素が盛り沢山でとお腹一杯です。
ただ、スッキリしないラストで読後感が悪いですし、ミステリーとしての構図も若干の無理を感じました。
Posted by ブクログ
こんなにでかい思想にとりつかれた人が、あのトリックでよかったのかな?
まあ広大なドーム内で殺人を起こすにはという、荒唐無稽なトリックだったけど、それ自体は私は嫌いじゃない。
セルフコントロールできない思想に憑依された人は、自分にも他人にも救うことができなくて、本気できついんだよね…
あまり好きではない
正直もう少し簡潔にできたのではないかと思う文章ばかりで読んでいて疲れてしまった。読むまでにかなり時間がかかった。最後もさほどびっくりしたりしない感じで終わってしまい残念だった。期待が高かったためなのかもしれないけれど好きではなかった。