山田正紀のレビュー一覧
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ネタバレ6つの短編が収録された連作短編集。
どれも悪くはないミステリではあるが、やはり総じて見ると良いところは多数あるものの、少し物足りないと思わざるを得ない。
だが、この昭和の雰囲気であったり、最後に老境の椹や呪師の姿を描き、二人の人生も描いている点はとても良い。
短編(中編?)の中で面白かったのをいくつか。
『人喰い船』
事件自体は単純ではあるが、「なぜ死体が服を着脱したのか」という謎に対する答えが見事。
『人喰い博覧会』
連作としての仕掛けはあまり驚きには値しないが、「実は宮口は落ちていない」というのは驚いた。
心臓マヒで死んだ宮口を放送塔から落とさなければならなかった理由も納得。
まだ自 -
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インドと中国の国境に作られた原子力発電所「アグニ」において、日本から出向した亜紀商事の社員を含む、技術者のほとんどが落盤事故に見せかけた爆発によって殺された。生き残った工藤は、原子力発電所内に、CIAが仕掛けた爆弾が存在していることを知る…。
山田正紀の作品の中でも、冒険小説風の風合いが強くて読みやすい、スパイvsスパイもの。CIAと中国、ソ連のKGBが序盤では複雑に絡み合い、大丈夫か?と思ったところで、工藤たちの行動がスタートする。
工藤たち5人については、あれ?それでいいの?という程度の訓練ぶりに、ほとんど活躍すること無くという感じで、むしろその前のサラリーマン時代に焦点が当てられてい -
Posted by ブクログ
山田正紀さんの作品は『カムパネルラ』に続き読むのが2作目でしたが、この作品も、私には難解で、意味がわかりませんでした。
最後まで読めばわかるんじゃないかと思って読んでいましたが、なんとなくしかわかりませんでした。
読み慣れないSF作品であるせいかもしれません。
10歳くらいの白いつなぎを着て白いキャップをかぶった少女が「おまえの大切な人(ラヴ)が死ぬ」という手紙を、第一話から最終話までの各登場人物に持っていき、その人たちをインタビューする死神の話です。
第一話の鈴木良二と君島涼子の高校生カップルの「難病ラヴストーリー」はコミカルで、あの映画のことかなと思い、ちょっと笑えました。
第二話 -
Posted by ブクログ
銀河鉄道の夜をこじらせた小説、とでも言えばいいのかな。ともかく、どこに連れて行かれるか分からない展開にアップアップしながらも、何とか読み終えることができました。
この「どこに連れて行かれるか分からない」というのは、単に先の読めない展開、というわけではありません。自分の場合は中盤まで、物語の目的も、そもそもジャンルや世界観も曖昧なまま、読み進めていました。
まず出だしで管理社会を思わせる思想統制の組織が登場し、ディストピア系の作品かと思ったら、場面が変わり、昭和8年宮沢賢治が亡くなる2日前の岩手県花巻へ主人公が移動します。
じゃあ、時間改編のSFか、と思ったら、史実と違い賢治はすでに死亡し