あらすじ
男たちの憎悪(ミソジニー)が女を殺す
ミステリ史上に残る屈指の名作シリーズ、奇跡の再始動!
私としてはこのシリーズはとりわけ愛着が深いーー多少は自信もあるーー作品であるだけに喜びもひとしおである。
読者の皆様に心の底から感謝を捧げたい。(山田正紀)
警視庁・科捜研「特別被害者部」は、違法ギリギリの囮捜査を請け負う新部署。
美貌と〝生まれつきの被害者体質〟を持つ捜査官・志穂の最初の任務は品川駅の女子トイレで起きた通り魔事件。
厳重な包囲網を躬して、犯人は闇に消えた。絞殺されミニスカートを奪われた二人と髪を切られた一人──
奇妙な憎悪の痕跡が指し示す驚愕の真相とは。
イラスト KENTOO
〈目次〉
著者の言葉
プロローグ
山手線
品川駅第二ホームトイレ
科捜研特別被害者部
本庁幹部会議
別件逮捕
同僚たち
大崎駅
髪結いの亭主
女嫌い
危険なデート
五反田駅
真犯人
痴漢電車
解説 青崎有吾
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
むかーしに読んだのですが、新装改訂版でしかも新作も出るようなので再読。時代的な古さは随所に感じるものの、面白さは今の時代に読んでも全く遜色ありません。むしろ時代が古いのを忘れていて、「そうか、携帯電話もDNA鑑定もない時代だったか」と気づいたり。そして久しぶりすぎて、終盤になるまで犯人が誰だったかも失念しておりました。新鮮な驚きに感謝(苦笑)。
囮捜査を請け負う北見志穂。「生まれつきの被害者体質」ということでやたらと性犯罪者に目を付けられる彼女ですが。むしろそのような犯罪者に立ち向かうためにこの職業を選んだという強さが頼もしいです。警察内部でも徐々に認められ味方が増えていきそうなあたりにも安心感があります。とはいえ、展開にははらはらどきどきさせられっぱなしですが。
女性をターゲットにした卑劣な犯行の数々。狙われる女性にも原因がある、と言われてしまう部分があるのは、今の時代でもまだ完全に正されていないことなのかもしれません。ましてやそれを動機にしてしまう犯人の恐ろしさといったら……。そして結果的に殺人犯ではなかったあの人やこの人たちに関しても、許せない人ばっかりなのだけれど。いそうなんだよねこういう人たちって。
Posted by ブクログ
山田正紀『山田正紀・超絶ミステリコレクション#2 山手線連続通り魔 囮捜査官 北見志穂1』徳間文庫。
幻冬舎文庫の既刊5巻全て既読なのだが、今回、徳間文庫の新レーベルからは5巻のうち4巻の復刊に加え、5巻のリブート作をシーズン2としてシリーズ化して刊行されるとのことで、再読してみることにした。
四半世紀前に刊行された作品である。現在なら監視カメラやスマートフォンなどのデジタル機器により犯行を抑止すると共に犯人を絞り込めるのだが、当時はそう簡単には行かないのだ。
また、女性を軽んじ、囮捜査を異端視する警察組織の中で主人公の北見志穂はなかなか思う通りの捜査が出来ないでいた。そんな状況の中、北見志穂は自らを火中に投じ、真犯人に迫る。まるでお手本のようなサスペンス・ミステリーの手に汗握るストーリー展開は見事。
品川駅のトイレで発生した若い女性を狙った殺人事件。警視庁科捜研・特別被害者部に所属する美貌の生まれついての被害者体質の北見志穂はみなし公務員として違法ぎりぎりの囮捜査を行う。だが、なかなか犯人は絞り込めず、山手線の駅で第2、第3の事件が起きる。被害者はいずれも髪の長い若い女性で、スカートを持ち去られたり、髪を切られたりしていた。
テレビドラマでは、松下由樹が北見志穂役を演じていたが個人的にはイメージではなかった。
本体価格780円
★★★★★