あらすじ
人を探し出してインタビューするのがぼくの仕事だ。もう一つ重要な役割があるけど、それはまだ言わない。ぼくはいま、謎の手紙を届けて回る一人の少女を探している。その手紙は、大切な人(ラヴ)の死を予告する“デス・レター”だという。愛する人の死におびえる者、心当たりのない者、すでに愛する人を失った者。少女の足跡を辿るなかで、ぼくはいつしか奇妙な違和感を覚えるが……。「そのことを話すため、こうしてやってきた。とても大事な話なんだ」破格の想像力が炸裂する、これぞ山田正紀マジック!
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Posted by ブクログ
あしがらパーキングエリアで売っているクマの絵柄のレターセットを使い、時空を超えて『手紙』を配達する少女を追う、死神の物語
個性的でシュールな作品の連なりが紡ぎ描きだした先に、予想外のラストが待っていた
自分はぜんぜん理解できていないかもしれない…
ロジカルSF連作短編集
Posted by ブクログ
山田正紀の最近の作品で「戦争獣戦争」を読んで、作者独特の時空の概念に感動したが、本作品も時空に纏わるからくりが所々に散りばめられている。ただ、ほとんどのエピソードではそのからくりの深堀があまり見られなかった。その反動で、最終話でのネタ晴らしが浮いていたことは否めない。加えて言えば、最終話における時空域の扱い方の比重が幾分大きすぎるようにも思える。
若い頃に「神狩り」を読んだ時のインパクトが余りにも大きすぎて、その頃よりのファンなのだが、途中で推理小説のジャンルに行ってしまった。もう若い頃の様な作品には出会う事はないと思っていたが、最近こちらの世界に戻ってきてくれて感謝している。推理小説の時空域からSF小説の時空域に戻ってきたと言う事になるのかな。
今回の作品では死神という名称を上手に使っているが、人によっては誤解を招く、死神というインパクトのある固定概念が作品の理解を妨げはしないかと思った。ネタバレも作者の話術に慣れていない人にとっては難解なものと感じるのではないか。
Posted by ブクログ
山田正紀さんの作品は『カムパネルラ』に続き読むのが2作目でしたが、この作品も、私には難解で、意味がわかりませんでした。
最後まで読めばわかるんじゃないかと思って読んでいましたが、なんとなくしかわかりませんでした。
読み慣れないSF作品であるせいかもしれません。
10歳くらいの白いつなぎを着て白いキャップをかぶった少女が「おまえの大切な人(ラヴ)が死ぬ」という手紙を、第一話から最終話までの各登場人物に持っていき、その人たちをインタビューする死神の話です。
第一話の鈴木良二と君島涼子の高校生カップルの「難病ラヴストーリー」はコミカルで、あの映画のことかなと思い、ちょっと笑えました。
第二話の「天使が肩に舞い下りて」は純文学に近い話ではないかと思いました。
各話とも「大切な人(ラヴ)」が誰(何)かという話なのですが、人でなく、何か別のものの場合もありました。すでに愛する者を失っていた人もいました。
各々の話としては楽しめました。
第五話の刑事の話はまたコメディ調になったりしました。
最終話では『不思議の国のアリス』のお話が登場し、話のまとめに確かに入るのですが、これがまた意味がわからず…。
これは、作者の高尚な遊び心から発したちょっとしたいたずらのお話ではないかと思いました。