相沢沙呼のレビュー一覧
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小説の神様シリーズのキャラクターの心象がとても精緻で繊細で、素敵だなぁと思ったので、こちらを手に取ってみたんですが。一話目を読んでみて、先行きが見えず、どんな物語なんだろう、と思っていたら短編集だったんですね。正直、中学二年生の女の子たちの、生々しい心情と重苦しいエピソード、きらきらと煌めく鮮やかな描写が、ものすっごく素敵な作品でした!
びっくりしました。こんなに、かつての自分に懐かしさを感じられる物語があるなんて。行きたくない、学校に行けない、なんて考えながらも一所懸命に学校に通っていた日々。学級カースト。周りからの視線。早熟な女の子の手元に煌めくコスメと飾り。どれも、本当に、愛おしかった -
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2025/04/17
学校に足が向かない人たちの物語。
足が向かなくなる、行きたくなくなるのにもそれなりに理由があって、それは周りの人から見たら大したことじゃなかったり、些細なことなのかもしれないけど当人は一生懸命全力で考えて頑張っているんだなというその葛藤や奮闘をとても現代風に小説化していて読みやすい物語だなって思いました。
しかし、途中の短編で出てくる先生は、さすがにこんなやつ最低すぎるだろ…と思いました。後書きに小説の中に入ってこの先生をぶっ飛ばしてやりたいという表現があったのですが、まさにその通りだなと同じことを感じました。
自分の生きてきた生き方や考え方はごくごく一般的で、結構普通な -
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ネタバレ城塚翡翠シリーズの3作目。
2作目と同様、倒叙ミステリーの形式で展開はある程度わかっているのですが、面白かったです。そのためこのシリーズはミステリーとして楽しむのではなく、人間ドラマとして楽しむのが良いかなと思いました。
今作では、翡翠と真ちゃんの信頼関係の深さが感じられるシーンが多くて大満足でした。お互いが尊敬しているからこそ敢えて口にはしないけど、最後のシーンで真ちゃんに弱みを見せる翡翠にグッと来ました。
翡翠の一貫した「殺人に正当性や正義はない」という正義感が、せっかくできた友達の正義感とは相容れない。被害者というのは何があっても報われないし、復讐するものでもないし、そもそも暴力による正 -
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『ねぇ、卵の殻がついている』
保健室登校のナツとサエ。ずっと隣に居てほしかった存在だった。サエが数学の問題集を解いている。来週から教室に戻るというサエ。そんな彼女に対して、わけのわからない苛立ちが募るナツ。
そんなナツの思春期独特のモヤモヤとした苛立ちが、文章を通してひしひしと伝わってくる。この『わけのわからない苛立ち』は私にもあった。なんの苛立ち?と聞かれてもうまく答えられない…そう、説明しがたい苛立ちなのです。
ほんとうは自分がどうしたいのか、どうしなければいけないのかなんて、わかっているんですよね。じゅうぶん頑張っているんですよ。あとはほんの少しのきっかけと、一歩踏み出す勇気さえあれば -
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ネタバレいやー相変わらず面白い。
倒叙ミステリってこのシリーズぐらいしか読んだことないけど独特の緊張感がたまらない。
「生者の言伝」
いやいや倒叙って犯人は決まってるものだと思ってたよ。
まさか真犯人がいるとは驚き桃の木山椒の木。
蒼汰の反応が分かりやすすぎてドギマギしたけど、真相聞いてびっくらぽんでした。
「覗き窓の死角」
今回はちょっと毛色が違って翡翠から事件に飛び込んだわけじゃなく事件に巻き込まれる形になったけどそれがまた良い。
トリックも斜め上で驚かされました。
作中で話題には上がったけど詳細は語られてない事件が複数あると思うからそのあたりの書籍化待ってます! -
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中学校のスクールカーストに焦点を当てた連作短編集。子供の世界は本当に残酷。とくに女児童の場合は顕著である。
幼少期は友達同士でも、容姿が違えば、思春期には疎遠になってしまい、イジメの対象にすらなる。容姿だけで、居心地や青春の全てが決まってしまう。お洒落をすることも、クラスメイトに話しかけることも出来ない。
そして先生も無沈着で、彼女達に残酷な仕打ちをする。特に最終話に登場する男性担任は、無沈着、無神経な最低である。学校行事や毎日の給食、清掃すら、罰ゲームのような時間だ。
教室の隅で、誰とも関わらないことだけを願い、卒業までの日々を平穏に過ごしたくなる気持ちは本当によく分かる。生き地獄である。