相沢沙呼のレビュー一覧
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ネタバレ 購入済み
誰も予想していなかった結末
これを予想出来た人が何人いただろうかと思わせる結末にページをめくる手を止めることが出来ずに読み切りました。推理作家と心優しい純真な霊媒の恋愛を交えたミステリーと思って読んだら大間違いです。
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購入済み
凄かった!
面白かった!
最初はサクサク読み続けてましたが、途中(後半近く)から、あれ?あれ?っと思いだしてまた1ページから読み返したりしてしまいました笑
騙されました笑 -
ネタバレ 購入済み
思わず二度読み。
ミステリーは久々に読みました。にしても女性作家のミステリーにしてはずいぶん一般的なラブコメぽい描写が多いな…と思っていたら、まさかそれが…いや、これ以上は言えません笑
どんでん返しがあるミステリーは多いですが、本書のように二重、三重に罠が貼ってある作品は稀なのではないでしょうか?
謎だけでなく、ただの情景描写から、登場人物の心情まで、無駄なものが何一つない、脅威のミステリーでした。
今2週目ですが、全てを知って読んでもやはり驚かされる… 作者さんこそ本書最大最高の奇術師であり名探偵だと思いました。 -
ネタバレ 購入済み
大満足!
たくさんの賞を取っていたので、ずっと気になっていました。
中盤までは「それほどすごいかな…?」という感じで、ところどころ主人公の心情に「ん??」となるところも。
ですが、それが最後には全部ズバズバと解決していき爽快でした。
さすがです。 -
ネタバレ 購入済み
最高
自分でもこうなるんだろうなーと予想をしながら読み進めていきましたが、あーやっぱりねとなったところで、さらにその上をいくトリックが仕込まれていてジェットコースターに乗っているような気分になれた作品です!
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購入済み
最高でした!
そうくるかー!と思わせられます。
最後の大どんでん返し、本当に最高でした。
次回作も読みたいと思います。
一気読みで、とっても楽しかったです! -
Posted by ブクログ
ネタバレ【感想】
傑作だろう。傑作だと思う。一般的な人気もある。漫画化され,映画化もされている。しかし,そういった一般的な評価とは関係のないレベルで,たまらなく好きな作品である。
そもそも作者の相沢沙呼のファンである。相沢沙呼との出会いは,「午前零時のサンドリヨン」。どうして,そこまで好きになったのかは分からないが,大好きな作品である。とにかく文体が肌に合うのだ。とはいえ,欠点もあった。相沢沙呼が描く作品の,ヒロインはともかく,主人公にさほど感情移入ができない。そういう訳で,物語全体の雰囲気と文体,そして,どの作品にもあるどこか底意地の悪さを感じさせる部分に引かれている。
で,この作品である。この作品の主人公はかっこいい。この点が他の相沢沙呼の作品とは違う。これまで読んだ相沢沙呼作品の主人公は,かっこ悪いのである。この作品の主人公,千谷一也も,かっこ悪い部分があるのだが,中学2年生で,新人賞を取ってデビューしている小説家である。売れない小説家であるが,売れない小説家でも小説家ですらない高校生よりはかっこいい。
そして,ヒロインの小余綾詩凪。相沢沙呼の作品のヒロインはかっこいい。このヒロインもその例にもれずかっこいい。しかし,か弱い。弱さを隠し持ったかっこいいヒロインと,かっこよさを隠し持った主人公。なんかもう,がっちりはまった感じである。
千谷と小余綾が一緒に物語を作っていく姿が,分かりやすい起承転結で描かれる。出版界の,特に小説の厳しさがにじみでている作品でもある。小説内で,千谷が売れる小説を書きたいといっているのは,いやというほど分かる。お金は大切なのである。小説内で,小余綾が語る理想論ははなもちならない。
そういった相沢沙呼らしいひねた目線も持ちながら,まさに王道の起承転結で話は進む。衝突から始まって,意気投合。上手くいきそうに見えたところで,転。千谷のデビュー作の続編が出版されないこととなり,小余綾も物語の最後が思い描けない。しかし,最後はその壁を乗り越えて二人の物語が完成する。チープといえばチープ。どこにでもありそうな,まさに王道の話。しかし,相沢沙呼の文体で,かつ,千谷と小余綾だけでなく,九ノ里,千谷雛子,成瀬秋乃といった,たまらなく魅力的なキャラクターが織りなす物語は至上である。
どんでん返しもなく,分かりやすい起承転結でハッピーエンド。どこにこんなに惹き付けられるのか分からない。しかし,いい。読み終わるのが惜しいと思った小説は久しぶり。ちょうど,少し前に空色メモリという同じように高校の文芸部が舞台の作品を読んでいて,そちらもかなり好きな作品だったけど,こちらはそれ以上。
何がいいのか。やはりキャラクターである。全員たまらないくらい魅力的で,でも,なんとなく仲良くなれそうな人物として描かれている。こういう人たちとはうまくやっていけるのである。
読み終わるのが惜しい作品だったので,続編があるのは嬉しい。同時に,不安でもある。ここで終わってほしかったという気持ちすらある。それくらい至上のデキだった。点数としては当然★5。こういう小説を,ここまで好きになれる小説を,またいつか読みたいものである。
売れない高校生作家,千谷一也は,転校生の人気作家小余綾詩凪とチームを組んで,二人一組で小説を書く。千谷一也の小説は売れない。
〇 メモ
〇 第一話 星一つ
登場人物の紹介的な位置付け。千谷と転校生である小余綾は,教室で千谷から「小説は好きですか」という質問をしたことがある程度の関係だったが,文芸部の部室で,言い合いをする。
その後,編集者の河埜の紹介で,千谷と小余綾は一緒に小説を書かないかと提案される。
〇 第二話 虎は震えている
千谷と小余綾はケーキ屋で小説の打合せをする。小余綾がプロットを考え,千谷が文章にする。小余綾が考えるプロットは全部で5話の構成。推理小説的なテーマを内包しつつ,あえてロジックに着目せずに人間の愛しさ優しさを描くための道具。デキはいいが,千谷はやや違和感を覚える。ここで,ミステリ的な仕掛けが組み込まれる。この伏線が後で生きてくる。
千谷は小余綾のプロットを文章にするが,あえて売れるために自分の文章ではなく簡潔ですっきりした中身のないスカスカの文章で描く。
千谷一也は入院している妹を見舞う。妹のためにケーキを買いに行き,偶然に小余綾に出会い,妹に会ってもらう。小余綾は,雛子と話,雛子から千谷の話を聞き,千谷の偏った考えの理由をしる。そして,自らが読んだ千谷の小説を信じ,雛子のためにも自分の作品を千谷に託してもよいと伝える。
〇 第三話 物語への適正値
千谷は,改めて小余綾のプロットを文章につづり,小余綾にメールを送る。小余綾のメールの返事はそっけない文章でしかない。このメールの文章も伏線となっている。千谷はそのデキに不安を感じる。しかし,この段階では小余綾にその違和感を相談できていない。
小余綾の書くプロットの第三話には女子バトミントン部が出てくるので,千谷の提案で,バトミントン部の取材をする。
その後,千谷が知るワーキングスペースで千谷と小余綾は仕事をする。その中で,千谷は自分の思いを伝える。この主人公のままではダメだ。自分がこの主人公を描くと,読者が望まない人物になってしまう。このプロットは面白い。読んでもらうために,主人公の造形を変えてほしいと。
千谷は,部室で,成瀬への小説の指導をする。千谷は,売れるための小説の書き方を指導する。千谷は,成瀬に自分のような思いをしてほしくないと思って指導するが,成瀬は自分のような人間が物語の主人公になってはいけないのかと涙する。小余綾は,千谷にバドミントンの勝負を挑む。千谷が勝てば共作の主人公の造形を変えるという。
バトミントンの勝負は千谷が勝つ。小余綾は,「わたしは……。こんな大切なものをくれるあなたの中に,物語がないなんて思わない。」,「だから,わたしはあなたの物語を読みたいのー」と,自分の思いを告げる。
千谷は,自分を書き続けなくてはならないということに気付く。主人公の変更はなし。強くなくてもいい。失敗しても,嫌われても,挫折を繰り返してしまっても。
君は,主人公になってもいいのだと,ページを捲る誰かへ,そう伝えるために物語を描く。
〇 第4話 物語の断絶
第3話を書く千谷のところに,第4話のプロットが完成したと小余綾から電話が掛かってくる。今からそっちに行って話したいと。雨の中,夜中に小余綾が千谷の家に来る。夜を明かして二人で小説を描く。物語で言えば起承転結の承。二人の仲がぐっと縮まり,千谷は小説を描く楽しさを思い出す。小余綾は,千谷のデビュー作のファンだという。千谷は,そのデビュー作をシリーズ化させてもよいと思っていた。そのデビュー作の3作目を書きたい。こんど文庫化されるデビュー作に,そのような思いを持つ。
夕食後,サンドボックスというワーキングスペースで,千谷は先輩の小説家である春日井に出会う。春日井は,一般文芸とライトノベルの中間地点の読者層をターゲットとした新レーベルで刊行した「木陰亭奇譚」が売れず,打ち切りが決まったという。
千谷のもとにも連絡がある。千谷がデビューした出版社の二代目の担当者である野中から,千谷のデビュー作の続編は本にできないと告げられる。ここがこの小説の転。千谷のデビュー作の物語は断絶する。
千谷はショックで小余綾との共作もできず,学校にも行かない。九ノ里のおかげでなんとか学校に行き,成瀬に出会う。小余綾との対面。千谷は小余綾に思いをぶつける。結果として,二人は解散。二人の物語も断絶する。
〇 第5話 小説の神様
千谷は雛子を見舞う。小余綾も,千谷との関係が断絶する前に,雛子のことを見舞っていたという。
千谷は,九ノ里から,小余綾について書かれたウェブサイトなどを教えてもらう。千谷は見ないようにしていたから気付いていなかったが,小余綾は「舟城夏子」という作家の作品の盗作騒ぎでかなりのバッシングを受けていた。千谷は,小余綾が国語のテストで,一種のパニック障害になっていることに気付き,保健室に連れていく。小余綾は半年くらい前から,誰かに何かを伝えるために文字を書こうとすると頭が真っ白になる。
九ノ里からデビュー作が大好きだと言われ,成瀬から,先輩は小説を愛していると言われ,千谷は小余綾のために,一緒に物語を考えようという。千谷は,最初から感じていた違和感について伝える。この物語には願いがないのだと。
小余綾は,千谷に,ある小説家のエッセイについての話をする。その小説家は,息子から,「ねぇ,父さん。どうしてみんな,本を読んでまで涙を流したいんだろう」と問われ,「違うんだ。そもそも,小説っていうのは,泣かないために読むんだよ。」。千谷は,小余綾とほとんど同時に同じ言葉を口にしていた。
千谷は小余綾との物語を完成させ,小説の神様を見た。
〇 エピローグ
千谷と小余綾の小説は完成した。小説は二人の手元を離れ,校正の手が入る。夏休み。千谷と小余綾は教室で顔を合わせることもない。成瀬は実家の書店の手伝い。千谷は小余綾と何週間も会っていない。
家族の付き合いで,海外旅行に行っていた小余綾が戻ってくる。小余綾は,千谷の手首を掴み,強引に立ち上がらせる。「決まっているでしょう。」,「わたしたちの,次の物語を作りにいくのよ―」
〇 千谷一也
主人公。千谷一夜という名前で小説を書く。中学2年生のときにそれなりに名のある一般文芸の新人賞でデビューした売れない小説家。父親も作家
〇 小余綾詩凪
主人公,千谷一也が通う高校に転校してきた美少女。不動詩凪という名前で小説を書いている。千谷と同時期にデビューした作家であり,エンターテイメント性を重視した千谷とは別の文学賞の出身。水浦しずという名で文庫本で本を出す。
〇 千谷雛子
主人公である千谷一也の妹。入院中。不動詩凪のファン
〇 九ノ里正樹
文芸部の部長で,千谷一也とは中学校時代からの知り合いで友人
〇 成瀬秋乃
千谷一也が通う高校の1年生。文芸部が作った冊子に載った千谷の作品を読み,小説の指導をしてほしいと考え,文芸部に入部
〇 河埜さん
千谷と小余綾の担当編集者
〇 千谷一也の母親
出版社勤め。
〇 千谷昌也
千谷一也の父親。対して売れない小説を書き続け,家族に借金ばかりを残して死んでしまう。
〇 台詞
〇 もうね,お兄ちゃんを見ているとね,お金を払わずに作品を読むのが心苦しくて……。こんなんじゃファンを名乗れないから,お小遣い全部使ってでも,これからは文庫本をきちんと揃えていくよ!
〇 あえて言うなら,自分が,物語を綴る生き物だということを,どうしようもなく宿命付けられているのだと,そう感じる瞬間のことかしら……。
〇 研ぎ澄まされた日本刀のように,読み手の心へ深く切り刻んでくる。
〇 わたし,小説が好き。大好きよ。 -
Posted by ブクログ
『マツリカ・マジョルカ』『マツリカ・マハリタ』に続く、シリーズ三作目にして初長編の『マツリカ・マトリョシカ』。読み終えた感想としては、「大化けしたなあ」という印象。過去二作品の伏線と、ここに到るまでの柴山君の変化、そして密室の謎が強固に結びつけられ、本格ミステリとしても、青春小説としても、今までにない特異なところにまで、マツリカシリーズは向かっていったように思います。
相も変わらず、マツリカさんの命令で学校の怪談話を調べる柴山は、噂の調査のために深夜に後輩と一緒に校舎に侵入。そのときに見かけたのは、開かずの間と呼ばれる美術室の倉庫で瞬いた光。さらにその開かずの間にも「胡蝶さん」という怪談話があって……
そして翌日、その開かずの間から見つかったのは、「胡蝶さん」に見立て制服を着せられたトルソーとカッターナイフ、そして、ばらまかれた蝶の標本。
さらにその制服は前日に、女子テニス部の更衣室から盗まれたもので、柴山は有力な容疑者の一人になってしまう。そして調べてみると、倉庫は密室状態であったこと。さらに二年前にも同じ場所で、女子高生がカッターナイフで切りつけられた事件が起こっていることが分かり……
柴山君とクラスメート達が挑む密室の謎。糸を使った古典的なトリックから、大がかりな物理トリック。第一発見者犯人説など、様々な推理が乱れ飛びます。そしていずれのトリックも、検討を進めていくと論理的に不可能だと分かる。
推理小説好きの登場人物のメタ的な発言も相まって、並々ならぬ密室へのこだわりと挑戦意識が垣間見える。本格ミステリ、密室好きにはたまらない推理小説です。
そして、青春の喜びと苦みが物語の節々で顔を覗かせる。作中でワイワイとみんなで推理したり、トリックを実際に試したり、試験前の勉強に取り組んだりと、そうした描写は本当に楽しそうで、読んでいる自分もそうした登場人物たちの仲間に、いれてもらったような気持ちになります。
そして推理の過程で明らかになる、登場人物の痛々しい過去。このあたりは前作までの積み重ねがあるからこそより心に迫る。前作『マツリカ・マハリタ』から登場した松本さんは、この『マツリカ・マトリョシカ』で、より身近に感じ、そして魅力的に思うようになりました。
期日までに真犯人を見つけなければ、犯人として学校に告発する。制服を盗まれた女子生徒に告げられ、窮地に追い込まれる柴山君。さらにネットでは、彼の大切な友人に疑いを向ける書き込みも見られ始める。
これ以上みんなに迷惑はかけられない、最悪の場合は自分が罪を被る。そう覚悟を決め柴山君は孤独な推理に臨む決心を固め……
シリーズが始まった当初は、根暗でいわゆるボッチだった柴山君。姉に対するトラウマを引きずり、自分のことを無力だと思っていた彼が、友人達のために覚悟を決める。
その力強さもそうだし、この守りたい大切な人がいる、という思いが柴山君の姉に対する強迫観念に、一つの変化を与えるきっかけにもなって、シリーズを通して本当に繋がった作品だな、と思います。
そして誰かを大切に思う気持ちは、きっと相手にも伝わるはずで。
クライマックスでの柴山君と女子生徒の対決に、柴山君の友人達が駆けつけるシーンなんかは、ベタなのかもしれないけど、本当に良かった。そして、最後に登場するのは……
密室の謎については、最後の推理に到るまで色々な線が作中で考察されてきたけど、ラストの推理は本当に丁寧で読み応えがありました。盗まれた制服に入っていた自転車のカギが、どのポケットに入っていたか?
一見何てことない小さな謎を突破口に、ロジックがつながり、前提としていた条件までもが崩れ、犯人が仕掛けたトリックの全容が明らかになる。そんな本格ミステリの冥利に尽きる見事な推理に加え、明らかになる犯人の思いの切実さも心を打つ。そして犯人の思いと、柴山君の思いも鏡映しのようで、この事件の解明が、柴山君の新たな一歩につながる。
ミステリと青春小説の側面が見事に結び合わされ、シリーズとしても一つの到達点を迎えた、相沢沙呼さんらしい傑作だったと思います。
守りたい人たちと、掬い上げたい言葉。それが臆病だった柴山君を大きく変えていく。彼のネガティブな思考というのは相変わらずなのかもしれないけど、彼を貫く軸は確実に大きく変化していて、シリーズの次回作も本当に楽しみになりました。