あらすじ
高校の写真部に在籍する4人の少女、ミラ、カオリ、秋穂、シズ。それぞれの目線=ファインダーで世界を覗く彼女たちには、心の奥に隠した悩みや葛藤があった。相手のファインダーから自分はどう見えるの? 写真には本当の姿が写るの?――繊細な思いに惑う彼女たちの前に、写真に纏わる4つの謎が現れる。謎を解くことで成長する少女たちの青春を、瑞々しく描く。
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Posted by ブクログ
カメラを軸に据えた短編集、心温まる話が丁寧に描かれている印象。ミステリとして売り出された作品ではないが、物語の流れの中でうまく謎が組み込まれており、十分に楽しめるものになっている。また作者の特徴でもあるが、作品が進むにつれて仕掛けが大きなものとなっていくのがとても面白い。どの短編も涙滲んだが、ラストのペンタプリズム・コントラストでは我慢が出来なかった。p217~p218が堪らない。いくつか気になる部分もあったが、素晴らしい作品である。
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2018年24冊目。等身大の高校生が丁寧に描かれている。それぞれに抱えているものがあって、どうにもならない思いを彼女達はカメラの向こうに求める。カメラの向こうにあるのは、理想の自分だったり、見たくもない現実だったりするけれど、カメラを通して世界を見ることで、それまで見えなかったものが見えることもあるのだと、はっきり思わせてくれる。
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ミラ子、カオル、シズ、秋穂それぞれの話になってて面白かった。読みやすくてあっという間に読み終わった!
みんな他人からは見えない悩みやコンプレックスを抱えていて、でも写真部同士で支え合っている関係がバランス良くていいなぁと思った。
完璧な人はいないんだと思わされた。
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「あなたたちのイメージを、押し付けないで。」っていうのにすごい共感した。結局自分ってなんなんだろうって考えるきっかけになりました。答えは出なかったけれど。
カメラ詳しくないから調べながら読んでたら、フィルムカメラで写真撮ってみたくなった。
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写真部に所属する女子高生たちを描いた物語。
この作品から感じる空気を適切に表す語彙を持たないのだけれど、ありきたりな表現を使うと透明感がとても魅力的でした。よくこんな作品を男性が書けるものだと感心します。
全く話が変わりますが、写真が上手に撮れるっていいなと最近つくづく思います。
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ミラ,カオリ,秋穂及びシズという四人の女子高生が主人公の4つの短編からなる連作短編集。全ての短編をつなぐ驚愕の真相のようなものはない。驚愕のオチも,技巧の限りを尽くした叙述トリックもない。
高校の写真部に属する四人の少女は,それぞれコンプレックスを持っている。しっかりした,学級委員タイプのミラは,女子高生らしい可愛らしさに満ち溢れたカオリにコンプレックスを抱いている。
唯一の後輩である秋穂は,地味でおとなしい性格。カオリだけでなく,しっかりした学級委員タイプのミラにもコンプレックスを抱いている。
女子高生らしい可愛らしさに満ち溢れたカオリは,中学生時代に苛められた過去があり,女子高生らしい可愛らしさを演じているだけであり,自信に満ち溢れたミラにコンプレックスを抱いている。
そして,全員から一目置かれているシズは,普通の女子高生離れした落ち着きと冷静さがあり,成績も優秀。しかし,良家のため,写真を続けることを家族から反対されている。しかし,誰よりも真剣に写真のことを考え,真剣に写真を続けるか,写真をやめるかを悩んでいる。
4つの短編は,ミステリとして読むなら平凡なデキ。しかし,四人の視点から見た青春小説としてみれば秀逸。特に,カオリについての描写は秀逸。「いじめられた経験があり,いじめられないように何かを演じる」という経験がある人物であれば,感情移入をしてしまう。
読んでいて十二分に満足できた。相沢沙呼の作品は,本当に肌に合う。ミステリとしての物足りなさの分だけ減点の★4で。
Posted by ブクログ
写真部に所属する4人の女子高生と彼女たちにまつわる小さな謎を描いた連作短編ミステリ。
作中に登場する女子高生の描き方がとても絶妙だと思います。それぞれが絶対に純粋な少女というわけでもなく、友人の容姿をうらやましく思っていたり、クラスのいじめやそれを止められない自分に悩んだり、友人関係、進学、自分の存在意義…、純粋すぎず、ドロドロすぎず、あくまで等身大の女子高生たちの姿を描こうとしているのが、とてもよかったです。
そして、そうした少女たちの本当の姿を描くために日常のミステリという手段を使っているのも好印象でした。それぞれの謎は、
なぜ突然写真部に友人は来なくなったのか(コンプレックス・フィルタ)、学校の壁ばかり撮られた写真のデータの謎(ピンホール・キャッチ)、告白してきた男子をビンタした女の子、その理由は(ツインレンズ・パララックス)、展示写真をコピー写真とすり替えられた理由(ペンタプリズム・コントラスト)。
こうしたそれぞれの小さな謎が彼女たち自身が見失った等身大の自分を見つけるための謎としてしっかりと話と結びついています。
そしてこの小説を成立させるうえでもう一つ重要な要素となっているのがカメラ。作中の彼女たちはカメラによって救われたり、あるいは傷つけられてしまうこともあります。しかしたとえ傷ついても、そこからの成長をしっかりと描いている、だからこの作品に出てくる少女たちがとても愛おしくも思えました。
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ミラ
野崎鏡子。高校の写真部に在籍。ごわごわの癖毛、ニキビのできやすい肌、一重の瞼。
カオリ
日比野香織。高校の写真部に在籍。
秋穂
高校の写真部に在籍。一年生。
シズ
天野しずく。高校の写真部に在籍。
鳥越
サッカー部。
戸嶋
去年まで写真部を熱心に指導していた先生。
堀沢
写真部部長。
ナオ
ミラ、カオリと同じクラス。文化祭の実行委員。生徒会委員。
宮田
ユキ。
本橋
美術部。
岸田
リサ
志保
岡本
松下
カオリに告白するが振られた。
カエデ
中里
文化祭の準備だどこのグループからも受け入れを拒否される。
三谷
映子
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小さな謎解きが面白くて、さらっと読めた。
高校生の友達関係、親との関係って、真っ只中にいると苦しい。何十年前のことだけど、思い出すとかなり苦しいから。
わたし自身、カオリみたいな時もあったし、シズみたいだった。
ただ、全然乗り越えずに進んでしまったなー。
きっと、それがあっての今なんだけどね。
でも、もう少し、楽しい高校生活、過ごしたかった。
Posted by ブクログ
高校の写真部に所属する4人の女子高生のそれぞれの視点から語られる短編集。
ハタから見るとキラキラして悩みや葛藤も無さそうな少女たちですが、容姿に自信が持てなかったり、学校や家の居心地が悪かったり、自分らしさを見失ったり、人知れず悩みを抱えています。
人は誰もが悩みを抱えて生きていますが、彼女たちはその若さゆえ、悩みに直面した時、立ちすくんでしまうのです。
自分の悩みが他人より深刻に感じてしまったり。
お互いに思いやる気持ちはあるのにうまく届かず、行き違いが生じてしまったり。
幸せになりたいのに、悩みを自分で作り出してしまう自家中毒な面もあったりして。
そんな彼女たちの繊細な心の動きを、カメラの性質や作用を利用した謎解きに沿って、優しく紐解いていきます。
謎としてはそんなに意外性は無いのですが、少女たちの心の機微の変化には感じ入るものがありました。
自分の気持ちに向き合い、それを受け入れることで、同時に他人の感情の蓋をゆるめることができるのかもしれないな、と思いました。
Posted by ブクログ
高校の写真部に在籍する四人の日常の葛藤。可愛い友人と服を選ぶことに複雑なミラ、自分でもわからない似合う服を教えて欲しいような押し付けないで欲しいような面倒さの秋穂、孤高で才能もあるけれど遊びじゃないと認めて欲しくてくずおれそうなシズ。ハブっていた過去が終盤で反転するカオリの話は印象も反転した。
Posted by ブクログ
写真部の女子高生4人がそれぞれ主人公のお話。
4編からなり、それぞれが主人公で密接に関わってきます。
一応、ミステリーということですが、あまりそんな印象はなく、読めます。
写真とカメラのことが少し気になる作品でした。
特に「カオリ」の編がよかった。
Posted by ブクログ
高校の写真部に所属する女子4人の悩みや葛藤を描く青春モノ。
4つの短編から成り、それぞれの視点で描かれている。
こういう形式はいいね。各自の視点になってはじめて分かることが
あるから読むのが楽しいし、考えさせられる。
どんなに仲が良い友達でも、相手が心の奥底で考えていることや
悩んでいること、気にしていることが全部分かるわけじゃない。
全体の構成や情景描写、カメラ(写真部)という題材はとても
良かったんだけど、肝心の人物たちがどうもイマイチに感じた。
なんかうまく感情移入できなかったんだよね。
他の小説では女性視点でも我が事のように感じながら読めるので
自分が男だからというのは理由じゃないと思うんだが。
悩みや葛藤を自分で重くしているような主人公たちと、
それが解消するに至るきっかけ・経過のあっさり具合が
バランスを悪くさせているのかも。