相沢沙呼のレビュー一覧
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久しぶりに読む続編。間が空いてしまったせいで細かいあらずじを忘れてしまっていたが、相変わらずこの作者の小説に対する眼差しというか、姿勢が好きだ。本当に小説が愛おしくて、たくさん悩んだ結果、生まれた小説なんだな、と思わせてくれる。
自分が読んだ小説にどうしようもない感動や興奮を覚えても、いざ他人のレビューを拝見すると自分とは真逆の感想を抱いている人を見て勝手に落ち込む。でも、いざ本屋さんでその作者がピックアップされていると、なぜか自分のことのように誇らしく思える。それはその小説が自分の一部になった、ということなのかな、とこの小説を読んで思った。
読書には読み手の能動的な協力が必要不可欠、という一 -
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ネタバレ完結巻である五巻である。ここでは、これまでの物語の背後に潜んでいた魔女・黒崎夢結子との対決が描かれている。
物語上、最大の障害だったと言っていい弥生との関係が解決された以上は、ここでの完結は納得できる。ただ、対決の物語はやや手狭になってしまった部分もあるだろう。
とはいえ、皆と一緒に学校生活を楽しむという幸せな夢の中に一度は囚われた主人公が「夢を見ることで苦しむのなら、夢など最初から見ない方がいい」と囁く夢結子へと反駁する物語自体は、青春物語のこのシリーズに相応しいエンドだったことだろう。
色々な点も加味しつつ、星四つ半相当と評価している。
完結まで読書を楽しませていただいた点は改 -
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ネタバレ〇 概要
クラスに居場所を見つけられず,冴えない学生生活を送っている高校生,柴山祐希は,学校近くの廃墟ビルに住む女子高生「マツリカ」と出会う。「柴犬」と呼ばれ,いいように扱われるが,学校で起こるさまざまな「謎」を解明するために,他人と関わることになる。柴山の周囲の「何か」が変わり始める…青春ミステリ
〇 総合評価 ★★★★☆
この作品の評価は,主人公の柴山祐希の心理描写を是と見るか,非と見るかで大きく変わりそう。非常にネガティブな思想で,結構露骨にいやらしい描写がされており,嫌悪感を抱く人もいると思う。しかし,個人的には,自分の高校時代と非常にダブってしまい,とても感情移入をしてしまった -
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二巻ではようやく本格的に魔女修行としての人助け(犬を含む)が始まっている。恋にまつわる魔法などは、本当にらしい依頼であるし、手始めに描かれる物語としては望ましいものだろう。
ベリ子の登場といい、物語は少しずつ舞台を整えている印象である。次巻では弥生にスポットが当たる形で物語が展開されそうな締め方がされているし、青春物語として最初の難関が描かれそうな気配である。
体当たりで依頼を解決していく禰子の姿は非常にらしく、物語は本道を進んでいる印象である。
一つ一つのエピソードがまだまだ序盤の感もあって、ここでは星四つ半相当と評価している。より大きな物語に期待している次第だ。 -
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日本で一番有名な、某宅急便魔女さんをオマージュした現代魔女の少女・玉城禰子の物語である。オマージュというか、作中でワンシーンのみだが主人公も彼の映画を観ていた旨が描かれているので、この場合はあれを観て育った世代の魔女の物語というべきか。
世界観的には現代日本が舞台ながら、ここでは魔女が本当に存在し、その一方でその存在は時代遅れのものとされている。魔女は街に一人しか住んではならない、という掟もそれを助長しているのだろう。
そうした世界観の中で、一年間の修行をしに田舎の港町に来た少女は、何もできない現実に打ちのめされながら一歩ずつ前進していく。周囲に迷惑を掛けながらも、良き隣人らによって背中