相沢沙呼のレビュー一覧
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魔術師の学校に通うものの全く芽のでる気配のない少年ジゼル。魔術学校を退学することを決意したジゼルは自身の剣の腕を活かせる冒険者を目指すことに。そして彼は半妖の少女から人探しの依頼を受けることになる。
これぞ王道のファンタジー! あとがきでも書いてありましたが本当に相沢さんの書きたいもの、好きなものが詰まった作品なんだな、と感じました。
ミステリ作家の相沢さんらしく、作中でもミステリ要素も少し入ってますが、戦闘シーンやファンタジーとしての世界観や設定もなかなか作りこまれていて、冒険者や魔術、エルフなど王道もの好きならきっと楽しめる作品のハズです。
作品のメッセージも深いです。この世 -
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ネタバレミラ,カオリ,秋穂及びシズという四人の女子高生が主人公の4つの短編からなる連作短編集。全ての短編をつなぐ驚愕の真相のようなものはない。驚愕のオチも,技巧の限りを尽くした叙述トリックもない。
高校の写真部に属する四人の少女は,それぞれコンプレックスを持っている。しっかりした,学級委員タイプのミラは,女子高生らしい可愛らしさに満ち溢れたカオリにコンプレックスを抱いている。
唯一の後輩である秋穂は,地味でおとなしい性格。カオリだけでなく,しっかりした学級委員タイプのミラにもコンプレックスを抱いている。
女子高生らしい可愛らしさに満ち溢れたカオリは,中学生時代に苛められた過去があり,女子高生らしい可愛 -
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狼に喰い千切られたかのような少女の遺体が連続して見つかる。美しい金髪の少女”此花ねむり”は鈴原楓という少女との出会いをきっかけに事件とそれに関連しているとみられる薬物について調べ始める。
相沢さんの作風は日常の謎と丁寧な少女の描写の印象が強かったですが、今作は耽美で背徳的、そして官能的な面もある伝奇。今までの作風と全く違う作品ながら、
少女たちの恍惚としたシーンの筆力がかなりのもので、相沢さんはこんな作風でも書けるのか、と意外に思ったとともに多才な方なんだな、と思いました。
ミステリとしては展開が急な印象は受けましたが、この作品はミステリというよりも、上にも書いたように耽美で背徳な伝 -
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耽美的、背徳的でちょっと官能的な伝奇ホラーサスペンス。猟奇殺人、都市伝説、少女たちに広まる麻薬など怪しい要素満載。そして美少女も満載。百合百合しさも満載。
怪事件を追いかける物語としては焦点が分散してしまっていて、吸引力は低め。ただ、そもそも怪事件が起こる舞台設定なだけで、怪事件を解き明かす物語ではないのかもしれない。
自分は、非日常的な伝奇もの舞台の中で、それこそ特殊な事情を持つ主人公の少女の苦悩が描き出されていく物語として読みました。少女の友人への想い、死への渇望と葛藤、孤独、不安がぐさぐさと感情を刺激してきて、ほんと痛ましく愛おしいです。
この本は、少女たちへの感情移入ができるかどうかで -
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写真部に所属する4人の女子高生と彼女たちにまつわる小さな謎を描いた連作短編ミステリ。
作中に登場する女子高生の描き方がとても絶妙だと思います。それぞれが絶対に純粋な少女というわけでもなく、友人の容姿をうらやましく思っていたり、クラスのいじめやそれを止められない自分に悩んだり、友人関係、進学、自分の存在意義…、純粋すぎず、ドロドロすぎず、あくまで等身大の女子高生たちの姿を描こうとしているのが、とてもよかったです。
そして、そうした少女たちの本当の姿を描くために日常のミステリという手段を使っているのも好印象でした。それぞれの謎は、
なぜ突然写真部に友人は来なくなったのか(コンプレック -
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ネタバレ香月史郎
城塚翡翠という霊媒の娘と共に、様々な事件を解決。大学時代は写真サークルに入っていた。推理作家。
城塚翡翠
死者の魂を呼び寄せることができるが、殺害や事故などで非業の死を遂げた者の魂は、その人間が死んだ場所が判明しない限りは呼び出すことができない。都心のタワーマンションに自宅兼仕事場をかまえ、無償で死者に関する相談に乗っている。普段はふわふわして、頼りなくて、威厳がない。帰国子女で十五歳のとに「日本に戻ってきた。
倉持結花
香月が通っていた大学の後輩。元写真サークル。「女の人があたしを見て泣いている」と言われて、城塚翡翠を紹介される。デパートの受付嬢。
千和崎真
翡翠のアシスタン -
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オーソドックスなミステリの短編集!
フー、ハウ、ホワイダニットと叙述トリックとは、こんな作品です!っと自己紹介してくるようなそれぞれのお話は、短いのにしっかりと要点が詰められていて、最後まで読むとちゃんとミステリとしての驚きが込められた内容でした!
ミステリ初心者でこれからどんなミステリを読もうかなと悩んでる方にはこの本を読んで、自分の好きな作品を見つける手がかりに出来るのではないか?と思える作品。
勿論、ミステリ好きの方にもココ最近の練りに練られたトリックとは真逆のスタンダードな直球トリックを久々に味わえる良い作品だと思います。
シンプルなのに充分にミステリを堪能出来る作品でした! -
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保健室登校をしているナツとサエ。2人の楽園は、サエが、“自分のクラスに戻る”と言い出したことで終焉を迎える。(「ねぇ、卵の殻が付いている」)
女子中学生の憂鬱と、かすかな希望を描き出す6つの物語。
様々な生きづらさを抱える女子中学生たちを主人公とした連作短編集。
いじめやスクールカースト、承認欲求に保健室登校。中学を卒業してこんなに経っていても、今思い出しても心のどこかがズキズキ痛む。
キラキラした青春を送れなかった人や、そういう人を近くで見てきて後悔してきた人に刺さりそうな小説です。
この作品で苦しんでいる少女たちの状況は、物語が終わりを迎えてもほとんど解決はしません。けれど、それで -
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ネタバレ3.3
城塚翡翠シリーズで知った相沢沙呼先生のデビュー作。先生の過去作品も気になり購入しました。
(作中で、城塚翡翠シリーズを思わせる雰囲気や文章が感じられたことが嬉しかったです。そう、翡翠だってきっとどこか寂しい魔法使いなのだと。)
主人公の内気で思春期男子な須川くんと、クラスでは物静かだが放課後活き活きした顔付きでサンドリオンでマジックを披露している西野初さん。
2人の恋愛と、西野さんのマジックでの知識や経験を活かして進んでいく日常の謎の解決でラノベ調。
ミステリーでよくあるド殺人事件のような大きな謎ではなく、学生生活に潜む謎の中で特に最後の謎はハッと思わされるところも多々あり謎やト -
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ネタバレ千谷一也
高校二年生。売れない高校生作家。文芸部に所属。三年前に千谷一夜の名前で新人賞でデビューした。一切の素性が不明な覆面作家。
小余綾詩凪
高校二年生。人気作家。一也の高校へ編入。不動詩凪という名で小説を書いている。一也と同時期にデビュー。エンターテイメント性を重視した別の文学賞の出身。その容姿から当時は美少女作家として持て囃された。
河埜
一也と詩凪の編集担当。二十代半ばの女性。小説を書くことを諦めている一也に、二人で小説を書くことを勧める。
千谷昌也
一也の父。売れない作家。専業作家であることにこだわり続けて、あるとき、ぼっくり逝ってしまった。
九ノ里正樹
高校二年生。文芸部部