【感想・ネタバレ】午前零時のサンドリヨンのレビュー

あらすじ

ポチこと須川くんが、高校入学後に一目惚れしたクラスメイトの女の子。他人を寄せ付けない雰囲気を纏っている酉乃初は、実は凄腕のマジシャンだった。放課後にレストラン・バー『サンドリヨン』でマジックの腕を磨く彼女は、学校で起こった不思議な事件を、抜群のマジックテクニックを駆使して鮮やかに解決してみせる。それなのに、なぜか人間関係には臆病で、心を閉ざしがちな酉乃。はたして、須川くんは酉乃との距離を縮めることができるのか――。学園生活をセンシティブな筆致で活き活きと描いた、“ボーイ・ミーツ・ガール”ミステリ!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ミステリが好きな人間は,多かれ少なかれ手品・マジックが好きだろう。伏線,ミスディレクション,驚き,ミステリの面白さと手品の面白さには多くの共通点がある。泡坂妻夫の「11枚のトランプ」など,手品をテーマとしたミステリは,手品に関するうんちくを楽しみつつ,ミステリも楽しめる。「午前零時のサンドリヨン」は,主人公が不思議な雰囲気をまとう凄腕のマジシャンであるという設定であり,手品をテーマとした作品という意味で,期待して読み始めた。期待どおり,主人公が披露する手品の描写だけでも十分楽しめたが,それ以外の理由から期待していた以上に心に残る作品になった。その理由は,この作品のテーマが「いじめ」であったからである。この作品には,ヒロインも含め,いじめられた人,つらい思いをしている人が出てくる。学生時代にいじめられたことがあるので,こういった描写にはそういった体験がない人以上に共感してしまう。「まやかしで,偽物の,嘘っぱちでしかないの。私と同じよ!」,「ずっとずっと,嘘をついて生きてきて,だから,なにが本当で,なにが嘘なのか,わからなくって…」と悩むヒロインの姿にも共感できる部分があった。米澤帆信の「ボトルネック」なんかを読んだときも思ったことだが,「午前零時のサンドリヨン」を,実際にいじめられ辛い思いをしていた学生時代に読んでしまっていたら,目を背けたくなってしまい,とても心に残る作品にはならなかっただろう。社会人になって,自分の学生時代を第三者的な目線で,客観的に振り返れるようになっているからこそ,登場人物に共感しつつ読むことができた。あんなに辛かったはずなのに,過ぎ去ってしまうと妙に懐かしく感じてしまう学生時代。今だからこそ,こういう作品を共感して読むことができ,心に残る作品になっている。ミステリとしても上質な短編揃いであり,ヒロインの酉野初のキャラクターの魅力も抜群。正直,主人公にはほとんど共感できないのだが,それを割り引いても,好みの作風であった。心に残る作品でもあり,総合的に見て,十二分に楽しむことができた。久しぶりに文句なしの★5つを付けたい。

1
2015年08月25日

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本格ミステリにマジックの要素を合わせた日常の謎。マジックは人を驚かせるエンタメであり、同じく驚かされるミステリととても面白くなる。一話ごとに提示される謎が面白い、そしてリアルな高校生の青春。最後に連作短編の、物語が一つに収斂する伏線回収も鮮やかだった。

0
2023年04月30日

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ミステリー/日常の謎/青春/連作短編集
"日常の謎"のような軽めのミステリーは、それほど好きではないのですが、この作品は大ヒット!!
小さな謎を解く過程で、学生たちの悩みをリアルに描いた"青春小説"でした。
「胸中カード・スタッブ」が、ベタなテーマながら心に響く。大好き。

0
2015年06月29日

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途中までは面白かった。
最後の事件解決がちょっと、どうなんでしょ、と残念。
ラストは微笑ましい感じで好ましい。
小学校高学年から高校生までも楽しめると思う。

0
2025年12月15日

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女子高生マジシャンが学校で起こる事件を解決する4つの短編集で構成されています。
3つまで読んで、どれも1話完結型だったので、油断して4つ目を読んでいたら、最後の数十ページで、それまでの短編の伏線を回収し始めたので驚きながら読むことになりました。油断していた分、読後の満足感は高かったです。


テレビでマジックを観ると、直ぐにタネを知りたくなる部類の人なのですが、そんなことは考えずに唯々その魔法に感動することが大切だなと思いました。
確かにミステリーもトリックがわかった途端、チープな物に変わってしまうことがあります。純粋に楽しむ、幼心もたまには持たなければいけないと思いました。

0
2024年08月21日

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そう来たかーーー!っていうクライマックスはさすが!!どうしても翡翠ちゃんのイメージが強い作者さんだけれども、そのいしずえは既に固められていた。

舞台は埼玉県の私立共学。

はっきり言おう。

埼玉県の公立女子高出身の私からすると母校の女子生徒をすべて敵に回すかのような甘酸っぱい青春ストーリーである。こんな感じでデートしたいなー(埼玉の高校生ver)を見事に演出してくれてるくっっっっっそ!!!

というのは置いといて、やはりマジックを取り込んだミステリーというのは面白い。私はどう足掻いても見破れない。悪意を全面にぶつけられて胸がはりさけるシーンもあるが、それも乗り越えないといけないのだと思い知らされた。

所詮、他人。でも、手を差し伸べる行動は嘘偽りなんてないと思うんだ。表面のウソばかり見るのは、やっぱり浅ましい。

0
2023年07月04日

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短編四篇からなる物語。マジック×謎。
個人的に主人公が途中まで苦手だった。好みが別れそう?

でも、やっぱり山場の文章力と勢いが凄くて惹き込まれました!

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2023年06月22日

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ネタバレ

思ってたより、人間関係にスポットのあたった
生臭いお話が多かった気がする。

トリッキーな女子に振り回される男子、という構図は、
あまり得意ではないけれど、
続編や他の作品も読んでみようかな、と思う。

0
2023年04月23日

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デビュー作から、最後の畳み方の巧みさにうっとりさせられる。ただし「城塚翡翠」のシリーズよりはそういう伏線の存在が隠れきれておらず、「ここ、気になるな」となっていた描写が最後にちゃんと集合するイメージ。読み口はだいぶライトだが、そういえば当時こういう傾向の、流行っていたなと。

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2022年11月03日

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甘酸っぱくて背中がムズムズした。
高校生とかのときに読みたかった。アラサーには刺激が強すぎる。
続きも読みます。

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2022年10月31日

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Mediumを読んで面白かったので、マツリカシリーズを読み、さらに遡って、デビュー作へ。
著者の特徴である日常の謎を軸にストーリーが展開していく。
気になる点もチョコチョコあるが、全般的には面白かった。

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2022年09月08日

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胸きゅんストーリーだなって思いながら読み進めていたけど、最後はミステリ小説らしく種明かしには感動しました。主人公の男の子が鈍感なのがもどかしい笑

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2021年08月23日

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ミステリー&高校生日常&マジック
デビュー作なのでとっちらかっている印象もあったけど、初が魅力的でマジックは文章なのに目の前で起こっているような驚きがあって面白かった。二人の関係がまどろっこしくて、というか主人公に花がなくてもっと頑張れ男子!!って思ったけどラストはよかった。

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2021年08月21日

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mediumからたどり着き読んでみました。
学園ミステリーかと思ったら最後は胸キュン小説になっていました。笑
とは言いつつミステリーとしても、各章に散りばめられた伏線を最後に綺麗に回収していったのは爽快でした。
あとは須川くんの心の声の描写が良いリズムで読みやすかったです。

偽善かもしれないし、自分が他者との関係を維持する為かもしれないけど、初が他の人の心を揺さぶって救ってきたのは事実なのだから、最後に報われて良かったなあと。

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2020年07月27日

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ネタバレ

3.3

城塚翡翠シリーズで知った相沢沙呼先生のデビュー作。先生の過去作品も気になり購入しました。
(作中で、城塚翡翠シリーズを思わせる雰囲気や文章が感じられたことが嬉しかったです。そう、翡翠だってきっとどこか寂しい魔法使いなのだと。)

主人公の内気で思春期男子な須川くんと、クラスでは物静かだが放課後活き活きした顔付きでサンドリオンでマジックを披露している西野初さん。
2人の恋愛と、西野さんのマジックでの知識や経験を活かして進んでいく日常の謎の解決でラノベ調。

ミステリーでよくあるド殺人事件のような大きな謎ではなく、学生生活に潜む謎の中で特に最後の謎はハッと思わされるところも多々あり謎やトリックも魅力的でした。経験や関わりを経て成長をしていく物語ですが、読んでいる読者にも刺さるものがある物語だと思います。

皆様の感想を拝見すると須川くんの性格や喋り方に違和感を感じる人もいたようで、気持ちは少し分かります。
ですがこれは、冴えない内気な高校生男子という須川くんの性格を的確に表現されているものだと感じました。
実際、西野初と過ごす時間や経験に比例して後半での須川くんのなよなよ感は減っていて、終盤では自身も殻を破り素直な気持ちを伝え成長を感じさせてくれる表現でした。
須川くんが本心を真っ直ぐ伝えたことで西野さんの成長や本心を知ることが出来たのではないかと思います。
「本当の相手」を見たいなら 知りたいなら
まずは「本当の自分」が寄う大切さ、相手を思いやり気持ちが大切だと、そして、良く見せようとしたり気を引かせようとしたり 本当の自分が分からなくなったとしても、全部まるっとその人なんだと受け入れることが「本当の好き」なのかもしれません。

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2025年11月13日

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mediumで知った相沢沙呼氏の処女作である、氏の経歴を知りさらに興味を抱き、
midiumシリーズの次はデビュー作を選んだ。高校生をメインキャラに据えた学園青春要素、メイン探偵役としてマジシャンを目指す少女、ワトソン約にはミステリ好きの少年、ボーイミーツガールの雰囲気を醸し出しつつ、連作短編の構成ながらも、最終的にそれらが重なりあって終幕となる演出、なるほど!傑作mediumシリーズが生み出される要素はデビュー作から醸成されていたようである。


シリーズは次作もあるようで、その先も不明である。気になった点を留めておこうと思う。主人公須川くんは高校1年生らしく、異性との関わりや、それらの精神性など納得できる筆致であり共感もできる。それに対して酉野初はどうにもわかりずらい、マジックの技術は相当なものであり、観察、推理に優れているが、自己肯定感が低すぎる。彼女の中学時代にも関係者(美少女の八反丸さん)を含めてちょっとのページが割かれているが、どうにもそのあたりがキャラ造形に物足りなさを感じる。これはシリーズとしての謎なのか?この後読み進めればハッキリするのか?現時点で判別不能であるものの、後半に進むにつれその思いは大きくなっていくばかりであった。


高校で過去に自殺者が発生した、という事象が後半のメインテーマになってくるのだが、ここにも登場人物の自己肯定感の低さが見てとられ、なんでそんなに死にたいの?と、おそらくジェネレーションギャプなのだろうが、正直な感想である。そしてやや重すぎる題材と思った。


とはいうものの、連作短編の事象、登場人物が次々と絡まっていって終幕を迎える構成はミステリ的には見事であったと思う。これをスタート地点として、キャラ造形含めて、完成されていったのがmidiumシリーズと思えば納得なのである。今作の次作にも挑戦してみようと思った。

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2025年04月01日

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マジックとミステリーとニヤニヤ恋愛小説。
マジックは、小説で書くのは難しいよね。驚きとかがわかり辛いから。
でも、上手くミステリーとマジックが絡み合ってて、それを使う事で、人の心も解きほぐす。
そして、そう簡単じゃない部分にも入り込んでて良かった。

ポチくんの甘ーい気持ちが見ていてニヤニヤしつつ、もう一生こんな青春っぽい甘い恋愛は僕の人生に無いんだろうなぁと絶望も覚える。
マジックでどうにかしてくれないかなぁ。

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2024年06月20日

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酉野初シリーズ二作品の一作目。

ライトな日常ミステリー×学園恋愛モノという建付けで、まさにボーイミーツガールであった。探偵役のマジックを得意と女子高生の酉野初と、彼女を好きな主人公の須川くんの物語。
ミステリーとしての歯応えはそこまでではないものの男子高生の恋を描くという点では面白かった。酉野さんが好きという気持ちが精妙に書かれている。

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2024年02月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

学園ミステリーが好きで読んでみた。淡々と読める感じはいいが、キャラにあまり魅力を感じなかった。主人公もヒロインも嫌いではないが、好きでもない。
謎自体もそこまで驚く謎があるわけでもないが、最後の事件?は少しだけ犯人?驚いた。

難しく考えずに読みたい人にはおすすめですが、がっつりミステリーを読みたい人にはおすすめしないです。

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2024年01月15日

Posted by ブクログ

主人公がキモい(笑)

幽霊なんて怖くないんだから。ホントだよ。

みたいな行でオエッとなった(笑)

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2023年11月27日

Posted by ブクログ

ライトな小説のフリをして謎の立て方・解き方が
計算されたコージーミステリで、探偵役の女子高
生が不安定・不完全な精神なのに、マジシャンを
身にまとった途端、ロジカルに謎を紐解く(´・ω・`)

サンドリヨンがシンデレラだと知ったのは今です

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2023年06月05日

Posted by ブクログ

鮎川哲也賞を受賞した、相沢沙呼さんのデビュー作。

マジシャンである女子高生を探偵役に、彼女に恋する同級生の男の子を語り手に据えた、日曜の謎系ミステリの連作短編集です。

ミステリにマジックの要素を加える、そのアイデアが面白いですね。

前半に張り巡らせた伏線を、終盤で一気に回収するのは連作短編集の王道ですが、その手腕がとても鮮やかで、細かいところにも配慮されていると思います。

ただ、語り手である主人公の恋する気持ちは理解出来るのですが、何かにつけてヒロインに強要するような言動にはイライラすることが多々ありました。

語り口の軽さとは対照的に、謎の背後にあるものは重く、学校という狭い世界で生き抜くことの大変さをつい思い出してしまう、そんな一冊です。

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2023年04月07日

Posted by ブクログ

デビュー作を読んだ事がなかったため早速読んでみました。
ミステリーより学園青春(恋愛)の方が高く感じましたがテンポ良く読み進める事が出来ました。
マジックを絡めながら伏線を上手く回収していく物語に続編も楽しみな一冊。

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2022年11月20日

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ネタバレ

鮎川哲也賞の作品を読み漁っていて出会った作品。相沢先生の作品は、城塚翡翠シリーズで度肝を抜かれましたが、それ以外の作品は何気に初めて。
短編の積み重ねが最後の章で繋がるという作風は、mediumを連想させられました。ただ、午前零時のサンドリヨンの方が先に刊行された作品なので、本当は逆の流れですね。この頃から、この流れを使われていたのかと改めて発見させられた作品でした。

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2022年09月05日

Posted by ブクログ

最終話での緻密さにさすが!と思っただけに、そこに至るまでの話がとても残念で。

まずは一人称がラノベより読みにくい。これが読み易い人も居るのかな。時間軸がブレる時もあった。
あとは本当にちょっと許せないのが、主人公。人としてどうなの?と思う台詞をよりによって好きな女の子に言ったのに、当人がまったく気が付かない。ちょっとひどすぎて引いてしまう。全然心惹かれない。
シリーズだからかな?本心がまだ明かされていないのかと思う部分も、もやもやが少し。
酉乃さんの謎は、不思議な時計と併せて、もう少し奥深いと思っていただけに、ちょっと残念。でもそれこそ「本当の私を見ていない」ことになるのかも。ボーイミーツガールらしいかもしれない。

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2022年08月27日

Posted by ブクログ

コージーミステリー。主人公が魅力なさすぎ( 一一)酉乃さんもなんかつかみどころなくて、、、それが魅力になる場合もあるけど、これはいまいちでした。説明的すぎてマジックにも興味が持てなかった。

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2022年04月14日

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ネタバレ

とりあえず手品をかじってみたくなった。
酉乃さんがずっと言ってる駄洒落に気付いたときは思わずグッと拳を握りしめたね。ふふん。

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2022年01月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ライトでオシャレでカワイイ、女子向けミステリー。青春感じる甘酸っぱい恋愛混じりで、気楽に読める。あと、マジック描写にワクワク感募る。
…が、がっつりミステリー楽しみたいので、本作は思ってたんと違う。
キャラクターは素敵だけど、連作短編としての謎のつながりも悪くないけど、物足りない。自殺した女の子の謎を縦軸に置くなら、もっと悲劇的というか薄ら寒さというか、割と好みな展開設定なので、生かしてガツンと読みたいな。

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2021年11月09日

Posted by ブクログ

魔法使いになりたい手品師の少女が校内の不思議を解き明かす!
登場人物はほとんど高校生で、思春期の鬱々とした悩みや短絡さに聡明さや狡猾さが入り混じり、読んでいてかなり面倒くさい(笑
作者さんの2019年の作品"medium"と比べると全然物足りない読後感になるけれど、似た雰囲気があって「あれ?これって…」となる辺り面白い。
佳作。

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2021年11月05日

Posted by ブクログ

マジックが上手いが自分に自信がない酉乃。そんな彼女に近づきたい須川。その二人が日常の謎を解いていく。
悩んでる人の悩みに気づく。助けてあげたいけど、距離の取り方を悩む。その気持ちがすごく伝わってくる話だった。

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2020年09月20日

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