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保健室登校をしているナツとサエ。二人の平和な楽園は、サエが“自分のクラスに戻る”と言い出したことで、不意に終焉を迎える――(「ねぇ、卵の殻が付いている」)。学校生活に息苦しさを感じている女子中学生の憂鬱と、かすかな希望を描き出す6つの物語。現役の中高生たちへ、必ずしも輝かしい青春を送って来なかった大人たちへ。あなたは一人きりじゃない、そう心に寄り添う連作短編集。
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Posted by ブクログ
小説の神様シリーズのキャラクターの心象がとても精緻で繊細で、素敵だなぁと思ったので、こちらを手に取ってみたんですが。一話目を読んでみて、先行きが見えず、どんな物語なんだろう、と思っていたら短編集だったんですね。正直、中学二年生の女の子たちの、生々しい心情と重苦しいエピソード、きらきらと煌めく鮮やかな...続きを読む描写が、ものすっごく素敵な作品でした! びっくりしました。こんなに、かつての自分に懐かしさを感じられる物語があるなんて。行きたくない、学校に行けない、なんて考えながらも一所懸命に学校に通っていた日々。学級カースト。周りからの視線。早熟な女の子の手元に煌めくコスメと飾り。どれも、本当に、愛おしかった。 表通りの日向を闊歩できるほどには、自信もなくて、なにも、もっていなくて。気だるく鬱屈した思春期だったとしても、そこに希望もあまり見えなくても、必ず生き過ぎてくるこの時代を。こんなにも細やかな筆致で描き出せた作品だなんて、感動しました。 きっと、中学生、というひとつの段階を、成長や将来への希望、夢、といったもので彩り生きてきた人や、思い描いてきた人にとっては、なんて暗い、重苦しい物語なのだろうと思えてしまうかもしれないのですが。人生はいろいろで、恵まれた光のはしっこを掴んで生きている人ばかりではないので、こうした学生時代の苦労が見える小説はなんとも新鮮で、逆に学校に行けない子供達の増えた今の時代性にぴたりとハマるような気がしました。 そのなかでも、わたしは「放課後のピント合わせ」が好きです。わたし自身が、趣味の多い人なので、趣味を薦めてくれる存在と、それをきっかけに広がっていく生活、というテーマが本当に面白かった。教師の姿もみずみずしく、読者をソワソワさせて引っ掛けるような文章の運びのギミックにもカタルシスを感じます。 キュン、とした「好きな人のいない教室」は、物語の展開の仕方が秀逸で。解決や明るい光より、主人公の意志と気持ちの動きの表現でしめくくる、結論にとても心が揺り動かされました。シンプルな少女展開とは違う。でも、確かに見えるその形が、とても素敵でした。
2025/04/17 学校に足が向かない人たちの物語。 足が向かなくなる、行きたくなくなるのにもそれなりに理由があって、それは周りの人から見たら大したことじゃなかったり、些細なことなのかもしれないけど当人は一生懸命全力で考えて頑張っているんだなというその葛藤や奮闘をとても現代風に小説化していて読みや...続きを読むすい物語だなって思いました。 しかし、途中の短編で出てくる先生は、さすがにこんなやつ最低すぎるだろ…と思いました。後書きに小説の中に入ってこの先生をぶっ飛ばしてやりたいという表現があったのですが、まさにその通りだなと同じことを感じました。 自分の生きてきた生き方や考え方はごくごく一般的で、結構普通なんじゃない?と思う人こそこの本は読んだ方が良いのではないかと思います。 学校という集団に対してどのような思考過程で足が遠のいていくのかがとてもわかりやすい描写として描かれているからです。 また読み返してみたいと思います。
『ねぇ、卵の殻がついている』 保健室登校のナツとサエ。ずっと隣に居てほしかった存在だった。サエが数学の問題集を解いている。来週から教室に戻るというサエ。そんな彼女に対して、わけのわからない苛立ちが募るナツ。 そんなナツの思春期独特のモヤモヤとした苛立ちが、文章を通してひしひしと伝わってくる。この『...続きを読むわけのわからない苛立ち』は私にもあった。なんの苛立ち?と聞かれてもうまく答えられない…そう、説明しがたい苛立ちなのです。 ほんとうは自分がどうしたいのか、どうしなければいけないのかなんて、わかっているんですよね。じゅうぶん頑張っているんですよ。あとはほんの少しのきっかけと、一歩踏み出す勇気さえあれば……と。 『好きな人のいない教室』 あの子が持っているから私も…皆がそう言うからそうだとか…右に倣えのような空間は正直しんどい。 香水の香りが好きな子がいてもいいと思うし、香り付きのペンの匂いが好きな子がいてもいいと思う。 自分の好きなものは好きだと胸を張り、ひたむきに向き合う姿は本当に輝いてみえます。 好きなことがあって、大切な人がいたらもう幸せなのです。肩の力を抜いて自然体でいられたら、皆、きっともっと自由に羽ばたけると思うのに…と考えさせられました。 『死にたいノート』 雨の降る日が好きだという主人公の気持ちが冒頭の情景でとても伝わってきた。また、雨の冷たさの文章が、物語そのものの空気感を漂わせています。 どうしようもなく苦しい衝動に駆られるとき、自分の死というものを具体的に、安直に考えてみたりした経験は、ある。そんなときは生きている意味を、死にたい理由を探していたように思う。 死にたい、死にたいと書き綴っていた意味を知ったとき、あぁそうだったのかと腑に落ちた。読み終わると、胸がじんわり暖かくなったお話でした。 『プリーツ·カースト』 カーストとは。ヒンドゥー教における身分制度のことでランク付けによる格差を表す言葉だ。学校でも職場でも日々暮らしているありとあらゆる中で、なんらかの形でランク付けされていたりする。世の中、窮屈で生きづらいものだなと感じる。 主人公の女の子の心の葛藤を読んでいると胸がつかえた。 たとえスカートの長さが違ってもいいじゃない。あなたはわたしにはなれないし、わたしもあなたにはなれない。比べたり羨んだり、意志にそぐわないことに同調しなくてもいいのと言いたい。……とは言っても世の中そうさせてくれないものだから、生きづらさが生じてしまう。 上だとか下だとかいうランク付けも時に必要ではある。でも秩序のない、ただ笑いものにするだけの無意味なカーストは必要ない。誰も幸せになれないと思うから。耳を傾けて、寄り添える心を持ちたい。 『放課後のピント合わせ』 光と影。写真を撮るとき、撮りたいものにピントを合わせる。撮りたい被写体によって、どちらも自然と主役になる。フォーカスの中心にいる眩しいあの子達と、ピントがうまく合わない自分。光と影。比べてしまう主人公の女の子の心情に、またも胸がざわついた。 生きているうちに一度くらいは考えたことがあるのではないでしょうか。自分という生き物は何者なのか。自分の価値を数字や評価で決めなくてはならないときが。 うまくピントが合わないのは日常よくあること。感情を持つ生き物だもの、劣等感や喪失感は生まれてしまう。だけど、一瞬でもいい。自分と世界とのピントが合わさったとき、ほんの少しの勇気を持てる気がしてくる。そんなお話でした。 『雨の降る日は学校に行かない』 生きている世界に絶望して、今すぐに消えてしまいたいと思う日が、人生に一度はあるのではないか、と思う。そう思わないで人生を歩む人も、もちろん居るだろう。 わたしは、前者だった。他人からすればそんなことくらいで?ということでも、理不尽に受けた傷は大なり小なり痛みを負う。その痛みごと背負って生きていかなきゃならないんだから。 読み進めていくうち、主人公の女の子の心の中の叫びに共鳴して、涙が流れた。苦しかった。それでも作者は、わたしたちにとても大切なことを訴えかけているのだと思った。 思春期真っ只中の学生さんにぜひ読んでもらいたい。勿論、大人の方にも。(私もいい大人)
中学校のスクールカーストに焦点を当てた連作短編集。子供の世界は本当に残酷。とくに女児童の場合は顕著である。 幼少期は友達同士でも、容姿が違えば、思春期には疎遠になってしまい、イジメの対象にすらなる。容姿だけで、居心地や青春の全てが決まってしまう。お洒落をすることも、クラスメイトに話しかけることも出来...続きを読むない。 そして先生も無沈着で、彼女達に残酷な仕打ちをする。特に最終話に登場する男性担任は、無沈着、無神経な最低である。学校行事や毎日の給食、清掃すら、罰ゲームのような時間だ。 教室の隅で、誰とも関わらないことだけを願い、卒業までの日々を平穏に過ごしたくなる気持ちは本当によく分かる。生き地獄である。 中盤で、救いの手をさしのべる陽キャラ女子と、自らの過ちに気づいて心を入れ替える女子が登場し、一見ホッとさせられる。ただし、虐げられている側にすれば、不気味で信用出来ないのかも知れない。「裏切られるかも知れないと分かっていつつも、誰でも良いから繋がっていたい」という切実な心情も描かれており、涙を誘う。 私が中学生の時、校区の住民から「女子生徒がプリクラを撮っている」とのクレームがあり、「心当たりある女子は全員講堂へ来なさい!」との招集がかかった。8割くらいの女子が向かったのだが、教室に取り残された生徒が、顔を真っ赤にして居心地辛そうにしていた。それを見てヘラヘラ笑う男子達。当時の教師達は、怒りに任せて注意指導することに精一杯で、自分が無沈着でどれだけ酷い判断をしているのか、分からないのだろう。 あの時、顔を真っ赤にしてした子たちはどうしているのだろう?一生懸命勉強して、あのような狭い監獄から解放され、違う世界で活躍し、自信を取り戻しているだろうか?かつてのクラスメイトを赦すというより、もはや眼中に無いくらい、生まれ変わっていて欲しい。既に周りの誰よりも、美しさは備わっているのだから。
つらい経験をいっぱい思い出して、苦しくなりながら読みました。でも一歩踏み出そうとする登場人物たちに励まされた。また時間を空けて読んでみよ。
スクールカーストをテーマとした短編集。「辛かったら学校に来なくてもいい」は、その子にとって救いのようで救いにならない気がする。 いじめっ子は自分の過ちに気づくことなく学校に行けて、いじめられた子は学校に行く当たり前の生活が奪われてる……。
女子中学生の校内カーストで下位に位置付けられてしまう生徒の胸の内が語られていて辛い。 もし自分がその立場であったらどう打開していくのだろう。 作品の中それぞれのエピソードの結末はあるのだがハッピーエンドではない。 その結末の後も彼女らの苦しみと戦いは続いていくはず。 この作品を読み終えてもそれだけで...続きを読むは現実問題に解決の道があるという光明はない。 何故ならカースト上位の彼女達が作り出す陰湿な現実を誤魔化しなく描いているだけで救いの手をのべてはいないから。 ただひとつ、苦しんでいるカースト下位の彼女達がこの作品を読めば自分だけが辛いのではないと思い至るきっかけにはなる。 それは解決にはならないが彼女達のひとつの心の拠り所になるかもしれない。
中学校生活に上手く馴染めない生徒たちの話。 いじめ、疎外感、ノリの合わなさ等各々悩みの大小はあれど、決して良い人生を歩んでいない。 普通でないことの怖さと自由さを同時に運んでくる。ただ一つ言えるのは学校という檻に閉じ込められる期間は有限で、未来は分からないということだ。 「耐えることだけが美徳じゃな...続きを読むいこと」「他人の価値観が絶対じゃないこと」 学校だけじゃなく、社会を生きる我々にも大事な要素だと思う。
学校生活でこういうことあるあるだったなあと感じながらサクッと読める。最初はモヤっとするものの、最後希望が見えそうな終わり方、しかし全ては書かないのがすてき。
はじめて読んだのは中学生のころでした。「虹の匂いに鼻をくすぐられた」という文章がとてもよい、と思ってそこがいちばん印象深いです。なんとなく手元に欲しくて、書店で文庫本を見つけて購入しました。自分の学生時代を思い出して胸が痛くなるような、でもどこか透明感があって嫌いになりきれないようなお話でした。これ...続きを読むを読んで救われた私が確かにいたこと、忘れないでいたい。
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