相沢沙呼のレビュー一覧
-
ネタバレ 購入済み
九ノ里部長万歳
ドキドキソワソワしたシーンからすごくたくさん考えるシーンまで色々な感情になりました。安定に部長さんがかっこよすぎて頰が緩みました💦
-
Posted by ブクログ
ネタバレ上巻では千谷一也と小余綾詩凪の関係、小説に対する姿勢、そして海賊版サイト問題が3大気になるポイントでした。
まずは2人の関係。前作、こんなにベタベタなラブコメでしたっけ? 読んでて恥ずかしくてもどかしくて、ずっと「お前ら、いい加減付き合えよ」とツッコミながら読んでました。仕事仲間として強い絆で結ばれたような結末にはある程度満足しましたが、男女の関係としては進展がないようにも感じられ……これは続きを期待しても良いフラグってことでしょうか?
二つ目、小説に対する姿勢。千谷と小余綾とは考え方が真逆な売れっ子作家、天月彼方。本作では悪役っぽく描かれていますが、個人的に彼の考え方はものづくりのアプローチとして一つの正解じゃないかと思います。上巻に「手を抜く~」という表現もありましたが、これは気合が入りすぎて濃密になっていた文章が、良い意味でライトになって読みやすくなったのではと推察(ポジティブ解釈すぎ?)。
物語の読み手としては千谷と小余綾派なのですが、昨今の読者層のことを考えると商業作家としては天月彼方のやり方を取らざるを得ないのかな、とも思います。むしろ、プロの作り手としてのスタンスは、マーケティングのことも考えてモノづくりに臨む天月の方に共感しました。
この点は賛否分かれるところかも(やっぱり主人公派の人が多いでしょうか……?)ですが、千谷や小余綾の方法で成功するには、作家性において天賦の才やカリスマ性がないと難しいと思うのです。
そして海賊版サイト問題。私見ですが、YouTubeなどの動画サイトの登場や、基本無料のアプリが当たり前になってしまったことで、「情報はタダで手に入るもの」とユーザーが勘違いするようになったことが根本の原因じゃないかな、と思います。
その意識を変えるか、法的に未整備だろうがサイトブロックとかしてほしいものですが……
下巻では海賊版サイト問題からの流れで、秋乃の友達関係に変化が生じていきました。極度に内向的だった秋乃が、自分のことを話し、相手のことを聞き、友達と理解しあっていく姿はザ・青春。であると同時に、思いを話し合う行為が物語を綴ることの暗喩のように思われ、何か本作のテーマに通づるエピソードのように感じました。
読み終えたあと、千谷&小余綾の今後も気になりましたが、秋乃とその友人たち――とりわけ真中さん――との関係がどうなるかも読んでみたい気分になりました。その続きを読みたい気もしますが、物語に影響を受けて小説にハマる新しいキャラのエピソードも読んでみたいところ。スピンオフでも良いので。 -
Posted by ブクログ
物語に真摯に向き合っている姿。もっと若いころだったら、こちらももっと純粋な気持ちで読めたのかもしれない。登場人物たちのことをちょっとめんどくさいと思ってしまった自分がちょっと残念でした(^^;。ラノベが「ちゃんとした本」だと思われていないと思って、ラノベ好きなのに他の人に言いづらいという気持ちはよく分かる。『BISビブリオバトル部』シリーズにも同じような主題があったような。「何のために本を読むのか、本を読む意義はあるのか?」という話題は昔、知人と話したことがあったけれど、いくつか解答を得たような気がする。その人にピッタリの本をおすすめするというのは、『出会い系サイトで~』や『青少年のための小説入門』と偶然にもかぶる。その人のことを考えて本を選ぶという行為は、心と心でつながるみたいなイメージ。本屋の棚のスペースの関係で置ける本は限られてしまい、それによって、売れる本と売れない本の差がどんどん開くというのは、電子書籍になったら少しは解決するのだろうか。小余綾のツンとデレのキャラが違いすぎて若干の違和感あり。ツンのときもう少し優しくても...。でも現実にもそういう人っているかも。特に若い人に。成瀬の女友達が急にいい人な感じになってきたけれど、どうにも女性の裏の気持ちを深読みしてしまって、なかなか安心できなかった。
-
Posted by ブクログ
第一部完とでも言うべき内容で展開されている三巻である。小エピソードで全体の流れを整え、ある一件から禰子が魔女としての自身を思い悩む一方で、そうした姿に反感を覚える弥生、その二人の諍いが描かれている。
ややシンプルすぎる嫌いはあるが、内容的にはごく真っ当に思春期の悩みを描いている。各々が、隣の芝は青く見えるを地で行くような思いを抱えながら、その胸中を上手く呑み込めない不器用さが露わになっているのだ。
日常を描く物語としては動的な展開であり、正面からぶつかり合う彼女らの姿は快くさえある。
よく流れをまとめた一巻だっただろう。星五つと評価している。
ただ、前々から思うが、こうした物語が現代の読者にどこまで求められているのか、需要の問題は少し気にかかるところだ。
おそらくこのテンポの良さも、そうした「鬱ストーリーへの拒否」を念頭に置いている面もあると思うのだが、こうした正当な青春物語がどの程度の反響を得るのかも注目したい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレミステリが好きな人間は,多かれ少なかれ手品・マジックが好きだろう。伏線,ミスディレクション,驚き,ミステリの面白さと手品の面白さには多くの共通点がある。泡坂妻夫の「11枚のトランプ」など,手品をテーマとしたミステリは,手品に関するうんちくを楽しみつつ,ミステリも楽しめる。「午前零時のサンドリヨン」は,主人公が不思議な雰囲気をまとう凄腕のマジシャンであるという設定であり,手品をテーマとした作品という意味で,期待して読み始めた。期待どおり,主人公が披露する手品の描写だけでも十分楽しめたが,それ以外の理由から期待していた以上に心に残る作品になった。その理由は,この作品のテーマが「いじめ」であったからである。この作品には,ヒロインも含め,いじめられた人,つらい思いをしている人が出てくる。学生時代にいじめられたことがあるので,こういった描写にはそういった体験がない人以上に共感してしまう。「まやかしで,偽物の,嘘っぱちでしかないの。私と同じよ!」,「ずっとずっと,嘘をついて生きてきて,だから,なにが本当で,なにが嘘なのか,わからなくって…」と悩むヒロインの姿にも共感できる部分があった。米澤帆信の「ボトルネック」なんかを読んだときも思ったことだが,「午前零時のサンドリヨン」を,実際にいじめられ辛い思いをしていた学生時代に読んでしまっていたら,目を背けたくなってしまい,とても心に残る作品にはならなかっただろう。社会人になって,自分の学生時代を第三者的な目線で,客観的に振り返れるようになっているからこそ,登場人物に共感しつつ読むことができた。あんなに辛かったはずなのに,過ぎ去ってしまうと妙に懐かしく感じてしまう学生時代。今だからこそ,こういう作品を共感して読むことができ,心に残る作品になっている。ミステリとしても上質な短編揃いであり,ヒロインの酉野初のキャラクターの魅力も抜群。正直,主人公にはほとんど共感できないのだが,それを割り引いても,好みの作風であった。心に残る作品でもあり,総合的に見て,十二分に楽しむことができた。久しぶりに文句なしの★5つを付けたい。