相沢沙呼のレビュー一覧
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ネタバレ再読。
図書室の司書さんであるしおり先生と、多感で繊細で生きづらさを感じている女の子たちが、本を通して繋がる連作短編集。
いじめの描写がほんとうに辛くてなかなか読み進められなかった。
悪口を投げかけられたり、弁当箱に落書きをされたり。
いじめられっ子の三崎がネットのコメントを読んで、逃げることはだめなことなんだと自分を苦しめていく場面にこちらまで胸が締め付けられる。
自分も嫌なことや打ちのめされることがあると「人生詰んだ」「こんな自分が立派な大人になんてなれるわけない」と思ってしまうけど、生きている限り今目の前にあることに必死になるしかなくて、その連続の先に今は想像もできない姿の大人になった自分がいるのかもしれない。
最後は希望のある終わり方で救われた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ百合作品といえば、ただただ男女の関係の男の方を女性に置き換えただけのものと思いがちだ。事実、私はこれを読むまでそう思っていた。
ただでさえ恋愛経験が少ないから、こういった感情の機微を理解するのは正直言って難しいところだけど、男女の関係以上に繊細なことだろうし、それぞれの心情の変化なんかもまったく違ったものになるだろう。それをそれぞれここまでうまく表現したものは他に類の見ないのではと思う。
私もまだまだ百合ビギナーであることを自覚したので、百合の教科を必修科目にしたうえで、教科書に全作品掲載して教師に解説したもらいたい。
特に好きな作品は5作品目、斜線堂有紀先生作の「百合である値打ちもない値打ちもない」
現代のeスポーツやライブ配信の文化が背景になっているので、世界観が理解できると自分が現代人として認められた錯覚が得られて、自己肯定感を満たすのにもちょうどいいです。 -
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ネタバレヤンキー、ミステリと出会う(青柳碧人)
実態はどうであれ、暴れウサギの異名は可愛い。
うまいこと被害者の性格を利用しての犯行で面白かった。
でも「琥珀のタマナ」が何とも言えない気持ちになる。
将棋部、無実を証明せよ(秋木真)
そこまで見て聞いたなら気になりますよね。何がったのか。
絵を簡単に辞めたのは理解できなくても、やってはいけないんですよね。
どんな理由であれ話が違う。
屋上の雪融け(相沢沙呼)
かっこいい探偵だ。
どのタイミングでどこまで見通したのか。
聞いていないようでちゃんと聞いてくれている。
優しいね。
学生時代の母の原稿(似鳥鶏)
凄い。出来てた二つの話を娘に合わせて混ぜた。
後から別の話だと知っても凄い、優しいとしかならない。 -
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小説の神様シリーズのキャラクターの心象がとても精緻で繊細で、素敵だなぁと思ったので、こちらを手に取ってみたんですが。一話目を読んでみて、先行きが見えず、どんな物語なんだろう、と思っていたら短編集だったんですね。正直、中学二年生の女の子たちの、生々しい心情と重苦しいエピソード、きらきらと煌めく鮮やかな描写が、ものすっごく素敵な作品でした!
びっくりしました。こんなに、かつての自分に懐かしさを感じられる物語があるなんて。行きたくない、学校に行けない、なんて考えながらも一所懸命に学校に通っていた日々。学級カースト。周りからの視線。早熟な女の子の手元に煌めくコスメと飾り。どれも、本当に、愛おしかった。
表通りの日向を闊歩できるほどには、自信もなくて、なにも、もっていなくて。気だるく鬱屈した思春期だったとしても、そこに希望もあまり見えなくても、必ず生き過ぎてくるこの時代を。こんなにも細やかな筆致で描き出せた作品だなんて、感動しました。
きっと、中学生、というひとつの段階を、成長や将来への希望、夢、といったもので彩り生きてきた人や、思い描いてきた人にとっては、なんて暗い、重苦しい物語なのだろうと思えてしまうかもしれないのですが。人生はいろいろで、恵まれた光のはしっこを掴んで生きている人ばかりではないので、こうした学生時代の苦労が見える小説はなんとも新鮮で、逆に学校に行けない子供達の増えた今の時代性にぴたりとハマるような気がしました。
そのなかでも、わたしは「放課後のピント合わせ」が好きです。わたし自身が、趣味の多い人なので、趣味を薦めてくれる存在と、それをきっかけに広がっていく生活、というテーマが本当に面白かった。教師の姿もみずみずしく、読者をソワソワさせて引っ掛けるような文章の運びのギミックにもカタルシスを感じます。
キュン、とした「好きな人のいない教室」は、物語の展開の仕方が秀逸で。解決や明るい光より、主人公の意志と気持ちの動きの表現でしめくくる、結論にとても心が揺り動かされました。シンプルな少女展開とは違う。でも、確かに見えるその形が、とても素敵でした。 -
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2025/04/17
学校に足が向かない人たちの物語。
足が向かなくなる、行きたくなくなるのにもそれなりに理由があって、それは周りの人から見たら大したことじゃなかったり、些細なことなのかもしれないけど当人は一生懸命全力で考えて頑張っているんだなというその葛藤や奮闘をとても現代風に小説化していて読みやすい物語だなって思いました。
しかし、途中の短編で出てくる先生は、さすがにこんなやつ最低すぎるだろ…と思いました。後書きに小説の中に入ってこの先生をぶっ飛ばしてやりたいという表現があったのですが、まさにその通りだなと同じことを感じました。
自分の生きてきた生き方や考え方はごくごく一般的で、結構普通なんじゃない?と思う人こそこの本は読んだ方が良いのではないかと思います。
学校という集団に対してどのような思考過程で足が遠のいていくのかがとてもわかりやすい描写として描かれているからです。
また読み返してみたいと思います。 -
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『ねぇ、卵の殻がついている』
保健室登校のナツとサエ。ずっと隣に居てほしかった存在だった。サエが数学の問題集を解いている。来週から教室に戻るというサエ。そんな彼女に対して、わけのわからない苛立ちが募るナツ。
そんなナツの思春期独特のモヤモヤとした苛立ちが、文章を通してひしひしと伝わってくる。この『わけのわからない苛立ち』は私にもあった。なんの苛立ち?と聞かれてもうまく答えられない…そう、説明しがたい苛立ちなのです。
ほんとうは自分がどうしたいのか、どうしなければいけないのかなんて、わかっているんですよね。じゅうぶん頑張っているんですよ。あとはほんの少しのきっかけと、一歩踏み出す勇気さえあれば……と。
『好きな人のいない教室』
あの子が持っているから私も…皆がそう言うからそうだとか…右に倣えのような空間は正直しんどい。
香水の香りが好きな子がいてもいいと思うし、香り付きのペンの匂いが好きな子がいてもいいと思う。
自分の好きなものは好きだと胸を張り、ひたむきに向き合う姿は本当に輝いてみえます。
好きなことがあって、大切な人がいたらもう幸せなのです。肩の力を抜いて自然体でいられたら、皆、きっともっと自由に羽ばたけると思うのに…と考えさせられました。
『死にたいノート』
雨の降る日が好きだという主人公の気持ちが冒頭の情景でとても伝わってきた。また、雨の冷たさの文章が、物語そのものの空気感を漂わせています。
どうしようもなく苦しい衝動に駆られるとき、自分の死というものを具体的に、安直に考えてみたりした経験は、ある。そんなときは生きている意味を、死にたい理由を探していたように思う。
死にたい、死にたいと書き綴っていた意味を知ったとき、あぁそうだったのかと腑に落ちた。読み終わると、胸がじんわり暖かくなったお話でした。
『プリーツ·カースト』
カーストとは。ヒンドゥー教における身分制度のことでランク付けによる格差を表す言葉だ。学校でも職場でも日々暮らしているありとあらゆる中で、なんらかの形でランク付けされていたりする。世の中、窮屈で生きづらいものだなと感じる。
主人公の女の子の心の葛藤を読んでいると胸がつかえた。
たとえスカートの長さが違ってもいいじゃない。あなたはわたしにはなれないし、わたしもあなたにはなれない。比べたり羨んだり、意志にそぐわないことに同調しなくてもいいのと言いたい。……とは言っても世の中そうさせてくれないものだから、生きづらさが生じてしまう。
上だとか下だとかいうランク付けも時に必要ではある。でも秩序のない、ただ笑いものにするだけの無意味なカーストは必要ない。誰も幸せになれないと思うから。耳を傾けて、寄り添える心を持ちたい。
『放課後のピント合わせ』
光と影。写真を撮るとき、撮りたいものにピントを合わせる。撮りたい被写体によって、どちらも自然と主役になる。フォーカスの中心にいる眩しいあの子達と、ピントがうまく合わない自分。光と影。比べてしまう主人公の女の子の心情に、またも胸がざわついた。
生きているうちに一度くらいは考えたことがあるのではないでしょうか。自分という生き物は何者なのか。自分の価値を数字や評価で決めなくてはならないときが。
うまくピントが合わないのは日常よくあること。感情を持つ生き物だもの、劣等感や喪失感は生まれてしまう。だけど、一瞬でもいい。自分と世界とのピントが合わさったとき、ほんの少しの勇気を持てる気がしてくる。そんなお話でした。
『雨の降る日は学校に行かない』
生きている世界に絶望して、今すぐに消えてしまいたいと思う日が、人生に一度はあるのではないか、と思う。そう思わないで人生を歩む人も、もちろん居るだろう。
わたしは、前者だった。他人からすればそんなことくらいで?ということでも、理不尽に受けた傷は大なり小なり痛みを負う。その痛みごと背負って生きていかなきゃならないんだから。
読み進めていくうち、主人公の女の子の心の中の叫びに共鳴して、涙が流れた。苦しかった。それでも作者は、わたしたちにとても大切なことを訴えかけているのだと思った。
思春期真っ只中の学生さんにぜひ読んでもらいたい。勿論、大人の方にも。(私もいい大人)
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Posted by ブクログ
中学校のスクールカーストに焦点を当てた連作短編集。子供の世界は本当に残酷。とくに女児童の場合は顕著である。
幼少期は友達同士でも、容姿が違えば、思春期には疎遠になってしまい、イジメの対象にすらなる。容姿だけで、居心地や青春の全てが決まってしまう。お洒落をすることも、クラスメイトに話しかけることも出来ない。
そして先生も無沈着で、彼女達に残酷な仕打ちをする。特に最終話に登場する男性担任は、無沈着、無神経な最低である。学校行事や毎日の給食、清掃すら、罰ゲームのような時間だ。
教室の隅で、誰とも関わらないことだけを願い、卒業までの日々を平穏に過ごしたくなる気持ちは本当によく分かる。生き地獄である。
中盤で、救いの手をさしのべる陽キャラ女子と、自らの過ちに気づいて心を入れ替える女子が登場し、一見ホッとさせられる。ただし、虐げられている側にすれば、不気味で信用出来ないのかも知れない。「裏切られるかも知れないと分かっていつつも、誰でも良いから繋がっていたい」という切実な心情も描かれており、涙を誘う。
私が中学生の時、校区の住民から「女子生徒がプリクラを撮っている」とのクレームがあり、「心当たりある女子は全員講堂へ来なさい!」との招集がかかった。8割くらいの女子が向かったのだが、教室に取り残された生徒が、顔を真っ赤にして居心地辛そうにしていた。それを見てヘラヘラ笑う男子達。当時の教師達は、怒りに任せて注意指導することに精一杯で、自分が無沈着でどれだけ酷い判断をしているのか、分からないのだろう。
あの時、顔を真っ赤にしてした子たちはどうしているのだろう?一生懸命勉強して、あのような狭い監獄から解放され、違う世界で活躍し、自信を取り戻しているだろうか?かつてのクラスメイトを赦すというより、もはや眼中に無いくらい、生まれ変わっていて欲しい。既に周りの誰よりも、美しさは備わっているのだから。 -
購入済み
非殺人ミステリー
第1作「マジョルカ」、第2作「マハリタ」に続く3作目が本作。
前2作品は短編を繋ぐ形で主人公やヒロインの関係等が描かれていたが、本作はシリーズ3作目にして、本格ミステリー感のある長編となった。
本作はミステリー作品ではあるが、殺人などの血なまぐさい事は起きない。
殺人を伴わないミステリーではサスペンスフルな展開にならないようにも思えるが、本作ではヒロインのマツリカさんの正体の追求も含めて、かなりドキドキする展開があり、読み応えはとてもあった。
最後の最後、マツリカさんが皆の前で謎解きを披露して終わる。
柴山くんとマツリカさんの関係が周りに人たちに周知された後の展開は、おそらくは次巻以降に描かれると思われます。
そんなわけで、最後しっかり締めつつも、新たなる嵐の予感を感じさせる一冊です。 -
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水越先輩は浅いなぁ
ラノベとかマンガを下に見るのは本当に浅はかだと思うよ
そもそも昔は夏目漱石の作品が今で言うラノベの扱いだったわけで
四書五経、論語、歴史を記した大説よりも軽いものが小説なんだよ
なので、小説同士で物語の軽重を語るのは愚かですよ
先述の通り、物語の相対的な重さは時代によって変わるわけだし
いずれ、今のラノベも文学と位置づけられる時代が来るかもね
一也の言うラノベ基準は納得
そう名乗っているレーベルから出ている作品
これ以外に明確なラインは引けない気がする
ラノベ好きは一般文芸でも好きな作品はラノベだと言いたくなるし
ラノベ嫌いも同じく気に入らない一般文芸をラノベに分類したがる
私も、どちらかと言うと一般文芸でもラノベ寄りな作品を読んでるし、いい意味でラノベとラベリングしている気がする
物語を読む意味
自分のための物語
私で言うと「君の膵臓をたべたい」かな
ま、完全に当てはまるわけではないけど、自分の前に咲良が現れていたら、今とは違った人生になっていただろうとは思う
私が学生の頃にはまだ出版されていない作品なので、どうしようもないんですけどね
人間関係の複雑さ
物語のテンプレートだと悪い人は悪い事をするんだけど
この作品も、リカがただ単に悪いやつだったらわかりやすいのにね
成瀬さんが仲間として受け入れられているという状況
第三者視点と、成瀬さん視点と、友だち視点と、リカ視点ではそれぞれ異なる
こんな物語が書けるから相沢沙呼さんはすげぇよなー
ただ書く事だけが楽しかった頃から、読者を意識し始める事で生じる欲求
誰のために書くのか?という問い
最初は自分が、次に読んでくれる周囲の顔の見える人
それが不特定多数の人に範囲が増すに連れて、本来の対象ではない読者も増え、そして批難も増える
でも、大事なのは自分の作品を読みたいと待っている読者なんだよなぁ
世の中の作家さんは色々な悪意を目にする事が多いのでしょうけど
善良な読者は確実にいるので、そんなものは気にせずに作品を書き続けて欲しいですね