三浦綾子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
日露戦争の戦果として樺太の南半分を日本が取得したと歴史で習ったが、その樺太の南半分を舞台に繰り広げられる、昼ドラや韓流ドラマなみの愛憎劇。北海道と違って樺太は外国だからそうそう簡単に行けないんですよね
主役のはずの綺麗な心持のご立派な貴乃と孝介よりも、その主役の敵となる完治とあき子の俗な物言いや行動の描写がはるかに嫌な面も含めて印象に残り、その部分もまさにドラマ向けといえる。
昭和52年にドラマになったようで、ロケ製作費は大変だろうからリメイクとはいわないが、再放送の価値があるのでは、もろ昼間に。
著者は虚弱だったので、取材は全て本で済ませたのはないかと推察するが、だとしても描写が素晴 -
Posted by ブクログ
ネタバレ三浦綾子氏の自伝である。
作品は、3部作の1部目となり、著者が結婚するまでの紆余曲折、キリスト教の受洗し、信徒となるまでの体験などを記している。
著者は体が悪く、寝たきりの生活を送っていた。そこに、キリスト教信徒であり、彼女の人生を変えることになる前川正が現れる。
キリスト教とは、御人好しで、きれいごとを言っているように思っていたが、そうではないことを知って、どんどんキリスト教への考えが変わっていく。キリスト教とは、互いに相愛せよ、とか、人もし汝の右の頬を打たば、左をも向けよ、とか、そういったものを言っているものとばかり思っていたが、違った。12章に及ぶ伝道の書には、何もかも空な -
Posted by ブクログ
作家三浦綾子さんが,まだ,堀田綾子だった頃のことを綴った自伝です。
描かれている時代は,幼少から,年若くして教員となり戦前・戦中を皇国史観の中で教育し,敗戦を迎えた頃までです。
綾子は,全身全霊をかたむけて教育にあたり,子どもとともに成長していたからこそ,敗戦で受けた衝撃は大きなものでした。この生き方で間違いないと思っていたことが,脆くも崩れ去るとき,彼女は,教壇から去って行きます。たった7年の教師生活でした。
昨日まで教えていた教科書に墨をぬらせたということは,わたしをして,単に国家や政治への不信ばかりではなく,すべての人間への不信に追いやっていたのである。p.339
人間とし -
Posted by ブクログ
作家三浦綾子さんが,まだ,堀田綾子だった頃のことを綴った自伝です。
描かれている時代は,幼少から,年若くして教員となり戦前・戦中を皇国史観の中で教育し,敗戦を迎えた頃までです。
綾子は,全身全霊をかたむけて教育にあたり,子どもとともに成長していたからこそ,敗戦で受けた衝撃は大きなものでした。この生き方で間違いないと思っていたことが,脆くも崩れ去るとき,彼女は,教壇から去って行きます。たった7年の教師生活でした。
昨日まで教えていた教科書に墨をぬらせたということは,わたしをして,単に国家や政治への不信ばかりではなく,すべての人間への不信に追いやっていたのである。p.339
人間とし -
Posted by ブクログ
ネタバレ粗野で下品、道徳観念なし、アクの強い登場人物が多い中で、主人公貴乃の真面目さ、純粋さ、やさしさがひときわ目立ちます。その貴乃とお似合いの孝介、結ばれるはずの2人は完治の悪巧みによって引き裂かれ、それぞれの運命が激変していきます。
泣く泣く完治の家に嫁入りした貴乃ですが、主婦として立派に勤め上げることが驚きでした。運命に翻弄されて終わらず、「置かれた場所で咲く」ことのできる女性です。内心では恨み、つらみ、未練も多々あるのですが、それを押し隠して生きていく。誰にでもできることではありません。
一方、孝介も樺太で実業家として成功。完治の妹あき子を嫁にもらうのですが、もしかして復讐のため?と思って -
Posted by ブクログ
女性が政治的戦略や人質として扱われていた戦国時代に明智光秀の娘として生まれ、細川忠興に異常なまでの執着心を持たせたガラシャ。
両親から愛情深く育てられた少女時代、忠興を夢中にさせた美貌、本能寺の変の後、不安の中で暮らした様子など、周囲の状況で生き方が大きく変わる当時の女性の様子に胸が詰まるようでした。
印象に残ったのは、キリスト教に出会ってから、自分自身の傲慢さや周りを見下していた態度に気がつき、慈愛の心で満たされていくプロセスです。
姫として生まれ育ち、嫁ぎ先でも夫の愛情を受け、周りから美しさを讃えられる中で、侍女たちとは「主人ー仕える人」という人間関係が出来上がってしまいます。
その -
Posted by ブクログ
(01.14.2017)
「主(神)吾を愛す、主は強ければ
吾弱くとも 恐れはあらじ……」
この歌が葬儀でうたわれた時、私は泣けて泣けて仕方がなかった。苦労つづきの中で、この讃美歌を愛唱したということは、すばらしいことだ。どんなに苦労がつづいても、とにかく神は自分を愛していると信じて、この歌を母は毎日うたってきたのである。だから私は、母の生涯は「勝利」の生涯であったと思うのである。
今の私に必要なことをこの本から教わった。人生山あり谷ありという言葉通り、ここ一、二年なかなか思うように事が進まない日々が続いていて、精神的に弱っている。すぐネガティブになってしまったり、物事を悲観してしまうよう -
Posted by ブクログ
乱世の不穏な世情ながらも幸せに暮らしていたのは上巻まで。
本能寺の変から、一気に逆賊の娘として過酷な運命に
翻弄されていく様が描かれています。
歴史的にすでに知っている方でも面白く読めると思います。
自分は何もしていない、穏かに暮らしているだけなのに
次から次へと降りかかってくる火の粉。
運命に翻弄されるってまさにこういう事ですよね。
何かにすがりたくもなる気持ちはよく理解出来ます。
ただなぜキリスト教なんでしょう?
傾倒するまでの心の移り変わりはよく描かれているのですが、
最後のところでやはり理解が及びませんでした。
信者でない私には、熱心さ真剣さは頑固さにしか思えず、
信者の心情を -
Posted by ブクログ
細川ガラシャ夫人とありますが、
上巻はほぼ明智光秀が主人公って感じです。
光秀の描かれ方がとても新鮮で面白く、一気に読めてしまいました。
悪く言われがちな光秀がこの本では苦労人でありながら教養豊かで思慮深く、
武勇にも優れた素晴らしい人物のように描かれています。
史実的にと言うよりは作者の目線で描かれた光秀像ですが、
玉子が父である光秀から多いに影響を受けた様子やら、
かなりの信頼を寄せていたらしい記述を鑑みると、
かなり美化されてる感は否めませんが、
これに近い人物なのではないかなと思えてきます。
戦国の世における家族や女性がどのようであるかなど、
これも作者目線ではありますが興味深い