三浦綾子のレビュー一覧

  • 三浦綾子 電子全集 細川ガラシャ夫人(下)

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    再読。
    父光秀の起こした本能寺の変により暗転してしまったガラシャの運命。幽閉のために幼子たちと別れる場面が特に辛い。
    けれど、深い悲しみと苦悩のその先には信仰という光が待っていた。彼女が信仰に触れるきっかけとなった清原マリヤの「苦難を恩寵と思えるように祈る」という言葉は宗教色こそ強いが、これは考え方の違い、発想の転換なのかと自分もハッと胸を突かれた記憶。
    「散りぬべき時知りてこそ 世の中の花も花なれ人も人なれ」の辞世の句から滲み出るガラシャのひたむきな情熱と生き方の覚悟は、読む度に強く心に迫り訴えかけてくる。

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    2018年08月10日
  • 三浦綾子 電子全集 細川ガラシャ夫人(上)

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    再読。ガラシャの波乱に満ちた生涯を通して、信仰に纏わる含蓄ある言葉が散りばめられた力作。とはいえ、上巻ではまだまだ人生は波立つ前。
    この本で彼女の父である明智光秀の印象が一番変わった。敵側の意のままにはならないと死を選んだガラシャと主君の意のままにはさせないと反旗を翻した光秀、二人の生き方の根底に流れているものが本当によく似ている。決して浅はかな人物ではなかったように思う。その光秀が、母の痘痕を笑った娘を厳しくも温かく諭す親心が印象的。
    夫の忠興が妻に贈った手づくりの百人一首にもホロリとさせられた。

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    2018年08月06日
  • 三浦綾子 電子全集 千利休とその妻たち(上)

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    利休の歴史を面白く読める1冊。濃茶の始まり、黒楽の始まり、大津袋の始まり、にじり口の始まりなど、宗恩の影響がこれほど大きいとは知りませんでした。

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    2018年07月10日
  • 三浦綾子 電子全集 ひつじが丘

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    心が洗われる。
    美しい日本語を話す機会はなかなか無いが、こんなふうに自然に喋れたらステキ。
    三浦綾子の本の一貫したテーマ、許すこと、赦すことは、なんと深く難しいことなんだろう…。
    古い本だけど、やはりいい。

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    2018年06月01日
  • 三浦綾子 電子全集 銃口 (下)

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    主人公の竜太が勾留、戦争により非常に苦しい状況に陥る。そんな中でも坂部先生、近堂一等兵、山田曹長、金俊明など竜太に優しく接してくれる人々がいる。竜太は自分の至らなさを嘆くが、竜太自身の思い、行動があったからこそ彼らの優しさを受けられたと思う。
    こんな時代もあったのか、と感動的な物語と受け取ることもできるし、今の時代に通ずる行動指針を学ぶこともできる良書。

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    2018年02月04日
  • 三浦綾子 電子全集 天北原野(下)

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     日露戦争の戦果として樺太の南半分を日本が取得したと歴史で習ったが、その樺太の南半分を舞台に繰り広げられる、昼ドラや韓流ドラマなみの愛憎劇。北海道と違って樺太は外国だからそうそう簡単に行けないんですよね
     主役のはずの綺麗な心持のご立派な貴乃と孝介よりも、その主役の敵となる完治とあき子の俗な物言いや行動の描写がはるかに嫌な面も含めて印象に残り、その部分もまさにドラマ向けといえる。
     昭和52年にドラマになったようで、ロケ製作費は大変だろうからリメイクとはいわないが、再放送の価値があるのでは、もろ昼間に。
     著者は虚弱だったので、取材は全て本で済ませたのはないかと推察するが、だとしても描写が素晴

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    2018年01月20日
  • 三浦綾子 電子全集 道ありき 青春編

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     三浦綾子氏の自伝である。

     作品は、3部作の1部目となり、著者が結婚するまでの紆余曲折、キリスト教の受洗し、信徒となるまでの体験などを記している。

     著者は体が悪く、寝たきりの生活を送っていた。そこに、キリスト教信徒であり、彼女の人生を変えることになる前川正が現れる。

     キリスト教とは、御人好しで、きれいごとを言っているように思っていたが、そうではないことを知って、どんどんキリスト教への考えが変わっていく。キリスト教とは、互いに相愛せよ、とか、人もし汝の右の頬を打たば、左をも向けよ、とか、そういったものを言っているものとばかり思っていたが、違った。12章に及ぶ伝道の書には、何もかも空な

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    2018年01月16日
  • 三浦綾子 電子全集 石ころのうた

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     作家三浦綾子さんが,まだ,堀田綾子だった頃のことを綴った自伝です。
     描かれている時代は,幼少から,年若くして教員となり戦前・戦中を皇国史観の中で教育し,敗戦を迎えた頃までです。
     綾子は,全身全霊をかたむけて教育にあたり,子どもとともに成長していたからこそ,敗戦で受けた衝撃は大きなものでした。この生き方で間違いないと思っていたことが,脆くも崩れ去るとき,彼女は,教壇から去って行きます。たった7年の教師生活でした。

     昨日まで教えていた教科書に墨をぬらせたということは,わたしをして,単に国家や政治への不信ばかりではなく,すべての人間への不信に追いやっていたのである。p.339

     人間とし

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    2017年12月14日
  • 石ころのうた

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     作家三浦綾子さんが,まだ,堀田綾子だった頃のことを綴った自伝です。
     描かれている時代は,幼少から,年若くして教員となり戦前・戦中を皇国史観の中で教育し,敗戦を迎えた頃までです。
     綾子は,全身全霊をかたむけて教育にあたり,子どもとともに成長していたからこそ,敗戦で受けた衝撃は大きなものでした。この生き方で間違いないと思っていたことが,脆くも崩れ去るとき,彼女は,教壇から去って行きます。たった7年の教師生活でした。

     昨日まで教えていた教科書に墨をぬらせたということは,わたしをして,単に国家や政治への不信ばかりではなく,すべての人間への不信に追いやっていたのである。p.339

     人間とし

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    2017年12月14日
  • 三浦綾子 電子全集 天北原野(下)

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    粗野で下品、道徳観念なし、アクの強い登場人物が多い中で、主人公貴乃の真面目さ、純粋さ、やさしさがひときわ目立ちます。その貴乃とお似合いの孝介、結ばれるはずの2人は完治の悪巧みによって引き裂かれ、それぞれの運命が激変していきます。

    泣く泣く完治の家に嫁入りした貴乃ですが、主婦として立派に勤め上げることが驚きでした。運命に翻弄されて終わらず、「置かれた場所で咲く」ことのできる女性です。内心では恨み、つらみ、未練も多々あるのですが、それを押し隠して生きていく。誰にでもできることではありません。

    一方、孝介も樺太で実業家として成功。完治の妹あき子を嫁にもらうのですが、もしかして復讐のため?と思って

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    2017年10月14日
  • 三浦綾子 電子全集 細川ガラシャ夫人(上)

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    女性が政治的戦略や人質として扱われていた戦国時代に明智光秀の娘として生まれ、細川忠興に異常なまでの執着心を持たせたガラシャ。

    両親から愛情深く育てられた少女時代、忠興を夢中にさせた美貌、本能寺の変の後、不安の中で暮らした様子など、周囲の状況で生き方が大きく変わる当時の女性の様子に胸が詰まるようでした。

    印象に残ったのは、キリスト教に出会ってから、自分自身の傲慢さや周りを見下していた態度に気がつき、慈愛の心で満たされていくプロセスです。
    姫として生まれ育ち、嫁ぎ先でも夫の愛情を受け、周りから美しさを讃えられる中で、侍女たちとは「主人ー仕える人」という人間関係が出来上がってしまいます。

    その

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    2017年06月10日
  • 三浦綾子 電子全集 それでも明日は来る

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    (01.14.2017)

    「主(神)吾を愛す、主は強ければ
    吾弱くとも 恐れはあらじ……」
    この歌が葬儀でうたわれた時、私は泣けて泣けて仕方がなかった。苦労つづきの中で、この讃美歌を愛唱したということは、すばらしいことだ。どんなに苦労がつづいても、とにかく神は自分を愛していると信じて、この歌を母は毎日うたってきたのである。だから私は、母の生涯は「勝利」の生涯であったと思うのである。

    今の私に必要なことをこの本から教わった。人生山あり谷ありという言葉通り、ここ一、二年なかなか思うように事が進まない日々が続いていて、精神的に弱っている。すぐネガティブになってしまったり、物事を悲観してしまうよう

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    2017年01月15日
  • 三浦綾子 電子全集 道ありき 青春編

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    私はキリスト教信者でもないし
    これまで宗教的な本はほとんど読んでこず抵抗があったのですが、
    途中からどんどん引き込まれ、一気に読めました。
    人の心はうつろいやすく、ずっとこの人を愛していると一度は思っても他の人に惹かれてしまうことがあったり、そんな自分が不実に思えたり。
    この本からは、そんな人間の心に対する答えのようなものを与えてもらったと感じました。
    人生において最も大切なことは人に何かを与えることではないか、そして、どんな出来事も神によって与えられたものと思い前向きに自然に乗り越えていくことについて考えさせられました。

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    2017年01月08日
  • 三浦綾子 電子全集 細川ガラシャ夫人(下)

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    本能寺、忠興の異常な愛情、キリスト教への改宗、そして大阪での見事なまでの最期へと織豊時代の多様性を映した見事な生涯。

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    2016年11月12日
  • 母

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    ネタバレ

    仕事関係の方に勧められた本
    小林多喜二の書いた本を一冊も読んだことがないけれど
    警察の拷問で亡くなった方というのは知っていた
    その方のお母様の言葉として書かれた小説
    やはり、切なく悲しく愛に溢れて、しかし淡々と書かれていた

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    2016年09月04日
  • 三浦綾子 電子全集 母

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    仕事関係の方に勧められた本
    小林多喜二の書いた本を一冊も読んだことがないけれど
    警察の拷問で亡くなった方というのは知っていた
    その方のお母様の言葉として書かれた小説
    やはり、切なく悲しく愛に溢れて、しかし淡々と書かれていた

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    2016年09月04日
  • 三浦綾子 電子全集 細川ガラシャ夫人(下)

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    乱世の不穏な世情ながらも幸せに暮らしていたのは上巻まで。
    本能寺の変から、一気に逆賊の娘として過酷な運命に
    翻弄されていく様が描かれています。

    歴史的にすでに知っている方でも面白く読めると思います。

    自分は何もしていない、穏かに暮らしているだけなのに
    次から次へと降りかかってくる火の粉。
    運命に翻弄されるってまさにこういう事ですよね。
    何かにすがりたくもなる気持ちはよく理解出来ます。

    ただなぜキリスト教なんでしょう?
    傾倒するまでの心の移り変わりはよく描かれているのですが、
    最後のところでやはり理解が及びませんでした。

    信者でない私には、熱心さ真剣さは頑固さにしか思えず、
    信者の心情を

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    2016年06月28日
  • 三浦綾子 電子全集 細川ガラシャ夫人(上)

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    細川ガラシャ夫人とありますが、
    上巻はほぼ明智光秀が主人公って感じです。
    光秀の描かれ方がとても新鮮で面白く、一気に読めてしまいました。

    悪く言われがちな光秀がこの本では苦労人でありながら教養豊かで思慮深く、
    武勇にも優れた素晴らしい人物のように描かれています。

    史実的にと言うよりは作者の目線で描かれた光秀像ですが、
    玉子が父である光秀から多いに影響を受けた様子やら、
    かなりの信頼を寄せていたらしい記述を鑑みると、
    かなり美化されてる感は否めませんが、
    これに近い人物なのではないかなと思えてきます。

    戦国の世における家族や女性がどのようであるかなど、
    これも作者目線ではありますが興味深い

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    2016年06月28日
  • 三浦綾子 電子全集 続 氷点(上)

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    内面が深く描かれていて、引き込まれます。人の心は多面的だとつくづく感じる。

    本編(?)とは違い、「続」では段々と家族が平穏に戻っていくような感じがするが…果たして?下巻が楽しみ。

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    2016年06月19日
  • 続 氷点(上)

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    内面が深く描かれていて、引き込まれます。人の心は多面的だとつくづく感じる。

    本編(?)とは違い、「続」では段々と家族が平穏に戻っていくような感じがするが…果たして?下巻が楽しみ。

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    2016年06月19日